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邂逅都市メイガナーダ、月華御寮の遺しもの編
変質
しおりを挟む獣人と人族の違いは、なにか。
――――そう問われれば、誰もが最初に「耳と力」と答えるだろう。
人型になろうと決して人族と同じにはならない獣の耳は特徴的だし、その身体能力に関しては、獣人と言う単語を知る者がみな知っている情報だ。
だからこそ、彼らの種族の名を知る多くの者がその二つを挙げる。
けれど、この大陸に来て“あぶれもの”でない獣人達を見ている内に……ブラックは、それらよりもっと大きな違いが有る事に気が付いていた。
(……それは……いうなれば“習性”だ)
人族が簡単に放り出せる習慣や習俗という文化的なモノではなく、もっと深い……こちら側でいえば「生殖行動」と同じくらいの根深く拭い去れないもの。
モンスターの性を持ち続ける彼ら独特の、抗えない業のような物と言うべきか。
例えば、ネコ族は動くものに目が無く、犬族は骨をしゃぶる。
熊族であれば……どこまでも獲物に執着し、気が済むまで追い詰めようとする。
それらに“あぶれもの”は存在すれど、ほとんどが例に漏れることは無い。
しかも、これらは教えられたわけでもなく意識的にやっていることでもないのだ。
本能から来る習性。
人族が抗えるものを抗えずに曝け出してしまう。それが、獣人と人族の違い。
彼らが本能をより尊び行動する事も、それに拍車をかけているのだろう。
(だからこそ、あいつらは敵の見たままを偽りないものと判断する)
武人が真正面からぶつかり殺し合うのは、それが嘘偽りない能力同士のぶつかり合いであるから。暗殺や謀略を嫌うのは、正々堂々としていないから。
こんな子供のような約束事が今も守られているのは、彼らが本能に抗えないことを肯定し、ならばそこで偽らない己を出す事こそ立派だと思ったからかもしれない。
種族の特性について何も思う事は無いし、弱点を逆手にとって全ての獣人がそれを是とする円満な解決に持って行けたのは、素直に素晴らしい事だと思う。
だが、それゆえに――――
こうして、墓穴を掘ることがあるのだ。
(気の狂ったような凶悪獣人まで右倣えで“正々堂々”だ。ツカサ君が意識してかどうかは知らないが、本当によく騙されてくれるもんだよ……!)
毒々しい紫の光を周囲に発しながら操るのは、幻影の兵団。
ツカサからこの「作戦」を聞かされた時は突飛な発想だと思ったが、よくよく考えれば彼の案は獣人に対しては恐ろしく有効なのだとすぐに思い返した。
(少しばかり知恵のある熊どもや、あの黒い犬には通用しないかも知れないが……普段兵士を相手にしていて、最早『兵士はそういうものだ』と学習している奴らには、効果覿面だ。獣の群れは、一番強い“頭”を文字通り先頭にして突進する。その事を知っているから、あのデタラメな熊どもを気にして兵士に目も行かない)
二匹の巨大で凶暴な熊を気にするあまり、知らずの内に飼いならされていたビジ族の集団は彼らを避ける事に集中して兵士の違和感に気が付かない。
密集してついて来るだけの左右の壁となった兵士達よりも、一番強い相手を中心に見て避けようとしているのだ。
大部分は「いつも戦っている相手だから、今回も同じ」という理由から来る油断なのだろうが、生来の凶暴性による視野狭窄も強く働いているだろう。
人族であれば、意思も無く固まって行動しているように見える兵士に違和感か恐怖を感じるに違いない。だが、彼らは強く在るがゆえにザコなど目に入らないのだ。
だから、ブラックがこうして大規模な手抜きの幻影を見せても、作戦通りに「何故か開けている中央」に集まって街へ突進して来ているのである。
(ツカサ君は、それをハッキリ分かってるわけじゃないだろうけど……ホントに、オスを転がすのが上手いんだから)
クスリと笑うが、怒号と熊どもの地響きが響く荒野では己の声も聞こえづらい。
だが悪い気分ではなかった。
無論、ツカサはオスを転がしている気など毛頭ないだろう。それどころか「頼みごとを、相手が理解し受け入れてくれた」くらいに思っているに違いない。
だがそれは正答とは少し異なる。
実際はきっと――――
『お前を好意的に思っているから、無茶なことだろうがやってやる』だろう。
(妙なコトになったとはいえ、たった数時間であのクソオヤジまで懐柔するのは流石としか言いようがないね。どこぞの大臣の娘なら国家転覆を企んでるかと疑う手腕だ。もしツカサ君がそういう類の者として僕と出会ってたなら、僕は間違いなくツカサ君の事を警戒したし……邪魔だからって、殺してたかもしれないな)
あくまでも、予想の話だ。
けれど、ツカサが本人の意思とは関係なく発揮する力は、それほどに恐ろしい。
ツカサに邪心は無い。
ただ、人を人として愛し受け入れてくれるだけだ。どんなに後ろ暗い事が有ろうと、今甘えたいと望むなら、その人の幸福を思って許容してくれる。
それだけの、八方美人でお人好しな御しやすい少年だった。
だが……それが、自分達には強い衝動を引き起こす。
(……獣人でも例外ナシってのは、参っちゃうよなぁ。まあ、もう二度と会わないだろうから、今は大人しくしてるけど……そういう所は人族と変わらないのが苛つくよ)
だが、自分もそんなツカサに心を奪われた一人なのだから何も言えない。
……その純粋さが愛おしいと思うから、何でもしてやりたくなる。
彼が心の底から信じようとしてくれるから、その信頼に応えてやりたくなる。
ツカサは決して己の性質を自覚しないだろう。それが、自分の愛しい婚約者の性格だ。己の易しさを知らないからこそ、どこまでも人に優しい。
そんな“易しさ”が、純粋さなどとうに道端に捨てて来た者達にとっては、甘い毒になる。ツカサに掛け値なしの信頼を向けられると、どうにも堪えきれないものが生まれるのだ。
だから、あの頑固な熊親父も「妹」などと言い態度を急激に軟化させたのだろう。
彼らが本性の姿を見せて、最悪と言われるビジ族に勇猛果敢に挑んでいるのも、街を守るためというお題目以外の気持ちが有るに違いない。
そう思うと手違いで殺してやりたかったが、ぐっと耐えてブラックは正面の敵に目を凝らした。
(だいぶ軍隊の幅が狭まって来たな。もう谷間の一本道くらいの分かりやすい通り道になったけど、これでも気が付かずにこちらに向かって来るんだから……獣人ってのは本当に頭が悪い種族なんだなぁ)
熊族をはじめとした“神獣”と呼ばれる部類が例外というだけかもしれないが、正面を走って来る鼬とも犬ともつかない生物は、よほどのバカなのか全く進路を変えようとはしない。
兵士に挟まれる前に移動しよう。あの人族なら、弱そうだし簡単に突破できる……とでも、思っているのだろうか。
幻影を操る張本人である事も気付かず、誘い込まれているとも知らずに。
(まあ、熊どもの強いニオイとやらで、僕がどういう存在かは知れないみたいだし……それで丁度いい……――――)
と、ブラックが徐々に幻影の壁を狭めていたその時。
背後から、突然金に光る粒子が飛び散って来るのが見えた。
「ッ……!?」
突風に吹かれたかのようにビジ族の方へと飛び去って行く粒子に驚き、振り返る。
すると、そこには屋根伝いにこちらへ飛んでくる熊公と……背負われて、太陽の光よりも強い光に包まれているツカサの姿が見えた。
(ツカサ君、どうしてこっちに……いや、考えてる場合じゃない。もうすぐ来る……!)
すでにビジ族の一団は目標地点の目と鼻の先に居る。
何故ツカサ達がこちらに来たのかは見当もつかないが、出来る事をやるまでだ。
ブラックは遠目に顔を把握できる距離になった敵を見て、眉間に皺を寄せた。
「頼むよツカサ君、あと熊公……!」
兵士達の動きを止める。
一団の先頭が、ツカサの定める目標地点に到達した、刹那。
「偉大なる大地に広がる不毛の亡骸よ、今こそ聖獣の肉を穿て……!
我が血に応えろ――――【ルイーナ】!!」
黄金の光が再び背後から流れ、周囲一帯に広がったと同時に、恐ろしい獣の咆哮にも似た声が響く。決して人族では出す事の出来ないその轟声に、空気がビリビリと振動し――こちらに向かって来た獣たちが、寸時硬直した。
その、瞬間。
「――――……!!」
ビジ族が居た地点が、一気に陥没して巨大な穴と化した。
……【ルイーナ】は、土の曜術師が使う術の一つ。土を操り「穿つ」力を持つ。その術の力を使って、この固く死に絶えた荒野に大穴を開けたのである。
しかしそれは簡単な事ではない。
曜気も大地の気も少ないこの場所では、土は最早自由に動かせない。
それを、ツカサのデタラメな能力で生んだ“大地の気”を使い、あの古代の装置で土の曜気をとどめたまま限界地点まで広げさせて「生きている土」にムリヤリ変化させ、最後に熊公の術を使った。
このような展開を経て、初めて荒野に一瞬で大穴が生まれたのだ。
けれど、それだけでは終わらない。
その大穴に――――上空から、大量の水が降り注いできた。
「~~~~――!!」
聞き慣れない獣の声で、ビジ族達が一気に穴へと押し流される。
滝の音にも似た膨大な水の音が響き、今まで目の前に居たビジ族達は一気に穴の中へと押し流されていった。
……容易に登ってはこられない、水でふやけてぬるついた穴の中に。
「いや、ホントに……ツカサ君たらエグい方法思いつくよなぁ」
今まで放出していた曜気を抑え、幻影を消し去る。
一気に消えた「質量のある幻影」に二体の巨獣は戸惑ったようだが、やがて自分達の役目は終わったのだと理解すると、元の人型に戻った。
熊公とは違って服は脱げないが、まあそこはどうでもいい。
それよりもツカサの作戦の成果を確かめたくて、ブラックは大穴に近付いた。
「うわ……周辺もぬかるみだ……。元が死んだ土だからか、水が染みこむどころか水と混ざってドロドロになってるよ。こりゃ落ちないように注意しないと……」
なにせ、ツカサが作らせた穴は直径にして半里(約2キロメートル)に満たないくらいの直径がある大穴だ。しかも、底はすり鉢状で足に上手く力が入らない。
そのうえこの水でぬるついた壁面ともなれば、乾いた大地しか歩いてこなかった獣は面食らうに違いない。それを証明するかのように、彼らは穴の壁を何度も登ろうと四苦八苦し、転がっては泥だらけになっていた。
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ツカサとしては「落とし穴で頭を冷やさせる」方法だったのだろうが、規模のせいで、本人が望んでいない拷問になっているような気がする。
「にしても……ツカサ君も考えたよなぁ。上空のロクショウ君に水の入った大きな器を持たせて待機させ、落とした水に自分の曜術で出した水を合わせて勢いを失わせずに大量の水を喰らわせるなんて……。いや、考えてないからこんな方法になるのか」
普通、敵を目の前にすれば正面から対決することを前提にして考える。
だがツカサには兵法や敵の策略を論じる頭脳は無い。賭けても良い。彼の頭の中にあるのは、風景やカワイイモンスターとやらを愛でることと、自分達とは違う平和な世界での知識くらいなのだ。
そこに、兵法を学ぶ授業などはあるはずもないだろう。
だからこそ、ツカサは「子供のイタズラみたいな方法だけど」と付け加えた。
その方法を聞いたブラック達は全員少々“引いた”のだが、彼自身こんな大参事になると思っていなかったに違いない。
常道をしらないからこそ、自分達が思っても見ない方法を思いつく。
それはどんな分野だろうが稀に起こることではあるが……ツカサに関しては、その発想が時々恐ろしく強力な事が有るのが怖い。
(ま、まあ……結果的に全員生け捕りに出来たし、ツカサ君が本来やりたかったのは『だれも死なずに終わらせること』だっただろうから……これで良いんだよな)
あとは、穴の中で騒ぐビジ族が白旗を上げるか否かである。
とにかく血を流さずに少人数で事を終えられてよかった。
そう思い溜息を吐いた――――その背後で、ドスンと着地する音がした。
「ブラック! ブラック、見てくれ! ツカサが!」
「……え?」
予想もしていなかった、熊公の焦る声。
いつもの余裕が無い大声に思わず振り向くと、そこには――――
苦しそうに顔を歪めて目を瞑る、おかしな状態になったツカサが居た。
「なっ……つ、ツカサ君っ、どうしたのツカサ君!」
慌てて近付くと、彼が大地の気を纏って発光しているのが分かる。
地面に寝かされて唸る小さな体に手を伸ばそうとすると、無粋な褐色の腕が体を遮った。何をするのかと睨むと、駄熊はいつになく焦った顔でこちらを見た。
「ツカサの様子がおかしい。もしかしたら、お前は触れない方が良いかも知れない」
「なんでそんなことが分かるんだよ」
「ツカサの腕を見てみろ。この光の蔦が見えるか」
「ああ、そんなの術を使ってたらそりゃ……」
巨大な術であればあるほど、属性の違う自分にもあらゆる色が見える。
そう、言い返そうとして、ブラックは目を剥き言葉を飲み込んだ。
地面に寝かされたツカサ。
まるで南国の姫のようなあられもない衣装を身にまとったツカサの細い腕には、あの【黒曜の使者】の能力を使った証の光の蔦が巻き付いている。
水色の綺麗な光で形作られた蔦は、葉を茂らせいつものように美しい装飾品のように見えていたが……今、やっと、その光の蔦の異常に気が付いた。
「…………蔦が……前より伸びている……?」
どくどくと脈打つ心臓の動きがわかるくらいに、腹を上下させるツカサ。
それほど辛いのだろう彼の腕から、肩裏そして鎖骨までに蔦が伸びている。まるで蔦が細かな根で貼りつくことに苦しむ樹木のように、ツカサは荒い息でその光の蔦に苦しんでいるように見えた。
というか、そのようにしか見えなかったのだ。
「オレも今さっき気が付いた……生地が厚い服で隠れていたせいか、ここまでコレが伸びているなんて思わなかったんだ。……元は、肘の下までだったはずだ。それで、間違いはなかったんだよな、ブラック」
駄熊も混乱しているのだろう。だから、ブラックに問うているに違いない。
こちらのほうが混乱したかったのだが、ツカサを一番長く見ていたのは自分だ。その記憶が薄れるはずもないことは、誰よりもこの熊が知っている。
だから、ブラックも慌てそうになる自分を抑え込んで冷静に頷いた。
「ああ。……僕が最初に見た時は……そういえば、それくらいだった。……そういう物だと思って気にしてなかったけど、これは一体どういうことなんだ……」
まさか、また【黒曜の使者】に付け加えられた悪辣な“設定”だと言うのだろうか。
あの時知った残酷で甘美な事実以上の事が、まだ隠されているのか。
そう思うと背筋が嫌な感覚にうごめいたが、ブラックは拳を握って堪えた。
「ブラック、どうすればいい。まさか……まさか、オレのせいだとは……」
「そうだったらお前を殺せたんだが、恐らくそうじゃない。……だけど、この状態は今の僕にも何とも言えないよ。あのクソ眼鏡神に聞いてみるしかない」
恐らく、この駄熊は「自分には【グリモア】になる資格が有る」と知って、その異質な状況に少なからず不安を覚えているのだろう。
そのせいで、ツカサの異常にこれほど動揺しているに違いない。
だが、だからといってブラックにはどうする事も出来ないのだ。
……もしこの状態が【グリモア】に関係する事なら、この熊以上に、自分はこの状態のツカサに触れる事は出来ない。
これ以上、ツカサを煩わしい目に遭わせたくなかった。
「ッ……――――……、ぅ……う…………」
「あっ……つ、ツカサ君……!」
気絶した状態だったツカサが、徐々に荒い息を鎮めて行く。
すると、光の蔓も肩口から徐々に消えて行き――――ツカサは、やっと落ち着いたようだった。……まだ熱に浮かされたようになっているが、顔は穏やかだ。
ようやく、触れても良くなったのだろうか。
「ツカサ……」
いつになく焦る駄熊が、ツカサの頬を優しく撫でる。
すると、ツカサは睫毛に己の汗を受け取りながらゆっくりと目を開けた。さきほどの苦しみによる汗が、流れて行く。
「くろ、う…………ぁ……ブラッ、ク……ここ……」
数秒呆けていたが――やがて、自分達が今何をしていたのかを思い出したのか、ツカサはよろけながらも起き上がった。
「つ、ツカサ君焦らないでっ」
「ご……ごめん……っ、び、ビジ族は……っ」
どうなった、と、ブラックを見上げる彼の顔は、疲れているが正気だ。
そのことに何故か一番ホッとして、ブラックは安心させようと頷いて見せた。
「大丈夫、上手く行ったよ。……とにかく、ツカサ君は休んで」
「で……でも、確認しないと……」
「じゃあ、僕が抱っこして行ってあげるよ」
そう言って、ツカサの体を横抱きにして抱え上げる。
だが……いつものような罵声が聞こえてこない。
「……ごめん……たのむ……」
「…………うん」
いつも以上に、疲弊している。
昨日あれだけ精をぶちまけられたのに、今のツカサは最初の頃に見た時よりも酷く疲弊しているようだった。
(ツカサ君…………)
汗ばんだ彼の頬に、己の頬を摺り寄せる。
いつもなら「痛いからやめろ」と手を伸ばして拒否して来るのに、今のツカサは何か言う気力も無いのか……ただ、荒い息を繰り返しているだけだった。
→
※遅くなって申し訳ないです…!!(´;ω;`)
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