別に弱くはない

ぷんすけ

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1章 シーム村

#2 異世界に

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「ビリー大丈夫か?ぼーっとしてたから頭にモロ入ったろ?」

 目の前に知らない男の子が木剣をもって立っている。
「ビリビ君凄い!今のどうやったの?」
「私にも教えて!」
「うっせー女子共!兄貴がお前らに教える訳ないだろ?」
「そうだ!そうだ!お前らは剣術なんて必要ねえんだよ!」
 俺を押しのけ子供たちが次々目の前の男の子の方へと集まる。

 なんだ?何処だいったい?
 身体を起こして見ると。
「えっ?」
 目線が……低い?

「ごめん、ちょっとどいて!大丈夫か?ビリー」
 男の子は俺の方へ寄ってきて頭に手を置く。
 久しぶりに人と目と目があった。
「うわぁ!」
 俺は直ぐにその手を払い除ける。

「大丈夫か?無理そうならそこで休んでろよ」
「えっ……あ、はい」
 近くの平屋の横にあるベンチへと座りに行く。

「ねぇねぇ今のどうやったの?」
「ただ剣を振り下ろしただけだよ」

「でも凄い早くてカッコよかった!」
「まだまだだよ、寸止めしたつもりだったんだけどね」
 1人の男の子の目の前に沢山の子供たちが。

「カッコよかった、か」
 まるでウチの兄さんみたいだ。
「俺とは違って兄さんはカッコよくて人気者で」
 俺はデブでいじめられっ子で。
「俺もあんな風になりたかったなぁ」

「なれるよ!ビリー君!」
「ん!?」
 振り向くと知らない女性が。
 子供の中に1人大人が。
 保護者と言うよりは何かの先生だろうか?

「ん?ビリーくん……て?」
「双子なんだから!今からでも頑張れば」
 俺に言っているのか?
 辺りを見回し後ろを見ると、さっきは気付かなかった窓に映る姿を見る。

「だ……れ?」

「何言ってるの?ビリー君?頭の打ち所が悪かったのかな?」
 窓に映る男の子の姿を見ながら自分の顔に触れてみる。
 これってやっぱり。
「……お、れ?」

 その日を境にビリーは変わった。
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