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その7

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倒れこみそうになるのを必死で耐え、大きく足を踏み出した。

 ジャジャジャーン!!ゴールおめでとう!!

 踏み出した足がゴールエリアに入ったようだ。
 ゴールを告げるアナウンスが響き渡る。
 まさに絶頂寸前、倒れこむように床に転がるリホ。

 カチャリと音を立てロックが解除されたとたん、ロープを括り付けられた扉が勢いよく引き開けられる。

「わわわ!!!」

 ぐいぐい引っ張っていたロープから急に力が抜け、大きくバランスを崩したワタル。そのまま穴に落下してしまった。

「ぐへぇ!!」

 「ワタル!大丈夫!?」

 遠くから聞こえてきたワタルの悲鳴に流石に心配になり、後ろに向かって声をかけるリホ。

「……大丈夫…………穴に落ちちゃって……」

うっすらとではあるが返事が聞こえ、ひとまず安堵の表情を見せるリホ。なんだかんだ言っても優しい人柄であるのだ。

「先行って助けを呼んできて……こっちは別の出口がないか探すよ……」

 「わかった!」

 とにかく一人で先に進みゴールするしかなさそうだ。
 開いた扉をくぐり、先へと進むリホであった。


 次の部屋は「清算の間」と表示がある。
 目の前は壁になっており、上部にモニターが設置されている。
 壁には大人一人が通れそうな穴が開いており、その先の宝箱にはキラキラと輝くコインの様なものが入っている。
 ルールはこうだ

 ・色、形、大きさ、それぞれのコインにはある法則で価値がつけられている。
 ・そこコインを用いて要求に対する、正当な対価を支払えば次に進める。
 ・正当な対価を支払わなかった場合は先に進めず、より多くの対価が必要となり、その対価分が支払われるまで続く。
 ・ステージは10。クリア時に残ったコイン分の賞金を手に入れることができる。
 ・途中コインが尽きてしまったらゲームオーバー。

 とあった。
 いち早くコインの法則に気が付けば、無駄なく対価を支払うことができ、より多くの賞金が手に入るということらしい。
 なにはともあれ早速チャレンジするリホ。
 モニターに男性のキャラクターが登場し、話しかけてきた。

「やあやあ ここまでご苦労様。今日は楽しんでくれたかな?楽しかったよ!っていう人はお兄さんにコインをくれるかな?
 とりあえず5000ゴールドは欲しいかな。もちろん赤いコインをくれたら最高に嬉しいけどね!」

 どうやらこの会話が法則のヒントになっているのだろう。少なくとも赤のコインは5000以上の価値があるということだ。
 
 「赤いコインっと……」

 宝箱を確認するが、赤いコインは丸・三角・四角・星のそれぞれ1枚しかない。かなり高価なのであろうか。
 最初なので貴重な赤コインは残しておき、次に少ない青い三角のコインを手に取る。
 投入口は宝箱の隣にある賽銭箱のようなものであろう。
 手にした青いコインを1枚投げ入れるリホ。

 「こんなにくれるの!?ありがとう!この先も頑張ってね!」

 そう言い残し、モニターから消える男性キャラ。
 次に登場したのは強面の海賊風のキャラクター。

「おいおい!ずいぶん景気良さそうじゃないか!俺にも分け前をよこしやがれ!さっきの男に5万も払ったんだ……そうだな……10万ゴールドだ!」
 
 10倍も余分に払ってしまった。しかしヒントは得られた。
 青い三角コインを探すリホ。

「あれ……1枚しかない……」
 
 あまり何も考えず選んでしまったコイン。三角は高価だったのか?青い丸や四角、星は数枚見つかったが、価値が判明した青三角のコインは残り1枚しかなかった。
 
 価値の指針になりそうな青三角を使用するのは躊躇われる。ここは同じ青の丸型を3枚手にし投入してみる。

「おいおい!たった3000ゴールドかよ!これは没収だ。もう1回10万ゴールドよこしな!」

 セリフとともにゴゴゴと音を立て、壁の穴のサイズが若干狭まる。
 失敗すると壁の穴が狭くなり、最後にはコインを手にすることも出来なくなるようだ。

「えっと……」

 モニターに表示された今までの情報を整理する。同じ色でも形が違えば価値に大きな差がある様だ。色や用意された枚数に囚われ過ぎるのはよくないかもしれない。
 
 その後も成功や失敗を繰り返し、おぼろげに法則らしきものは見えてきていたのだが……

「く……こういう時にワタルがいれば……」

 理数系には抜群の強さを誇るワタル。リホも少しはできるが、その足元にも及ばない。
 あと残り3ステージ。コインの枚数も少なくなり、穴の大きさも何とか上半身を突っ込んで手を伸ばし、投入口に入れるのが精一杯の狭さになっている。
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