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二日目

ハーブの在り処②

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 テーブルの上には、ご飯と味噌汁、そして焼きベーコンと卵焼きが、湯気を立てて並ばれている。
 デザートとしてみかんも置かれており、家で食べる朝食よりもしっかりとしていた。
 これだけ食べれば、一日中活動できるエネルギーが湧いてくるだろう。手を合わせて「いただきます」と言ってから、かき込むようにご飯を頬張る。

「おいおい、焦って食べるなよ。飯は逃げないから」

「す、すいません、昨日のお昼から何も食べてないので」

「確かに、昨日の夜は疲れてすぐ寝ちまったもんな。ま、ゆっくり食べな」

 近所のお兄さんのような優しさに、恵那の心も温まっていく。
 その優しさは、まるで巴先輩みたいだった。
 巴先輩は……今頃どこにいるのだろうか。
 叶うなら、生きたままの状態で会いたいけど、そう上手くはいかない気もする。
 もう死んでいたとしたら、運が良くても浮遊霊になった状態の巴先輩に出会えるだけ。もし生きていたとしたら、今更ながらにこの自殺スポットを訪れてくれるのを願うだけだ。その可能性はかなり低いのだけど。
 もう一年も前に、巴先輩は行方不明になっているわけだから、すでに死んでいると考える方が自然だ。
 野菜の風味が存分に発揮されている味噌汁を啜りながら、答えの見えない行く末を、考えてしまっていた。

「マルナ、どうしたんだ。急に元気がなくなったな」

「いや……何でもないです」

「ふーん、まあいいけど。どうだ味は確かか?」

「は、はい! 間違いないです!」

「なら良かった。ところで、今日はハーブを収穫しに行くから」

「ハ、ハーブ……ですか?」

 ハーブの収穫? 恵那の頭の中に、早速疑問が浮かんだ。
 こんな山中から、どこかに移動するということなのか。
 それとも、藤沢が不思議な能力を使って、ハーブが実っている場所にテレポートでもするのだろうか。
 とにかく、山小屋の前は断崖絶壁だし、周囲にハーブが栽培されているような場所はない。
 まさかの活動宣言に、恵那はポカンと口を開けた。

「何だよ、そんなに驚いて。ちょっと軽く歩くだけだから、変な心配はすんなよ」

「歩くだけ……ですか? わ、わかりました」

 軽く歩くだけという藤沢の言葉を信用して、恵那はハーブの収穫に行くことを了承した。
 米一粒も残すことなく平らげた後に、部屋に戻って外着に着替える。
 昨晩に、何故かこの山小屋に常備されていた、女性用の寝巻を貸してもらっていた。
 それを脱いで、家から着てきた薄手のジャージを再び身に纏う。動きやすい服装で来て、大正解だった。
 内心で自画自賛をしながら、山小屋の外で待つ藤沢のもとへ向かう。
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