さよならの向こう側

よんど

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君と紡ぐこれから

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「結婚....しても後悔するだけだよ。僕は....僕が分からない。気持ちがぐちゃぐちゃなんだ。ずっと一緒にいられるなら嬉しい。でも..晴也の事が好きだからこそ結婚したくない。だって...晴也を置いて死にたくない。でも結婚したい。僕も我儘ばかりだし凄く矛盾してる」
「祐樹...」
「だから....僕も決断しないとね」

え...と驚く晴也と視線を合わせる。今迄ずっと頭の隅にあって考えてはいたけど踏み出せなかった決断──

「海外に.....手術を受けに行こうと思う。成功するか分からないけど...僕はその数パーセントに掛けてでも晴也と生きたい。生きなくちゃいけなくなった」

確実に叶う保証の無い賭け事は僕は嫌いだ。以前の僕だったら死のうがどうなろうが生死の選択を迷う事なく後回しにしていた。でも....

「大事な人が出来た。僕にとってのそれが晴也だよ。晴也とのこれからの為に僕はもっと生きたい」

その言葉に晴也は手に取ったままの僕の手の甲に額を擦りつけ、静かに泣きながら「ありがとう」と言った。



こうして、ずっと残っていたわだかまりは無くなり、僕達は本当の番として新たな一歩を踏み出した。







────
──

『大事な話があるから会いに行ってもいい?』──その一言を母親に送ると、翌日『いつでもいいよ』と返事が来た。

一夜が明けてから、僕と晴也は早朝から忙しなく準備をしていた。直接両親には伝えていないが、僕の実家に結婚の挨拶をする、そして海外での手術を受けたいと伝える事が今日の目的だ。

「目、真っ赤だね晴也」
「祐樹こそ」

昨日子供みたいに泣いたせいで、まだ余韻が続いている。他愛のない会話を交わしながら車を発車させる。少しの間流れた沈黙を破ったのは晴也だった。
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