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七鳴鐘楼モンペルク、月蝕は混沌の影を呼び編
7.まるでお膳立てされたかのように
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宿場を出発し、藍鉄に揺られて街道を進むこと数時間。
平坦な草原道の向こう側に、少し霞んではいるが、独特な造形で佇んでいる街がゆっくりと見えてくる。あれが【モンペルク】という街だろうか。
ブラックに抱えられるように前に乗せられている身ではしゃぐのは少々恥ずかしいものが有るが、それでも知らない街には自然と心が躍ってしまうのだ。
俺は背筋を伸ばすと、その街の外観を見ようと目を凝らした。
すると、見えて来たのは――――意外なものに似た姿だった。
【モンペルク】は、まるで蝋燭が立てられた誕生日ケーキのようだったのだ。
……いや別にそのものって話じゃないぞ。
白い城壁に守られた街は、その壁の中にいくつかの高い塔を持っている。
遠くから見ているので詳細は分からないんだけど、見張りのための塔か、それとも鐘を撞く塔……いわゆる鐘楼ってヤツだろうか。
真ん中に一つ、周囲に散らばるように六つほど塔があるが、街の大きさからすると多いような気もする。どうしてあんなに塔を建てたんだろうか。
不思議に思いながら歩いていると、疑問を察したらしいブラックが答えてくれた。
「あの鐘楼は“時分けの鐘”って言って、真ん中の塔と合わせて時間ごとに別の鐘が鳴るようになってるんだよ。全部音も違うから、住民はすぐに分かるらしいよ」
「へ~! でもなんでそんな手間のかかることを……?」
「あの街は、七つの鐘自体が一つの曜具で、アレを代わる代わる鳴らすことで周辺のモンスターを遠ざける効果が出るようになってるんだ。だから、ここいらには脅威になり得るモンスターが出てこないんだよ」
なるほど、あの七つの鐘が付加術の【障壁】(こちらの世界で言うバリア的な物)を込めた【曜具】と同じ働きをしているのか。
にしても、普通の曜具とは違ってずいぶん効果範囲が広そうだ。
曜具――曜術や、大地の気を用いる付加術を込めた魔導具――は、金の属性の曜術師にしか作ることが出来ないシロモノだが、その代わり曜術の適性がない人も気軽に使えるってんで、大体の街や集落はモンスターの襲撃に備えて【障壁】を作り出す曜具を持ってるんだよな。
この大きな街道にも、等間隔にモンスターを寄せ付けない曜具が設置されている。それくらい、曜具と言う物はこの世界の人にとってなくてはならない物なのだが……鐘というバカデカい物に術を入れ込むなんて、かなりの技術が必要だよな。
やっぱり一番古い国家とか言われてる国は違うな……。
「じゃあこっから先は安全地帯なんだ」
「赤い杭の内側ならね。ほら、あの遠くになんか赤いのが見えるでしょ」
ブラックが草原の向こう側を指さすので、手で日除けを作りながら目を凝らす。
と、確かに青々とした草の中からニョキッと生えた赤い線が見えた。
あれが「境界線」ってことか。でもかなり広いな。
「もしかして、鐘の音が届くまでが効果範囲ってこと?」
「ちょっと違うかな。正しくは『振動が微弱にならないところまで』だね。人族では感知出来ない微弱な振動までモンスターは感じ取るから、それを含めてってところ」
なるほど……モンスターも言ってみれば動物みたいなモンだもんな。
獣人族と一緒で五感が鋭いヤツもいるから広い範囲を守れるって事なのか。でも、振動と共に術が伝わるって何か不思議な感じだな。
鐘を撞いた時の音や振動に術を乗せてるってことなんだろうか?
よく解らないけどすごい技術だ。
「しかしあんだけ範囲が広いなら、普通の【障壁】より安全そうだな。王都のひとつ前の街だから、こんなに厳重な感じにしてあるの?」
「それもあるかもねえ」
「ん……? 別の理由もあるの?」
次第に馬車や旅人などが前方に増えてきて、街が近付いてくる。
事故になると危ないので藍鉄から降りて、手綱を引きながら皆と一緒に進行方向へと向かう。行き交う数は行きと帰りでそう変わりないと思っていたのだが、やっぱり「行脚」のせいなのか、街へ入る人は出る人よりかなり多いみたいだった。
大きな白い壁と共に俺達の前に立ちはだかる、巨人も通れそうな大扉の下では、門番の兵士達に検査されるための長蛇の列が出来ていた。
これは……かなりの時間待たされそうだな……。
「立ったまま食べられるモンでも作ってくれば良かったかなぁ……」
「仕方ないよ、中にはあの面倒臭いヒゲオヤジがいるんだもん。警備もいつも以上に厳しくなってるんだろうさ。……入ったらすぐに用事を済ませてさっさと出ようね」
「まーたアンタはそんなこと言う……まあでも国賓が宿泊してるなら仕方ないよな」
っていうか偉い人なのにヒゲ呼ばわりとか本当ブラックは怖いもの知らずだな。
ローレンスさんは笑って済ませそうだけど、普通に不敬罪だぞマジで。
今から会いに行こうってのに、そんな態度で大丈夫なんだろうか。
うう、俺の方が胃が痛くなってきた……。
この前優しくして貰ったからと言って、今もそうだとは限らないもんな。
普段朗らかな貴族ほど礼儀に厳しそうなイメージあるし、あっちが「気楽にして良いんだよ」と言ってくれない限りは、一個でも失礼な真似をしたら心の中で大幅に減点されてそうで怖い……いやローレンスさんは優しいんだけどさ……。
こんな調子で大丈夫なんだろうか……とか思っていると、ロクと藍鉄が不意に同じ方向に首を向けた。何を見ているのか気になって、俺もその方向……大きな門の横にある、恐らくは兵士達の詰所へ通じるだろう扉……を見るが、少し遠くて何を見ているのかわからない。
しかしロクと藍鉄は可愛くとも立派なモンスターだ。
何かに気が付いたのだろうと数秒凝視していると――――そこからこちらへ走ってくる兵士が居るのに気が付いた。
あれはこの国の警備兵だろうか。
自分達からも近付くように歩いていると、やがて相手はこちらに手を振ってきた。
しかしこういうのは「自分の背後の人に手を振っていた」パターンもあるからな……。近付きはするもののリアクションをしないでいたら、相手は手を振りながら急いでこちらへ駆け寄ってきた。明らかに俺達の方を見ている。
やっぱり俺達に用事だったのか。
でもライクネスの兵士がどうして?
不思議に思いつつブラック達と離れずに相手に近寄ると、ハァハァと荒い息を漏らしながら、兵士は俺達の前で立ち止まった。
「し、失礼しました……お名前を伺っておりませんで、分かりにくい出迎えをしてしまいました、申し訳ありません」
「え……お出迎え、ですか?」
聞き返すと、兜で顔が見えない兵士の人はびしっと直立して敬礼をする。
「はいっ! わたくしは厳命を受けてお二人をお迎えに上がりました! 検査の際には、わたくしどもの詰所で奥方様に贈られた腕輪をお見せ頂ければすぐにお通しいたしますので、早急に【モンペルク】へお越しいただければと!」
わあっ待って待って、こんな人の多い所で注目されるようなことしないで下さい!
……っていうか奥方様ってなに!
「奥方様ってなに!? いや、なっ、なんですかっ!」
つい声を張ってしまい、慌ててボリュームを下げる。
しかし俺の剣幕に兵士は驚いたようで、不思議そうに首を傾げていた。
「あ、あれ、なにか手違いがありましたでしょうか? わたくしは、黒髪で妙齢の奥方様と赤髪の旦那様が争馬種に乗っておられるので、出迎えに行くようにとこ……え、えと、もしや逆……」
「それも違いますうううううう」
「ふーん? 命令した奴は解ってるじゃない。ねーツカサ君っ!」
ぎゃーっ! だから天下の往来で抱き着いてくるなってばー!!
恥ずかしいから離れんかと引き剥がそうとするが、例によって体力お化けの中年には俺の攻撃など効きもしない。
そんな俺達を見て兵士の人は不思議そうにしていたが、ブラックの左手を見て何かに気が付いたのか「ああ!」と小手に覆われた手でポンと掌を打った。
「なるほど、奥方様は照れていらっしゃる! いやあ幼な妻は初々しいですねえ」
「はっはっはそうなんですよ幼な妻! ねえツカサ君っ!」
「ご機嫌になるなー!! も、もうそれは置いといて……どこに行くんです!? 早く行きましょうよそこに!」
このままここで話していても、俺が思いっきり恥をかくばかりだ。
だったらもう、さっさと進んでしまおう。そう思って兵士に言い、俺はブラックを背中に引きずりながら足早に門をくぐった。
――――兵士の人が言っていた「贈られた腕輪」というのは、以前このライクネスでいけ好かない国王に貰った【庇護の腕輪】のことだ。
この腕輪が有れば、国王の庇護下にある存在だと知らしめることが出来、国境の砦でも検査なしですぐ通り抜けられるし、このように街への出入りも楽々なのだ。
……まあ、そんなことしたら大物だと勘違いされたりするので、俺は滅多に使いたくないんだが……今回は「位の高い誰か」の御命令らしいので、詰所で大人しくこの腕輪を見せて、俺達は事前に用意されていた馬車に乗り込んで目的地へ向かった。
本当は街を散策したかったのだが、そんな余裕もないようだ。
藍鉄も一旦帰してしまわねばならなくなってしまったし……よっぽど「丁重にお持て成し」されなければならない事態みたいだな。
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…………にしても、どこに連れて行かれるんだろう?
カーテンが降ろされて外が見えない状態のまま、ブラックと黙って馬車に揺られる。いつもは軽口を叩くブラックだったが、今回は意図が分からないのを不穏に感じているみたいで、訝しげな顔をしたまま黙って前を見つめていた。
そんなこんなでケツが痛くなる馬車に十分くらい揺られていると……急に、馬車が止まった。どうやら目的地に到着したようだ。
御者さんに降ろして貰ったそこは……どこかの宿の裏手だった。
「ここは……」
「モンペルクの高級宿だね。馬を繋いでおくための厩舎がある裏庭みたいだ」
ブラックの言葉にキョロキョロと見渡すと、馬が軽く走るための小さい馬場がついた厩舎があり、その周囲には幾つかの高級そうな馬車が停められていた。
でも、建物を含めた周囲は高い塀に囲まれており、木々や草場がなければ牢獄かと思ってしまうくらいの閉塞感がある場所だった。
たぶん……VIPなお客さんが来るから、こうして塀を高くしてるんだろうな……。
そういえば厩舎に居る馬もヒポカムではなくほっそりした馬だし……そう考えると、ここは相当な宿屋であることが見受けられる。
「お待ちしておりました、ご案内いたしますのでどうぞこちらへ」
馬達を見ていると、背後から声がして振り返る。
そこには、これまた美男子と言いたくなる男性が俺達を迎えてお辞儀をする姿が。
……この人もお迎えか……。執事のような姿をしたイケメンに素直について行くと、先ほどから視界の端にチラチラしていたでっかい建物に俺達を案内した。
分かっちゃいたけどここが宿か……なんかホテルみたいな大きさだ。
通された所はどうやら裏口のようだが、しかし床には緋毛氈が敷かれており、黄味を含んだ淡いクリーム色の壁紙が美しい廊下は、ただの裏口ではない事が知れる。
お忍びの人のための道……ってところだろうか。
素直について行くと、執事っぽいイケメンは俺達を昇降機に案内した。
俺の世界にあるレトロなエレベーターに似ているが、これも【曜具】の一つだ。曜術の力を借りてエレベーターのように上下に動くのを可能にしている。
でも扉が開閉式のフェンスみたいで目の前の壁が見えて怖いんだよなぁ……。
おっかなびっくりで入って、不安になりつつ最上階の五階まで連れてこられると――そこには、見た事のある服装をした兵士の姿があった。
ライクネスの警備兵と似た鎧だけど……これは、アコールの兵士達のものだ。
「ああ、クグルギ様、ブックス様お待ちしておりました! 国主卿はこちらにおられますのでご案内いたします!」
「こりゃまるで盥回しだね」
「あはは……ま、まあでも相手は国賓なんだから仕方ないと思う……」
なんせ、ライクネスに従っているとはいえ、相手は一国の王様なのだ。
誰かと面会すると言う話になれば、色々と面倒な事もあるのだろう。仮にパパラッチのような人間がいるとすれば、密談する相手がいるなんて良いメシの種になりそうだしなあ……。そんな事に巻き込まれるのは俺達もごめんだ。
なので、仕方がないと言えばそうなのだが……でもやっぱり面倒だ。
ハッキリ言えちゃうブラックがちょっと羨ましくなりつつも、俺達はようやく「目的地」の扉の前に到達したのだった。
「国主卿陛下、ご友人が到着されました!」
俺達を案内してくれた兵士が、豪奢な扉の前で大きく声を発する。
その知らせに、両開きの扉が開いた。
「どうぞ」
前を譲られ、俺はごくりと喉を鳴らす。
なんだか緊張してきてしまったが、ベストののポケットに入っているロクがいてくれるおかげで、ギリギリ緊張せずにいられそうだ。
でも……ブラックも緊張していないだろうか?
横目でチラリと相手を見やると、緊張……は、していないが、相変わらず仏頂面で、このままだとローレンスさんに喧嘩を売りそうな感じだった。
こ、これはアカン。
俺はブラックの服を背中から引っ張ると、意識をこちらに向かせた。
「大人しくしてないと、メシの時の約束ナシだからな!」
「ええっ!? そ、そんなあ、ツカサ君のけちんぼ!」
「はいはい、ケチで良いから行くぞ!」
扉を開いてもまだ短い廊下が見える最高級の部屋に入り、俺はブラックのデカい背中を押しつつズンズン歩く。もうこうなったらさっさと終わらせるに限るのだ。
緊張はするけどローレンスさんは知り合いだし、失礼な事をしなければ周りの兵士も怒らないはず。だから、今は大人しく話をして帰るっきゃない。
……あの【イデラゴエリ】の遺跡の事と、何故俺達をここまで呼んだのかって事。
それを知らなければ、俺もブラックもスッキリしないだろう。
だから、気合いを入れて臨まねば。
決して空回らないように気を付けようと思いつつ、応接室へと足を踏み入れる。
と、そこには既に……ソファに安閑と座っている、茶色の髪を整えた紳士がいた。
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微笑みを俺達に向けてくるその顔立ちは、彫りが深く穏やか。もみあげまで繋がる整った髭が、一国の主である威厳を更に強めている。
その姿は、優しげな大人の声が似合う、落ち着いた壮年の男性。
だが、は国賓として申し分ない華美な礼装を纏っている相手は、間違いなく威厳に満ち溢れた一国の王だった。
…………あ、あれ……ローレンスさんって、こんな恐れ多い感じだったっけ……。
「お、お久しぶりです……」
軽く頭を下げると、相手はニコッと人懐こい笑みで笑って手招きをする。
あっ、良かった……言動はローレンスさんのまんまだ……。
「さあさあ、座って。美味しいお菓子をあげようね」
大人しく向かい側のソファに座ると、ローレンスさんは即座に執事のような人に命じて、紅茶とお菓子を持ってきてくれる。
めちゃくちゃ用意が良い。良いけど……何故か緊張するな……。
ちょっとドキドキしながら紅茶を啜り、ブラックと一緒にローレンスさんを見ると……相手は、口角を上げて目を細めるだけの意味深な笑みを向けてきた。
「さて、まずは人払いをしようか」
「……!」
護衛も執事のような人も、この広い応接室から出ていく。
やがて、三人きりになった部屋で――――ローレンスさんは、口を開いた。
「じゃあ……話をしようか? 君達にとって、大事な話をね」
…………何故だろうか。
俺はその穏やかな声に、背筋が寒くなるような感覚を覚えてしまった。
→
※【庇護の腕輪】
以前ツカサが貰った【縁故の腕輪】というものの上位互換版。
大陸で最も古く、最も権力を持つ国【ライクネス王国】の国王が直々に命じ作らせる「国王に庇護されている証」の腕輪。基本的に側近や【勇者】といった限られた存在にしか与えられないものだが、王が「与えるに足るもの」と認めた場合に稀にそれ以外の人物にも贈られる。金色だが、実は金ではない特殊な金属が材料。
表面に彫り込まれた紋様によって兵士達はその装着者の身分を即時に判断できるようになっており、腕輪の内側に刻まれた特殊な文言を見れば装着者の名や身分の詳しい説明が分かるようになっている。
手続きなしで王族に謁見出来たり検査なしで国境を越えられたりと凄い力を持つが、ツカサはあまり目立ちたくないので必要な時以外には使用しない。
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