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特別番外編4
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分かっていた。
晴也がモテる事くらい。
高校生の時の彼は容姿端麗の優等生で周りから一目置かれていて、僕と番になる前迄は告白される事も多々あったのも知っている。廊下ですれ違う度に、近くを通り掛かった女子達がはしゃいでいた気がする。
(晴也はかっこいい....そんな事は分かっているけれど.....)
チラリと顔を上げると、彼はテレビの画面を見つめたまま食べ続けている。猫が飼い主と幸せそうに戯れている姿に見惚れていて、思わずプスッと指で頬を挿す。
「....?どうしたの、祐樹」
「....別に。なんでもない」
なんだか凄く癪な気持ちだ。どうせ晴也の表面的な部分でしか好きになっていないくせに。
(前迄の僕だったら、こんな事でいちいち悩む様な性格じゃなかったのに)
そんな事を思いながら最後の一口を咀嚼し、吐き出したい感情と共に飲み込む。結局、その日はそれ以上その話題に触れる事は無かった。
翌日、目を覚ますと晴也の姿はなかった。既に仕事に向かったのだろう。
身体を起こし、彼が用意してくれていた朝ご飯を「頂きます」と手を合わせてから食べ始める。
近い内に晴也は遠方へ出張、僕は在宅と会社への直接出勤を繰り返すバタバタな日々を送っている為、暫くの間は実家に絵麗奈を預ける事にした。久し振りの一人の時間である。
在宅業務の日は普段より少しだけのんびり起きている。晴也は朝が弱い僕に直接話し掛ける代わりに、わざわざこうして置き手紙を毎朝書いてくれている。朝食の隣に置いてあった手紙を読みながら「律儀な奴...」と笑いながら呟く。
「そういえば出張の打ち合わせで今日は遅くなるって言っていたような....」
晴也がモテる事くらい。
高校生の時の彼は容姿端麗の優等生で周りから一目置かれていて、僕と番になる前迄は告白される事も多々あったのも知っている。廊下ですれ違う度に、近くを通り掛かった女子達がはしゃいでいた気がする。
(晴也はかっこいい....そんな事は分かっているけれど.....)
チラリと顔を上げると、彼はテレビの画面を見つめたまま食べ続けている。猫が飼い主と幸せそうに戯れている姿に見惚れていて、思わずプスッと指で頬を挿す。
「....?どうしたの、祐樹」
「....別に。なんでもない」
なんだか凄く癪な気持ちだ。どうせ晴也の表面的な部分でしか好きになっていないくせに。
(前迄の僕だったら、こんな事でいちいち悩む様な性格じゃなかったのに)
そんな事を思いながら最後の一口を咀嚼し、吐き出したい感情と共に飲み込む。結局、その日はそれ以上その話題に触れる事は無かった。
翌日、目を覚ますと晴也の姿はなかった。既に仕事に向かったのだろう。
身体を起こし、彼が用意してくれていた朝ご飯を「頂きます」と手を合わせてから食べ始める。
近い内に晴也は遠方へ出張、僕は在宅と会社への直接出勤を繰り返すバタバタな日々を送っている為、暫くの間は実家に絵麗奈を預ける事にした。久し振りの一人の時間である。
在宅業務の日は普段より少しだけのんびり起きている。晴也は朝が弱い僕に直接話し掛ける代わりに、わざわざこうして置き手紙を毎朝書いてくれている。朝食の隣に置いてあった手紙を読みながら「律儀な奴...」と笑いながら呟く。
「そういえば出張の打ち合わせで今日は遅くなるって言っていたような....」
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