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七鳴鐘楼モンペルク、月蝕は混沌の影を呼び編
19.紳士な朝食
しおりを挟むそれにしても……今から朝食だなんて随分ゆっくりだな。
もしかして俺達を待ってくれていたんだろうか。
いや、ローレンスさんが俺達を待つ理由なんてないよな。偶然帰ってきたから一緒にご飯を食べようってダケかも知れない。
一国の主とはいえ、ローレンスさんはライクネス国王のように怖くもいけ好かなくもない、紳士的で実に優しいオジサマなのだ。なにか理由があるにせよ、俺達をどうこうしようって腹積もりは無い……はず……。
あまり疑うのも悪いし、ともかく今は相手の思惑よりも食事のマナーを間違えないかを気にしておかなくちゃな。いつもの食事とは違うんだし。
それにしても、ロクショウとペコリア達には先に御馳走しておいて良かったぜ。いくら【守護獣】とはいえ、さすがに偉い人がいる場所には連れて行けないからな。
でも出来れば一緒に居たかった……などと後ろ髪をひかれながら部屋を出て、ピカピカな廊下の先にあるローレンスさんの部屋へと向かう。
だが、当然と言うかなんというか足取りは重い。
「はぁ~……また面倒臭い頼み事でもされるんじゃないだろうなあ」
「まあまあ、相手も旅してるんだしそんな事しないって」
「そうかなぁ。なーんか嫌な予感がするんだけど僕……」
もー、またそんなこと言っちゃって。
ブラックはローレンスさんの事が苦手だからそう思うんだろうけど、さすがに朝食の席でそんな事はしない……はず……。
だから今から気を落とすんじゃないとブラックの背中をポンポン叩きつつ、俺達はローレンスさんの部屋の前で警備している兵士に面会を頼んだ。
すると、兵士の一人が中に入り、ややあって両開きの豪奢な扉が開く。
昨日と同じく「こちらへどうぞ」と案内され、今度は食卓へと誘導された。
……うーむ、さすが最上級の貴賓室。食堂まで準備されているとは隙がない。
いや、貴族の人を泊めるんだから当然なんだろうけど、改めて考えると国王レベルの人を泊めるための部屋ってこんなに豪華なんだな……。
俺達の部屋だって豪華だけど、元々はお付きの人の部屋だったっぽくて食堂やデカい応接室は無かったからな。
まあ在ったら在ったで気後れしすぎて部屋を使えなかっただろうけど……。
ってそんな事を考えている場合じゃない。
上等な服など着てこなかったが、とりあえず最低限身なりは整えておかないとな。
そう思い、俺は食堂に続く扉の前で立ち止まりブラックに問いかけた。
「ブラック、俺の服とか髪とか変なとこない?」
「うーん? 大丈夫だけど……」
「アンタも……おっと、後ろが寝癖で跳ねてんじゃん。ちょっと屈んで」
「え、どこどこー? ツカサ君撫でて直してよぉ」
言われなくても直しますとも。
兵士の人には少々待ってもらい、俺はブラックを屈ませると【アクア】でちょこっと掌に水を生み出し、気になったブラックの後頭部の跳ね髪を撫でて直した。
「これでよしっ」
「えへへ……」
よかった、ガンコな寝癖じゃなかったみたいだな。
ブラックはうねうねでモサモサした髪ではあるけど、髪を梳けばやっぱり寝癖ってのは異質で気になる物なのだ。……まあ、俺が普段から見てるせいで気になっただけで、他の人から見ると「髪型のクセの一部」だと思われたのかも知れないけどさ。
でも、やっぱ真面目な席なら格好よくしてやりたいじゃんか。
俺からすれば、ボサボサでもみっともないとは思わないけど……ブラックが他の人に褒められてるのは、嫌いじゃないし……。
……い、いや、でも女の子に色目使われてるのは例外だぞ。だって普通にイラッとするからな。俺だって女の子にモテたいわい普通に。
って何の話してるんだ。今の全部ナシだナシ。
髪の毛を違和感がない程度に直してやり、再び立ち上がらせて正面を見やると――――何故か兵士の人に「ふふっ」とか笑われてしまった。
な、なんスか。
まだどこか変な所でもあったのかな……。
それとも、ちょっと機嫌がよくなったブラックが微笑ましくて笑ったのかな?
「準備出来ましたか? お開けしますね」
厳めしい鎧とは裏腹に優しい声の兵士に頭を下げつつ、俺とブラックはついに食堂の中へと入った。
「やあ、呼び立ててすまなかったね。ささ、好きな所に座って」
「あ、ありがとうございます……」
ファンタジーでもこちらの世界でも良く見かける、縦に長いテーブル。
ローレンスさんは勿論上座に座っているので、俺達は一番離れた席に座ろうとしたのだが……兵士の人に「こちらです」と誘導され、ローレンスさんのすぐ近くの席に二人して座らされてしまった。
い、良いのかな……。
ローレンスさんってマジでフランクだから、俺達がマナー違反とかしちゃってても普通に流しちゃうんだよな。
でも不敬には変わりないので、そこんとこは……ブラックに気を付けてもらうしかない。……だ、だって俺、一般庶民だもん。こっちの世界に来てから何かと偉い人達と出会う機会が増えたけど、実はマナーとかなんてよく覚えてないし……。
なので、ここはブラックの真似をするしかない。
内心ドキドキしながらローレンスさんの方を向くと、相手は相変わらず整った口髭の下でニコッと口角を上げ俺達を歓迎してくれた。
「そんなに硬くならないで。ここは王城でも何でもない。今は私も旅人だから、気を楽にしてくれたまえ。食事の作法も気にしなくていいからね」
「ローレンスさん……ありがとうございます……!」
「普通の旅人はこんな豪華な部屋には泊まらないと思いますがね」
こらブラックっ。
やめなさいと相手の膝をテーブルの下で叩くが、ブラックはローレンスさんに丁寧な態度を見せる気が無いのか、またもや不機嫌な顔でそっぽを向いている。
まったくもう、案外人を見てそんな態度を取るんだから。
「はっはっは。ツカサ君、彼を怒らないであげてくれ。折角の逢瀬を邪魔されるのは、父子にとっては我慢ならないことの一つなのだからね。気持ちは分かるよ」
「は、はい……」
貴族独特の「オス」の言い方で、ローレンスさんはブラックを擁護する。
まったくもって紳士的な人だ……。でも、もうナチュラルに俺をメス扱いしてますねローレンスさん。やっぱり俺はメスなんですね……そうとは思わない人もいるのに、一度認識されたらそう見えちまうんだろうか。うう。
「では食事をとりながら話をしようか。いつもより品数が少ないので申し訳ないんだが、この宿の食事は美味しいから安心して食べてくれたまえ」
「あ、ありがとうございます」
この宿の食事は美味しい……うーん、やっぱりローレンスさんもライクネス王国の食事は基本的にヤバいものだと思ってるんだな。
本当になんでこう、この国は食事だけ致命的なんだろうか。
美味しい料理も探せばあるのになあ……なんて思いつつ、とりあえず運ばれてきた朝食を大人しく頂くことにした。
メニューは、ふわふわの白パンにコンソメに似たスープ。それと、何かの卵を使ったスクランブルエッグのような料理や、ベーコンに似た肉などが出てきた。
俺の世界だと普通に朝食に出そうなラインナップだが、ベーコンに似た肉は分厚く良い感じの焦げ目が付いているな。やっぱり違う料理なのかな……?
音を立てないよう苦心して切り取り口に入れてみた。
……うーん、ベーコンともハムステーキとも違う感じだな?
生のハムの風味と焼いた時の香ばしい肉汁が感じられる不思議な肉だ。どんな料理なのか見当もつかないが、かなり美味しいのは確かだな。パンとの相性も抜群だ。
シンプルながら美味しい朝食だと思いつつ大人しくご飯を楽しむと、最後の紅茶が出てきたところで、ローレンスさんが不意に話しかけてきた。
「さて……朝食はお気に召したかな?」
「はい、とっても美味しかったです! なっ、ブラック」
「ん、まあ……はい」
好物のひとつである白パンを好きに食べられたので、ブラックもちょっぴり愛想が良くなったらしい。とはいえハイはないだろハイは。
ローレンスさんが優しいから良いものを……。
「そうかい、気に入ってくれたのなら良かった。なにせ、君達には大した用事もないこの街で数日待ってもらう事になるからね……これはほんの詫びの気持ちだよ」
「いえそんな……俺達だって、知りたいことをローレンスさんに聞きに行って貰っているようなものですし、それくらいは……」
「ふふっ、ツカサ君は本当に律儀だね。でも、こういう時は素直に甘えて良いんだよ。それに……君達【グリモア】と【黒曜の使者】のことは、私達【世界協定】も把握すべき重要事項だからね。世界平和のためにも、友の安寧の為にも、出来る事が有るならやっておいて損は無いというものさ」
簡単そうに言いながらカップに口を付けるローレンスさん。
だけど、そう言って実際にライクネスの国王に即面会できる立場の人なんて、勇者であるラスターか、繋がりの深いアコール卿国の“国主卿”くらいしかいないだろう。
それに……シアンさんが気に病まないためにも、だなんて、本当にありがたい。
ローレンスさんも、仕事の仲間ってだけじゃない友情をシアンさんに抱いてくれているんだろうな。何だか自分の事のように嬉しいや。
「ローレンスさん……本当にありがとうございます」
「ははは、ツカサ君は感謝が好きだねえ。若い子にこんなに感謝されるなんて、役得だよ。普段は似たような髭面と同性ばかり相手にしているから嬉しいね」
「人の婚約者に色目を使うのはやめてくれませんかねえ!」
今の台詞のどこに色目が感じられたのかは謎だが、ブラックはソレを感知したらしくて、思いっきりローレンスさんを威嚇する。
しかし相手は笑うばかりで、まったく脅威に思っていないようだった。
こ、これが年の功ってヤツなのか……。
「まあまあ抑えて。……さて、それでは……ツカサ君達にはこれから三日ほどここに逗留して貰うワケだが……滞在費をこちらで持つ代わりに、私達が帰って来るまで、この街の七つの鐘の監視を頼みたいんだ」
「監視……ですか」
何か頼んでくるかも知れない、とブラックが予想していたから頼みごとに関しては別に当然だと思ったが、その頼みが思ってもみない事で俺達は驚いてしまった。
宿などの滞在費を持つと言ってくれるのはありがたいんだが、しかし……その経費に俺達の仕事が釣り合っていないような気がする。
だって、監視だぞ。
監視だけだなんて、いくらなんでも簡単すぎやしないか。
上手い話には裏がある――なんて言葉を思い出してしまうが、そんなこちらの疑念を余所にローレンスさんは続けた。
「そう、監視だ。しかし別に四六時中見て欲しいというわけでもないんだ。……そうだね、君達には……七つの鐘の音が正常に作動してるかどうかを確認してほしい」
「何故そんな事を僕達に頼む?」
「まあ……何かあった時のため、かな。モンスター除けのための鐘ではあるが、もし【アルスノートリア】が出現したとしても、悪意のある術を発動したら鐘の音が弾いてくれるはずだ。そういう有事にも、この街なら対応できるはずだからね。鐘の音が聞こえる限りは安心なのさ」
なるほど……。
あの七つの鐘が有る限り、ここでは強い術は使えない。だから、ここにいれば安全だし、鐘が一つでも鳴らなければ街に異変が起きていると知る事が出来る。
何より、そうやって明確な目標を持って警戒すれば、こちらも動きやすい。
つまりローレンスさんは実質俺達のための作戦を作ってくれたのだ。
それをブラックも理解しているのか、何とも微妙な顔をする。
嫌がっているような、不満げなような、ともかく「掌の上で踊らされている感が気に入らない」って感じの表情だ。
でも、その提案自体には賛成らしく、実に難しげだった。
「…………随分とこちらに都合のいい話だな」
絞り出したかのようなブラックの声に、ローレンスさんは穏やかに笑う。
「こちらとしても、それだけ君達全員の関係性を好意的に思っている……ということだよ。今代の【黒曜の使者】と【グリモア】は、恐らくかつてないほど奇跡的な均衡を保っていると言っても良い。だからこそ、私も協力したいと思ってしまうのさ」
そうローレンスさんが返した、すぐ後。
ドアがノックされて、執事らしき人が入ってきた。彼はローレンスさんの横に来ると、冷静な声で「お時間です」なんていう。
それを聞いて、ローレンスさんは口元をナプキンで拭うと立ち上がった。
「では、そろそろ出発の時間だ。見送りは……君達が目立つことになるから、残念だけど遠慮しておこう。部屋は変わらずに使って大丈夫だが、宿には『融通してくれ』と頼んであるから、もし居心地が悪いなら遠慮なく言うと良い」
「あっ……い、色々ありがとございます……」
何かもう、ここまで至れり尽くせりをされるとお礼しか言う事が無い。
自分でも何度感謝してるんだと思ってしまったが、ついお礼を言うと、相手は先程の笑顔とは違う表情で顔を綻ばせて、俺を見つめながら目を細めた。
「好ましい子には、誰だって尽してやりたくなるものさ。気にしないで、遠慮なく私の権力を使うと良い」
では、と、挨拶すると、ローレンスさんは部屋を出て行ってしまった。
後に残されたのは、俺達二人のみである。
……と、誰も居なくなった瞬間、ブラックがテーブルに額をゴンと叩きつけた。
う、うわあ、何してんだアンタっ!!
「う゛ーっ、悔しいぃいいっ! 僕だってあんな感じでツカサ君に惚れ直されちゃうような事いっぱい出来るのにぃいい権力と立場でごり押ししてきやがってえええ」
「はぁっ!? 何に嫉妬してんだよ!?」
顔を見せろと横から頭を掬ってなんとか持ち上げると、ブラックは実に悔しそうな表情で俺を見つめてくる。
何で急に暴れはじめたのか俺としては意味が分からなかったが……ブラックとしては、ローレンスさんの至れり尽くせりな対応が気に入らなかったのかな。
いや、何と言うか……もしかしたら男としての甲斐性を見せつけられて、嫉妬したのかも知れない。そう考えると、ブラックが悔しがったのも何となくわかった。
そりゃ、なあ……こっちに都合がいい事ばかり言って経済力のデカさを見せつけてくる上に、頼みごとも実質俺達を守るためのものだったとなると……男としては非常に劣等感を刺激されてしまう。
自分がそんな風にスマートに相手を持て成せないからこそ、自分が負けたような気がして、みじめな気分になって来るのだ。
別に勝負してるわけでもないし、ローレンスさんはそんな気も無いだろうけど……男ってのは、時々非常に面倒臭くなる生き物なのである。
俺だって、イケメンは爆発しろって毎回思ってるくらいだしな。
だから、優れた同性に思わず発狂してしまうのは仕方のない事なのだ。
……でも、ブラックがここまで悔しがるのは意外だったな。
ローレンスさんが相手だから余計に悔しいのかも知れない。
それに、昨日はギーノスコーのせいでデートも中途半端だったからなぁ……。
「うう……」
唸り子供のように拗ねるブラックを見て、俺は何だかむず痒くなる。
確かに、ブラックはローレンスさんのように正統派のイケオジってワケでもないし、紳士的な時もあるけど大部分は自己中な甘えんぼおじさんだ。それに、こんな風に大人げなく泣いたり悔しがったりするけど……俺は、今みたいな感情をローレンスさんには抱く事が出来ない。
こんな、温かくなってむず痒いような気持ちになるのは、一人だけ。
なんでか、アンタしかいないんだよなあ。
………………。
……なんか……俺もなんだかんだで、相当ヤバい気がする。
自分を顧みて思わず苦笑してしまったが、しかし嫌な気分では無くて。
俺はブラックの顔を見ながら、無精髭だらけの頬を軽く摘まんだ。
「ったくもう……良い大人が一々ダダこねてんじゃないよ」
諌めるような言葉だけど、自分の声に強い感情が入っていないのが分かる。
そんな俺の声に、ブラックはへの字に曲げた口を少し尖らせたが――やがて、嬉しそうに微笑むと体を起こして俺に寄りかかってきた。
「えへ……ツカサ君しゅき……」
「もうちょっと年相応の発言しろってばもう」
しゅきってお前、メロメロ状態の女子高生か。
そうは思うけども、でもブラックの体を引きはがす気も起きなくて。
…………ま、まあ……昨日は、あんましデートって……感じじゃなかったし……だ、だからまあ、ちょっとくらいなら……。
……いや、うん、そんな場合じゃないのは解ってるんだけどな?
でも……正直、悔しがるブラックが子供っぽくて和んじゃったし……。
だから、ちょっとだけ。
ちょっとだけなら、こんな風にしてても……許されるよな。
別に、誰も許さないわけじゃないけどさ。しかしそうでも思わないと、すぐにいつもの意地っ張りな自分が出てきてブラックを押しのけそうだったから仕方ない。
……我ながら面倒臭いとは思うけど、意地だけは捨てられないからな。
「僕、今日はツカサ君とお部屋でいっぱいイチャイチャしたいなぁ」
「……べ、別に……いいけど……」
そう言うと、ブラックは嬉しそうに笑い声を漏らして頭をすり寄せてくる。
でも、それを止めるような人はこの部屋にはいない。
それなら……一分くらいは、素直に甘えさせたって……いい、かなって……。
……そんな事を考えてしまう自分が恥ずかしかったけど、何とか我慢して。
俺達は少しだけ、二人きりの空間で気恥ずかしい空気に浸ったのだった。
→
※父子(ちちご)・母子(ははご)という単語に関しては
第一部の【空中都市ディルム編】にて出て来ております。
特に言い換える意味は無いんですが、丁寧な言い方という認識です。
主に貴族や神族などがオスメスという直接的な言葉を避ける為に
使ったりするようです。
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