花屋さん

観覧車の夢

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第1話

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 私は今とある花屋の前に立っている。呼吸を整え入店、出迎えたのは扉のベルの音と湿気だった。LEDに照らされた花、花、花。見渡すも人影がない。奥には温室らしい小型ビニールハウスも見えるがやはり人は居ないようだ。
さてはて困った、事前に連絡は入れていたものの受け答えは適当で伝達ミスの可能性も考えられる。私に非があったのか思い起こしてみようか。

 この店の事を知ったのは1週間程前のこと、私が通っている美大の帰り道。T字路の角の電柱に貼られた掲示物「時給1550円」怪しいと思いつつも募集要項に女性に限るとは書いていなかった。まぁどちらでもイケる人種はいると聞くが、場所が花屋で、なおかつ急募という事だったのでバイトが急に辞めたとかそんな事だと納得した。親からの仕送りも大幅に削減され、画材と生活費、学費に追われる生活もあり、すがれる藁を見つけた私はその場で電話を掛けた。
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