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七鳴鐘楼モンペルク、月蝕は混沌の影を呼び編
9.おさらい、かたらい、おりこうさん
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今日はここに泊まっていくと良い。
そう言われて、俺達は高級宿の最上階にある別室へと案内された。
仮にも一国の王様が泊まっているフロアだというのに、素性も怪しい一介の冒険者が一緒に泊まって良いモノなのかと焦ったが、俺達は命を奪いにくるようなヤツではないと認定されているのか、従者の人達から異論が出る事は無かったようだ。
それでいいのか、とも思ったけど、まあローレンスさんって王様なのに一人でどこへでも言っちゃうような飄々とした人だしな……。
俺達は見た事が無いけど、ローレンスさんもかなりの武人だから、部外者をこうして危険視せずにもてなしてくれるのかもしれない。
とはいえ、兵士の人達から見張られてるんだろうなと思うと、何とも居心地が悪い。多少ムサかろうが、気楽な冒険者用の宿の方が良かったな……。いや、そんなことを言ったら贅沢モンがって言われそうだけどさ。
まあでも、それも明日までの辛抱だ。
ともかく腰を落ち着けようってことで、俺達は部屋に入り――とても一室の広さとは思えない応接室を通って寝室に入った。
ローレンスさんが居た部屋よりは狭い感じがするが、それでも十分広い。
サービニア号の豪華な部屋もそうだったけど、金持ちの部屋ってのはどうしてこう広いんだろうか……この寝室もかなりの広さだ。
最早定番にすら思えるレースの天蓋付きベッドに、触れる事すら恐ろしい金の装飾が入った調度品。それだけでなく、衣装箪笥や棚などもただの木製ではなくて、螺鈿のような装飾が埋め込まれていた。
水琅石をふんだんに使った照明や気の遠くなるような細かさの華が描かれた壁紙は、もう手を触れる事すら恐ろしい。普段の木の壁剥き出しな宿の方がよっぽど気が楽と言う物だ。こういう所の設備って、マジで金額が分からん。
なるべく触らないようにしよう……とか思っていると、ベストの内ポケットから可愛い頭がぴょこんと飛び出した。
「ゥキュ? キュキュー」
俺達にとっては恐ろしい部屋だが、ロクちゃんからすると「いつもと違うお部屋」だと思ったようで、キングサイズなベッドにパタパタと飛んで行って、極上の低反発マットレスの上でぽよんぽよんと飛び跳ねている。
ウッ……か、可愛い……っ。
ロクちゃんがベッドでぽよぽよしてるだけで、今さっき喰らったの疲れが一気に吹き飛んでしまった。やはり天使ってのは癒しのパワーに溢れてるんだな。
くそっ、ここにカメラかスマホがあれば連写してるのに……!
「ツカサ君、ちょっと座ろ……。さっきのクソヒゲの話をちゃんと理解してるのかも確認したいし……」
「おっ!? お、おう……ってオイコラお前どんだけ俺を低く見てんだよ!」
流石に俺だって少しは理解してるぞ!
でもそう言われると不安なので復習させて下さいいや復習してやるんだからな!
「ツカサ君のそういう素直な所、ホント可愛いよねえ……」
「う、うるさいな! そんでどこからだよ、最初から話すのか? それとも時系列順に復習するのかよっ」
金属をお洒落に湾曲させた背凭れの椅子に座ると、テーブルの向こうのブラックは俺の言葉の何に笑う要素があるのか、気の抜けた緩い笑みを見せる。
こっちをバカにしてるような顔にも見えるが、このオッサンは基本的に俺をザコだと思っているので、多分それは間違いないのだろう。
だーもーコンチクショウ、俺だって救いようのないバカじゃないんだからな。
「はー。もうホント、ツカサ君と僕しか居ない世界になればいいのにねえ。そうしたら、僕はずーっとツカサ君の顔だけ眺めていられるのに」
「こ、怖いこと言うなよ……。で、どう確認するの。分かりやすく教えてくれるのか?」
深くツッコミを入れると怖い事になりそうなので、軽く流して問う。
するとブラックは俺を微睡んだ目で見つめながらも、そうだねえと呟いた。
「こういうのは……まず“僕達の状況”を前提に置く方が良いかな」
「……というのは?」
「今僕達はこういう状況です……ってことを把握しておけば、あのクソヒゲ王の行動や【アルスノートリア】のことを説明しやすくなるでしょ」
例えば、俺達が浜辺にいるという前提を置けば、「浜辺でどんな危険があるのか」とか「何故危険な事が起こるのか」を分かりやすく説明できる。
つまり自分達の立ち位置が分かれば、問題を簡単に俯瞰できるのだ。
……というのがブラックの弁だ。
正直分かるような解らないような感じだったが、まあ確かに自分がどんな危険に曝されているのかという説明なら、分かりやすいかも。
「じゃあ……その前提を置いて、簡単に解説してくれる?」
見つめると、ブラックは何が嬉しかったのか満足げに微笑んだ。
「へへ……ツカサ君のそういうとこ僕好き」
「そういうのいいからっ!!」
ドコがナニだよホントにもう!
こっちをおちょくって楽しんでるんじゃないよなお前。思わず睨むが、ブラックは何故か上機嫌のまま話し始めた。
「んじゃまあ、まず僕達の状況を前提にしようか。簡単にまとめれば……僕達は今、非常に危ない状況にある。断定はできないけど『アルスノートリアに狙われている』と言う前提を置こう」
それはローレンスさんが心配してたことだよな。
俺達は、何故か最近ずっと【アルスノートリア】の事件に巻き込まれている。それが偶然じゃないんじゃないかって話をしていたんだ。
まだ予想でしかないし、ホントに偶然かも知れないけどけど……いっそ最悪の事態として「そうだ」と考えてしまった方が、混乱しないかも知れない。
相手がどうして「いま動き出したのか」も、俺達には分からないし……。
ってなワケで、俺はブラックの前提に頷いた。
「俺達があんまりにも【アルスノートリア】との遭遇率が高いから、ローレンスさんは『こっちを狙ってるんじゃないか』と考えたんだよな」
「そうだね。でも、それは相手からすれば根拠のない話じゃなかった。なぜなら、僕らが【ゾリオンヘリア】から出発した後、あの城から【聖女の光球】が盗まれたからだ」
そうだな、きっとその事件があってローレンスさんは確信を得たんだ。
【聖女の光球】は、かつてこの世界に転移した“七人の黒曜の使者”の一人……木属性の使者・カオリさんが、【黒髪の乙女】として創り出した、『暴走したアマイアの魂を封印するため』のアイテムで……封印を解けるのは同じ【黒曜の使者】でないと無理だろうと言われるほどの物だ。
今まで秘匿されていた宝だったけど、それが強奪された。
それもまた、奪う能力がある物がいるとすれば【アルスノートリア】しかいないって話で……それが本当かどうか俺達には判別がつかないが、とにかくそうだと仮定すると、アイツらが光球を盗んだ理由は未だ分からないにせよ、中身である「アマイアの魂」を解放しようとするはずだ。
けれどそれは、同等の能力を持つもの……つまり【黒曜の使者】である俺にしか、封印を解くことは出来ないはず。
……ということで、ローレンスさんは俺達が狙われると思ったのだ。
「あの光球を誰にも知られずに盗み出せるのは【アルスノートリア】くらいしかいない。そして、盗んだからには、何に使うにせよ中身の“魂”が重要なはず。だから、ソレを唯一解放できるツカサ君が狙われていると考えた」
「そこで、ローレンスさんは俺達がシアンさんに報告していた【アルスノートリア】達の事を思い出して、今のままでは危ないって思ったんだよな」
俺の言葉に、ブラックは頷く。
「そうだね。あのヒゲは報告を読むうちに『実行犯達があまりにも異常な行動をし過ぎている』と思った。その理由を考えた結果……アイツらの中に“心を操る能力”を持つ存在が居ると考えたんだ」
「そんな危ない術、曜術には存在しないみたいだけど……でも、何か例外があるんだっけ? ありえない話じゃないんだとか……」
「そう。だから、アイツは僕達に危機感を持たせるために“七人の黒曜の使者”と過去の【グリモア】達の陰惨な話を見つけさせて、同時に【聖女の光球】がその使者達の内の一人であることも説明した」
おかげで、ブラックは丸二日ヒゲがボーボーになるくらい考え込んでたんだよな。
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「うん。……そう思ったから、あのヒゲ王は『本当にそんな力が存在するのか』を聞きに、ライクネスの国王に会いに行った。……で、僕達にもその話と過去のグリモア達の話をして、気を付けろよって釘を刺したって感じ」
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「ともかく、相手がどう出てくるにしても、自衛は大事だと思うよ。……あの洒落腐ったヒゲに同意するのもシャクだけど、アイツがライクネス国王から情報を持ってくるまでは、この街で大人しくしておいたほうがいいかもね」
「うん……。ローレンスさんは、俺達がどうすべきか聞いたら『今の話は全部自分の予想でしかないから、国王と話をして帰って来るまで、この街で大人しく待機していてくれ』だったもんな」
賢いね、とゾワゾワする態度で褒められた後……俺達の「今後どうすればいいか」という問いに、ローレンスさんは「待機」と答えた。
敵の存在は解っていても、相手が何をしようとしているのかは未だに判然としないんだもんな……。それを考えたら、今は大人しくしておいてくれと言うしかなかったんだろう。まあ、俺だってそう言うかも……。
でも、待機は良いとしてどうしてこの街なんだろう。
そこが気になって、俺はブラックに問いかけた。
「なあブラック……ローレンスさんは何で俺達をこの【モンペルク】に滞在させようと思ったんだろう。万が一の時に、被害が大きくなるんじゃないのか?」
もしローレンスさんの言うように「あいつらが俺達を狙っている」んだとしたら、人の多い街に待機させるのは悪手なのではなかろうか。
そう思ったのだが、ブラックは俺の考えとは違う答えを返してくる。
「仕方ないよ、情報を一刻も早く伝えたいのなら、近くに居たほうがいいからね。……それに、どこに居たって被害は大きくなるだろうから、例え野宿だろうと意味は無いと思うよ。相手が残忍で狡猾なら、どんな手を使ってでも他人を人質にして僕達を脅すだろうからね。……だったら、王都からすぐに騎士団を派遣できる街に居た方が、よっぽどマシってもんだよ」
近場に居た方が、守りやすい。
なるほど……そういう考え方もあるのか……。
淀みない言葉にほうほうと頷いていると、ブラックは更に言葉を繋げた。
「まあ……この街を選んだのは、王都に近いからってだけでもないだろうけど」
それはどういうことだろうか。
この【モンペルク】という街には、俺が知らない秘密があるってことか?
興味が湧いて、問いかけようと口を開いた。
と、同時。
「――――……あ……鐘の音……?」
大きな鐘の音が、二つ。
それに続くようにして、別の場所から何度か違う鐘の音が聞こえて来た。
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その不思議な音楽に何を言うかも忘れて、思わず窓の外を見ていると――
ブラックが、ゆっくりと席を立ちあがった。
「丁度いい、どうせなら散歩……いやデートしながらそこんトコも話そうか」
「えっ……で、デート……!?」
思っても見なかったことを言われて目を丸くする俺に、ブラックは薄く笑う。
その笑みは、やっぱりどこか面白がっているような感じだ。
こっちのリアクションにだいぶご満悦らしい。
なんだよもう、そりゃ驚くだろうが。真面目な話してたのにさ。
「まあまあそんなにむくれないで。ツカサ君だって、この街がどんなところなのか気になってたでしょ? 部屋にずっと詰めてるのも気が滅入るし、歩きながら話そうよ~。ご飯も食べたりさ……ねっ?」
「…………」
むむ……た、確かに、どういう街なのか気になってたし、外にも出たかったけど。
でも、なんか乗せられてるような感じがして素直に頷きにくいな。
ブラックのヤツ、まーた何か企んでるんじゃないのか……?
真面目な話をしている途中で急にこんなことを言うもんだから、つい警戒してしまうが……相手は俺の警戒心を知ってか知らずか、ニコニコと上機嫌で笑いながら、俺に「早く行こうよ」などと急かしてくる。
っていうか強引に椅子から立たせやがった。
「実物を見た方が、ツカサ君も分かりやすくなると思うんだけどな~。それにこの街には、ツカサ君が喜ぶものもあるんだけど~」
「えっ……な、なに? 俺が喜ぶもの?」
「……行くよね? デート」
「…………」
こういう誘いに乗るのは、本当に、本っ当に不服なんだが。
でも……くそう、散歩にも行きたいしブラックの言う事にも興味があるんだよお!
俺の馬鹿野郎、好奇心の申し子!!
「さっ、行こうかツカサ君! ロクショウ君お留守番よろしくねえ」
「キュー!」
「えっ!? ロクお留守番!? おいちょっと待て、ロクも一緒に……」
「デートは二人でするものでしょツカサ君! さー行こう行こうねー!」
「あああああ」
ロクも一緒に連れて行きたかったのに、ブラックは俺をぐいぐい押して部屋から連れ出してしまう。何とか留まろうとしたのだが、ブラックの腕力には勝てなかった。
くそう体力おばけめ。
っていうか、ロクショウにもっとワガママ言って良いんだよって言っとけばよかった。一人でお留守番とか絶対寂しいだろうに。せめてペコリアとかザクロちゃんと一緒にお留守番させてやれたら良かったのにぃいっ!
ああ、だけどここは高級宿……ザクロちゃんもペコリアもちょっと大きすぎる。
早く【守護獣】を遊ばせていい宿を探さなければ……。
「んもーツカサ君たら過保護なんだから……。ロクショウ君もキューって言ってたんだから大丈夫だよ。あんまり甘やかすのも良くないんだよ?」
「ぐっ……そ、それはそうだが……」
でも痩せ我慢だったらどうするんだ……と思ったけど、そこまで言うのは流石に俺でも過保護な気もする。ロクショウは優しいから、本当に俺達に気を遣ってくれただけだとは思うんだけど……。
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「えへへ……久しぶりのデートだねえツカサ君」
その弾んだ声にブラックを見上げると、相手は嬉しそうに笑っている。
昨日垣間見た重苦しい表情など欠片も無いその姿に、俺は内心ほっと安堵しつつも、やっぱり恥ずかしくて「そうだな」とも言えず、口をもごつかせるしかなかった。
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