兄妹の話。

少女××

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【おまけ】俺の妹。

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俺には可愛い可愛い妹がいる。
正真正銘、血の繋がった実の妹だ。

俺の妹はとにかく可愛い。
昔からずっとだ。

いまだに覚えてる。

泣き声の響く病室で俺の指を必死に握ってぽやぽやと笑っていた赤子時代。

俺の後ろをカルガモよろしくついて歩いて
にぃにって呼んでヘラッと笑ってた幼稚園時代。

料理が苦手だったのに俺のために
家庭菜園まで始めた小学生時代。

馬鹿な女どもに悪態を吐かれて泣きながらも
俺のためにその全てを制圧した中学生時代。

こんなん、愛してやるしかないだろ?

物心つくより、、いや、
この世界に生まれ落ちるよりずっと前から
きっと俺らは愛し合ってたんだと思う。

だって生まれた両親ばしょだって同じなんだから。

意識してもらってる自覚はあるんだ。
でも俺の愛しい妹は"家族"として
無意識にブレーキをかけている。

いや?
俺としても別に家族を辞めたいわけじゃない。

そも、大前提として俺と妹は家族で
血の繋がった兄妹なんだけど。

うん。
家族以上の存在なんてあるわけないしね?

でも俺も男の子な訳でして。

こんな可愛くて愛おしくてなによりも大切な妹と一緒に
寝食を共にすれば欲情したって仕方ないよな?

そろそろ俺を兄である以前に、
であると認識してほしい。

寝てる間に手を出すなんて野暮なこと
するつもりはないけど、正直時間の問題だから
早く俺を受け入れてほしい。


「いや、それはもう病気だろ。」

「どういう意味だい、友人A」

「お前が俺のこと友人Aと呼ぶせいで
誰一人俺の名前を呼んでくれないんだが、
そろそろ自分の影響力を理解してくれ。」

「そんなことより。」

「そんなこと!?」

「妹と一線越えるにはどうしたらいい?」

隣に居た友人AとBとCが噴き出した。
汚い。

「おわっ、汚ねぇ。」

俺は思わず眉を顰める。
妹以外の口から出た液体は流石に汚い。

「ごぼっごぼっ、、あ゛あ゛っ、
はぁ、はぁ、はぁ、、。
いや、まて、落ち着け俺、
聞き間違いかもしれん。
そうだよな、馬場ばば君こと友人B。」

「あぁ、、き、きききききまぢがい、
聞き間違いだよ、まさか妹と、、なんて
言ってない、言ってない、
言ってないよね、、?
千代田ちよだ君こと友人C。」

「ちょっと二人とも、
そこのイケメンに毒されて変な名称で呼ぶの
やめてよね!
あだ名で通すにはあまりにお粗末すぎるわよ!!
そしてアンタたち、現実見なさい。
こいつは間違いなく妹と一線越えたいと言ったし、」

「え、なんか変なこと言った、俺?」

「それを言い間違えどころか
おかしいとも思ってないわよ。」

「くそぅ、、この、
俺たちの反応は明らかに間違えていないはずなのに
なぜか全て俺たちが悪いというように
錯覚してしまうようなこいつの顔!!
イケメンかよ!!」

「妹以外に言われてもなんとも思わねぇな。」

「ちくしょー!!
神様は不公平だ!!!」

「まぁまぁ友人Aくん、
こんなのにいちいち突っかかってたら
キリがないよ。」

「この世に神はいないでしょ?
いるのは俺と妹とそれ以外だよ。」

「アンタ追い討ちかけるのは辞めてあげなさいよ、、。
流石に相田あいだが可哀想だわ。」

「相田?」

「アンタ友人の名前くらい覚えなさ、、
って、まさかアタシたちの名前も
忘れてるんじゃないでしょうねぇ!?」

「友人Cくん落ち着いて。」

「落ち着いていられないし
アンタもしっかり自我を持ちなさい馬場!!
アンタこの男に影響受け過ぎよ!!」

「いや、、これは呼びやすくて楽だな
って思って呼んでるだけだから
自我がないわけじゃないよ?
この妹馬鹿イケメン野郎にも
そんなに影響受けてないと思うなー?」

「、、、そうね。
そういえばアンタ、
そんな人畜無害一般人の顔して
結構ドライで毒舌だったわね。」

友人ABCがやいやいうるさいな。
あいつら勝手に盛り上がってるし
とりあえず妹の写真でも見るか。

「おい、お前らが盛り上がってる間に
こいつ携帯見だしたぞ。」

「そっちが振ってきたのに!?」

「まぁ黙っててくれるなら
それでもいいんじゃない?」

はぁー妹可愛い。
既に可愛い、写真でも可愛い。
フィルム越しにこんなに可愛くて
大丈夫だろうか?

「よし、妹に会いにいくか。」

「待ちなさいよ!
十分休みの度に一年の教室に行こうとするの
やめなさい!!」

「はぁ、、うるせぇ。」

「聞こえてるわよ!!」

「チッ、、。」

「舌打ちしてんじゃないわよ!」

うるせぇなぁ、、。

はぁ、妹に会いたい。
むり、、、。
会えない時間が愛を育むとか言ったやつなんのつもり?

会えない時間より会ってる時間が多い方が
いいに決まってるじゃんバカなの?

「もういっそ妹を家に仕舞っておこうかな。」

「お、お前が言うと冗談に聞こえねぇよっ!」

「?」

「冗談じゃないよ?みたいな顔やめよ?
冗談であって欲しいよ。
むしろ冗談であれよ。」

「あぁ、確かに妹を家に置いておいたら
俺まで外に出れなくなるな。」

「ひぃん!!誰かこのシスコンを止めてよぉ!」

でも妹を外に出すのもな、、危険だし。
正直いまだって高校くらいはと思って我慢しているが
男どもコバエが寄って仕方ない。
うるさい女どもまで妹に群がる、、クソが。

全員散れ、妹が減る。

はぁ、、、、。

「よし、明日から妹は家に、、」

「待て待てストップタイムタイムタイムーー!!!」

うるせぇな友人A。

「アンタ過保護すぎよ!
妹ちゃんだって十分自衛できる年齢じゃない!」

「この間駅前で絡まれてたんだぞ。
あぶねぇだろ。
だから1人で外出るなっていったのに、、。」

「1人の時間が欲しい時だってあるはずでしょ。
束縛激しいと嫌われるよ?」

友人Bの言葉に鼻で笑ってやる。
はっ、妹が俺を嫌う?

「ばっかだなぁお前。
妹が俺を嫌うはずないだろ?」

友人ズが引いてるがもはやどうでもいい。

「時間はあるけどそうかからずに
俺を受け入れさせて見せるよ。」

にやっと不敵に笑って舌舐めずりをすれば
3人は揃って肩を震わせた。




愛しい妹との甘美な生活を想像して
後の授業を全く聞いていなかったのはご愛嬌だと思う。

あぁ早く帰りたい。

早く俺を男だと知って?
そして俺に身を委ねたらいい。

これからもずっと、
今まで以上に大切に大切にしてあげるから。

今すぐ会いたい。

愛しの俺の妹。
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