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麗憶高原イデラゴエリ、賢者が遺すは虚像の糸編
何でここに回答が?! 2
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青柳さんが言う「見せた居場所」というのは、滝へと向かう遊歩道から外れて、川の向こう側にある場所らしい。
遊歩道が無い獣道という事で少し心配してしまったが、そこはさすがの高級別荘地というところで、ちゃんと「分かる人には分かる」程度の掃除はしてあった。
たぶん管理人さんがやってくれているんだろう。
なので、俺は川に不自然に渡されているしっかりして重い板の上を楽々通り、若芽も生えておらず崩れる心配もないなだらかな山道を歩くことが出来た。
…………なんつうか至れり尽くせりだな……。
冒険者として異世界で道を歩いているから分かるけど、こういうのって本当に人の手が入るだけで全然違うものなんだ。
歩きやすさが段違いだし、全然苦にならない。
管理人さんは恐らく青柳さんが言う場所を「秘密の場所」として隠していて、それでも“分かってる人”が通っても危なくないように整備してくれているのだ。
……高級別荘地の管理人ってホント大変な仕事だな……。
ブラックが貰ったままで放置しているあの廃墟の別荘地も、管理人さんが居てくれたら綺麗なままで済んだんだろうか。
でもなあ、あそこホントにポツンとある別荘地だし、ブラックの家以外は朽ち果てて放棄されてる感じだったからな……折角もらったものなんだし、その……たまには、二人でのんびりしたい時は、そういう場所とか……あっても、いい……とか、俺だって思うし…………いやいまのナシ。無し!!
とっ、ともかく!
この別荘地の管理人さんは凄い人ってことだろうな。うん。
「ツカサ君、なにを考えてるんだい?」
「えっ!? あっ、ここの管理人さんってすごいなーって……」
別に隠す事ではないので、秘密にしながら道を綺麗にしてくれるのって偉いなぁという事を素直に青柳さんに話すと、相手は少し意外そうな顔をした。
「へえ……君、結構純朴そうな子に見えたけど、かなりの観察眼があるんだね」
ん?
これはもしかして貶されてる?
俺、青柳さんに貶されてる?
「ああいやいや、バカにしたんじゃないよ。君は素直に物事を受け入れてしまいそうな子なのかなと思ってたから、少し意外で。周りをよく見ているんだね」
「あ、あはは……ありがとうございます……?」
褒められてる……のかな……?
いやまあでも訂正してくれたんだし、褒めてくれているんだろう。
周囲に陰険眼鏡が多いのでつい疑ってしまうが、青柳さんは物腰柔らかい好青年と言った感じだし、きっと他意は無いのだろう。うん。
「それに……ずいぶん……を売るのも上手みたいだ」
「……売る?」
「ふふ、なんでもないよ。さあ行こうか」
また青柳さんは森の中を歩き出す。
ボソッと言われたので全部は聞き取れなかったけど、いま言ったのって多分「媚を売る」だよな……。えっ、やっぱり俺嫌われてる?
でもそれならこんな秘密の場所に連れてこないしな……。
うーん……シベが「変な人」と言ってたけど、こういう意味だったんだろうか。
でも、初対面の人に直球で貶し言葉を言うのは俺は嫌いだぞ。やっぱりイケメンと言うのは敵だと認識した方が良いんだろうか。
そんなことを考えつつ、五分ほど歩いて行くと……滝の音が聞こえ始めた。
だけど、周囲は鬱蒼とした森に囲まれていて遠くの風景が見渡せない。まるで、木々が作り上げたトンネルみたいだ。
おそらくここは滝の近くの崖だろうな。
でも、木が邪魔して道があるなんて誰も気づかないんだろう。
うーむ、まさしく秘密の場所って感じだ。
でも、ここに驚くような花の群生地なんて本当にあるのかな?
そう思っていると、青柳さんが急に止まり俺の前に立ちはだかってきた。
お、おおう……この人も結構な長身だな……全然前が見えない……。
「ツカサ君、目を瞑ってくれるかな」
「えっ」
「ふふっ、もう見えて来ちゃうからね。びっくりさせたいんだ。大丈夫、僕が手を引いてあげるから、躓く心配はないよ」
「は、はあ……こうですか?」
どんだけ俺を驚かせたいんだろうか。
でもまあ、俺もどうせなら一気に驚きたいし、素直に目を閉じておこう。
「今時心配になるくらい信じやすい子なんだね、君は」
「ん?」
「いやいや、ほら、気を付けて、足をちゃんと上げながら進んでね」
青柳さんに手を取られて、導かれるままにまた歩き出す。
……青柳さんの手って、細くてスベスベしてるな。
いや、アレだ。俺が手を繋ぐのって基本的にブラックかクロウだけだから、それで妙にスベスベしてる感じに思えちゃうだけなのかも知れない。
だって、ブラックの手は戦う男の手だもん。
皮が厚くて、ガサガサしてて、骨がゴツいから柔らかい所なんて掌の真ん中か指の腹ぐらいしかないんじゃないかってほどで……でも、おっきくて、あったかい。
…………他人にもブラックにも絶対言えないけど……でも、俺……そんな格好いい手だから、ブラックと手を繋ぐの、好きなんだよな。
“そういう気持ち”で自分から手を繋ぎたいって思ったのも……やっぱり、ブラックが初めてなんだ。……恥ずかしくて一生言えそうにないけど。
だからなのか、なんだか他の人の手に違和感を感じるようになっちまった。
ブラックの手って、いつの間にか俺にとって特別になっちゃったんだなぁ。
「よし、ゆっくり止まって。もう目を開けていいよ」
「は、はいっ」
おっと、ついつい青柳さんには関係のない事を考えてしまった。
……いや、普通の男に手を触られるのに忌避感がありすぎて、現実逃避してたのかも知れんな……と、ともかく到着したんならヨシ。
手を放して貰って、目を……いやあの、手を放して貰っていいですかね。
手……ああもういいや、とにかく目を開けよう。
青柳さんが俺に見せたかった花の群生。
それがどんなものなのか見極めてやろうではないか。
俺はそう思い気合いを入れると、ゆっくり目を開けた。
だが。
「――――ッ!?」
薄らと開いた目に、木漏れ日と共に鮮やかな色が飛び込んできて、想像もしていなかった色に一気に目を開ける。
するとそこには――――――
数えきれないほど咲き誇った、綺麗な紫色のアサガオが広がっていた。
「う……わぁ……!」
――――しかもこれは、地面ではない。
滝のすぐそばという事で、目の前には高く険しい崖がある。だがその崖の岩壁をアサガオの蔓が覆い尽くしており、まるで上からアサガオの花の滝が落ちてきているみたいだった。……本当に、こんな光景……みたことない……!
「ふふっ、驚いてくれたみたいだね」
「おっ、驚くなんてもんじゃないですよ! うわあっ、すっげえ、アサガオの滝みたい! めちゃくちゃ綺麗ですよ! わあーっ!」
感動で言葉が出ないけど、本当に凄い。
思わず駆け寄って崖を見上げるけど、本当に隙間なくアサガオの蔓が垂れ下がっていて、緑のカーテンって感じだ。アサガオも満開で、とてもこれが自然にできた花の壁とは思えなかった。
確かにこれは見た事が無い光景だ。
俺は花畑や木々に咲く花しか見た事が無いし、壁に蔦が這って花が咲いた光景を見た事があっても、ここまでの群生は生まれて初めてだった。
偶然にしては、神がかり過ぎている。
いや、この光景が滝の真横にあるってことは、ホントに神がかりなのかも?
それに……一面明るくて薄い紫色の朝顔なのが、ちょっとだけ嬉しい。
……何でかっていうのは、その、考えたくないけど。
でも、夢みたいな光景で、嬉しさもいつも以上だった。
「君は普通の子っぽいのに、本当に喜んでくれてるみたいだね。ツカサ君くらいの年の子だったら、驚きはしてもそう喜ばないんじゃないかと思っていたよ」
「えっ、そうなんですか!? 他の人の事はよく解んないですけど……でも、俺はこの光景すごく好きですよ。だってほら、山の上から花が流れてきるみたいで凄く綺麗じゃないですか!」
近付いてみても、その密集具合の凄さに圧倒される。
でも緑が見えないほどじゃなくて、その塩梅が本当に素晴らしい。
たまに民家の軒先とかで、こういう風に柵に蔦を這わせていたりするけど、こんなに豪快な風景はそうそうお目にかかれないだろう。
これは青柳さんに感謝しないとな……!
左右に跳びながらたっぷりアサガオの滝を見て、興奮冷めやらぬ俺は青柳さんにお礼を言おうと振り返った。
すると、何故か青柳さんは目を見開き俺を凝視していて。
……あんまり思ってはいけないことなんだが、光のない黒い目で見られているので、正直ちょっと怖い。変な迫力がある気がする……。
俺なんか変な例えをしちゃったんだろうか。
もしかしてあんまりにアホな発言をしたから、呆れちゃたとか?
なんにせよ何か言ってくれないと怖い、と思っていると、青柳さんはぶるりと震えて、ぼそりと何かを呟いた。
「…………しだ……」
シダ?
ちょっと距離があるのでよく聞こえないが、シダとは一体。シダ植物か。
なんかどんどん顔も紅潮してるし、もしかして具合が悪くなってしまったのかな?
シベが、青柳さんは芸術家とか言っていたから、もしかするとこの短時間で太陽の光に耐え切れなくなったのかも知れない。屋内で過ごすことも多い職業だと、今時の夏の暑すぎる日差しはかなりヤバい部類になりそうだ。
そう考えると少し心配になり近付くと、しっかり俺を目で追っていた青柳さんは、急にガクガクと動くと目にも止まらぬ早業で俺の手を握ってきた。
「わあっ!?」
「ありがとうツカサ君っ、きみは僕の天使だ! ああ……湧いてくる、描くべきものが、彫り出すべきものが次々に湧いてくるよ! こうしてはいられない!」
俺の手を握ったままブンブンと振り回して何度も感謝すると、青柳さんはすぐに踵を返して帰ってしまった。……俺を残して。
「…………て、天使ぃ?」
自分でも似合わなさすぎるとしか言いようのない形容をされて、俺は思いっきり顔を歪めてしまう。いやだって、天使だぞ天使。絶対俺用の言葉じゃないだろ。
でも、青柳さんは俺の発言か何かでアイディアが湧いたみたいだから、その興奮でつい俺みたいなのでも天使と言ってしまったのかも知れない。
「まあ、芸術家って独特なセンスの人も多いしな……」
もし俺も長年悩んでいた事を偶然解決して貰えたら、相手が髭モジャの男だろうがつい「天使!」って言っちゃうのかもしれない。
そう考えると、あまり意識する事でもなさそう……かも?
まあ、凄く綺麗な場所に連れてきて貰えて感謝してるし、今の発言は聞かなかったことにしよう。人間、失言ってのは付いて回るモンだしな。
「おっと、どうせなら母さん達や尾井川達にも見せたいな! パシャっとこう」
アサガオだから、咲いている時間は短いに違いない。
俺は今の素晴らしい光景を逃さずスマホで撮影すると、来た道を戻ることにした。
……そうだ。
元々アッチに行くつもりだったし、このまま滝まで行っちゃおうかな?
シベにはゆっくり散歩してくるって言ってあるから、長めの散歩になっても心配する事は無い……はず。
光明真言のことも気になるし、今から早速アッチに言ってみよう。
そう思うが早いか俺は遊歩道へ戻ると小走りで滝へ向かい、息を整えてから慎重に滝の裏側の洞窟へと渡った。
ここまで来ればもうこっちのモンだ。
異世界へのゲートという名の穴を開くと、俺はそこへ飛び込んだ。
「ブラック、ロクショウ!」
キュウマの“白い空間”でしっかりと支度を整えて、再び異世界へ飛び込む。
と、目の前に赤い髪が見えて俺は両手を広げた。
「わっ、ツカサ君ようやく帰ってきた! 遅いよぉ~!」
「キュ~!」
また顔面から落ちるかと思ったけど、やっぱりブラックは俺を受け止めてくれる。
そのまま降ろさずギュッと抱きしめてくるブラックにちょっと顔が熱くなりながらも、俺は周りを飛び回って歓迎してくれるロクにもただいまを言った。
俺の世界とは違う涼しい空気に体が冷えたけど、ブラックとロクが温めてくれているみたいで、なんだか嬉しくなる。
いつもとは違う環境にいて、普段なら関わらない人と話していたせいかな。どうにもコッチでブラック達と会うと「戻ってきた」って感じがしてしまう。
もう離してくれても良いぞと腕を叩いても、ブラックは俺を抱きしめる腕を解こうとはしない。そんなところも「いつものこと」だと思えて、胸がぽかぽかした。
……なんだかんだで、俺もハイソな空気にちょっと緊張していたのかな。
いつもなら恥ずかしくて「離せっ!」て言っちまうんだけど、今日はなんだかブラックに「離せ」と言い難くて……しばらくそのままで居続けてしまった。
ブラックがニヤニヤしてるのが分かるけど、何にも言えない。
…………お、俺だってたまには……こういう風になる時もあるんだって。
「えへへぇ……ツカサ君っ、ツカサくんん~」
「ううっ、すり寄って来るんじゃない……って、ここは……川か。釣りしてたの?」
囚われの身のまま「今どこにいるんだろう」と周囲を見渡すと、見渡す限りの草原が見える。正面には昨日見た段々の川があって、そこに釣り糸が垂れていた。
どうやらブラックは街まで行って釣りの道具を手に入れて来たらしい。
再び相手の顔を見やると、ブラックはあからさまに口を尖らせて拗ねた表情を見せつつ、俺に甘えるような声を出して来た。
「だって、ツカサ君が帰ってこなくてヒマだったんだもん……。今日は朝から領主の所に行って話を聞く予定だったのに、ツカサ君が全然帰ってこないからさ。だから、僕とロクショウ君だけで話を聞きに行って、ヒマ潰しの道具を借りて来たんだよ」
ずうっと待ってたんだからね。
そう言いながら、俺にすり寄ってくる無精髭だらけの頬。
つい避けてしまうが、抱きしめられたままでは対して逃げられず、いつもの痛痒い感覚を強制的に味わわされることになってしまった。
ぐうう、やめいっ、チクチクするんだってばそれっ。
「わ、悪かったって! 朝じゃないと出られなかったんだよ。それに、いつもと違う場所から来てるから、こっちに来るための手段が難しくてさ……」
「む~……まあ、それほど遅くならなかったから良いけど……そのかわり、しっかりとイヤイチャさせてもらうんだからね!」
「ぐ……」
その「イチャイチャ」には、多分いやらしい意味も含まれているんだろうが……まあ今は聞くまい。というか聞いたら最後になりそうなので聞かない。
ロクショウに聞かせられないような事も平気で言うんだからなァコイツ……。
ともかく、然程時間のズレは起こって無いみたいだけど、やっぱりいつもと違うからなのか、普段よりだいぶ時間が進んでいるような気がする。
キュウマがなんとか調整するとは言ってくれたけど、やっぱり難しいようだ。
でもまあ数日後ってワケでもなかったし、これだけの誤差で済んでるから、キュウマには感謝しておかないとな。
「あっ、ツカサ君また他の男のこと考えてる!」
「キュウマに感謝してただけだってば! ていうか心を読むな!」
なんでこうコイツは毎度毎度俺の心を読むんだチクショウ。
表情を読んでるにしても分かり過ぎではないか。やっぱり超能力者だろコイツ。
改めてブラックの特殊な能力に反発心を抱いたが、今はそんな話をしている場合じゃないよな。ていうか早いところ確かめないと俺が忘れそうだ。
なので、今の事はひとまず飲み込んで俺はブラックに問いかけた。
「ゴホン、まあそれは置いといて……ブラック、あの図形の事なんだけど……」
「ああ、アレ……。資料を全部引き出して貰って調べたけど、やっぱり図形の事は何も分からなかったみたい。というか、最初から気が付いてなかったっぽいよ。ツカサ君が土を払うまで見えてなかったから、遺跡を大事に扱い過ぎてたんだろうね」
「何も分からなかったのか……」
まあでも、そうだよな。
調査隊の人達がちゃんと調べてたら、最初から露出してただろうし……情報が無いのも当たり前だったのかも。
……だとしたら、やっぱり俺が持って来た情報しか手掛かりがないのか……。
ああでも、間違ってたらどうしよう。ホントにどんづまりだ。
それに、ブラック達の前で唱えるのもちょっと恥ずかしい気もしたが……まずやってみなきゃ何も変わらないしな。
「ツカサ君、どしたの?」
俺が気合いを入れていることに気が付いたのか、ブラックが首を傾げてジッと俺を見つめてくる。……今朝見たアサガオよりも鮮やかな菫色の瞳は、高原を照らす陽の光にキラキラと輝いていた。
……その瞳で見られると、やっぱりドギマギしてしまう。
でも、今はそれどころじゃない。
忘れてしまわない内に、と俺は意を決してブラックに告げた。
「あ……あのさ、失敗する可能性の方が高いんだけど……ちょっと試してみたい事があるんだ。……だから、今から図形の場所に行ってみないか?」
「試したいこと?」
「ウキュ……?」
ブラックとロクショウは、不思議そうに首を傾げる。
その無邪気さについ笑ってしまったが、俺は強く頷いた。
「アッチの知識だから、全然違うかもしれないけど……」
俺のその弱気な言葉に、ブラックは目を少し見開くが――やがて、俺を安心させるかのように穏やかな笑みを浮かべると、腕の力をぎゅっと強めた。
「異世界の……。いや、当てはまりそうなことがあればやってみて損は無いよ。じゃあ今からやってみよっか!」
「キュー!」
そう言って俺を抱えたまま立ち上がるブラックに、ロクもキャッキャと飛び回る。
まだよく解らないだろうに、それでも俺の提案を素直に受け入れてくれる二人に、胸がギュッとなる。でも、それは痛みとかじゃなくて……嬉しい、の方が強い。
相変わらず抱えられたままだけど、でも……今は少しだけ、このままでもいたいなと思ってしまった。
→
※
いつもイイネとエールありがとうございますうう!
。゚(゚´Д`゚)゚。ウレシイッ
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