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最終話 相武ミオの春
⑦
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この関係性にひびが入り始めたのは、大学生になってからだ。
東京の大学に別々に進学して、すれ違う日々が増えていったのがこの時期。優斗と初めて違う学校に通うようになって、精神状態が乱れがちになる。
優斗も私といることが当たり前になって、少し飽き飽きしていた頃だろう。
「ねぇ、最近メールのレスポンス遅くない?」
「ええ? あ、ああ、ゼミとかサークルで忙しくてさ。友達が多いっていうのも、困りものだな」
大学生になってよく行くところは、近所のファミレスだ。デートらしいデートはしなくなっていた。高校生の時の方がもっと行きたい場所とかを探してくれていた気がする。
明らかに、私といる時間に嫌気が差している。何かにつけて、ゼミが、サークルが、だ。
いずれはまた、高校の時のような楽しい二人に戻れると思っていたし、別にこうやって適当になっていくのを責めたりもしなかった。
でもそれは、最初の一、二年生の時だけ。二十歳を超えると、中途半端な向き合い方をされていることに腹が立つことが多く、些細な言い合いも増えていった。
「私たちさ、最近手も繋がなくなったよね」
「そうか? 最初から繋いでなかっただろ」
「付き合いたての頃は繋いでいたじゃない。忘れちゃったの?」
「もう何年も前の話だからなぁ」
優斗は、この関係のままでいいのだろうか。ただ慣れてきただけか、それとも愛情がなくなったのか。
だんだんと優斗のことがわからなくなって、距離ができ始める。優斗は私のことが嫌いになったというより、関心がなくなったと表現した方が近いくらいだ。
それでも不思議と、別れ話まで発展することはなく、首の皮一枚で繋がった状態だった。
進展があったのは大学四年生の時、急に優斗が「そろそろ同棲始めようか」と言い出したのが始まりだった。
驚きが隠せずに、何度も聞き返して、優斗は「だから同棲だってば」と若干イラつきながら言ったのが印象的だった。まさか、優斗と次のステップに進むとは。
距離ができていたのは私の思い違いだったと笑えてきて、半笑いのまま、じゃあお互い就活が上手くいったらと返した。
お互いに実家暮らしだったのが、学生の分際で同棲を始めるなんて親が反対すると思っていたけど、幼馴染なだけあってどっちの両親も反対しなかった。
東京の大学に別々に進学して、すれ違う日々が増えていったのがこの時期。優斗と初めて違う学校に通うようになって、精神状態が乱れがちになる。
優斗も私といることが当たり前になって、少し飽き飽きしていた頃だろう。
「ねぇ、最近メールのレスポンス遅くない?」
「ええ? あ、ああ、ゼミとかサークルで忙しくてさ。友達が多いっていうのも、困りものだな」
大学生になってよく行くところは、近所のファミレスだ。デートらしいデートはしなくなっていた。高校生の時の方がもっと行きたい場所とかを探してくれていた気がする。
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でもそれは、最初の一、二年生の時だけ。二十歳を超えると、中途半端な向き合い方をされていることに腹が立つことが多く、些細な言い合いも増えていった。
「私たちさ、最近手も繋がなくなったよね」
「そうか? 最初から繋いでなかっただろ」
「付き合いたての頃は繋いでいたじゃない。忘れちゃったの?」
「もう何年も前の話だからなぁ」
優斗は、この関係のままでいいのだろうか。ただ慣れてきただけか、それとも愛情がなくなったのか。
だんだんと優斗のことがわからなくなって、距離ができ始める。優斗は私のことが嫌いになったというより、関心がなくなったと表現した方が近いくらいだ。
それでも不思議と、別れ話まで発展することはなく、首の皮一枚で繋がった状態だった。
進展があったのは大学四年生の時、急に優斗が「そろそろ同棲始めようか」と言い出したのが始まりだった。
驚きが隠せずに、何度も聞き返して、優斗は「だから同棲だってば」と若干イラつきながら言ったのが印象的だった。まさか、優斗と次のステップに進むとは。
距離ができていたのは私の思い違いだったと笑えてきて、半笑いのまま、じゃあお互い就活が上手くいったらと返した。
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