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些細の事で
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「イザベラ様、お元気そうですか?」
「エミリーも元気そうね」
お互い元気なのを確認した。
良かった。エミリーは責任を感じていたし、屋敷に帰ってまた自分を責めているのではないかと思っていたが心配いらなかった。
「アレクサンドルも座るといい」
まだ誰も座っていないが、殿下が茶会の席に座らせようとする。
「いえ、俺は立っています」
アレクサンドルは騎士としてなのか着席を断った。
「そうか。では、私がイザベラ嬢の隣に座ろう。それでもいいか、イザベラ嬢」
いいかと聞かれても断れないし、隣座られても嫌ではないからかまわない。
殿下は一瞬だけ私を見て、アレクサンドルに対して意地悪そうに笑っている。
「何か言いたげだな、イザベラ嬢は嫌そうにしてない」
アレクサンドルは不満そうな顔をしている。
どうして?
「・・・椅子が4人分あります。座らなかったら、せっかく用意したのに、無駄になってしまう。イザベラの護衛があるので、殿下はエミリー嬢の隣に座って下さい」
「回りくどい言い方せずに素直になればいいものを」
殿下は席を着き、その隣にエミリー。エミリーの目の前に私、隣にアレクサンドルが座った。
お茶会が始まり、それぞれの馴れ初めを話す事になった。殿下は聞いてる事が多かったが、アレクサンドルに関する話は興味を示した。
やっぱり、自分の配下だし信頼してるからだろう。
時折、殿下とエミリーが内緒話しているが、何を話しているのだろう。
隣にいるアレクサンドルに話しかける。
「アレクサンドル、殿下とエミリーが内緒話してるけど何を話しているのかしら?」
「たぶん、俺達の事だろう」
「どうして?」
「・・・・・追求しないでくれ」
「分かったわ」
アレクサンドルは、思い当たる事があるようだが、触れられたくないようだ。
俺達・・・つまり私も入るけど何か内緒話するようなことあるかしら。
馴れ初めは話したし、幼なじみの事も知ってるし、他に話題になることでも?
考えを巡らせているとエミリーに声をかけられる。
「イザベラ様、何を考え込まれているのですか?」
「・・・ん?ああ、何も考えてないわよ」
「・・・まあ、何となく見当はつきます」
「同感」
エミリーの言葉に、殿下も賛同する。
「イザベラは相変わらずだな」
「何よ」
「顔に出やすい」
アレクサンドルに呆れ顔で言われ言い返そうとしたら、殿下が先に言葉が出た。
「顔に出やすいに関してはアレクサンドルも同じだ。イザベラ嬢限定だな」
「殿下に同感します」
「お2人とも勘違いされてます」
「何を言う。王宮に来てから1番近くで見てたのは私だぞ。イザベラ嬢が関係しないと無表情が多いじゃないか」
殿下は自信満々に言い切った。
「そういえば、この間の舞踏会で令嬢達に囲まれてる時無表情だったわね」
「何だ。じゃあ、これからは愛想笑いを振り撒けばいいのか」
「そこまでは言ってないじゃない!」
「だったら言うな」
「何よ。私は、ただ多少愛想が良い方が今後人間関係や任務もしやすくなるんじゃないかと思っただけよ!令嬢達の愛想笑いは、本当は・・・とにかく、余計なお世話だったわね!殿下、私はこれで失礼します」
殿下に一礼して、その場を離れようとした。
「イザベラ!」
アレクサンドルが私の手を握ったが振り払う。
「付いて来ないで。1人で戻れるわ」
そして足早にその場を去る。
その姿を3人は見送っていた。
「私が余計なことを言ったせいですね」
「エミリー嬢のせいではない。私も悪い。イザベラ嬢に謝りに行こう」
「いえ、元は俺が原因です。とにかく今はイザベラを追いかけ護衛を続けます」
「そうだな」
3人が、それぞれ発言が想定外のことになってしまって雰囲気は暗く終わった。
私は、部屋に戻り溜め息をついた。
場の空気を悪くして気まずくしてしまった。
このままでは良くない。もう一度戻って謝ろう。
そう思ってドアの前に立つ。するとノックと同時にドアが開き額にぶつかる。
「・・・ッ」
声を我慢して視線を向けると殿下、エミリー、アレクサンドルが立っている。
「イザベラ嬢。すまない。そんな近くにいたとは」
殿下は申し訳なさそうに眉を下げる。
「い、いえ。私は先程の事を謝りに行こうと思って」
「とりあえず、部屋に入っていいか?」
「はい」
殿下の尋ねに承諾すると3人が部屋に入り、ソファー席に座る。座った場所はお茶会の席と同じだ。
「「ごめんなさい」」 「「悪かった」」
「「「「え?」」」」
合わせたわけではないのに、謝りと驚きが被る。
それぞれが顔を合わせる。
1番に話をしたのはエミリーだ。
「先程の事になってしまったのは、私がイザベラ様に何か考え込まれているかと聞いたせいです。申し訳ありません」
「エミリー嬢、気に病むな。私が悪い。アレクサンドルがイザベラ嬢が関係してると表情が豊かだから、新鮮で楽しんでからかってしまった。余計な事を言ってしまった」
「悪いのは俺です。殿下、エミリー嬢。イザベラとは幼なじみで、俺が人付き合いが上手ではないこと。イザベラにだけ表情が豊かな事も知っていたから。イザベラに表情を言われて過剰反応してしまった。イザベラは、俺の事を考えて言ったことだったのに」
「アレクサンドルのせいじゃないわよ。今までのアレクサンドルを考えたら、私の言った事は強制みたいになってしまうわね。今までも支障がないようなら、変えなくていいわ。それに、これは私のわがままだけど、他の令嬢達に愛想を振り撒くのは嫌。大人の対応ができなくて、自分が嫌になるわ。いろいろ、ひっくるめて私が悪いのよ」
しばらく沈黙が続いた。
こんなことするつもりなかったし、喧嘩なんてしたくなかった。
どうして、いろいろ上手く立ち回りができないんだろう。
「言葉とは難しいな」
沈黙を破ったのは殿下だ。
視線が殿下に集まる。
殿下は自嘲気味に話を続けた。
「誰も悪気があったわけではない。言葉が足りなかったり、言い方が悪かったりなどで、思いもしないことに発展する場合がある。今回は誰も悪くない。ぶつかることだってある。ただ、その後放置せず今みたいに想いを伝えればいい。想いと言うのは言葉にしないと伝わらないからな。何事も」
その言葉を、それぞれが理解し皆の顔を見回す。
「殿下。ありがとうございます」
「礼を言われるほどではない」
「フフ。そうですか」
重かった空気が晴れ、穏やかな空気が流れ始める。
そして、この話題は終わりとでも言うように違う話題が出てくる。
皆、それぞれの言葉を言い表情も明るくなった。
「エミリーも元気そうね」
お互い元気なのを確認した。
良かった。エミリーは責任を感じていたし、屋敷に帰ってまた自分を責めているのではないかと思っていたが心配いらなかった。
「アレクサンドルも座るといい」
まだ誰も座っていないが、殿下が茶会の席に座らせようとする。
「いえ、俺は立っています」
アレクサンドルは騎士としてなのか着席を断った。
「そうか。では、私がイザベラ嬢の隣に座ろう。それでもいいか、イザベラ嬢」
いいかと聞かれても断れないし、隣座られても嫌ではないからかまわない。
殿下は一瞬だけ私を見て、アレクサンドルに対して意地悪そうに笑っている。
「何か言いたげだな、イザベラ嬢は嫌そうにしてない」
アレクサンドルは不満そうな顔をしている。
どうして?
「・・・椅子が4人分あります。座らなかったら、せっかく用意したのに、無駄になってしまう。イザベラの護衛があるので、殿下はエミリー嬢の隣に座って下さい」
「回りくどい言い方せずに素直になればいいものを」
殿下は席を着き、その隣にエミリー。エミリーの目の前に私、隣にアレクサンドルが座った。
お茶会が始まり、それぞれの馴れ初めを話す事になった。殿下は聞いてる事が多かったが、アレクサンドルに関する話は興味を示した。
やっぱり、自分の配下だし信頼してるからだろう。
時折、殿下とエミリーが内緒話しているが、何を話しているのだろう。
隣にいるアレクサンドルに話しかける。
「アレクサンドル、殿下とエミリーが内緒話してるけど何を話しているのかしら?」
「たぶん、俺達の事だろう」
「どうして?」
「・・・・・追求しないでくれ」
「分かったわ」
アレクサンドルは、思い当たる事があるようだが、触れられたくないようだ。
俺達・・・つまり私も入るけど何か内緒話するようなことあるかしら。
馴れ初めは話したし、幼なじみの事も知ってるし、他に話題になることでも?
考えを巡らせているとエミリーに声をかけられる。
「イザベラ様、何を考え込まれているのですか?」
「・・・ん?ああ、何も考えてないわよ」
「・・・まあ、何となく見当はつきます」
「同感」
エミリーの言葉に、殿下も賛同する。
「イザベラは相変わらずだな」
「何よ」
「顔に出やすい」
アレクサンドルに呆れ顔で言われ言い返そうとしたら、殿下が先に言葉が出た。
「顔に出やすいに関してはアレクサンドルも同じだ。イザベラ嬢限定だな」
「殿下に同感します」
「お2人とも勘違いされてます」
「何を言う。王宮に来てから1番近くで見てたのは私だぞ。イザベラ嬢が関係しないと無表情が多いじゃないか」
殿下は自信満々に言い切った。
「そういえば、この間の舞踏会で令嬢達に囲まれてる時無表情だったわね」
「何だ。じゃあ、これからは愛想笑いを振り撒けばいいのか」
「そこまでは言ってないじゃない!」
「だったら言うな」
「何よ。私は、ただ多少愛想が良い方が今後人間関係や任務もしやすくなるんじゃないかと思っただけよ!令嬢達の愛想笑いは、本当は・・・とにかく、余計なお世話だったわね!殿下、私はこれで失礼します」
殿下に一礼して、その場を離れようとした。
「イザベラ!」
アレクサンドルが私の手を握ったが振り払う。
「付いて来ないで。1人で戻れるわ」
そして足早にその場を去る。
その姿を3人は見送っていた。
「私が余計なことを言ったせいですね」
「エミリー嬢のせいではない。私も悪い。イザベラ嬢に謝りに行こう」
「いえ、元は俺が原因です。とにかく今はイザベラを追いかけ護衛を続けます」
「そうだな」
3人が、それぞれ発言が想定外のことになってしまって雰囲気は暗く終わった。
私は、部屋に戻り溜め息をついた。
場の空気を悪くして気まずくしてしまった。
このままでは良くない。もう一度戻って謝ろう。
そう思ってドアの前に立つ。するとノックと同時にドアが開き額にぶつかる。
「・・・ッ」
声を我慢して視線を向けると殿下、エミリー、アレクサンドルが立っている。
「イザベラ嬢。すまない。そんな近くにいたとは」
殿下は申し訳なさそうに眉を下げる。
「い、いえ。私は先程の事を謝りに行こうと思って」
「とりあえず、部屋に入っていいか?」
「はい」
殿下の尋ねに承諾すると3人が部屋に入り、ソファー席に座る。座った場所はお茶会の席と同じだ。
「「ごめんなさい」」 「「悪かった」」
「「「「え?」」」」
合わせたわけではないのに、謝りと驚きが被る。
それぞれが顔を合わせる。
1番に話をしたのはエミリーだ。
「先程の事になってしまったのは、私がイザベラ様に何か考え込まれているかと聞いたせいです。申し訳ありません」
「エミリー嬢、気に病むな。私が悪い。アレクサンドルがイザベラ嬢が関係してると表情が豊かだから、新鮮で楽しんでからかってしまった。余計な事を言ってしまった」
「悪いのは俺です。殿下、エミリー嬢。イザベラとは幼なじみで、俺が人付き合いが上手ではないこと。イザベラにだけ表情が豊かな事も知っていたから。イザベラに表情を言われて過剰反応してしまった。イザベラは、俺の事を考えて言ったことだったのに」
「アレクサンドルのせいじゃないわよ。今までのアレクサンドルを考えたら、私の言った事は強制みたいになってしまうわね。今までも支障がないようなら、変えなくていいわ。それに、これは私のわがままだけど、他の令嬢達に愛想を振り撒くのは嫌。大人の対応ができなくて、自分が嫌になるわ。いろいろ、ひっくるめて私が悪いのよ」
しばらく沈黙が続いた。
こんなことするつもりなかったし、喧嘩なんてしたくなかった。
どうして、いろいろ上手く立ち回りができないんだろう。
「言葉とは難しいな」
沈黙を破ったのは殿下だ。
視線が殿下に集まる。
殿下は自嘲気味に話を続けた。
「誰も悪気があったわけではない。言葉が足りなかったり、言い方が悪かったりなどで、思いもしないことに発展する場合がある。今回は誰も悪くない。ぶつかることだってある。ただ、その後放置せず今みたいに想いを伝えればいい。想いと言うのは言葉にしないと伝わらないからな。何事も」
その言葉を、それぞれが理解し皆の顔を見回す。
「殿下。ありがとうございます」
「礼を言われるほどではない」
「フフ。そうですか」
重かった空気が晴れ、穏やかな空気が流れ始める。
そして、この話題は終わりとでも言うように違う話題が出てくる。
皆、それぞれの言葉を言い表情も明るくなった。
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