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02:不感症のわたし
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ベッドサイドに置いてあった服は、隆介のシャツとパーカーだった。パンツだけはサイズが合わなすぎて昨日のままだけど、今日の予定は電話をしてからホテルへ戻るくらいだし、どうってことない。
「ちょっと大きかったかな?……ああ、似合うね」
「借りられるだけ、ありがたいです……!」
「そ?ならよかった。スマホ、使っていいよ」
あまり携帯に頓着がないのか、精密機器だと思っていないのか、隆介はソファーに座っている雫に向かってスマホを投げた。
「わ……っ!あ、りがとう、ございます……」
「コーヒー、ここ置いとくね。俺シャワー浴びてるから、スマホは気にせず使って」
こちらの返事も待たずに、は浴室へと歩いて行った。本当に気にしなくていいのだろうかと疑問も湧くけれど、使っていいと言っていたのだから良いのだろう。
素直に航空会社へ電話し、スマートフォンの中のQRチケットが使えなくなった旨を伝える。結局、搭乗日は通常より早めに空港へ向かい、決済時に使ったカードを提示すれば帰りの紙チケットを発行してくれると教えてもらえた。
「どう?なんとかなった?」
「っはい……!おかげさまで……ってその格好!」
上半身裸で、濡れ髪を下ろしたままで出てきた隆介は、細身なように見えて案外筋肉質だった。毛先から時々落ちる水滴がセクシーで、長い手足と相まって色気を振りまいていた。
「あ、ごめんごめん。平気かと思ったんだけど」
「あの、私……あんまりそういうの、慣れてなくて……!服、着てください……」
家主に命令するのもどうかとは思ったけれど、苦手なものは苦手だ。顔を覆い隠すようにしていると、隆介が目の前にやってきたような気配を感じた。
「部屋のドア開けっぱなしにしてた子が、なーに言ってんの?」
「それは昨日、閉め忘れただけでっ!」
「俺のこと、素敵って言ってたけど?」
「それはそれ、これはこれ、です……っ」
「……雫、こっち見て」
一生懸命に顔を覆っていた両手を、彼の温かい手が解いていく。骨ばった手首を簡単に包んだ手のひらの大きさにすら、男性らしさを感じる。うっすらと目を開けるとやっぱり服は着ていなくて、パンイチのままだった。
「っきゃ……近い近い……っ恥ずかしい、です!」
「雫って彼氏、いたんだよね?今回は傷心旅行なんだっけ」
「いましたいましたっ!」
「……そういうこと、しなかったの?」
余裕のある笑みを浮かべたの隆介の瞳には、顔を真っ赤にした雫が写っていた。
「最初は我慢して、してました……けど、私不感症だからいつも困らせてばかりで。……結局浮気されたんです」
別れてからしばらく経つけれど、「彼に浮気されていた」と自分で口に出したのは、これで2回目だ。1回目は親友に失恋を報告した時。自分の言葉にすると、より自覚が湧いて悲しくなってくる。あんな奴のために泣いたり、落ち込む時間すらもったいないと思うのに、それでもまだ傷は癒えていないみたいだ。
「へぇ……なるほどね。それで男にはコンプレックスが……ってそういう訳?」
「そんなとこ、です。私、いつも頑張っちゃって空元気で誤魔化しちゃって。弱音吐くのも、甘えるのも苦手だし、女としての魅力というか、素質というか。そういうのが足りないのかなぁって」
「ふーん。……見る目ないね、そいつ」
「えっ」
想定外の答えに驚いて顔を上げると、さっきよりも深いキスがとろりとやってきた。それは、どちらのものかわからない唾液が服に垂れるまで、何度も。
「キスだけでこんなに溶けた顔するのに、不感症なわけないでしょ。……それに、俺にはちゃんと甘えてると思うけど」
「……ッ!」
まだ出会って1日ほどしか経っていないのに、この人に惹かれてしまっている自分がいることを自覚させられた。顔がじんわりと熱くなる。ドキドキと高鳴る胸と、期待感が抑えきれない。鼓動を聞かれているような気がして胸を抑えると、隆介はハハハ……と声をあげて笑った。
「あの、近衛さんはどうしてハルシュタットに来たんですか……?日本人ならウィーンとかザルツブルグとか、あの辺の方がきっと楽しいですよね」
互いに体制が崩れたのをいいことに、一度ソファの上で正座をして、近衛さんの方を向き直してみる。彼は胡座をかいて、雫の頭を撫でながらポツポツと話し始めた。
「……少し前に、大きな仕事が終わってね。それ以来、なんだか楽しくなくなったんだ。何もかもが無意味に感じて、無駄なんじゃないかって思うようになって。それで、日本から物理的に離れようって思ったんだ。で、ここは好きな映画の舞台だからここに来てみたって感じ。……雫は?」
「あの、それってもしかして、あの古い映画ですか?私も、あの丘が見たくてきたんです!」
「まあここに来る人はそういう人ばっかりだよね」
「ですね。でも、日本人は久しぶりに見たって聞きました」
「へぇ。現地の人と話したの?」
「あの映画を初めて見た時から、ここへ来たくて……ドイツ語必死で覚えたんです」
「すごい、努力家じゃん」
「といっても現地で言ったら小学生程度ですけど」
「軽く話すなら十分でしょ」
男性と向かい合って喋っているだけでこんなに楽しいことは、初めてだった。好きな映画のこと、普段のこと、何もかも自然に話せる人がいるなんて。ふたりでソファにもたれながら、冗談を言ったり、思い出を語ったり。時々目線が重なったのに気付いて、黙って見つめあったり、堪えきれずに笑ったりするような他愛もない時間を過ごした。
隆介の手が、雫の耳にかかった髪をさらりと撫でる。百貨店勤務でも怒られないギリギリの茶髪は、だんだんと近づく距離を、雫は拒めない。気付けば首元へかかった手で引き寄せられるように、ふたりは何度目かのキスを交わしていた。
まだ知り合ったばかりなのに、目線がぶつかるたびに引き寄せあってしまう。コノエの優しくずるい腕が、雫をソファの端へと追いやった。ダメだとわかっていても、彼の秘密めいた目線に見つめられると、強く押し返しきれない。
「あっそこ、だめ……っ」
いつの間にか早くなる鼓動と二人の吐息で、窓ガラスはほんのりと白く結露している。
「その声、俺にもっと聞かせて」
「近衛さん……っ!やだ、恥ずかしい……」
「可愛いな……大丈夫、俺に委ねて」
「……でも」
「これ以上反論するなら、塞ぐよ」
異論は認めないという隆介の反応に困った顔をしていると、彼はまたゆっくりと蕩けるような甘いキスを落としてきた。ピチャピチャと舌を絡め合う水音に体の芯がキュンと熱くなる。ただのキスのはずなのに、感じたことのない快感を見つけるなんて、この先まで行ってしまったらどうなるんだろうと期待感が膨らむ。
でもこのまま、彼と最後までしてしまうんだろうか?元彼から「不感症なんだから自分でよくするくらいの努力はしろよ」と言われた過去を思い出して、どうしたらいいのだろうと目をギュッとつぶると、大きな手のひらに頭を撫でられた。
「怖い?やめようか……?」
「ちょっとだけ……でもやめないで……欲しい、です」
「ん、了解」
雫の怖い気持ちを抑えようと思ったのか、隆介はそっと左手を繋いだ。片手しか使えないのに、器用にパーカーのジップを下ろし、ボタンをプチプチと外していく。
「あっ……恥ずかし……い」
「どこが恥ずかしいの?綺麗だよ、雫」
隆介は雫のおでこから首元へ向かって啄むようなキスを与えてくる。ちゅ、ちゅ、と音がするたび、自分が彼に可愛がられているのだと音で示されているようで、恥ずかしさが込み上げてきた。
「あっ……っん……ひぁっそこ……」
「逃げないで」
さっきまで優しい口調だった隆介から、命令されるような口調で言われると、また胸がどきりとさせられる。
「ん、いい子……。俺の指や舌の動きを、感覚で追ってみて」
全身へのキスが終わったのだとホッとしていると、隆介の舌先が雫のほんのり尖った胸先のそばをつんつんと刺激していた。
「ひゃ……あっ……それだめ……っ」
「ダメじゃないでしょ。気持ち良さげにお腹までヒクついてる」
「こんなの、なったことない……変な、感じ……っ」
「ん、いいね。……そのまま全身で俺を感じていて」
いたずらっ子の顔をした隆介はそのまま胸を口に含み、先端を執拗に舐め回したり、甘噛みしたりと責め続けた。空いていた右手は腰や太ももをゆっくりと摩り、雫にこの先の展開を期待させる。
「ひゃっ……あぁっ、あ、それだめ、ほんとに……っ」
雫が隆介からの刺激に悶えるたびに、ギシギシと軋むソファの音が部屋に響く。
「こっちも……そろそろかな?」
雫の体を撫で回していた右手が、ゆっくりとパンティを下げてた。熟れたという言葉が最適なのではと自分でも思ってしまうほどに、秘密の場所から太ももへ向かって蜜が流れていた。
「不感症なんじゃなくて、相手が下手だっただけだな……」
「え?」
「もしくは、俺のせい?」
溢れ出した蜜を指先で掬った隆介は、入口よりも少し上にあるめしべを爪弾くようにカリカリと擦る。
「っきゃ!……あっなにこれ……んっ……!」
「もしかしてここ、触ったことない?じゃあ優しくしなきゃね」
ずっと繋いでくれていた大きな左手が、はらりと離れる。なんとなく体温が離れて寂しいなと思ってしまった次の瞬間、隆介の顔が近付き……今までに感じたことのない電撃のような快感に、思わず腰が仰け反った。自分の意思とは裏腹にヒクヒクと腰が震え、足先にまで力が入ってしまう。ピチャピチャとなる水音で、彼がそこを舐め上げているのだと思うと、さらに羞恥心が高まり消えてしまいたくなるほどになった。
「そこ、汚いからぁ……だめ……!」
「雫に汚いとこなんてないよ。全部が可愛い」
両腕にガッチリとホールドされていて、雫は快感を逃せせずにいた。今までの行為は子供のお遊びだったのかと考えてしまうほど、彼から与えられ続ける快感に翻弄されている。快感はどくどくと高まり、限界まで猛スピードで駆け抜けていく。
肩で息をしながら刺激を受け止め続けている側で「そのまま、いっていいよ」という彼の声が、聞こえた気がした。
「ちょっと大きかったかな?……ああ、似合うね」
「借りられるだけ、ありがたいです……!」
「そ?ならよかった。スマホ、使っていいよ」
あまり携帯に頓着がないのか、精密機器だと思っていないのか、隆介はソファーに座っている雫に向かってスマホを投げた。
「わ……っ!あ、りがとう、ございます……」
「コーヒー、ここ置いとくね。俺シャワー浴びてるから、スマホは気にせず使って」
こちらの返事も待たずに、は浴室へと歩いて行った。本当に気にしなくていいのだろうかと疑問も湧くけれど、使っていいと言っていたのだから良いのだろう。
素直に航空会社へ電話し、スマートフォンの中のQRチケットが使えなくなった旨を伝える。結局、搭乗日は通常より早めに空港へ向かい、決済時に使ったカードを提示すれば帰りの紙チケットを発行してくれると教えてもらえた。
「どう?なんとかなった?」
「っはい……!おかげさまで……ってその格好!」
上半身裸で、濡れ髪を下ろしたままで出てきた隆介は、細身なように見えて案外筋肉質だった。毛先から時々落ちる水滴がセクシーで、長い手足と相まって色気を振りまいていた。
「あ、ごめんごめん。平気かと思ったんだけど」
「あの、私……あんまりそういうの、慣れてなくて……!服、着てください……」
家主に命令するのもどうかとは思ったけれど、苦手なものは苦手だ。顔を覆い隠すようにしていると、隆介が目の前にやってきたような気配を感じた。
「部屋のドア開けっぱなしにしてた子が、なーに言ってんの?」
「それは昨日、閉め忘れただけでっ!」
「俺のこと、素敵って言ってたけど?」
「それはそれ、これはこれ、です……っ」
「……雫、こっち見て」
一生懸命に顔を覆っていた両手を、彼の温かい手が解いていく。骨ばった手首を簡単に包んだ手のひらの大きさにすら、男性らしさを感じる。うっすらと目を開けるとやっぱり服は着ていなくて、パンイチのままだった。
「っきゃ……近い近い……っ恥ずかしい、です!」
「雫って彼氏、いたんだよね?今回は傷心旅行なんだっけ」
「いましたいましたっ!」
「……そういうこと、しなかったの?」
余裕のある笑みを浮かべたの隆介の瞳には、顔を真っ赤にした雫が写っていた。
「最初は我慢して、してました……けど、私不感症だからいつも困らせてばかりで。……結局浮気されたんです」
別れてからしばらく経つけれど、「彼に浮気されていた」と自分で口に出したのは、これで2回目だ。1回目は親友に失恋を報告した時。自分の言葉にすると、より自覚が湧いて悲しくなってくる。あんな奴のために泣いたり、落ち込む時間すらもったいないと思うのに、それでもまだ傷は癒えていないみたいだ。
「へぇ……なるほどね。それで男にはコンプレックスが……ってそういう訳?」
「そんなとこ、です。私、いつも頑張っちゃって空元気で誤魔化しちゃって。弱音吐くのも、甘えるのも苦手だし、女としての魅力というか、素質というか。そういうのが足りないのかなぁって」
「ふーん。……見る目ないね、そいつ」
「えっ」
想定外の答えに驚いて顔を上げると、さっきよりも深いキスがとろりとやってきた。それは、どちらのものかわからない唾液が服に垂れるまで、何度も。
「キスだけでこんなに溶けた顔するのに、不感症なわけないでしょ。……それに、俺にはちゃんと甘えてると思うけど」
「……ッ!」
まだ出会って1日ほどしか経っていないのに、この人に惹かれてしまっている自分がいることを自覚させられた。顔がじんわりと熱くなる。ドキドキと高鳴る胸と、期待感が抑えきれない。鼓動を聞かれているような気がして胸を抑えると、隆介はハハハ……と声をあげて笑った。
「あの、近衛さんはどうしてハルシュタットに来たんですか……?日本人ならウィーンとかザルツブルグとか、あの辺の方がきっと楽しいですよね」
互いに体制が崩れたのをいいことに、一度ソファの上で正座をして、近衛さんの方を向き直してみる。彼は胡座をかいて、雫の頭を撫でながらポツポツと話し始めた。
「……少し前に、大きな仕事が終わってね。それ以来、なんだか楽しくなくなったんだ。何もかもが無意味に感じて、無駄なんじゃないかって思うようになって。それで、日本から物理的に離れようって思ったんだ。で、ここは好きな映画の舞台だからここに来てみたって感じ。……雫は?」
「あの、それってもしかして、あの古い映画ですか?私も、あの丘が見たくてきたんです!」
「まあここに来る人はそういう人ばっかりだよね」
「ですね。でも、日本人は久しぶりに見たって聞きました」
「へぇ。現地の人と話したの?」
「あの映画を初めて見た時から、ここへ来たくて……ドイツ語必死で覚えたんです」
「すごい、努力家じゃん」
「といっても現地で言ったら小学生程度ですけど」
「軽く話すなら十分でしょ」
男性と向かい合って喋っているだけでこんなに楽しいことは、初めてだった。好きな映画のこと、普段のこと、何もかも自然に話せる人がいるなんて。ふたりでソファにもたれながら、冗談を言ったり、思い出を語ったり。時々目線が重なったのに気付いて、黙って見つめあったり、堪えきれずに笑ったりするような他愛もない時間を過ごした。
隆介の手が、雫の耳にかかった髪をさらりと撫でる。百貨店勤務でも怒られないギリギリの茶髪は、だんだんと近づく距離を、雫は拒めない。気付けば首元へかかった手で引き寄せられるように、ふたりは何度目かのキスを交わしていた。
まだ知り合ったばかりなのに、目線がぶつかるたびに引き寄せあってしまう。コノエの優しくずるい腕が、雫をソファの端へと追いやった。ダメだとわかっていても、彼の秘密めいた目線に見つめられると、強く押し返しきれない。
「あっそこ、だめ……っ」
いつの間にか早くなる鼓動と二人の吐息で、窓ガラスはほんのりと白く結露している。
「その声、俺にもっと聞かせて」
「近衛さん……っ!やだ、恥ずかしい……」
「可愛いな……大丈夫、俺に委ねて」
「……でも」
「これ以上反論するなら、塞ぐよ」
異論は認めないという隆介の反応に困った顔をしていると、彼はまたゆっくりと蕩けるような甘いキスを落としてきた。ピチャピチャと舌を絡め合う水音に体の芯がキュンと熱くなる。ただのキスのはずなのに、感じたことのない快感を見つけるなんて、この先まで行ってしまったらどうなるんだろうと期待感が膨らむ。
でもこのまま、彼と最後までしてしまうんだろうか?元彼から「不感症なんだから自分でよくするくらいの努力はしろよ」と言われた過去を思い出して、どうしたらいいのだろうと目をギュッとつぶると、大きな手のひらに頭を撫でられた。
「怖い?やめようか……?」
「ちょっとだけ……でもやめないで……欲しい、です」
「ん、了解」
雫の怖い気持ちを抑えようと思ったのか、隆介はそっと左手を繋いだ。片手しか使えないのに、器用にパーカーのジップを下ろし、ボタンをプチプチと外していく。
「あっ……恥ずかし……い」
「どこが恥ずかしいの?綺麗だよ、雫」
隆介は雫のおでこから首元へ向かって啄むようなキスを与えてくる。ちゅ、ちゅ、と音がするたび、自分が彼に可愛がられているのだと音で示されているようで、恥ずかしさが込み上げてきた。
「あっ……っん……ひぁっそこ……」
「逃げないで」
さっきまで優しい口調だった隆介から、命令されるような口調で言われると、また胸がどきりとさせられる。
「ん、いい子……。俺の指や舌の動きを、感覚で追ってみて」
全身へのキスが終わったのだとホッとしていると、隆介の舌先が雫のほんのり尖った胸先のそばをつんつんと刺激していた。
「ひゃ……あっ……それだめ……っ」
「ダメじゃないでしょ。気持ち良さげにお腹までヒクついてる」
「こんなの、なったことない……変な、感じ……っ」
「ん、いいね。……そのまま全身で俺を感じていて」
いたずらっ子の顔をした隆介はそのまま胸を口に含み、先端を執拗に舐め回したり、甘噛みしたりと責め続けた。空いていた右手は腰や太ももをゆっくりと摩り、雫にこの先の展開を期待させる。
「ひゃっ……あぁっ、あ、それだめ、ほんとに……っ」
雫が隆介からの刺激に悶えるたびに、ギシギシと軋むソファの音が部屋に響く。
「こっちも……そろそろかな?」
雫の体を撫で回していた右手が、ゆっくりとパンティを下げてた。熟れたという言葉が最適なのではと自分でも思ってしまうほどに、秘密の場所から太ももへ向かって蜜が流れていた。
「不感症なんじゃなくて、相手が下手だっただけだな……」
「え?」
「もしくは、俺のせい?」
溢れ出した蜜を指先で掬った隆介は、入口よりも少し上にあるめしべを爪弾くようにカリカリと擦る。
「っきゃ!……あっなにこれ……んっ……!」
「もしかしてここ、触ったことない?じゃあ優しくしなきゃね」
ずっと繋いでくれていた大きな左手が、はらりと離れる。なんとなく体温が離れて寂しいなと思ってしまった次の瞬間、隆介の顔が近付き……今までに感じたことのない電撃のような快感に、思わず腰が仰け反った。自分の意思とは裏腹にヒクヒクと腰が震え、足先にまで力が入ってしまう。ピチャピチャとなる水音で、彼がそこを舐め上げているのだと思うと、さらに羞恥心が高まり消えてしまいたくなるほどになった。
「そこ、汚いからぁ……だめ……!」
「雫に汚いとこなんてないよ。全部が可愛い」
両腕にガッチリとホールドされていて、雫は快感を逃せせずにいた。今までの行為は子供のお遊びだったのかと考えてしまうほど、彼から与えられ続ける快感に翻弄されている。快感はどくどくと高まり、限界まで猛スピードで駆け抜けていく。
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