さよならの向こう側

よんど

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君と紡ぐこれから

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「病気で...医者には余命一年って言われてる。でも、最近はまだ調子が良いから気にする事は──」

ガシャンッと、彼が持っていた水の入ったコップが床に落ちる。

ゆっくりと顔を上げると、表情が抜け落ちた晴也が僕の事を見つめていた。「なんで..」とか細い声を漏らしている。

「なんで...もっと早く言ってくれなかったの」
「あ...いや、言う程の事でもないかなって...」
「言う程の事だろ!」

荒々しく叫ばれ、ビクッと肩を振るわせる。彼がこんなにも感情を露わにする所は初めて見たかもしれない。「言って...どうもならないから」と自分の声が震えて出る。

「気を遣われたくなかった。言うタイミングを逃していたのもあるけど...何となく言いたくなかった。僕は──」

晴也の事が好きだから。
──その言葉をグッと呑み込む。

溜息を吐いた彼は小さく首を振ると、無表情のまま続ける。

「一緒に住んでいる以上言わないといけないでしょ...なんでこんな....、....こんななら抱くんじゃなかった」

胸が張り裂けそうになった。

ふらっと立ち上がった彼が、床に散らばったガラスの破片を拾い集め始める。自分も無言でしゃがみ込み拾おうとすると「祐樹は触らないで」とピシャリと言われてしまう。「お願いだから...もう休んでて」と寝室の方へ視線を向けられ、病人として見られている事に気が付き悲しくなる。

「....僕は大丈夫だってば。今日迄殆どなんともなかった。言ってどうなるの?僕は死ぬ事に変わりはないんだよ。悲しい空気のまま死ぬより、好きに生きて死にたい」
「俺に何も言わずに?俺が何も知らされずに祐樹に死なれた時の気持ちを考えた事はある?俺が...祐樹を好きだって事、知ってて隠していたの?」
「知ってるから言えなかった!それに僕は晴也の事が──」
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