さよならの向こう側

よんど

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君と紡ぐこれから

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ギュッと突然横から抱き締めてくる晴也。「な、なにっ」とびっくりする自分を抱き寄せ、頭を撫でながら「愛おしいなぁって」続ける。彼の匂いに包まれた僕は何も返さずジッとする。

「......なんか、こういうの凄くいいな」

思わずそんな一言を漏らすと「ん?」と首を傾け、僕の肩に頭を乗せる。目の前に広がる見慣れた部屋の光景をボーッと眺めながら、近くにあった彼の手を握る。

「好きって、えっちをしなくてもこうして一緒にいるだけで満たされるものなんだなって思っただけ」

繋いだ手を目の前で掲げて見せながら笑う。好きな人と隣で肩を並べてのんびりとした時間を過ごすだけで幸せに感じる日が来るなんて思いもしなかった。


僕は一生恋愛とは縁がないと思っていた。
僕の事なんか好きになってくれる人なんている訳ないと諦めていた。
たまたま置かれた環境が良かったけれど、Ωであるせいで虐げられる事は沢山あった。生死の選択を迫られた時、自分の人生を放棄しようとした。

「晴也と出会えて...今、凄く幸せだ」

最悪も最高も、全部彼からだった。
あの日の出来事がなければ彼とこうなる未来なんて無かったかもしれない。彼と一緒にいなければ、海外の手術迄踏み切る事なく、ただ日々をのうのうと過ごしていただろう。

「俺も──世界一幸せだ、祐樹」

そう返した彼は顔を近付けてきて、応える様に僕はキスをした。

触れるだけの長い、長いキス。
唇を離した後、ソファの上に倒れる様に一緒に寝転び笑い合う。ただそれだけで僕は本当に幸せだった。
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