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最終章 おふくろの味 ~北海道味噌の石狩風みそ汁~
①
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「ん? んん……」
目が覚めると、朝の木漏れ日が窓から差し込んできていた。
ポカポカとした陽気がアキの体を包み込んで、眠気を完全に吹き飛ばしてくれない。
ぼんやりとした視界を直すように、指で眼球を擦る。
カウンターにはサリが立っていた。
「おはよう。また飲み過ぎたの?」
「あ、サリさん。おはようございます」
「こんなカウンターの上で寝ちゃうなんて。いくら起こしても反応してくれないし」
「すいません。飲み過ぎたわけではないんですけど、昨日は結構頭使っちゃって」
昨日の斎藤の去り際のセリフが気になる。それで頭を使ってしまった。
確かにアルコールが回ってきたのもあるけど、一番は脳の疲労感が原因だ。そのせいで、死んだように寝てしまった。
「とりあえず、顔洗ってきたら?」
「そ、そうですね……」
洗面台まで行って、顔を洗う。冷たい水で、皮膚に刺激を与えた。
頭がスッキリするような冷たさだった。猫神様が洗面所まで来て、「お前さんも大変だな」と話しかけてくれる。
「あ、ああ……昨日の斎藤さんが、何か引っかかって」
「そうか……何か起こるかもしれないな」
「何かって?」
「お前さんのこの先に関わることが、起こるかもしれないってことだよ」
フェイスタオルで顔を拭きながら、猫神様と話す。
猫神様が言っていることは、ただの勘ではないような気がした。
アキの体が、直感でそう感じている。そろそろアキは、この店から出なければいけなくなるのかもしれない、と。
「どう、さっぱりした?」
「ありがとうございます、サリさん。おかげさまで」
サリは温かいお茶をアキに出した。猫神様にはミルクを出している。
いつもはみそ汁を出してくれていたから、たまには温かい日本茶も悪くないなと思えた。
「もう、猫神様、髭が真っ白ですよ」
「……ん? ああ、すまんすまん。無我夢中で飲んでしまって」
サリはタオルで猫神様の口周りを綺麗にする。猫神様の方が上司だなんて、このシーンだけ見たら判断がつかないだろう。
微笑ましい瞬間に、アキの口元は綻んだ。
その時、店の中に来客が。
目が覚めると、朝の木漏れ日が窓から差し込んできていた。
ポカポカとした陽気がアキの体を包み込んで、眠気を完全に吹き飛ばしてくれない。
ぼんやりとした視界を直すように、指で眼球を擦る。
カウンターにはサリが立っていた。
「おはよう。また飲み過ぎたの?」
「あ、サリさん。おはようございます」
「こんなカウンターの上で寝ちゃうなんて。いくら起こしても反応してくれないし」
「すいません。飲み過ぎたわけではないんですけど、昨日は結構頭使っちゃって」
昨日の斎藤の去り際のセリフが気になる。それで頭を使ってしまった。
確かにアルコールが回ってきたのもあるけど、一番は脳の疲労感が原因だ。そのせいで、死んだように寝てしまった。
「とりあえず、顔洗ってきたら?」
「そ、そうですね……」
洗面台まで行って、顔を洗う。冷たい水で、皮膚に刺激を与えた。
頭がスッキリするような冷たさだった。猫神様が洗面所まで来て、「お前さんも大変だな」と話しかけてくれる。
「あ、ああ……昨日の斎藤さんが、何か引っかかって」
「そうか……何か起こるかもしれないな」
「何かって?」
「お前さんのこの先に関わることが、起こるかもしれないってことだよ」
フェイスタオルで顔を拭きながら、猫神様と話す。
猫神様が言っていることは、ただの勘ではないような気がした。
アキの体が、直感でそう感じている。そろそろアキは、この店から出なければいけなくなるのかもしれない、と。
「どう、さっぱりした?」
「ありがとうございます、サリさん。おかげさまで」
サリは温かいお茶をアキに出した。猫神様にはミルクを出している。
いつもはみそ汁を出してくれていたから、たまには温かい日本茶も悪くないなと思えた。
「もう、猫神様、髭が真っ白ですよ」
「……ん? ああ、すまんすまん。無我夢中で飲んでしまって」
サリはタオルで猫神様の口周りを綺麗にする。猫神様の方が上司だなんて、このシーンだけ見たら判断がつかないだろう。
微笑ましい瞬間に、アキの口元は綻んだ。
その時、店の中に来客が。
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