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その2
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「……ちょっと流石に遅くない?」
もう何度目かもわからない愚痴をこぼすリホ。あれから彼此1時間は過ぎている。
「……もしかして忘れられてない?」
何の説明もないまま長時間放置され、苛立ちを隠せないワタル。
「ちょっとさっきの人探してくる」
そう言い放ち重い扉に手をかけるワタル。
「……ってアレ?」
ピタリと閉じられた入口の扉は、押しても引いてもびくともしない。
「重い……リホちゃん手伝って」
「相変わらず非力なんだから……アレ?」
2人がかりでも全く動く様子がない。
どうやら一度入るとここからは出られない仕組みになっている様だ。
「誰かいませんか!」
ドンドンと扉をノックしても分厚い扉の向こうには全く伝わってない様だ。
「どうしよう……ホントに閉じ込められちゃった……」
自身の両肩を抱きしめながら不安げな表情を浮かべるリホ。
「未完成でも一通りは体験出来るんだし取り敢えず先に進んでみよう」
このまま待ち続けても無駄と悟り、部屋の奥に見えるもう1つの扉に向かうワタル。
『カチャリ……』
こちらの扉はするりと開く。
目の前には「パスワードの間」とパネルが設置されており、ルール説明が書かれている。
「なになに?……天井、床、壁に設置された数字のパネルを指示通りに押せ。違うパネルに触れるとキツイお仕置きが……ってお仕置きって……」
部屋の中央には2m四方のガラス張りのキューブ状の物体が鎮座し、中には数字の書かれたパネルが敷き詰められている。
「えっと……皆で力を合わせて全てのパスワードを解除すれば道は開かれる……なるほど」
そのまま迷いなくキューブの中に入るワタル。
「ん?どの数字を押すのかな?」
キューブの中に入っても何も起こらない。
「あっ!今5番ってモニターに出てる!そっちからは見えないんだね……次は10……その次2……ずっと数字が続いてるわ」
丁度プレイヤーからは見えない位置にモニターが設置されており、外側からパートナーが次に押す番号を教えてあげる仕組みの様だ。
表示されている数字を順番に最後まで押せばクリアーらしい。
「取り敢えず押してみるね」
恐る恐る床にある5のパネルを右足で踏んでみる。
すると踏んだパネルが点灯した。
「次は10だっけ?」
右の壁にある10のパネルに触れようと左足で違うパネルを踏んだ瞬間……
『ビービー!ミス1回目 お仕置きレベル1開始』
警告音と共にアナウンスが流れ……
『バチバチバチ!!!』
「ぐわぁぁぁ!!!」
ワタルの全身に強烈な電気ショックが流れその場にうずくまってしまった。
「無理無理 ちょっと洒落じゃ済まないレベルなんだけど!!」
「だ……大丈夫?」
キューブから転がるように出てきたワタルに駆け寄り心配そうに声をかけるリホ。
「この電撃って絶対テストしてないって!」
痛そうに身体を擦りながらも、なんとか立ち上がるワタル。
電気ショックのレベルはまだ未調整だったようである。
「よし……今度は慎重に!」
ゆっくり確実に一個一個パネルを押し進めるワタル。
4つ目のパネルを押し終えた時点で、両手両足が埋まってしまった。
「次は8なんだけど……」
「どうやって押せと……あぁなるほど」
ふと現状を確認すると、最初に押したパネルがチカチカと点滅している。
ここは離して良いという合図なのだろうか。
ゆっくりと右足を離し、8のパネルに伸ばす。
「ぐ……苦しい……」
かなり無理な態勢ではあるが、なんとか8のパネルに届いた。
「リホちゃん……つ、次……」
「えっと……12……」
「……無理じゃん」
非常に近い位置ではあるのだが、身体の固いワタルにはとても押せる位置ではない。
『ビービー!ミス2回目 お仕置きレベル2開始』
『バチバチバチバチ!!!』
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!」
先程のショックを上回る痛みが全身を包む。
またもや転がり出てくるワタル。
「いや……失敗の度に電撃強くなるって……これお年寄りは確実にアレだろ……」
どうやらプレイヤーの体力もさることながら、数字の先を読み、無理な態勢を作らせないサポート側の能力が重視されるゲームの様だ。
もう何度目かもわからない愚痴をこぼすリホ。あれから彼此1時間は過ぎている。
「……もしかして忘れられてない?」
何の説明もないまま長時間放置され、苛立ちを隠せないワタル。
「ちょっとさっきの人探してくる」
そう言い放ち重い扉に手をかけるワタル。
「……ってアレ?」
ピタリと閉じられた入口の扉は、押しても引いてもびくともしない。
「重い……リホちゃん手伝って」
「相変わらず非力なんだから……アレ?」
2人がかりでも全く動く様子がない。
どうやら一度入るとここからは出られない仕組みになっている様だ。
「誰かいませんか!」
ドンドンと扉をノックしても分厚い扉の向こうには全く伝わってない様だ。
「どうしよう……ホントに閉じ込められちゃった……」
自身の両肩を抱きしめながら不安げな表情を浮かべるリホ。
「未完成でも一通りは体験出来るんだし取り敢えず先に進んでみよう」
このまま待ち続けても無駄と悟り、部屋の奥に見えるもう1つの扉に向かうワタル。
『カチャリ……』
こちらの扉はするりと開く。
目の前には「パスワードの間」とパネルが設置されており、ルール説明が書かれている。
「なになに?……天井、床、壁に設置された数字のパネルを指示通りに押せ。違うパネルに触れるとキツイお仕置きが……ってお仕置きって……」
部屋の中央には2m四方のガラス張りのキューブ状の物体が鎮座し、中には数字の書かれたパネルが敷き詰められている。
「えっと……皆で力を合わせて全てのパスワードを解除すれば道は開かれる……なるほど」
そのまま迷いなくキューブの中に入るワタル。
「ん?どの数字を押すのかな?」
キューブの中に入っても何も起こらない。
「あっ!今5番ってモニターに出てる!そっちからは見えないんだね……次は10……その次2……ずっと数字が続いてるわ」
丁度プレイヤーからは見えない位置にモニターが設置されており、外側からパートナーが次に押す番号を教えてあげる仕組みの様だ。
表示されている数字を順番に最後まで押せばクリアーらしい。
「取り敢えず押してみるね」
恐る恐る床にある5のパネルを右足で踏んでみる。
すると踏んだパネルが点灯した。
「次は10だっけ?」
右の壁にある10のパネルに触れようと左足で違うパネルを踏んだ瞬間……
『ビービー!ミス1回目 お仕置きレベル1開始』
警告音と共にアナウンスが流れ……
『バチバチバチ!!!』
「ぐわぁぁぁ!!!」
ワタルの全身に強烈な電気ショックが流れその場にうずくまってしまった。
「無理無理 ちょっと洒落じゃ済まないレベルなんだけど!!」
「だ……大丈夫?」
キューブから転がるように出てきたワタルに駆け寄り心配そうに声をかけるリホ。
「この電撃って絶対テストしてないって!」
痛そうに身体を擦りながらも、なんとか立ち上がるワタル。
電気ショックのレベルはまだ未調整だったようである。
「よし……今度は慎重に!」
ゆっくり確実に一個一個パネルを押し進めるワタル。
4つ目のパネルを押し終えた時点で、両手両足が埋まってしまった。
「次は8なんだけど……」
「どうやって押せと……あぁなるほど」
ふと現状を確認すると、最初に押したパネルがチカチカと点滅している。
ここは離して良いという合図なのだろうか。
ゆっくりと右足を離し、8のパネルに伸ばす。
「ぐ……苦しい……」
かなり無理な態勢ではあるが、なんとか8のパネルに届いた。
「リホちゃん……つ、次……」
「えっと……12……」
「……無理じゃん」
非常に近い位置ではあるのだが、身体の固いワタルにはとても押せる位置ではない。
『ビービー!ミス2回目 お仕置きレベル2開始』
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「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!」
先程のショックを上回る痛みが全身を包む。
またもや転がり出てくるワタル。
「いや……失敗の度に電撃強くなるって……これお年寄りは確実にアレだろ……」
どうやらプレイヤーの体力もさることながら、数字の先を読み、無理な態勢を作らせないサポート側の能力が重視されるゲームの様だ。
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