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13:新婚さんごっこ

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 両脚の間に隆介の手が伸びてきて、しっとりと熱い浅瀬で長い指がゆっくりと往復していく。いつの間かどろりと溢れた蜜が、隆介の指先を濡らした。

「見て雫、もうこんなになってる」
「そんな……見せないでくださいっ、恥ずかしい……」

 雫に見せつけるように長い舌でペロリと舐め上げ、隆介はほんの少しズレたレースの隙間から雫の泉を探す。職業柄固くなった指先で弦を弾くように花弁に触れると、愛液がポタポタと床に溢れた。

「俺の手でこんなんなっちゃってんの、可愛すぎ。雫って本当はこんなにえっちなんだ」
「そんな、待っ……あ、あ……っ!」

 雫の華奢な体が、久しぶりの快感を受け入れてビクビクと震えた。隆介の指先が更に何かを探すように秘孔へと捩じ込まれていく。会えない期間に期待していたそれに似た、圧迫感と挿入感。高められた雫の体は、そっと息を吹きかけられただけでも達してしまいそうなほど敏感だ。

「あっ、そこ……ダメっ気持ち、いい、の……!」

 内壁をゆっくりと擦られているだけだとわかっているはずなのに、雫の体は思い通りには動かない。柔らかな刺激に全身が支配され、足指の先まで力が入り、つま先立ちになってしまう。ずるりと指が出入りするたびに、腰は離れていくのが恋しいと言わんばかりに隆介を追いかけて前後に動く。

「すごいな。まだ出ていかないでって、締め付けてくる。俺の指、そんなに好きなんだね」
 
 隆介のうっすら掠れた低音が雫の耳元で囁く。指摘されたことでさらに挿入感を意識してしまった雫の体は、隆介の指から感じる圧を押し返すように膣をきゅっと締め付けた。

「ふっ。雫、わかる?俺に押しつぶされたいって、子宮が降りてきた。……こっちは随分素直だね」
「あっ!やっ……んん……っ!も、だめ、りゅ、すけ……さんっ!」

 真っ直ぐと挿入されていた指が、蜜壺の中でクイッと曲げられる。かき混ぜるように雫の腹側を撫でられると、溢れた蜜が太ももを濡らしていく。誰かに固定されているわけでもないのに、ここに置いてと言われた手を雫は解けない。

 成すすべもなく彼からの刺激を受け止めているうちに、全身に力を入れてふるふると数回痙攣してしまった。全身、汗が吹き出すように熱い。力が抜けて腰が砕けそうになった雫を隆介はそっと受け止め、ソファへと雫を運んだ。

 びしゃりと濡れた太ももが冷たい。下腹部を隠したスカートは所々色を変えて、雫の太もものシルエットにピッタリとくっついていた。しっかり濡れちゃったねと笑った隆介は、そのまま雫のスカートを奪い去った。隆介は、エプロンとブラウスだけを着ているアンバランスさを完全に楽しんでいる。

「あっやだ、これ、恥ずかしいです……」
「えー。そのまま着ててよ。もっと良くしてあげるから」

 隆介は床に膝をつき、雫の股座に顔を埋めた。しっかりと脚を広げさせられ、彼の両手で足首を掴まれれば、逃げ場などない。雫がぐずぐずに溶かされてもなお、彼はまだ快感の海で溺れさせるつもりらしい。肩で息をしている雫を上目遣いで眺めながら、とろりと熱い舌が溢れる蜜を舐めとっていく。器用な舌先が出たり入ったりしている間に、時折彼の綺麗な鼻筋が雫の陰核を突いて雫を一層鳴かせた。

 雫は涙で瞳を潤ませながら、「お願いだから」と首を横に振った。気持ちよくされすぎて、気がおかしくなってしまいそう。隆介を休ませるために来たのに、これでは自分ばかりがいい思いをしているということも悔しく、隆介に待てを要求する。

「待ってって、どうしたの?雫」
「もう、気持ち良すぎておかしくなっちゃいそうで……」
「ん?いいんだよ、そのままおかしくなって」
「でもそれじゃ嫌、なんです……」

 隆介のデニムの下に眠っていたはずのそれは明らかに大きく膨らみ、飢えているように見える。彼の額や首筋に光る汗も、隆介の辛さを物語っている気がした。

「よくなるなら、指じゃなくて……っ」
「指じゃなくて?じゃあ、どうして欲しい?」

 わかっているはずなのに、彼は口角を上げてこちらを見つめ、何のことかな?と問い詰める。雫が返事をするのを待っている間に、隆介は髪をまとめなおした。下りてきた前髪を1度かきあげ、手首についていた黒いゴムで髪を結く姿すら煽情的に見えてしまう。

「うぅ……その、一緒に……気持ちよく……なりたいんです」

 口にするにはまだとても照れ臭くて、雫は思わず隆介の首元に抱きついた。わかってほしいとばかりの体当たりだけど、隆介はまだ納得しない。お腹の奥に響くような囁き声が、雫の耳元で更なる要求を突きつけた。

「雫。何が、欲しいの?」
「……隆介さんの、が」
「まぁ、雫にしては及第点かな」

 かちゃかちゃとベルトを外す音がする。下手な経験しかなかった自分に欲情し下腹部でそそり立つそれを、もう期待してしまっている自分がいる。このままの体勢で突き上げられたらどうなってしまうだろうと、途方もない快感を思い出して、雫の体はまた一段と疼いていった。

 隆介の腕に抱きつく雫を離すことなく、隆介はポケットから取り出した小さなパッケージを唇で破り、避妊具を手際良くつけていく。ほんの少しひんやりとしたジェルと硬くなった彼のものが雫の秘部に触れるだけで、雫は期待感を増して背筋をぞくりと震わせた。

 まあるくぷるんとした彼の先端が、愛液に塗れた割れ目を撫でる。敏感な陰核に触れて雫の腰が一瞬ひくりと触れた直後、雫の期待していたそれは力強く中へと捩じ込まれた。

「んっ……あぁぁっ!」

 ソファと隆介の間に挟まれた雫に、逃げ場などない。それをわかっている隆介の膣を抉るような動きで、雫は絶頂へと一気に駆け上がっていく。敏感になってしまった雫には、自分のお腹の中が隆介の劣情をきゅっと締め付けて、離すまいとしているのがわかる。すでにかなりの大きさのそれは、雫に刺激されてさらにみなぎり、体内で益々膨れ上がった。

「離れないでって締め付けてきてるよ、雫。俺のこと、そんなに好きなんだ」
「は、い……っりゅ、すけさ……好きっ」
「俺も、好きだよ……。雫」

 どうしてこんなに自分が淫らになってしまったのか、彼を求めてしまうのか、雫にもよくわからない。今でさえこんなにも気持ちいいのに、彼に触れられるとさらに先まで欲しがってしまう自分を自覚している。少しずつ息の上がっている隆介の吐息すら、今の雫には媚薬のようだ。力強い律動でぬかるんだ最奥を突き上げられると、雫はますますよがってしまう。

「あっあっ……いいっ、あ、そこっ……気持ち、いいっ」
「雫、すごい汗……気持ちいいんだね」
「っひ、あっあっ、だめ、……っもう、あ、いっちゃう――っん!!」
 
 子宮の最奥をずこずこと掘られると、雫は息をつめた。視界がチカチカするほど、呼吸も忘れて快感を貪った。隆介の熱く激ったものを一気に押し込まれると、部屋に卑猥な水音が響いた。一際深いところへずんと欲望を打ち付けられた雫は、高い声で鳴いて絶頂した。まだ強く硬い肉棒は一度スピードを落としたけれど、直に雫の絶頂を感じてか、今すぐにこの中を征服したいと脈打っている。

「っく、はぁ……っ。雫、俺も……っ」

 雫の震えがまだ治らないうちに、隆介は再び腰を雫に打ちつけた。隆介は自分の腕の中で鳴く雫をしっかりと抱き留め、うなじに顔を埋めている。獣のように荒い隆介の吐息が、こんなにも魅力的な男性が自分に欲情しているのだと雫に自覚させた。

「ごめん雫、もう無理……っ」
「あっあっあっ……っ今それ、だめっ!いってる、からぁっ」
「く――っ」
 
 隆介は問答無用でさらに抽送を加速させると、互いのツボをテンポよく擦り上げた。何度目かの突き上げの後、雫の体内でじんわりと熱が広がる。ピッタリと沿うような雫の内壁は、強く脈打つ隆介を受け入れようと、濁流を飲み込むように奥へ奥へと襞を動かした。
 
「雫のなか、俺のを全部飲み込もうとしてる……可愛い」
「そんなこと、言わないで……くださいっ」
「もうみっちり入ってて隙間ないの、わかる?」
「……わ、かり……ます」

 先ほどのまでの行為の方がよほど大胆でいやらしいということくらいわかっているはずなのに、隆介に実況されることの方が雫の羞恥心は煽られる。顔を隠す両手にキスをして手を外させると、隆介は雫に熱い口付けをした。

「はぁ、可愛い。……新妻みたいで燃えちゃったな」
「う……隆介さんのばかっ。もう絶対おかず冷めちゃいました……っ」
「ごめんごめん。だいぶ遅くなっちゃったけど、お昼にしようか」
 
 腰の砕けかけた雫がソファであたふたしている間に、隆介はティッシュを用意して、雫のまだ濡れている秘部を優しく拭いた。雫はだいぶ抵抗したけれど、長身の隆介の腕の長さには到底勝てなかった。

 互いの欲望でメチャクチャになった服は、もはや正しい着こなしとは言えない程に皺くちゃだ。前回のデートで購入した服に着替えることにして、食事の前にふたりはシャワーを浴びた。
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