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邂逅都市メイガナーダ、月華御寮の遺しもの編
28.未来を垣間見るとしても
しおりを挟む何度経験しても、砂漠の夜ってのは物凄く寒い。
ザッハークのままのロクショウに囲んで貰って風や砂は防げるけれど、それでも外気温ってのはどうにも出来なくて、俺は今にも鼻水を垂らしそうだ。
ロクの防壁と中心の焚き火がなければ、まともに夜を越せそうになかった。
はぁあ……寒い……。
ロクちゃんに乗って王都に帰るのは良いんだけど、明るいうちに帰るとこちらの奥の手をバラすことになるってんで、今は夜を待って砂漠で休んでるんだよな。
ついでに夕食も軽く済ませようという話になったから、俺が久しぶりに残った食糧で料理をしているのだが……にしても寒くてつらい。鼻水が出てくる。
料理中なので必死に啜って流出を防いでいるのだが、それでもやはりこの寒さは普通の冒険者ルックな俺としては辛いものだった。
い、今までは馬車的なモノとか色んなモノで防寒してたからなぁ……。
こんな丸腰の恰好じゃ、風邪を引いてしまうかもしれん。
そんな俺を見てか、背後からはクロウの提案が飛んでくる。
「ム……ツカサ、寒いのか? オレが熊の姿になって温めるからこっちに来い」
「おい、お前は獣に変化したら服が脱げるだろうが。やめておけ。熊の毛皮が良いと言うのなら、俺がなるからこっちへこい」
「黙ってろ駄熊ども。ツカサく~ん、またマントの中においでよ。あったかいよ~」
「…………」
台詞だけ見れば俺はモテモテなのだが、背後で俺を誘う三人は全員オッサンなので全然嬉しくない。まあ確かに寒いんだけども、しかし背後で言い争う中年の圧力のせいで、頼もうかと言う気も失せてしまっていた。
というか、なにを立候補しとるんだ殿下。
アンタ一番上の立場でしょ。気軽にケモノになるんじゃないよ。
「はー……旦那達は相変わらずっすねえ……」
「まったくだ……なんか騒がしくてごめんね、ナルラトさん」
焚き火の上でぐつぐつと煮える鍋の中をかき混ぜながら言うと、その鍋を棒で吊る役目をしてくれていたナルラトさんは苦笑する。
「いや、なんていうか……新鮮で楽しくはあるから気にすんなよ」
「そう……?」
「ああ。……こんな風に、沢山の人数でワイワイするのなんて初めてだからな」
そう言いながら笑うナルラトさんは、どこか寂しそうだ。
……昔はラトテップさんと一緒に修行したりしてただろうに、こういうキャンプ的な事はしなかったのだろうか。……遊ぶ時間が無かったのかな。
“根無し草”っていわゆる暗殺者も兼ねてるワケだし、もしかすると子供の頃は全て修行……みたいな感じだったのかも知れない。
だとしたら、無暗に謙遜したりするのも悪いかな。
相手がまともな性格の大人だからこそ、こっちが失礼な事を言っても傷付いた事を隠して冷静に取り繕いそうだし……。
そんなことになったら、とても申し訳ない。
現在のナルラトさんは、師匠のヨグトさんが敵側に居るって知って心が揺れているのだ。そんな時に更に動揺させるような事は言えないよ。
出来るだけ昔の話は探らないようにしよう……などと思いつつ、鍋の中のスープを味見して、調味料で整えていると――不意に、ナルラトさんが問いかけて来た。
「なあ、ツカサ」
「ん……?」
「…………もし、自分が尊敬している相手が敵になったら……お前は、どうする?」
ちょっ……い、今、触れないようにしようって思ってたのに、ナルラトさんの方から話を振って来るのかよ!
いや、でも、それがナルラトさんの意思なら受けて立たねば。
俺は一瞬硬直してしまったが、息を吸って冷静さを取り戻すと……少し考えてから、相手の目を見て答えた。
「……正直、その時になって見ないとわからない……かな」
「分からない、か……」
「うん。……相手と会ってみなきゃ、何とも言えないかなって。その時、その人の目が真剣ならもう戦うしかないって思うし……迷っているなら、話をしてみたい。その後にどうなるかは分からないけど、とにかく確かめたいとは考えると思う。……だって、俺にとってのその人は、間違いなく立派な人だったから」
……俺が想定したのは、木の曜術だけでなく曜術の基本や薬の事を教えてくれたカーデ師匠だ。最初はとんでもない人だと思ったし、危うい所もあったけど……でも、俺に対して行ってくれた指導は素晴らしい者だったし、俺は師匠がどんな暗い過去を持っていたとしても、尊敬している。
その気持ちは変わらないからこそ、会って確かめたいと思ったんだ。
……もし敵同士になったとしても、顔を合わせれば何をすべきか分かるはず。
俺達の師弟としての絆は、それくらい強いものだと信じているから。
――――そんな、ちょっと照れくさくなるような事を思って答えた言葉。
ナルラトさんは、俺の答えに少し驚いたように目を丸くしていたが――強張っていた表情を緩めると「そうだな」と呟いて少し笑ってくれた。
「そう、だよな。……会ってみればわかる。会わなけりゃ、何も分からないままだ。俺の師匠が何を考えているか……それも、直接聞かなきゃ分からないんだよな」
自分に言い聞かせるように呟いて、ナルラトさんは背を伸ばす。
そうして、やっといつもの調子に戻ったのか、相手は俺の顔を見やった。
「ありがとな、ツカサ。とにかく今は……俺に出来る事をやるよ。手伝えることが有れば、何でも言ってくれ」
「うん。……でもなんか、地味な事頼んでごめんな……ここ、砂漠だから木の枝とかなくて、鍋が吊れなくてさ……」
「ははは、このくらいお安い御用だって。出来ればこのまま、お前の鼻水も止めてやりたいが……お前を温められるほど大きな獣の体じゃないから残念だな」
「――――っ!?」
な、な、何を急に仰る……あっでも、ナルラトさんの鼠姿って見てみたいな。
やっぱ普通のネズミちゃんサイズなのかな。それともカピバラみたいにちょっとだけ大きくなったりするのか?
いや、もしかしたら、獣人族の鼠ってのは二足歩行で歩いて子供くらいの大きさって可能性もあるよな……! そ、そんなの可愛すぎないか。
あああ、考えるとナルラトさんのネズミ形態が気になって来たぁあ……。
「あっ、ツカサ君浮気しようとしてる!? そんなの絶対ダメだからね!」
「えぇっ!? いや浮気なんて全然……」
「なるほど……旦那的には添い寝も浮気か……やっぱり厳しいなぁ」
「な、ナルラトさん!!」
何を言ってるんだと諌めようとするが、地獄耳のブラックはナルラトさんの発言を既に聞いてしまったのか、今まさに剣を抜こうとしている。
おい、沸点が低すぎだって。スープより煮えるのが早いってば!
「だーもーブラックやめろってー! ナルラトさんもおちょくるのやめて下さい!」
「どいてツカサ君ソイツ殺せない!」
「おちょくってるつもりはないんだけどなぁ」
なぁ、じゃないよなぁ、じゃ!
くそう、オッサンじゃなくて若者でマトモだから、ナルラトさんはこういう上端は言わないと思っていたのに……いや、気が軽くなるとついからかっちゃうタイプなのか。
リラックスしてくれるのは嬉しいけど、でもやっぱりおちょくるのは困るって!
「ムゥ……なんだか楽しそうだな……」
「おい、俺を差し置いて楽しむとは何事だ!」
ああもう熊さん兄弟チームまで参戦して来た。
でも……ナルラトさんは楽しそうだし、今だけはまあ……良いか。
「もう面倒臭いから全員始末しようかな……後々の為にも……」
…………やっぱりよくないかも。
頼むから物騒な事を真面目な顔して言わないでブラックさん。
かつてこの大陸には、【駿剛金猿族】という理解しがたい一族が存在していた。
その剛腕は大岩を軽々と砕き、足は力を籠めれば荒野の固い地面に軽々と足跡をつけるほどの強さ。それに加え、通常でも他の獣人を見下ろす巨体で、胸から腹にかけて毛がないというのに筋肉は固く鎧皮のようで、その代わり足首まで覆う黄金の毛並みはどんな牙を通す事は無い。
【神獣】という冠が無いのが不思議なほどの、一族だった。
――――だが、その理由をかつての獣人達は知っていたのだ。
何故彼らが「聖獣ベーマスに神獣として選ばれなかった」のか。
それは……――
【駿剛金猿族】が、あまりにも悪魔的だったからだ。
……彼らは、それほどまでに強い力を持ちながら、恐ろしい知能を備えていた。
その知能が他の多くの神獣のように武人としての矜持を守り、群れを維持するために使われていれば、今も彼らは様々な種族に恐れられていただろう。
だが、彼らはただひたすら邪悪だった。
(物心ついた時には、既に彼らの悪評を聞いていたような気がする。平気で他の者の食料を略奪し、武人としての勝負を好まず一人に対し集団で殴り掛かり、獲物の誇りを嬲るように食して時にはその亡骸を残された者達に平気でおくりつける。……他種を蹴落とすためならば、根無し草のような汚い手すら平気で使う。……我々ですら、恐れおののくほどの暴虐の一族だった)
オスの獣人が最も恥じることは、戦いに於いて卑怯な行いをする事だ。
けれど、猿たちはそれを恥とも思わなかった。
信じられないことに……種族全体が、それを許容していたのだ。
それどころか、平和に共存していた二つの群れを仲違いさせたり、力が弱い獣人達を積極的に捕えて酷使したり、まるで人族のような汚い事を平気で行った。
今もなお「奴隷」という存在が獣人達の中に存在するのは、かの一族が膨大な種族を捕えて売買していたせいである。
それが今も獣人の文化に採り込まれているのは、猿達の遺した罪の一つだった。
(そんな奴らだ……当然、密かに暮らしていた我々を利用しない訳が無かったな。)
今も鮮明に思い出せるあの日。
海から寄り来る脅威に怯えながらも、過去の罪によって辺境の地へと追いやられていた自分達を、彼らが見つけ出した。
当時弱っていたメスや子供を人質に取られ、そのうえで「悪い待遇にはしない」などと空々しい事を言われて、あの地を去った時の事は忘れたことがなかった。
(数十年、弟子を育てながら幾度も手を血に染めた。それが栄誉ある戦いでの返り血であればどれほど誇れただろうか。だが、そうはならなかった。我々は、どこまでも泥の中を這い寝首を掻く、最低の獣として扱われた……)
村に帰れる程度の自由は在った。
だが、それがどれほどの自由だろうか。
どこへ行っても【駿剛金猿族】は自分達を探し出す。その恐ろしい知能で、隠れる事が得意なはずの自分達をいとも容易く見つけるのだ。
そこで戦えないメスや老人たちにどのような仕打ちをされるかと思えば、最早どうすることも出来なかった。
(……だが、結局はそれも言い訳に過ぎない……。彼らに抗う事すら出来ず、唯々諾々と彼らに従って来た我ら“根無し草”は、どこまで行っても卑怯者だった。それを猿達に見破られ、脅しを盾に取り金によって動いていたに過ぎないのだ)
おかげで、自分は幾人もの弟子の命を奪って来た。
いつかは子を授かり己の群れを持てただろう立派なオス達を、反逆する方法すら教えることなく、ただ従順な暗殺者に仕立てあげてしまったのだ。
それは、何度死んだとて許される罪ではないだろう。
「……そんな私が……弟子と同じように、栄誉など受け取れるはずもない……」
――――かつての滅びた王国の頃から暗部として生きて来た種族。
その闇の一つを継承してしまった自分には、最早雪げる汚名もない。“根無し草の鼠人族”を統べるにふさわしい、下劣な存在が自分なのだ。
だからこそ、こうなった。
「…………」
外套の覆いに深く顔を隠し、鼠耳すら上手く隠した男は、己の姿を巧みに陰に隠しながら不可思議な土の洞窟を移動する。
それは【影成り】という“根無し草”だけが使う特殊な術の一つで、神獣のような獣でもなければ察知する事も出来ない。
だが、こうして陰に潜み自由に動く事が出来る“根無し草”は限られていた。
(今こうして動くことも無意味なのだろうが、人に姿を見られるのは避けたい)
目下まで顔を隠した壮年の男は、そんな事を思いながら綺麗に整えられた通路を進む。ただ穴を掘ったにしては、これほど壁や天井がつるりとする事などありえないのだが――それを今考えても仕方のない事だ。
人気のない通路を右へ左へと進んでいき、やがてとある部屋の前で止まった。
「…………ああ、来たか。ヨグトよ」
部屋の中で蜜蝋に灯りを灯し、こちらに背中を向けている獣人。
犬にしては少し長い黒の立て耳と、毛のない尻尾が特徴的な相手は、こちらの姿を見もせずに立ち上がって振り返った。
「……なんなりとご命令を」
影から抜け出し、まだ青年に成りきれないような姿の主に跪く。
筋肉を披露しつつも、しかしその体に不安があるのか、胸部はしっかりとした厚い鎧で覆っている主の不安定さを目の当たりにしつつ、外套で正体を隠した壮年の男――――ヨグトは、首を垂れた。
「顔を上げてくれ。……お前には、つらい思いをさせてすまなかった。まさか、あんな所にビジ族をあてがうなど……俺も、予想できなかったのだ」
こちらの心情を察して、この大将は“根無し草”などに気を使ってくれる。
それがどれほど異質な事なのかを、相手はきっと知らないのだろう。かつての古い過去にある“彼ら”は、もしかすると自分達のような者を汚れた者であったとしても、労うべきものだと思っていてくれたのかも知れない。
だが、今となってはそれもむず痒いだけだ。
遠い過去の残像など口伝でしか知る由も無かったヨグトにとって、この大将の純粋な労いは、ただ心を刺す痛みにしかならなかった。
「……いえ。戦とはそういうものです。仮にあの場で食い殺されていたとすれば、それがナルラトにとっての“定め”だったのでしょう。それに……貴方様の責任ではない。アレは、まことの卑怯者が行った事ですから」
ヨグトのはっきりとした言葉に、相手は苦笑する。
言外に「貴方は卑怯者ではない」と言ったように思われたのだろうか。
ぼんやりとそう思ったヨグトだったが、それでも構わないと思った。
「お前だけだ。俺の群れの中で信頼できる男は」
「……ありがたき、お言葉……。ですが、どこであやつらが聞いているか……どうか、言葉にはお気を付けください」
「構わぬ。……どうせ、傀儡の身よ。俺が何を言おうが、利用価値があるうちは俺を殺さないだろう。いやむしろ……殺して貰った方が、良いのかも知れないがな」
「そんな……!」
反射的に顔を上げたヨグトに、クラウディアは複雑な微苦笑を浮かべ肩を竦める。勇ましく露わになった肩だが、竦めればそれは成人と呼べる固さではない。
一番弟子たちの未熟な頃を思い出す、頼りない肩だった。
それを自身でも理解しているのか、クラウディアは眉を上げて見せる。
「そう慌てるなヨグト。……お前はいつも、本当に俺の事を心配してくれるな。お前にとっては、そんな義理も無い存在だというのに」
「いえ……。ただ、我々は“知って”います……いや、正確には、私のようなものと長だけですが……ともかく、だからこそお仕えしたい。恩を、お返ししたいのです」
そう。
栄誉すら望めない自分が、この若者に忠誠を誓ったのは“それ”があったから。
強い者に脅されたと被害者顔をしながら醜く生きて、今もなお誰かの下に就いて陰に潜んでいるのは、この悲しい復讐者である主への恩義を返すためなのだ。
例えそれが、再び後ろ指をさされることになろうとも――この“本来なら返せるはずが無い”恩だけは、返しておかねばならなかった。
その決心を知るクラウディアは、ヨグトの必死な言葉に口角を緩める。
「……最早千年以上も経つだろう恩を、よく覚えているものだ。……遺されたお前達が“根無し草”となったこと、詫びても詫びきれないが……しかし今は、その有り難い忠誠に礼を尽くそう。……俺がやるべきことを、やりきることで」
「……はっ……」
再び頭を下げるヨグトに、黒い犬のクラウティアは軽く息を吐く。
そうして、誰に向けるともなくぽつりと呟いた。
「…………だけど、私のやっていることを……あの子は、喜んでくれるだろうか」
自分に問いかけるような、呟き。
いつもとは少し違う、故意に低く作ったような声音ではない相手本来の声に、ヨグトは沈痛な面持ちを隠したまま頭を下げ続けた。
(……どうか……どうか、願わくば……)
願わくば――――
この悲しい人が、我が弟子たちと同じく“名の呪縛”から解き放たれますように。
(ああ……こんな事を願っても……最早、どうにもならないのに……)
目の前の存在が全てを呪った時から、おそらく全ては始まっていた。
この不毛な争いも、それを絡め取り私欲を尽くそうとする邪悪な存在の手も、全てはヨグトが関与する事も出来ない過去に起因しているのだ。
それを思うと、救うことも出来ない目の前の相手に、胸が痛む。
(あの子が……ラトテップを救ってくれたあの子なら……この悲しい方を、救ってくれはしないだろうか……)
たった一人、墓に参ろうと言ってくれた稀有な少年。
卑怯者と呼ばれた自分達にも分け隔てなく接してくれたあの子なら、彼の仲間と共に、この悲しい人を助けてくれるのではないだろうか。
そうは思うが、しかし敵対した存在になってしまえばそれも叶わないだろう。
(ああ、本当に私は……どこまで行っても、愚かな男だ…………)
心の中で呟いた己への悔恨は、誰にも届かず消えて行った。
→
※思ったより長くなって遅れました…:(;゙゚'ω゚'):スミマセン
次から新しい章です!
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