さよならの向こう側

よんど

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二度目の体温※

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「──祐樹。お願いがある。一緒にイきたい。だからもう少し付き合って」

一緒にイきたいって──僕の返事を待たずして彼は突くスピードを早めていく。

どこもかしこもぐちゃぐちゃで人に見せられる顔なんてしていないのに、突いている間も「可愛い」をやめない。

そうして暫く突き続けて、僕達は同時に達した。中でドクドクッとゴム越しに白濁が流れていくのが伝わる。性器を抜かれた後もお尻の穴からは愛液がだらだらと垂れていて、自分の性器からも精液が溢れ、僕は今更冷静さを取り繕えずにぐったりと仰向けに寝転んでいた。

「──大丈夫...?」

行為が終わった後、直ぐに心配そうに聞いてきたが、さっき迄僕の意思関係なく動いていた奴である。仰向けのままキッと彼を睨みつけ「大丈夫に見えるか...?」と思わずきつい口調で言ってしまう。いつもみたくへらへら笑って流す余裕なんてなかった。

「あ...だよね。でも少し楽になったかな...?フェロモン、最初より減った気がする」
「まぁ....身体は楽にはなったよ」

確かに身体は楽になったし、ヒート中のえっちがどれ程効果があるのか身を持って知った。けど....

ふい、と視線を逸らし黙る自分。
心配そうに「祐樹、怒ってる?」と聞いてくるが、敢えて何も言わない。

「....水取ってくるから、ゆっくり休んでて」
「....ん」

短く返す僕を見て安堵した彼は「直ぐ戻るから」と寝室を後にする。一人になり冷静になった僕は、先程迄の自分の恥ずかしいあんな姿やこんな姿を思い返してベッドの上でジタバタ動いて寝転ぶ。

(ヒートのせいか....なんか、顔がずっと熱い)

今迄とは違う──初めて彼の体温を隅々迄感じた僕は、よく分からない高揚感を覚えていた。僕を「可愛い」と言い、必死に獣みたいに抱き潰す彼の姿を想像するだけで、自分の心臓は煩く鳴り続けていた。
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