異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

文字の大きさ
上 下
690 / 952
邂逅都市メイガナーダ、月華御寮の遺しもの編

14.緑の園に遺された思い1

しおりを挟む
 
 
   ◆



 女性のぶりっこは、とても良い物だと思う。

 もちろん、自然体の女の子も可愛いし、ツンケンしてる子もたまらない。俺としては、自分に好意を向けてくれるのであれば全てを愛せるつもりなのだが……それでも、男としての生来の女性へのスケベさには勝てず、結局ついついぶりっこされてしまうと、ソコに一番に向かってしまうのだ。

 いやだって、可愛いもんな。
 女の子はそもそも可愛いものなのに、そこにぶりっこが加わるなんて更に可愛いに決まってるじゃないか。さも好意が有るかのようにスキンシップをされたら、そんなの男としては悪い気はしない。

 好意をダイレクトに見せられるのは、それだけで男を軟化させてしまうのだ。

 まあでも、そういう愛想を勘違いしてトラブルが諸々起こるのは事実なので、女子のぶりっこに飛びつく真似は極力しないようにしようとは思っている。
 だって訴えられたり逮捕されたら怖いし。それに、変にハッスルして女の子に嫌われたくないし……こんな世界じゃメス扱いだけど、俺だって女の子よりは力が有る、いっぱしの日本男児ってヤツなのだ。

 パワーで怖がらせるような真似はしたくない……異世界で色々されてからは、女子が男を怖がる理由もなんとなく分かったしな……分かりたくなかったが……。

 …………ゴホン。
 ともかく、俺が慎重になろうと強く思ってしまうほど、女の子が男相手に愛想を良くする行為は危険と魅力を孕んでいるということだ。

 俺とて男である。
 やっぱり女の子にぶりっ子されてスキンシップ多めにされたら、そりゃ嬉しい。

 それは理解出来る。出来るのだが……――自分がソレをやるとなると、別だ。

「で、デハイアさん」
「……ツカサ、お前は俺に家族のように甘やかせと言っただろう。ならば、そんな他人行儀な呼び方はするなと言ったはずだが」
「…………お……おにいちゃん……」
「なんだ妹よ!」

 …………………………。

 ……えーと……控え目に表現すると、今すぐ消滅してなくなりたい。

 いや、まあ、決意はしましたよ。
 相手に近付いて懐柔させるためならなんでもするとは言いましたよ、俺は。

 でもね、思うのとやるのとでは全然違うんですよ。
 赤の他人であり目上の偉い人に甘えた態度をとるのも相当なストレスだが、それを当然のように受けられるのもかなりツライ。自分をメスだと当然のように思う相手の態度も、慣れたとはいえ心がしんどくなる。

 そのうえ……その上、俺は、妙にノリが良い相手に「おにいちゃん(可愛い声)」呼びを強制され……ッ、なんだこの拷問は!

 クソッ、俺が「家族みたいに甘える」と言った時に相手が「妹のようにか?」と返した時点で何かヤバいと気付くべきだったんだ!
 ソコでもう少し注文を付けていれば、こんな事にならなかったのに……だが、そんな事を言ったってもう遅い。たったの数時間一緒に居ただけなのに、相手は異常な程に俺に心を開いてしまっている。

 ここまでくると、怒らせた時の反動がメチャクチャ怖い。
 人ってのは浮かれれば浮かれるほど、騙されたと思った時の反動が強くなるのだ。しかもこの人は怒りんぼ殿下……カウルノスと大体同じタイプだろう。たぶん、コレで俺が突然拒否し始めたら二度と心を開いてくれなくなる。

 なので、もうやめる事も出来ずに俺はデハイアさんの喜ぶ方向へと、自分の感情を騙しながらゴロニャンするしかないワケで……。

「あの……や、やっぱり、腕の上に乗るのはデハ……お、おにいちゃんの腕が疲れちゃうんじゃないかなって……」
「何を言う、お前のようなメスなど腕肉より軽いわ。それより、庭の植物の事を何でもお兄ちゃんに訊くがいい。何でも教えてやるぞ」

 百歩譲って「おにいちゃん」は弟の気分で許すとしても、この状況はキツいだろ。

 だって今俺は……デハイアさんの曲げた腕にケツを預けて座りつつ、肩に捕まって足をぷらぷらと宙に浮かせている状態……つまり「肩に乗った小鳥」みたいな感じで、いつ誰に見られるかも分からない薬草の庭園を散歩しているんだから。

 ……ある意味、お姫様抱っこよりも男としてのプライドが揺らぐ……。
 この異世界の人達は、男女問わず細腕でも物凄い力持ちだし、俺の世界のボディビルダーなんて比べ物にならないほどパワーもある。細い美女ですらそうなのだ。

 だから、それ以上に力が強い獣人族であれば、俺みたいな一般的な男子高校生も軽々持ち上げられるのは分かっているんだが……にしたって、つらい。
 俺にだって、なけなしのプライドはあるのだ。

 女性ならともかく、同性に軽々と持ち上げられて鳥みたいに腕に乗せられたんじゃ俺だってそりゃ落ちこみますよ。相撲だと絶対これ負ける要素だもん。
 それどころか刀の鍔迫り合いでも勝てる気がしねえ。俺には暴れん坊吉宗どころか助さん格さん、ってかうっかり八兵衛になる資格すらねえんだ……。

 いやそもそも露出しまくりの女装してる時点で男らしさゼロなんですけどね!?

 …………い、いかん、今の状況が苦し過ぎてつい思考が脱線してしまった。

 ともかく俺は、デハイアさんの腕に乗ってお散歩させられているのだ。

 まあ、その……数時間一緒に居て他愛ない話をしたり、軽い料理を作ったり甘える兄弟みたいなムーブしたけどさ、まさかその程度でこんな風になるなんて誰が思ったかよ。ブラックとクロウが心配してたけど、ある意味それ以上だよ。

「どうした妹よ。気分が優れないのか?」
「あ、い、いえ……その……」

 ヤバい。なんとか話を変えないと、うっかり変な事を口走ってしまうかもしれない。
 俺は慌てて視線だけで周囲を見渡すと、あるものが目に入って指差した。

「アッ、あの! えっと……その、ここに来てからずっと不思議だったんですけど! な、なんでこの館は滝の音がほとんど聞こえないんですかね!?」
「音?」

 俺が指差した先――――硬い岩の山肌から突如溢れ出る巨大な鉄砲水を見て、デハイアさんは数秒間を取ったが、ようやく「ああ」と声を漏らした。

「そうか……そうだな。外から来たお前にとっては、珍しい事だろう」

 何故か少し懐かしそうに、館の高い壁の向こうにハッキリ見える、ダムの放水にも似た凶暴な滝を見て呟くデハイアさん。
 何故そんな顔をするのかと不思議に思う俺に、相手はぽつりと話しだした。

「お前が言うように、滝という物は本来なら耳を劈くほどの凶暴な音を響かせる。アレくらいのものなら、本来の俺達は耳が潰れるほどの騒音に悩まされたはずだ」
「けど、今は遠くに普通の滝が有る……ってくらいの音しか聞こえませんよ。館の中に入ったら、全然気になりません。なにか理由があるんですか」

 腕に腰掛けたまま、少し下にある相手の顔を見ると、デハイアさんはこちらを向いて口を笑みに歪めた。

 青々として美しい緑の庭で、緩やかな風に吹かれながら穏やかに笑う姿。その姿は、どことなくクロウに似ている気がする。
 クロウをもう少しおじさんにして皺をつけたら、こんな厳しそうな顔になるのかも知れない。そして笑えば、こんな風に優しそうに見えるのかも。そんな笑みだった。

「お前はメスにしては聡いな。……そう、本来なら、こうまで静かなはずはない。……だが、我が妹……愛しいスーリアが、かつては“獣殺し”と呼ばれていたあの暴音の滝の力を削いだのだ。この館に、古の技術を施して、な」
「いにしえの技術……ですか」

 目を瞬かせると、そんな俺の何が好ましかったのか、デハイアさんはクスリと笑って庭園を歩き始める。動く振動で落ちそうになって思わず肩に縋りつくと、相手はもう片方の手で俺の腰に手を回して固定してくれた。

「……スーリアは、俺達が理解出来ない知恵を持っていた。大部分は人族の賢者が教えてくれたと言っていたが、それでもあの子の力は群を抜いていたのだ。仕組みも分からない“キカイ”という物を理解し、それを己の思い通りに改変するくらいに」
「スーリアさんは、とんでもなく頭が良かったんですね……」

 そんなの、異世界チートを持ってる自分でも出来ることじゃない。
 というか俺じゃなくても大部分の人間は、複雑な未知の物体を理解して改変なんて出来ないだろう。生きるための必死の執念だとしても、そこまでこぎつけられるような人なんて滅多にいないはずだ。でなけりゃ、学校で習うような“○○が誕生するまでの物語”がありがたがられるはずもない。

 クロウのお母さんって、かなり凄い人だったんだなぁ……。
 …………やっぱ俺とは似てないな……うん……。

「そう、スーリアは聡明だった。……あの子は生まれながらに病弱で腕力も弱く、周囲が寄せる期待など荷が重いとばかり思っていたが……なんてことはない、俺のような腕力ではない“武力”を持った、良いメスだったのだ」

 聞いているこっちが気恥ずかしくなるような事を、当然のように言う。きっと、そんな風に語るのが当然だと思うほど、デハイアさんはスーリアさんを可愛がっていたんだろうな。……今でも、クロウへの憎しみが消えないくらいに。

「……そのキカイ……というものは、騒音を消すものだったんですか?」
「厳密にいうと違うという話だったが……なんだったかな。なにか、巨大な音色を遠くまで届けるキカイとかなんとか……ともかく、それのおかげであの滝の音は、この街にほとんど届く事はなくなったのだ。……とはいえ、完全に防げたわけでもなく、この音に慣れていない住民達は出て行ってしまったがな」

 スーリアさんが改変した機械をもってしても、やはり定住は出来なかったのか。
 けど、それも仕方がないよな。滝の音一つ弱まったとしても、その他にも色々問題が有るんだし……そのどれもを一人で解決しようなんてのは無謀ってもんだ。

 この街の現状を見るに、やはり解決は難しかったのだろう。
 ……だけど、解決して欲しかったな。

 デハイアさんやクロウ、そして執事さんから聞いたスーリアさんの姿は、一生懸命に自分の故郷を救おうとしていた優しい姿だったから。

「…………でも、凄いことですよね。今でもこうして、館の人達や……頑張って国境を守ってくれてる血族の人の苦しみを和らげてくれてるんですから。それって、みんなの事を今でも守ってくれているってことだし……」

 例え彼女が消えてしまっても、彼女の痕跡はそこかしこに残っている。
 今でも街の人達を守り続けているこの優しい障壁が、その最たるものなのだ。

 ……だから、未だにデハイアさんは生々しい怒りに捕らわれているのだろうか。

 それとも、それくらいスーリアさんのことをデハイアさんは思っていたのかな。今の俺には何も分からないけど、でも、スーリアさんは讃えられるべきだと思った。
 出来れば、俺も会ってみたかったな。

 クロウが今でも大好きなお母さんで、お兄さんにこれほど愛されていた人。
 誰からも悪い事を言われないくらいに、努力していた人。

 俺じゃ眩しくて顔向けできないかも知れないけど、それでも……クロウのことを、きっと沢山愛してくれてたんだろう人に、会ってみたかった。

「……お前は……俺のスーリアのことを、それほど偉大なメスだと思ってくれているのだな。知りもしない相手を、それほどまで……」
「あっ……」

 俺を支えている腕の力が、強まる。
 まるで抱き締められているような感覚に戸惑うが、デハイアさんは寂しそうな目をして他の場所を見つめながら、ひとつゆっくりと瞬きをした。

「…………だが、記憶は消える。特に、我々神獣とは違う獣どもは、もう一代進めば最早俺の妹の事などすっかり忘れてしまうだろう。……この薬草園とて、誰かのためとスーリアが育てていたが……いずれは、消える」
「え……」

 どういうことだ、とデハイアさんの顔を見た俺に、視線を移すことなく相手は続けた。

「キカイは、俺達のように何百年も動けるワケではない。……ここを守っているキカイも、最近はガタがきている。……じきに、動かなくなるだろうな」
「あの、その機械って……?」

 デハイアさんは顔を上げて、また遠くを見つめる。
 俺の言葉をハッキリ認識しているのかどうか迷う横顔だったが、しかし彼は素直に答えてくれた。

「緑化曜気充填装置。スーリアは、何度かそう言っていた。だが、遺された俺達にはそのキカイの使い方すら分からない。手入れの仕方を教わる前に、スーリアはいなくなってしまったからな……」

 ――――緑化、曜気充填装置。

 その言葉に、何故か背筋がゾクリと寒くなる。
 だけど、その名前のおかげで何かつかめたような気がして。

 気が付けば俺は、デハイアさんの顔をムリヤリ俺の方に向けていた。

「あ、あの……! もしよかったら、その装置のところに案内してくれませんか?」

 俺にどうにか出来るかってのは、まだ判らない。
 だけど、今はその存在に何故か強く惹かれている自分が居た。

 別に、デハイアさんの懐柔に使えるモノじゃないかも知れない。けれど、その機械はクロウのお母さんがこの土地を豊かにしようと頑張って作ったものだ。
 ならば、動かなくなると聞けば黙っていられるはずがない。

 今はただ、クロウの故郷をこれ以上酷い事にしたくなくて。
 またデハイアさんに「お前のせいで」と言わせたくない。

 ただ、それだけだった。












※ちょっと遅れちゃいました…(;´Д`)スミマセン…
 
しおりを挟む
感想 1,046

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...