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第一話 臼井スミレの夏
㉙
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母に似た私に、助言を残してくれたのだ。元井さんがそう教えてくれた。
そして母は、回数券として残してくれた。言葉ではないけど、これは母なりのメッセージだろう。このサロン・ラペで、癒されてきなさいという。
「元井さん、ありがとうございます。私、仕事やめようと思います」
「それで、スミレ様は後悔ないですか?」
「はい。今度は自分のためじゃなくて、誰かのために働いてみたいと思いました。私のために働いてくれていた、母のように」
「スミレ様ならきっと、新たな道でも活躍されると思います。また函館に戻ってきた際は、気軽にお立ち寄りください」
ニコッとはにかんだ元井さんの笑顔で、私も自然と笑顔になる。モヤモヤしていた母への気持ちを、きちんと整理することができた。
元井さんは決意新たにした私の顔を見た後に「よしっ」と言ってタオルを片付け始めた。これにて、リフレクソロジーは終了したみたいだ。
何故だろう、さっきまで冷たかった足が、元井さんと話していく内に温かくなっていた。これも、元井さんの施術のおかげだろう。
「足裏に溜まっていたお疲れ物質を血流に流して、それが尿として流れていきます。今日はゴリゴリ潰したので、多めに水分補給お願いしますね」
「わかりました。リフレクソロジーって、そういうメカニズムになっているのですね」
「二週間に一回施術を受けるのが、ちょうど良いサイクルかもしれません。是非、東京でも受けてみてくださいね」
「ありがとうございます。この気持ち良さを知ったら、また受けたくなりますね」
会話をしながら、受付カウンターまで進んでいく。薄暗い空間を抜けると、夕方の日差しが店内に入り込んでいた。
クーラーのおかげで過ごしやすくなっているけど、外はまだカンカンに暑い。できることならもう少し滞在したいけど、迷惑をかけるわけにはいかない。
「お疲れ様でした! 臼井様、リラックスできましたか?」
一時間前に見た受付のお姉さん。相武さんはにこやかな顔つきで、私を出迎えてくれた。
「もちろんです」
そして母は、回数券として残してくれた。言葉ではないけど、これは母なりのメッセージだろう。このサロン・ラペで、癒されてきなさいという。
「元井さん、ありがとうございます。私、仕事やめようと思います」
「それで、スミレ様は後悔ないですか?」
「はい。今度は自分のためじゃなくて、誰かのために働いてみたいと思いました。私のために働いてくれていた、母のように」
「スミレ様ならきっと、新たな道でも活躍されると思います。また函館に戻ってきた際は、気軽にお立ち寄りください」
ニコッとはにかんだ元井さんの笑顔で、私も自然と笑顔になる。モヤモヤしていた母への気持ちを、きちんと整理することができた。
元井さんは決意新たにした私の顔を見た後に「よしっ」と言ってタオルを片付け始めた。これにて、リフレクソロジーは終了したみたいだ。
何故だろう、さっきまで冷たかった足が、元井さんと話していく内に温かくなっていた。これも、元井さんの施術のおかげだろう。
「足裏に溜まっていたお疲れ物質を血流に流して、それが尿として流れていきます。今日はゴリゴリ潰したので、多めに水分補給お願いしますね」
「わかりました。リフレクソロジーって、そういうメカニズムになっているのですね」
「二週間に一回施術を受けるのが、ちょうど良いサイクルかもしれません。是非、東京でも受けてみてくださいね」
「ありがとうございます。この気持ち良さを知ったら、また受けたくなりますね」
会話をしながら、受付カウンターまで進んでいく。薄暗い空間を抜けると、夕方の日差しが店内に入り込んでいた。
クーラーのおかげで過ごしやすくなっているけど、外はまだカンカンに暑い。できることならもう少し滞在したいけど、迷惑をかけるわけにはいかない。
「お疲れ様でした! 臼井様、リラックスできましたか?」
一時間前に見た受付のお姉さん。相武さんはにこやかな顔つきで、私を出迎えてくれた。
「もちろんです」
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