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5 僕達の関係
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「それで...行き先は何処に──」
「それはもう決めてある」
自然に手を取り繋いだ彼は「行こう」と僕を促して扉を開けた。あまりにも自然に繋がれたものだから、一瞬何が起きたのか分からなかった。ただ、手を繋いでいるという事実だけが頭の中でいっぱいになっていた。
(手......手を、颯太と繋いでいる)
繋がれた手をジッと見つめる僕。
チラリと先を歩く彼を見るが特に気にした様子はなく前を向いている。こんなにドキドキして振り回されているのは僕だけなのだろう。何も言わずに、振り解く事もなく現状を静かに受け入れる。颯太が何を思っているのか分からない。分からないけど今はこのまま──
「え、此処って──」
手を引かれて連れて来られた場所は、高校から少し離れた場所にある大型施設だった。週に一度か二度の頻度で颯太と一緒によく足を運んでいた。颯太との懐かしい思い出が詰まった場所。そんな場所にどうして...
「久々に見て回ろうよ。悠と遊びたいんだ」
「颯太...」
思い出を懐かしむ様な声色で遠くを眺める颯太の言葉に罪悪感が募る。そうだ、颯太は純粋に僕との時間を楽しんでくれていた。その時間を僕の勝手な事情で潰してしまっていた。ぐっと色んな思いを呑み込み「行こう」と踏み出す僕。颯太はふっと柔らかな笑みを浮かべた後嬉しそうについてきた。
「それはもう決めてある」
自然に手を取り繋いだ彼は「行こう」と僕を促して扉を開けた。あまりにも自然に繋がれたものだから、一瞬何が起きたのか分からなかった。ただ、手を繋いでいるという事実だけが頭の中でいっぱいになっていた。
(手......手を、颯太と繋いでいる)
繋がれた手をジッと見つめる僕。
チラリと先を歩く彼を見るが特に気にした様子はなく前を向いている。こんなにドキドキして振り回されているのは僕だけなのだろう。何も言わずに、振り解く事もなく現状を静かに受け入れる。颯太が何を思っているのか分からない。分からないけど今はこのまま──
「え、此処って──」
手を引かれて連れて来られた場所は、高校から少し離れた場所にある大型施設だった。週に一度か二度の頻度で颯太と一緒によく足を運んでいた。颯太との懐かしい思い出が詰まった場所。そんな場所にどうして...
「久々に見て回ろうよ。悠と遊びたいんだ」
「颯太...」
思い出を懐かしむ様な声色で遠くを眺める颯太の言葉に罪悪感が募る。そうだ、颯太は純粋に僕との時間を楽しんでくれていた。その時間を僕の勝手な事情で潰してしまっていた。ぐっと色んな思いを呑み込み「行こう」と踏み出す僕。颯太はふっと柔らかな笑みを浮かべた後嬉しそうについてきた。
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