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エピローグ 愛の誓い
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「……目を開けていいわ」
「あ……!」
キャサリンの声に、目を開けたアリッサは鏡に映る自分の顔にはっとしてしまう。
「これが、私……?」
「ばっちり。でしょ?」
「本当にすごい……素敵。キャサリン、ありがとう!」
アリッサは、キャサリンに抱きつく。
アリッサは、無垢なウェディングドレスをまとっている。
もちろんこのドレスも、彼女が作ってくれたものだ。
「こらこら、花嫁がはしゃぎすぎないの」
「ごめんなさい。つい昂奮しちゃって」
キャサリンも、黒を基調にしたシックなドレスだ。
やっぱり大人びたキャサリンには大人びたドレスがよく似合う。
「次は、あなたの番よね。キャサリン」
「わ、私? 私はまだ大丈夫。仕事が生き甲斐だし」
少し頬を染めるキャサリンだが、シュヴァルツからカーティスとの仲がうまくいっているという話は聞いていた。
命の恩人の一人でたくさんのことをしてくれて、友だちだと言ってくれたキャサリン。
少しずつ恩返しをしているつもりだけど、まだまだ返したりない。
扉がノックされる。
キャサリンが応対に出ると、他の騎士団から派遣された女性の団員だった。
「式場にお願いします」
「準備は?」
そう問いかけてくる親友に、アリッサは大きく頷く。
キャサリンに裾をもってもらい、控え室を出る。
進んだ先の扉が、団員の手により開かれる。その先にはバージンロードが伸びる。
司祭の前には、タキシード姿のシュヴァルツ。
彼と想いを交わし、一年が過ぎようとしていた。
シュヴァルツは今や、騎士団団長としてそれまで以上の重責を背負っている。
これまで以上にシュヴァルツを、騎士団を支えていく。
その決意を胸に、アリッサは招待客の温かな眼差しを意識しながら、シュヴァルツの隣に並ぶ。
「ではこれより儀式をはじめます。新郎シュヴァルツ・リンガルド。あなたはいついかなる困難や災いがふりかかろうとも新婦と互いに助け合い、喜びを得た時は分かち、生涯を通して真心を尽くすと誓いますか?」
「誓う」
「新婦、アリッサ・テュール・ヴェラ。あなたは……」
同じ言葉が繰り返される。
「誓いますっ」
シュヴァルツの声に負けないくらい、凛とした声で応えた。
「では、口づけを」
シュヴァルツの手が、ベールをもちあげる。
精悍な彼の顔。その眼差しは甘く、愛おしげにアリッサを見つめ、そっと唇を塞ぐ。
二人の首元には、子どもの頃に別れた二人を再び結びつけてくれた双星石が輝く。
「あ……!」
キャサリンの声に、目を開けたアリッサは鏡に映る自分の顔にはっとしてしまう。
「これが、私……?」
「ばっちり。でしょ?」
「本当にすごい……素敵。キャサリン、ありがとう!」
アリッサは、キャサリンに抱きつく。
アリッサは、無垢なウェディングドレスをまとっている。
もちろんこのドレスも、彼女が作ってくれたものだ。
「こらこら、花嫁がはしゃぎすぎないの」
「ごめんなさい。つい昂奮しちゃって」
キャサリンも、黒を基調にしたシックなドレスだ。
やっぱり大人びたキャサリンには大人びたドレスがよく似合う。
「次は、あなたの番よね。キャサリン」
「わ、私? 私はまだ大丈夫。仕事が生き甲斐だし」
少し頬を染めるキャサリンだが、シュヴァルツからカーティスとの仲がうまくいっているという話は聞いていた。
命の恩人の一人でたくさんのことをしてくれて、友だちだと言ってくれたキャサリン。
少しずつ恩返しをしているつもりだけど、まだまだ返したりない。
扉がノックされる。
キャサリンが応対に出ると、他の騎士団から派遣された女性の団員だった。
「式場にお願いします」
「準備は?」
そう問いかけてくる親友に、アリッサは大きく頷く。
キャサリンに裾をもってもらい、控え室を出る。
進んだ先の扉が、団員の手により開かれる。その先にはバージンロードが伸びる。
司祭の前には、タキシード姿のシュヴァルツ。
彼と想いを交わし、一年が過ぎようとしていた。
シュヴァルツは今や、騎士団団長としてそれまで以上の重責を背負っている。
これまで以上にシュヴァルツを、騎士団を支えていく。
その決意を胸に、アリッサは招待客の温かな眼差しを意識しながら、シュヴァルツの隣に並ぶ。
「ではこれより儀式をはじめます。新郎シュヴァルツ・リンガルド。あなたはいついかなる困難や災いがふりかかろうとも新婦と互いに助け合い、喜びを得た時は分かち、生涯を通して真心を尽くすと誓いますか?」
「誓う」
「新婦、アリッサ・テュール・ヴェラ。あなたは……」
同じ言葉が繰り返される。
「誓いますっ」
シュヴァルツの声に負けないくらい、凛とした声で応えた。
「では、口づけを」
シュヴァルツの手が、ベールをもちあげる。
精悍な彼の顔。その眼差しは甘く、愛おしげにアリッサを見つめ、そっと唇を塞ぐ。
二人の首元には、子どもの頃に別れた二人を再び結びつけてくれた双星石が輝く。
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