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断章 かつて廃王子と呼ばれた獣
26.呼び覚ましたのはお前だ1
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寝台の上に胡坐をかくクロウ。
その真正面に立ったツカサは、顔を赤くして震えている。
彼が恥ずかしがっている理由は、今しがたズボンと下着をはぎ取られたからなのだが、その熱に浮かされた幼い表情は「これからのこと」を予測して、襲い掛かってくるであろう羞恥と快楽に蕩けているようにも見えた。
「っ……クロ、ウ……」
「立って、シャツをまくりあげてくれ。……オレを満たしてくれるんだろう?」
見上げるクロウの顔を見て、ツカサはふるりと体を震わせ目を細める。
自分から秘部を曝け出すのが、恥ずかしいのだろう。さきほど見た時は、半勃ちの角度を示していた稚茎だ。きっと、クロウに股間を弄り回されて「感じていた」という事を知られるのが恥ずかしいに違いない。
こちらが強制的に熱を引き起こしたのだから、なんら恥ずかしい事はなく、むしろ「何をさせてるんだ」と怒っても良いのだが……それでも、ツカサは怒らない。
ただただ、生娘のように恥ずかしがって震えるだけなのだ。
その可愛らしい抵抗が、際限なく欲を煽る。
今すぐツカサにむしゃぶりつきたい衝動に駆られながらも、クロウはツカサが「自分を受け入れてくれる姿」を待った。
「ぅ……うぅ……話を聞くだけだったはずなんだけど……」
「ウム。話は続けるぞ。だが……オレもそろそろ、腹が減ってきたのでな……」
半分嘘で、半分本当の事を言う。
ツカサの美味そうな匂いにつられて食欲が刺激されたのは本当だが、それと同時にツカサを犯したいという欲望も沸き立ったのだ。
自分で“そういう方向”に話の舵を切ったくせに、今はツカサのせいにして美味しい思いをしようとしている。そんな自分の狡さにクロウは内心苦笑したが、こんなにも己を刺激してくるツカサの姿を見ていれば、仕方のない事だと思った。
それくらい、ツカサは“美味そう”でたまらないのだ。
だから、大人げなく甘える仕草も、らしくない上目遣いも、熊の耳を切なげに動かすことも、ツカサが陥落するのなら何だってやってやった。
……熊の耳を動かすことは、頻繁に。
「ぐっ……」
「ツカサ……早く見たいぞ……ツカサの子供おちんちん……」
卑猥な言葉で相手を煽り、熊の耳で同情を誘う。
……若い頃の自分が見れば、憤死するようなオスらしくないあざとさだろう。
しかし、これが存外心地いい。
昔から「耳を動かし感情を悟られるな」と教えられてきた王族であるクロウにとって、己の弱みでしかなかった獣の耳が、これほどの武器になるとは思わなかった。
それに、クロウの直接的で不器用な言葉も、ツカサには“効く”らしい。
言葉足らずで性急な淫語が、恥ずかしがり屋のツカサを追い詰めるのだ。
昔は嫌悪していた、自分自身の汚点。
だが、その何もかもがツカサにとっては「かわいい」になってしまうらしい。
こんな中年男を捕まえて、可愛いと言ってしまえるツカサの少し不思議な嗜好。
最初の頃は戸惑ったが、今はそれが愛おしくて、嬉しくてたまらなかった。
(ツカサは本当に……オレの全てを愛してくれる……)
武人として誇り在る姿を目指さなければならなかった自分が、今は小さく柔らかで脆弱な少年に子熊のように甘えている。
その落差も、クロウに言い知れぬ興奮を与えていた。
解放感と、興奮と、愛おしさ。
もう何者にも侵されないであろう、絶対的な信頼と愛情。
それらが揃うと、これほどまでに食欲が増し性欲をたぎらせるのか。
――――この感覚も、ツカサが初めて教えてくれたものだった。
「ほ……ホントに、食べるだけだからな……。こ、この流れで、ケツにとか指入れたりするなよっ!? ブラックと喧嘩するの見たくないんだからな!?」
真っ赤になりながら必死に警告するツカサ。
以前、何度か指を入れた事を覚えていたのだろう。ブラックの許しがあった時もあるが、大抵はクロウがやらかした時だったので、ツカサは心配しているに違いない。
さもありなん。ツカサを犯せば殺す、と、ブラックは明確に宣言しているのだ。
しかしクロウは、その宣言に完全に屈服しているワケではない。
群れ……いや、パーティーの“二番目のオス”として傅き、長い目でツカサを奪える機会を狙っているものの、別に未来永劫ツカサを犯さないと決めたわけではないのだ。
ブラックには誓ったが、ツカサを奪えればそんな誓いなど無に帰す。
それに、クロウはブラックと戦う事もやぶさかではない。
相手を「群れの長」と認めているからこそ、愛しいメスを奪い合う戦いは何度やっても有意義なものだと思っていた。
……まあ、ブラックからしてみれば迷惑な事なのだろうが。
(とはいえ、意識してくれなければ戦いにもならない。……ツカサもブラックも、オレが“メスを奪えるほどの武力がある存在”と認めてくれているから、喧嘩にならんように注意をするのだ。……ただの仲間と言うだけでなく、強くて油断ならない獣だと思ってくれているから……)
それが、嬉しい。
仲間と言う温かい関係だけでは得られない、確かな信頼。
好敵手と思われ警戒されることがこれほどに心地いいなんて、知らなかった。
だからこそ今勝ち得た全てがどうしようもなく幸福で……その全てを齎す切っ掛けをくれたツカサが、愛おしくて抱きしめたくて仕方ない。
出来れば今すぐにでも犯して自分の物にしたいという欲望も止められなかった。
……きっと、クロウがモンスターであれば、確実にそうしていただろう。
(だがオレは、誇り在る獣人族だ。約束は守るし、弁えた行動を取る。……今は、そうすることで心地いい関係を続けていたい)
獣として、ブラックに立ち向かう時が来るのかも知れない。
だが今はただ、愛しいメスと好敵手に出会えた幸運に酔いしれていたかった。
「さあ、ツカサ……オレに見せてくれ……」
「うぅ……」
囁きかけるように優しく言うと、ツカサはふるりと体を震わせて……シャツの長い裾をおずおずと両手で掴む。
そうして……ぎこちなく、ゆっくりと……シャツに隠された、秘部を曝した。
「……少し反応しているな……。ふふ……本当にツカサは、オスに恥ずかしいことを強要されるのが好きだな。子供おちんちんがヒクヒクしてるぞ?」
「ちっ、違うってば……! これは、その……ちょっと寒いからで……っ」
困ったように眉を歪めて、真っ赤な顔を背ける。
だがその行動は、自ら性器を露出しているせいでいやらしい姿にしか見えない。
震える足を軽く開き、まだ半勃ちにもなっていない、つるつるの未熟で幼い肉棒を見せつけるツカサの姿は、まるで成人していない少年を淫らなメスになるよう躾けているかのようで、その危うさも相まってクロウの股間は張りつめてしまう。
子供おちんちんの奥に見える柔らかそうな尻肉のふくらみや、男にしてはむっちりとして肉感的なオス好きのする太腿……それに、噛みつきたくなるふっくらとした腹部が、ツカサの未熟なままで育ってきた珍しい体つきを強調していた。
だが、その肉体も、最初は控えめだったことだろう。
オスにメスとしての快楽を叩きこまれるうちに、ツカサの体は更に作り変えられて、こうした淫らな体つきになったに違いない。
その証拠に、今はシャツに隠れた柔い胸も、以前より僅かに膨らんでいる。
少年としての体つきは、大人の男になることも無く……不埒なオスによって、その未熟でいやらしい特徴を保つかのごとく、躾けられてしまった。
……ツカサの体は切り裂かれても元に戻るというが、その着地点を、自分達が少し捻じ曲げてしまったような気がする。
きっと……本来のツカサの体は、もうすこし少年らしかったのだろう。
だが、その本来の姿を、自分達がもみしだき「メス」にしてしまった。
一番最初の、まだ柔らかさも控えめだっただろうツカサのことを思うと、クロウは……興奮しこそすれ、まったく悪いと言う感情を抱けなかった。
結局のところ、クロウもまたブラックと同様にツカサを“堕とす”ことに快楽を覚え、己のメスとしてさらに肉感的になるよう発情させることに愉悦を感じていたのだ。
ツカサが、そうすることで羞恥にむせび泣くと知っていたから。
「ああ……ツカサの体は本当にいやらしいな……。こうして見つめるだけで、こんなに小さくて淡い色のおちんちんを反応させるんだからな……」
「ひっ、や……やだ、顔近付けないで……っ」
体を少し近付けて股間に顔を寄せると、羞恥に耐え切れなくなったのかツカサは手でクロウを制そうと頭を掴んできた。
しかし、その程度の弱い抵抗で退くクロウではない。
可愛らしい拒否に報復するように、わざとらしく熱い吐息を股間に吹きかけた。
「っ……! 息、吹きかけんのもだめ……っ」
「ダメ、ばっかりだなツカサは……。そんな風に可愛らしく拒否するから、オスが興奮してしまうんだぞ。オレだけでなく……お前の周囲のオス、全てがな……」
そう言って、ふうっとツカサの子供おちんちんの先端に息をふきつける。
と、ツカサは大仰に足を震わせた。
吐息と視線だけで、もうこんなに反応してしまっている。
きっと、ツカサの体は熱を帯びて……今は、必死にその熱に耐えているのだ。
顔を見上げると、幼げな顔は声を漏らさないようにと必死で口を閉じ、涙でも出そうなのか目も細めて強張らせていた。
……たったこれだけのことで敏感に反応してしまう。
そんな体を持っていて、どの部分で「男だ」と自信を持てたのだろうか。
オスに肉穴を犯されることが役割のようないやらしい体をしているというのに、今の今までブラック以外に犯されなかったなど、奇跡としか言いようがない。
――――そんな、中途半端に純潔な所も、穢したくてたまらなくなる。
「く……クロウ……」
「……ああ、そうだ。オレの欲望の話だったな……じゃあ、食べながら話そうか。……オレが、どれほどツカサを犯したくて、食い尽くしたいと思っていたのかを」
色々と、聞かせてやりたいことがある。
だが、そうやって話しながら舐めまわすだけの十分な時間は取れないだろう。
夜は短い。
自分が真に『ブラックと対等な武力』を手に入れるまでは、ツカサを一晩中抱いて、その柔らかな体を独占する事など叶わないのだ。
「ぅ……や……わ、わかったから、もう、そこで話さないで……っ」
「うん? じゃあ、どこで話してほしいんだ。尻か、脇か、首筋か? それとも……胸の上がいいか?」
最後の言葉に、ツカサが分かりやすく反応する。
……当然、狙って言った言葉だ。
しかし、ツカサはそれを疑いもせず「恥ずかしい場所じゃない選択肢が出てきた」と素直に喜んでしまっているのだ。
言葉の真意を深く考えもせずに。
(可愛い……ああ、本当に可愛いな、ツカサは……)
そんな単純で簡単なツカサが、愛おしい。
いとも簡単にこちらの雑な計略に乗ってくれる“やさしさ”が、たまらない。
「じゃ……じゃあ、胸の上……!」
ホッとしたような声で“それ”を選んでしまったツカサに、クロウは微笑む。
だが、その笑みは余程本性を現していたのだろうか。表情を変えた瞬間に、ツカサが「しまった」という顔で青ざめるのが見えた。
けれど、もう遅い。
「そうか。では……胸をたっぷり可愛がってやりながら話そう」
「やっ、やっぱり……うわあやっぱやめるっ、ち、違うとこ……」
「問答無用だ」
逃げようとするツカサの体を抱き、そのままベッドに押し倒す。
体を覆ってしまえば、体格差のある相手はもう逃げられない。
――不安そうにクロウを見上げるツカサの可愛い顔を見て、クロウは獲物を完全に捕えた獣のような……愉悦に満ちた笑みを浮かべた。
「シャツが邪魔だな」
ツカサの顔の青さが増した気がするが、もはや興奮する要素にしかならなかった。
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