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特別番外編 3
ぎゅっ
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晴也が可愛らしい抱き枕を持って帰って来た。大きなペンギンの抱き枕。目は瞑っていて愛らしいまるっとしたフォルムである。
「ど、どうしたのそれ...」
帰って来た晴也に思わず引き攣りながら聞く。
「流れでゲームセンターに連れて行かれたんだけどゲットしてしまった」
「へぇ....?凄いじゃん」
今日は大学のゼミの飲み会で遅くなるとは聞いていたが....それにしても似合わない。ムスッとした顔でペンギンを持つアンバランスな組み合わせに思わず笑ってしまう。
「はい、祐樹」
「え、くれるの」
手渡されたペンギンのぬいぐるみと晴也の顔を交互に見比べる。「電車の中で色んな人に好奇の目で見られた...」と晴也は一人思い出して呟く。
「俺が持っていてもだし...祐樹、よく寝ている時に腕に抱き付いてくるから。それ、俺だと思って使っていいよ」
「そんな事をした記憶はないけど。まぁ...可愛いし、素直に貰おうかな」
ペンギンをギュッと抱き締めながら返す。思いの外ふわふわで抱き心地がいい。
「柔らかいな。枕にも使えそう」
「......」
撫で撫でしながら一人そう呟き「ご飯の支度するか」と起き上がろうとした次の瞬間、膝上にポフッと彼の頭が置かれる。ペンギンを腕に抱き抱えていた僕は、慌ててぬいぐるみを持つ手を上げ「晴也?」と声を上げる。
「.........」
「何で何も言わないんだよ。ご飯の支度するってば」
「....には...」
「え?」
聞き取れなくて聞き返すと拗ねた表情で睨んでくる晴也。
彼はたまによく分からない行動をする。前よりは表情が分かりやすくなったと思っていたが、....うん、これは本当に分からない。
(怒っている......様にも見えない。何か気に障る事でもしたかな)
「......俺には全然撫でない」
「......は」
今度ははっきり聞き取れた。
ポカンとする僕を見兼ねて我に返った彼が慌てて向こうを向いた状態で顔を背ける。まさかコイツ...
「.....自分から渡しておいて人形に嫉妬したの、晴也」
「....」
人形に嫉妬してる...?!
あの晴也が...?
どうやら予想は的中したらしい。物凄く不機嫌そうに顔を顰めた晴也が手にしていたぬいぐるみをポイッと隣に投げてしまい、僕のお腹に顔を埋める。呆れて笑いが溢れてしまった僕は「はいはい、撫で撫で」と彼のサラサラストレートの頭を撫でる。
「.......ぎゅっ、は...」
「......ふふ」
あ、駄目だ....
耐えきれず笑ってしまった。
晴也がぎゅっ...て。
耳を赤くしたまま睨んでくる晴也に「はい、ぎゅっ」と膝枕で寝転ぶ彼を上から抱く。晴也は満足気に頬を緩めると、僕の腰に腕を回し抱き締め返してくれた。
fin.
「ど、どうしたのそれ...」
帰って来た晴也に思わず引き攣りながら聞く。
「流れでゲームセンターに連れて行かれたんだけどゲットしてしまった」
「へぇ....?凄いじゃん」
今日は大学のゼミの飲み会で遅くなるとは聞いていたが....それにしても似合わない。ムスッとした顔でペンギンを持つアンバランスな組み合わせに思わず笑ってしまう。
「はい、祐樹」
「え、くれるの」
手渡されたペンギンのぬいぐるみと晴也の顔を交互に見比べる。「電車の中で色んな人に好奇の目で見られた...」と晴也は一人思い出して呟く。
「俺が持っていてもだし...祐樹、よく寝ている時に腕に抱き付いてくるから。それ、俺だと思って使っていいよ」
「そんな事をした記憶はないけど。まぁ...可愛いし、素直に貰おうかな」
ペンギンをギュッと抱き締めながら返す。思いの外ふわふわで抱き心地がいい。
「柔らかいな。枕にも使えそう」
「......」
撫で撫でしながら一人そう呟き「ご飯の支度するか」と起き上がろうとした次の瞬間、膝上にポフッと彼の頭が置かれる。ペンギンを腕に抱き抱えていた僕は、慌ててぬいぐるみを持つ手を上げ「晴也?」と声を上げる。
「.........」
「何で何も言わないんだよ。ご飯の支度するってば」
「....には...」
「え?」
聞き取れなくて聞き返すと拗ねた表情で睨んでくる晴也。
彼はたまによく分からない行動をする。前よりは表情が分かりやすくなったと思っていたが、....うん、これは本当に分からない。
(怒っている......様にも見えない。何か気に障る事でもしたかな)
「......俺には全然撫でない」
「......は」
今度ははっきり聞き取れた。
ポカンとする僕を見兼ねて我に返った彼が慌てて向こうを向いた状態で顔を背ける。まさかコイツ...
「.....自分から渡しておいて人形に嫉妬したの、晴也」
「....」
人形に嫉妬してる...?!
あの晴也が...?
どうやら予想は的中したらしい。物凄く不機嫌そうに顔を顰めた晴也が手にしていたぬいぐるみをポイッと隣に投げてしまい、僕のお腹に顔を埋める。呆れて笑いが溢れてしまった僕は「はいはい、撫で撫で」と彼のサラサラストレートの頭を撫でる。
「.......ぎゅっ、は...」
「......ふふ」
あ、駄目だ....
耐えきれず笑ってしまった。
晴也がぎゅっ...て。
耳を赤くしたまま睨んでくる晴也に「はい、ぎゅっ」と膝枕で寝転ぶ彼を上から抱く。晴也は満足気に頬を緩めると、僕の腰に腕を回し抱き締め返してくれた。
fin.
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