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本章1 ウォータリア編

No75.忘却の姫37

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 森の中から現れたのは鎧が所々壊れ中にはミイラのような体が見える異様な集団だった。

「黒騎士だよなコイツ等」

ヨッジー
「たぶん、間違いなさそうだが…結構なダメージをうけてるように見えるが」

ゲンゾウ
「そのようだが……」

 するといきなり向こうから仕掛けてきた、俺達はすぐに迎撃の体勢を整える。

「修行の成果の見せどころか」

ヨッジー
「おう!」

アネゴ
「剣……刃物!活き作りはいや!」

ゲンゾウ
「それじゃあ、どれ苦しみを耐え抜いたこのスキルで」」

「よし!見せてやるぜ!」

アクア
「待ってください!戦わないでください!」

ヨッジー
「え?」

新しく覚えたであろうスキルを使う気満々だったヨッジーが間の抜けた声をあげた。

アクア
「私に考えがあります」

先生
「ほ~」

「アクアさん気持ちはわかるけど」

アクア
「いえ、やらせてください」

 そういって黒騎士達の最前線に立つアクアさん、その雰囲気は今までとどこか違いプレッシャーといったら良いだろうか、その意思を否定することなど出来ないほど強い威厳を持ったようなオーラを纏っていた。
 黒騎士達は体から黒い血だったモノを拭き出しながらアクアさんに襲い掛かるが……

アクア
「止まりなさい!」

すると不思議なことに黒騎士の動きが止まった。

アクア
「我が兵よ!クィーンの下に集いてその力を発せよ!『クィーンフィールド』!」

 アクアさんを中心に青いと金色のオローラのようなものが展開していく、それはまるでそこが高貴な部屋の中に居るような不思議な空間だった。

アクア
「貴方達は私の、いえ国の兵もう他の者に縛られる必要はない」

 その声は今までのアクアさんの声とは違い威厳のある王の声、しかもそれはやがて姿にも現れ思わず傅きそうになるほどの威光を纏っていた。
 あとで分かったことだがクィンーズフィールドとは王家が扱うことができるスキルで能力UPもさることながらその範囲内では自分の国の者に対して絶対的な支配であり、これを使うことにより精神操作等よりも優先する為、誘惑、洗脳等による暗殺の回避が出来るとともにフィールド内では言葉を出さずとも会話出来る為、多岐に活用されるスキルらしい。

アクア
「さあ、皆の衆その呪縛から解放され!我が国を守る為 再び民の下へ」

しかし、黒騎士達は動きはしなかった正確には何かに諍うように小刻みに震えていた。

アクア
「っく!」

先生
「馬鹿者!弱気になるな、弱気になれば効力は落ちるぞ」

アクア
「皆の者!民を国の為!」

すると一回り大きな黒騎士 ヴォルサーガがアクアさんの前に……

「危ない」

俺が盾を構えようとすると

アクア
「無用!途切れ途切れに会話が」

「スキル効果か」

アクア
「そうお主はウォータリアの騎士ヴォルサーガだ」

ヴォルサーガ
「・・・」

アクア
「お前は国を守るウォータリア騎士団だ」

ヴォルサーガ
「・・・」

アクア
「やっとわかってくれたか!さあ呪縛を解き放ち我と共に……!」

次の瞬間強烈な剣風を当ててアクアさん諸共 俺達を吹き飛ばす。

アクア
「え?」

 目の前の黒騎士達は一か所に集まり隊列を組んでいる、俺達はすぐさま体制を立て直す為に武器を構える。

ヨッジー
「やっぱり駄目だったか」

「アクアさん武器を」

アクア
「え?どういうこと」

「どうしたんですか!」

アクア
「自分の事さえ思い出せないが今やるべきことは分かると……一体どういう事なの?」

アクア
「え?」


ヴォルサーガ
「ク ラ…シュ…デスト…ロイナイツ」

 辺り一面が白い光に包まれた……

クラッシュデストロイナイツ
1つの騎士団が自らの命と引き換えに目標物を殲滅する技

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