異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

文字の大きさ
上 下
932 / 952
迷宮都市ヘカテクライオ、秘めたる記憶と誘う手編

6.もう一つの街

しおりを挟む
 
 
「こっちこっち!」

 リオルの言うとおりに、街を駆け抜ける。
 どこの街なのかは分からないが、駆け抜けていくたびにあわいベージュ色の壁の家屋と、その家屋にはめ込まれた茶色の鎧戸よろいどやドアがはじで通り過ぎていった。

 時折、緑青ろくしょう色の綺麗なドアや、茶色の石タイルがまれた外壁の飾り壁など、どことなく他の街とは違う明るさが見えて、どういう雰囲気の街なのだろうかと気になったが……今は立ち止まって観察しているひまなどない。

 ともかく早くファムさんの所へ行かなければ。
 そう思って前方を見やると――――馬車が入って来られないほどにせまい道の上に、青々とした緑と鮮やかな花の色があふれているのが見えた。

 家屋の一階と二階の間、せまい道の空中を橋渡しするようにトンネルの天井と化した蔓草つるくさの植物は、空からの日差しに照らされて道に木漏れ日を落としている。
 そこかしこに鉢植はちうえや椅子が置かれた緑のトンネルの道は、まるでお伽話とぎばなしの世界にあるような、おだやかな緑の都市のようにも思えた。

 ここがどこか分からないけど……なんか、物凄く綺麗だ……!

 例えるなら、ギリシャとか地中海とかの港町風っていうか……車が入れない程度ていどの道の端に、机やテーブルを出してお茶をしている人達を見ていると、このせまい道だけ時間がゆっくり進んでいるようにも思えた。

 急いでいなければ、この花いっぱいの緑のトンネルもゆっくり見て見たかったが、今は邪念を捨てて走らねば。

 俺は心を引き締めて心躍こころおどらないように努めると、緑の小道を抜けて大通りに出た。

 この街の大通りは、馬車が通れる広さを確保した並木道だ。
 この世界だと、大通りに木を植えているってのはあまり見かけないのだが、この街は歩道を確保しているらしく、馬車道と歩道を区別するための“区切り”として、木を等間隔に植えているらしかった。なんというか……俺の世界っぽいかな。

 この世界って、歩道って概念があんまり無いもんな。
 道全てが天下の往来って感じで、馬車も人も自由に行き交っているし、馬車はある程度ていど規律をたもって上り下りを意識しているらしいが……それでも街で暮らす人は馬車に乗る機会も少ないし、馬車も少ないからな。しかもヒポカムの馬車は低速なので、危険性も低いせいか車道歩道の区別なく歩く人ばかりなのだ。

 けれど、この都市はそれを明確にするように歩道が作られている。
 ……さっきまで居た王都ですら歩道なんてなかったのに、なんでここだけ……?

 こんな街、あったっけな……いや、あったけど俺が忘れてるのかも……。
 セレーネ大森林の周辺って馬車での移動が多かったし、俺も色んな場所に行ってるせいで、長く滞在したところ以外は記憶が曖昧あいまいになってるんだよなぁ。

 でも……やっぱり、こんな感じの街は記憶にないような気がする。
 もしかして【トランクル】から行ける街じゃないのかな?

 しかし、あの【セレーネ大森林】に一番近い場所は間違いなく【トランクル】だ。そこに行くなら、ひとつ前の街から伸びる一本道を行くしかない。
 その街は【セイフト】っていう小さいけれどおだやかで素敵な街で、少なくともこことは違うひなびた田舎の街って感じなんだが……こことは全く違うぞ。

 ……なんかおかしいな。
 もしかしてここは、別の道にある街なのか?

 うーん……よく分からないけど、とにかく今はファムさんの所に行くしかない。
 そう思い、リオルに導かれてしばらく大通りを走り――――もういよいよ俺の肺が呼吸を出来なくなるかという所で、リオルが少し先を指さした。

「あそこっ、あそこの治療院にいるよツカサちゃんっ」
「おい、本当に僕達が探してる文官なんだろうな!?」

 ワケも分からず走らされたブラックは、息も切らせず汗もかかないままリオルの情報をうたがっている。俺としてはお前らのその体力が信じられないんだが。
 いや俺が運動音痴で長距離苦手なのが悪いんだけども……ううう、こんなに走るんなら、脚力強化の付加術ふかじゅつ【ラピッド】をかけておけば良かった……。

 だがもう俺には言葉を発する気力も余裕も無い。
 ゼエハアと肺を痛めながら呼吸をする俺を余所よそに、リオルはあせったような顔をして「もちろんですよ」とブラックに弁解した。

「ツカサちゃん達の話だと【トランクル】に向かってるって話だったんで、向こうの街から【ベイシェール】までキチンと探したけど、それでも見つからなかったってんで、マーサに大森林近くの北部の街を探して貰ってたんスよ! そしたら、ちょうど何か変なモンスターに襲われてるのを見つけて……」
「……変なモンスター……?」

 ブラックがいぶかしげに問いかける。
 その「変」というかんむりが付いただけで、俺もブラックも警戒してしまうのだ。
 なんせ……俺達が今持っているびんの中の物も、「変」なモンスターなのだから。

 リオルは走りながらも、ハイと返事をして続ける。

「俺は人族の大陸のモンスターに詳しいワケじゃないんで、もしかしたら普通のザコなのかも知んないスけど、ともかくソイツのせいで負傷して運ばれる所を追ってきたんですよ。なんか毒に掛かってるらしくて……」
「どっ、どぐっ……!? ゥ゛っ、ゲホッ、ごほっ」

 い゛……息が出来ない……っ。もう限界だ……!
 せめて倒れないようにと止まり、ひざに手をついて必死に呼吸をするが、うまく空気を吸い込むことが出来ない。というかせきが邪魔をする。

 そんな俺を、ブラックはあきれたように見ていたが、いつものことかと思い直したのか、リオルにさらに質問を放り投げた。

程度ていどはどのくらいだ?」
「うーん……気は失ってましたね。顔も青ざめてましたし……毒も毒って言うか紫色のドロドロした液体を掛けられたって感じでした。ジュワジュワ言ってましたね」
「溶解液系か……少なくとも見慣れない毒ってわけじゃないな」

 う、うう、少し呼吸が落ち着いてきた。
 にしてもブラック、さすがは熟練冒険者だな……ちょっと聞いただけでモンスターの毒の種類も判断できちゃうのか。

 少し声がホッとしているから、きっと珍しい物じゃないんだろうな。
 だったら良かった……でも、気を失ってるならヤバい事態には違いない。

「ともかくあそこの治療院に来てくださいよ!」
「しかし、見ず知らずの僕達を簡単に通してくれるかね」
「そこはまかせてくださいよっ」

 何故か自信満々なリオルは、いつの間にかすぐそこまで近付いていた治療院に、我が先兵だとばかりに勇んで先に入って行ってしまう。
 横に広い三階建ての大きな治療院は、個人の経営する病院には思えないのだが……飛び入りの青年に説得されてくれるだろうか。

 だけど、まごついている場合ではない。
 俺達はたがいに顔を見合わせてうなずくと、壁につたう治療院に足を踏み入れた。

「こ、こんにちは……」

 今は診療時間なのか、両開きの扉は最初から開いている。
 入ってすぐ待合室になっている治療院は、当然ながら患者さん達が順番を待っていて、いくつもある長椅子に座り静かに過ごしていた。

 ……うむ、やはり病院で騒ぎ立ててはいけないな。
 でも、リオルを探さないと……どこに行ったんだろう。

 そんなことを思いつつ、受付――――の横にある、奥に通じる廊下を見やると。

「あっ……」
「こっちですこっち!」

 リオルが、叫ぶような声音でありつつも声をひそめて俺達を手でまねく。
 その横には、目がハートマークになった看護婦さんっぽい服装の綺麗なお姉さんが……って、ちょっと待て。お前まさかナンパしたのか。その人を。

 さすがはメス女性専門の妖精……三分も経ってないのにもう女性を落としちゃったとか、どんな武勇伝だよ。一番聞きたくない武勇伝じゃんかそれ。

 複雑な気持ちになりながら、早足で受付を通り過ぎリオルの所に辿たどくと、相手は親指でクイッとお姉さんを指しつつウインクをしやがる。

「この可愛くて有能なカノジョが、ファムさんの病室がどこにあるのかを教えてくれましたよ! さっ、早く早くっ」
「…………」

 ブラックがドンビキしたような顔をしているが、俺からすれば若い頃のお前の所業もドンビキ案件なんだがな。
 ……っていうかお前、その視線お姉さんの方に向かってないか。
 なんでお姉さんにドンビキしてんだよ!

「こんなヤツに数秒で籠絡ろうらくされてるとか引くわ……」
「お前が言うのかそれを……」

 その呟きに俺の方がびっくりなんだが。
 なぜこのオッサンは自分を棚に上げて……いや、今はそんな場合ではない。
 というかその話題になると俺もヤブヘビになりそうなのでくちつぐもう。

 自省しつつ、俺はリオルと看護婦さんに大人しく追従した。
 やり方はともかく、お姉さんがすんなり通してくれるんだから文句は言うまい。

 俺達は二階へ駆けあがると、ファムさんが運び込まれた病室の扉の前までキッチリ案内してもらった。……あれ、お付きの兵士がいるはずなんだけど、廊下にはいないようだな。病室の中でファムさんを心配しているんだろうか。

 それとも、怪我を負って別室で治療中なのかな。
 不可解に思っていると、看護婦さんが俺達に人差し指を立てて「静かに」とジェスチャーをしながら、ゆっくり病室の扉を開いた。

 中は、宿の部屋をもっと簡素にしたような空間だ。
 ベッドとサイドチェスト、それに衣類などを仕舞しまう棚があるが、それ以外は特に何も無い。ベッドの横に座るための椅子くらいなものだろうか。

 だが窓は鎧戸よろいどだけの簡素な物では無く、きちんとガラスがめこまれた両開きの窓で、病室も清潔にしてあって病人を軽んじているわけではない。
 俺の世界だともっと色々な機器が有るから簡素に思うだけで、本来はこういう感じの極力モノがない部屋みたいになるんだろうな。病室って。

 そんな事を思いつつ、付添人つきそいにんのいないベッドに近付く。
 ドアを開いてからかすかに聞こえていたうなごえが大きくなり、まるで悪夢を見ている時のように掛け布がふくらみせわしなく動いている。

 その、ふくらみの主は――――
 確かに、俺達が似顔絵を見て記憶していた探し人だった。

「ファムさん……話せるような状態じゃないな……」

 サイドチェストの上に眼鏡を置き、ただただうなる相手は、青ざめた顔を歪めて大量の冷や汗をかいている。
 その顔には、毒液が飛び散ったのかごくわずかに紫色が見えた。
 リオルがあわてる通り、尋常ではない容体だ。

「……医師が何とかしてくれるんじゃないのか?」

 ブラックが問うと、リオルはお姉さんを見やる。
 彼女は詳しい事情を知っているのか、深刻そうな顔をしてほおに手をえた。

「それが……この治療院に常備してあった解毒薬では量が足りなくて……。先生は『まるで、ボスモンスターが使う強力な毒だ』とおっしゃっていました。けれど……例えそのモンスターに遭遇しても、冒険者なら普段から薬を使いなれていらっしゃいますし、即座に薬を使って回復するから被害は軽減されたのですが……今回は、運悪く毒に耐性のない一般の方で……」
「容体が思わしくないんだ?」

 リオルの言葉に、お姉さんは自分の事のように苦しそうな顔になって涙ぐむ。
 やはり看護婦、いや看護師としてお姉さんも心配しているんだろう。

 それにしても、冒険者と一般人でこうも深刻さが違うなんて思いもよらなかった。
 冒険者は、一般人がおいそれと買えない高い薬をホイホイ使う……ってのは、この異世界に来た最初の方で聞かされていたけど……街で普通に暮らす人達は、本当に毒の耐性も無くて薬を使う頻度ひんども少ないんだな。

 だとしたら、俺達が思うより事態は深刻ということなのか。

「解毒薬も、使いすぎると一般の方は体調を崩してしまいます。せめて高位の神官様が居て下されば話は違うのですが……あいにく、この街にも周辺の街にもナトラ教の大聖堂はなくて……っ」
「そんなに辺境なのか、ここは」

 ブラックがあきれたように言うと、お姉さんは涙を浮かべてハンカチで口元を隠しながらも、気丈にこちらの言葉に答えた。

「いえ……辺境と言うほどではありません。ですが、ここはファンラウンド領地の中でも、他の領地のすぐ近くにある街ですので……他領とのいさかいの種になるようなものは、極力置くことが出来ないのです。ゆえに、大きな教会をこの街に誘致することは出来ませんでした」
「ああ、なるほどな……。だが、ボスモンスター級のモノが出るような道は無かったはずじゃないのか。何でそんなヤツに襲われたんだコイツは」

 俺にはまだ理解できない事情だが、ともかく他の領地とのいで威圧するような施設を置く事は出来なかったらしい。
 大聖堂が何故威圧になるのかよく分からないけど、そうすることで向かいの領地が不快に思う事は珍しくないんだろうな。

 解毒が進まない理由は、何となく理解した。
 けど……確かに、ブラックの言う通り何かヘンだよな。

 ボスモンスターってのは、特殊な場所から出てくる珍しいモンスターだ。
 大体のファンタジー物で出てくるように、この世界でも凄く強くて厄介やっかいな存在だけど、その出現頻度ひんどは高くない。俺達がそのボスが湧くという【スポーン・サイト】を発見して驚かれるレベルで、出現率もレアなのだ。

 だから、ブラックが不審がるのも無理はない。
 普通なら街道にポッと出てくるような存在じゃないんだからな。

 しかし、看護師のお姉さんはそうではないと首を振った。

「いえ、違うのです。兵士の方に状況の聞き取りを行ったところ……患者さんは、街の近くにある森に入り……そこで、モンスターに遭遇したらしいのです」
「森?」

 目的地に寄る前に、違う場所のモンスター調査も行おうとしたのだろうか。
 そう考える横でブラックが「そうか」と何かに気付いたように呟いた。

「セレーネ大森林に近い街が、確かもう一つあったな。旧街道の……」

 ――――え……。
 【トランクル】以外にも、大森林に近い街なんてあったのか?!

 いや、でも、そりゃそうか。
 あの森は【大森林】なんて言うんだから、かなりの規模で広がってるんだろうし……。それこそ、アメリカとか欧米の森みたいにとんでもない大きさをほこる場所だったのかも知れない。
 なら、森に近い街が他に有ったっておかしくはないだろう。

 俺はその規模を確かめた事が無かったから、今まで漠然ばくぜんと「広い」としか認識していなかったんだけど……にしても、他の街の近くまで広がっているとは驚きだ。

 地図で確認したこともなかったもんな……。
 そうか。大きな街道を通れば【トランクル】に行くルートだったけど、ファムさんは道を旧街道にれて別のルートから【セレーネ大森林】に向かっていたのか。

 だとしたら、俺がこの街を知らないのも当然だ。
 なら、ここはどこなんだろう……。

「あ、あの……この街は、どういう街なんですか」

 こんな時に聞くべきではないのかも知れないが、しかしどんな所なのか分からないままで話を進めるのは後々こまることになる。
 恥を忍んでお姉さんに問うと、彼女は嫌な顔一つせず答えてくれた。

「ここは【ヘカテクライオ】……セレーネ大森林を南西にのぞむ大河の街です」
「やっぱりな。……だが、どうしてわざわざ旧街道を通ってここに……?」
「ヘカテ、クライオ……」

 ブラックのくちぶりからすると、近いと言っても最適な場所ではないようだ。
 しかし、この街からファムさんは【セレーネ大森林】に向かった。

 …………ど、どうしよう。色々情報が頭に飛び込んできて、整理しきれない。

 ボスモンスタークラスの毒に、トランクル以外の森に近い街。
 【セレーネ大森林】に存在するボスが湧く場所を考えると、のっぴきならない事態になってるのではと俺も不安になってきたが……今は、そこに気を取られている場合ではない。頭を振って、俺は苦しんでいるファムさんを見やった。

 今は、彼が浴びた毒を何とかしないと。

「それでリオル、俺は何をしたらいいんだ。解毒って俺に出来るのか?」

 冷静になって問いかけると、相手はコクコクとうなずいた。
 まるで俺が絶対に解毒できるとでも言うように。

「ツカサちゃん、俺と別れた後にまた何か新しい術を覚えただろ? なんとなく下僕げぼくの俺にもそういうの分かるんだ。……その“術”なら、たぶん大丈夫なはずだ」
「術……」

 なんの術だろう。
 いくつか思い浮かべて、俺はあるものに思い当たる。

 でも、あれは正確には「毒」を浄化するような物では無いはずだ。

 そう考えて――――俺は「いや」と心の中で首を振り己の断言を否定した。

 この世界では、思いや感情の強さで術の威力も性能も決まる。
 俺が創り出した術も、チート能力だけではない意志の力が関わっているのだ。

 ならば、本来は用途が違う術でも……あの術でも、解毒は可能かもしれない。

「……わかった。とにかくやってみるよ」

 うなずく俺に、ブラックが横から心配そうな顔で覗き込んでくる。

「ツカサ君……」

 この表情は、術が失敗するんじゃないか……なんて顔ではない。
 俺がまたムチャな使い方をしないか心配してるんだ。

 ……俺が失敗するなんて思ってもいない。
 何故かそう言う事だけはわかってしまって、少し気恥ずかしくなった。

「大丈夫。無茶はしないから」

 そう言うと、相手は「絶対だよ?」と念を押すように眉根を寄せる。
 ほらやっぱり、俺が失敗するかどうかなんて問題にしていないんだ。ブラックは、今から使う術を「いちばちか」なんて思ってすらいないんだろう。

 俺が使えばきっと助かると、無意識に信じてくれているのだ。
 それが、どれだけ俺の心を助けてくれているのか……自分でも、わからない。

「キュゥ……」
「うん、早く助けてやろうな」

 今まで俺の肩に乗って大人しくしていたロクが、心配そうにファムさんを見る。
 ファムさんのため、そしてこの優しい相棒のためにも、成功させないとな。

 そう思い、俺はベッドのすぐ横に立った。

「…………っ」

 すうっと息を吐いて、両手をファムさんの胸の上にそっと乗せる。
 そうして――――詠唱を始めた。












 
しおりを挟む
感想 1,046

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

処理中です...