異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

文字の大きさ
上 下
656 / 952
亡国古都アルカドア、黒き守護者の動乱編

  美味い物の前では、何人も口を緩める2

しおりを挟む
 
 
 心の中でお祈りしつつ、まずはこの城の両端にくっついている【物見の塔】に居ると言う「正気のままの五人」の内の一人……いや二人に食事を持って行くことにした。

 どうやら彼らは外を監視しているらしいが、だとすると俺達も見えてたよな。
 じゃあ、俺達が無事この城に入る事が出来たってことは……一応は、不審者だとは思われなかったと考えていいんだろうか。

 だから、俺達に対して最初から無警戒だったのか?

 ……いや、でもなぁ……だからって敗走した傭兵にゴメンネって謝って高待遇で城に招き入れるなんてこと、普通の大将がする事だろうか。
 それに「仲間」とかいいつつ、多くの冒険者たちをあんなふうにしてるワケだし。

 ううむ……なんかこう、モヤモヤするんだよなぁ。
 なんつうか、上手く言えないけど全部の要素がスッキリしないっていうか。

 俺が楽観的に「大将も【教導様】も意外と生き延びたヤツに優しかった」って予想を立てればそれで済むのかも知れないけど、それじゃ納得できない「兵を使い捨てにするかのような扱い方」が足を引っ張るんだ。

 その正反対の対応を繋ぐ理由を見つけられたら、相手がどういうタイプなのかって事とか、どう対処した方がいいのかってのも分かりそうなんだけど……。

 まあでも……個人的には【黒い犬のクラウディア】よりも【教導様】の方が何だかヤな感じがしたなってのはあるよな。
 直観的なものだけど、どうも注意するのは後者であるべきな気がする。
 大将を差し置いてなんでそんな気になるのかは分からないんだけども。

 ――――って、そんな事を考えてたらもう最上階まで上がって来ちまった。

 でも、いいのかな。
 普通「一番に配膳しなければいけない人」が終わったら、次はその次に偉い人の所へ運ぶのがセオリーだよな。
 ということは大将のクラウディアへ運ぶのが普通なんだけど……。

「おい、言われるがままここに来ちまったが……黒い犬の大将はどうしたよ」

 俺の疑問を代弁してくれるかのように、タイミングよくブラックが問う。
 その言葉に、ケシスさんは難しげな顔をして肩を竦めた。

「うーん、大将はなんつうか……メシ食わねえんだよな。オレサマも良くは知らねえんだが、どうやらあんまり食事を必要としない種族らしい」
「らしいって……大丈夫なのかそりゃ」
「さてなぁ、まあ案外どっかに女でも隠して作って貰ってんじゃねえか? あんだけの美形だし、ちょいちょい奥の部屋に引っ込んでは何かウンウン女の声させてるしよ。獣の吐息ってのもスゲーぜほんと」

 ええっ、あ、あの人そんな激しい事を人様のお城で!?

 どうしよう、今までなんか無骨な美青年ってイメージだったのに、女の子を囲ってるちょっと野性的なオスになってきてしまった。
 これではクロウとちょっと被ってしまう……そんなこと言ってる場合じゃないか。

「ああまあ、獣人ってのはメスと交尾すりゃそれで軽く腹は膨れるんだろ? そのせいかもしれんな」
「なんだそりゃ、獣人ってのは性欲で腹が膨れるんだなあ」

 確かにそういうこともあるけど……それって人間を食べた時の話じゃ無かったか。
 いや、クロウみたいな“神獣”と呼ばれる特定の種族ならメスでもいいんだっけ?

 つーかそもそも獣人族はモンスターの血が入ってるワケだから、相手がなんか凄い曜気に溢れた人なら。普通の獣人もえっちするだけで満足になるのかね。
 物凄い事を言われるからつい耳を背けちゃったけど、ちゃんと聞けばよかった。

「とにかく早く終らそうぜ。もうクタクタだ、早く休みてぇよ」

 しょっぱなから俺にスケベな悪戯してツヤツヤしてたオッサンが何を言う、とツッコミを入れたかったが、今の俺は無口な兜マンだから何も言えない。
 心の中で歯軋りをしつつ、俺達は屋上から改めて物見の塔に入った。

 階段を上るのは大変だったが、えっちらおっちら歩いて行くと――最上階には、妙な人物が座っていた。

「ああ、夕食の時間か。ありがとう」

 穏やかで好青年を思わせる声音。
 だが、その姿はローブに覆われていて、青い仮面で鼻から上を隠している。
 輪郭は特にごつくもなく、鼻筋も通っているように思えた。顔の下半分だけしか見えないが、ブラックやクロウみたいに顎がしっかりした大人の男ではないな。
 二十代前半の穏やかな若者って感じだ。

 そんな相手は、持ち込んだと思われる椅子に座って落ち着いた様子で読書をしていたが、俺達に気を使ってか細身の体をスッと立たせて俺達に近付いてきた。

「今日は特別仕様っすよ」
「それは楽しみだ。傭兵の君たちが作ってくれたんだろう? 実に楽しみだね」

 何度も「楽しみ」と繰り返しつつ、仮面の青年は隅に置いていた小さな机の上に、俺達が料理を盛った皿を置いていく。これといって、おかしい所はない。
 結局、俺達は少し軽くなった料理を持って塔を降りただけだった。

「次はアッチだ」

 反対側の物見の塔に登ると、そこにも――――椅子に座って、今度は貧乏ゆすりをしながら文字を書いている仮面の男が居た。

 あ、あれ。デジャブ?
 いや違うな。こっちの人は仮面の色が白だ。顔立ちも姿も似てる気がするけど……でも、顎だけ見たら似たような人はいっぱいいるしな。

「ああ、食事か……落ち着くな」

 そう言うと、不機嫌そうな声の相手は書き物をやめて机を片付けると、料理をココへ持ってこいと示した。いつの間にか貧乏ゆすりも止んでいるが、書類の内容はそんなにイライラするものだったのだろうか……。

「今日はこの二人が作ってくれた特別料理っすよ。すげえ美味いですぜ」
「そうか……それは助かる。食事は落ち着いてとりたいからな。心を落ち着けるには美味を堪能し食後に茶を飲むのが一番だ」

 ……物見の塔で見張りをしながら書類を書いてたんなら、そりゃ色んな意味で落ち着かないよな。敵ではあるがちょっと可哀想だ。
 こんなこと考えるのはおかしいとは思うが、でも今は俺も傭兵を装っているし、相手を油断させるためにも優しくしておくのは悪くないことだよな。

 小さくお辞儀をすると、白い仮面の男は気遣いに気が付いたのか頷いてくれた。

 …………いやホント、常識的な対応をしてくれる人ばっかりなのに、なんであんな事をするんだこの人達は。冒険者を骨抜きにする理由はなんなんだよマジで。

 ますます分からなくなりつつ、物見の塔を降りると、ケシスさんがイヤそうな顔をして俺達に振り返った。

「さて……最後は、地下だ……。お前ら、悪いこた言わねえから部屋に入るなよ」
「え? どういうことだ?」
「……行きゃあ分かる」

 な、なに、なんでそんな不穏な空気を醸し出してるんですかケシスさん。
 そんなにヤバイ相手なんですかやっぱり。地下のヤツは……。

 どういう相手なのか物凄く気になるが、今の俺では問いかけられんっ。
 質問して貰おうにも、ブラックは別に気になってないのか、こういう時に限って質問してくれないしぃいいい。

 ぐうう、不安になってるのは俺だけってのか……。

 こんな事になるなら無口な兜マンとかにならなきゃよかった。
 こういう時に限ってチョイスがハズレる自分のしょうもなさに辟易しつつ、俺は無言のままで不安を抱えながら、ブラック達と一緒に階段を下りて――辿り着いたところに、俺は目を丸くした。

「おい、ここは地下の通路じゃねえのか」

 そう。ブラックの言う通り、ここは俺達が最初に通って来た通路が有る倉庫だ。
 一つの通路しかないはずの場所なのに、どうしてここに。

 ブラックと二人で目を丸くしていると、ケシスさんは俺達が入ってきたところとは違う場所の壁の方に近付いた。

「黒い犬の大将がな、通路は違う方に繋げた方がいいとか言ってたらしいぜ」

 重そうな石の箱を台代わりにして料理を預け、ケシスさんは棚の隙間の壁に手をやり、なにやらスッスッと動かす。ちょっと指揮者みたいで格好いいが、背中越しで何をしているかは分からない。

 首を動かして覗いている内に、とうとう何も分からないまま壁が開いてしまった。

「うおっ……」

 重い石の蓋が動くようなざりざりとした音を立て、壁が下へと降りる。
 棚と棚の隙間にあった壁だが、それでも入り口として開くと人二人分の幅が有り、体を横にして棚の間に入れば、後は大抵の大男も楽に入れそうだった。

 ……広い通路……イヤな予感しかしない……。

「さ、入るぞ。棚は動かさないようにして、体を横にして入ってくれや。最初はつらいが、通路は広いから心配いらねえぞ」

 ケシスさんの見よう見まねで横歩きして棚の間を通り、通路へ足を踏み入れる。
 と、そこは「秘密の通路」と同じで緑色の光を放つ線が壁や天井を走っており、倉庫の薄暗さが嘘のように明るい。真っ直ぐ行った先が見えないが、近付くと階段が下へと続いていた。……また長い階段か……。

 ちょっと気分が落ち込んだが、めげずに下へと進む。

 カツカツと音を立てながら滑らかな石材の通路を降りて行くと――小さな踊り場が終点にあって、そこには重厚な鉄の扉がデンと鎮座していた。

「……いいか、イチャモンつけられても大人しくしてろよ?」

 ケシスさんが俺達に念を押して、ゆっくりと扉を開ける。

 するとそこは、橙色の燭台で照らされた黄土色の石材で囲まれた間があって。
 その、真向いの鉄格子が嵌った扉を監視するためだけに造られたかのような部屋には…………思ってもみない姿の相手が、安閑と椅子に座る姿が有った。

「……ぁんだお前ら……さてはメシか?」

 すん、と鼻を動かすのは、見た事のない緑色の毛並みを持つ狼の耳の男。
 2メートルを越える身長と筋骨隆々な腕と腹筋を曝け出す露出度の高い相手は、俺達をギロリと見て太く荒々しい眉を歪めた。

「おいケシス、その人族ども食ってもいいのかよ」
「い、いや……喰うな。この二人はメシを作る係だ。オレサマのより美味いメシを作る事が出来るから、食うんじゃねえぞ」

 ぎこちない声で言うケシスさんに、緑の狼耳を持つ男は鋭い目を細め、ふさふさの尻尾を機嫌悪そうに長い感覚でバタンバタンと振る。
 ……尻尾の経路も緑だ。でも、この男……たぶん、三十代前半だろう狼男の髪は、重い鉄の色に近い銀髪で目の色は金色だ。毛色以外は狼男と言われて想像する姿の色味に近かった。……でも長髪マッチョなんだよな……。

 クロウのようなボサボサタイプの長髪なので、野性的な感じが凄い。
 見てるだけで「喧嘩を売って来そうだ」と思えるほど、相手の姿は野性的だった。

 確かにこんな人じゃ、近付くなと言われるのも納得だ。
 でも、このタイプならまだイケるぞ。会話不能な謎のドロドロモンスターだったらどうしようと思っていたけど、話は通じそうだ。

「ぁあ゛? くっせえ人族のオス傭兵ごときが美味な飯だと? テメェのだって我慢して食ってやってんのに、低俗な人族のメシなんぞ食えたもんじゃねえだろ」
「ま、まあそう言わず食ってみてくれよ」
「…………」

 な、なんだ?
 急に黙ったと思ったら、こっちを見たぞ。

 この緑狼オッサン、顔も怖いが何を考えているのか分からなくて怖いんだが。
 なんか見られてて怖いんだが!?

「……食事はいらねえのか」

 俺に視線が向いている事に気付いたのか、ブラックが前に出て遮ってくれる。
 ぶ、ブラック……嬉しいけど、ブラックが睨まれたりしないだろうか。
 心配になったが、緑狼オッサンは「ケッ」と声を漏らして体勢を変えたようだった。

「仕方ねえ……クソ人族のメシでも食ってやらぁ。クソ面白くもねえ牢屋番よりは、クソまずいメシでも食って悶絶してるほうがまぁだ退屈しねえだろうさ」

 食事前にクソクソとお下品すぎるぞこのオッサン。
 でもなんか、あのオッサンに睨まれると野生の獣の殺意みたいなものを感じて、体が勝手に怯えちゃうんだよ……ぐうう、俺の小市民な体がうらめしい……。

 こんなの、デカい体のままの金獅子のゼルさんに遭遇した時以来だ。
 ……ってことは、この緑狼も……相当強いのかな……。

「おいおいウルーリャス、アンタ本当に反省してんのかよ」
「してなきゃこんなクソみてえな役目引き受けねえっつの。……ったく、折角胸糞悪い熊どもをとっ捕まえたってのに、殺しも食いも出来ずに看守なんざ……この俺のやる事じゃねえ……罰でもなきゃすぐに食い散らかしてやるってのに……!」

 ギリギリと歯軋りをして鋭い犬歯を見せながら、ウルーリャスと呼ばれたオッサンは毛を逆立てて、殺気なのか食欲なのか分からない気配をまき散らす。
 こっちを見ていなくても、ビリビリくるような恐ろしい気迫だ。睨まれていたら、多分俺はおしっこをちびっていただろう。

 っていうか今ちびりそう。イヤすぎる。
 早く終ってくれない物かと内心かなりビビりつつ、俺はブラックと一緒に部屋の中に居るケシスさんに残りの食事を箱ごと渡した。

 どうやら、あの大量に残った料理の全てをこの男が食べてしまうらしい。
 ……もしかして、あの大量の料理のほとんどはコイツのためのものなのか……。

 罰でここに居ると言っていたけど、なんかそこまで無碍にされてないな。
 いやまあ、獲物が目の前に居るのに食えないってのは、獣人にとってはかなりの罰なのかも知れないが……。

 まあ何にせよ、この人には確かに近付きたくない。
 ブラックにガードして貰いつつ配膳を終えると、ケシスさんは部屋から出た。

「終わったら、いつもみたいに食器は箱に全部入れて出して置いてくれ」
「おう」

 クソ食事、とは言っていたが、やはり食事が有るのは嬉しいのか、いざカニザリガニ料理が出て来るとウルーリャスと呼ばれたオッサンは素直に椅子に座り、いそいそと巨大なカニの身をむしりはじめた。

 どうやらもう俺達の事は気にしていないようだ。

 ケシスさんは扉を閉めると、何故か声を出さずにチョイチョイと指を動かして「早くこっちに来い」と俺達に示してきた。
 なんだろうかと思い、二人でケシスさんがいる階段の中腹に近付くと。

「……夜中、オレサマの部屋に来てくれ」

 何故か小声で、ケシスさんは言う。
 その言葉に、ブラックが即座に答えた。

「わかった。ツカサ君と一緒に行く」

 簡潔な回答に、ケシスさんは深く頷き背を向けた。
 これは……どういうことだ?

「よし、食事の後片付けはオレサマがやる。お前達は部屋で休んでいいぞ」

 階段を上る彼の声は、もういつもの声量だ。
 ブラックもその事を別に気にして居ないようだった。

 ……っていうか……あれ……ちょっと待てよ。
 俺達って、正体を隠してたんだよな。特に俺はケシスさん達と顔見知りだから、顔を見られちゃいけないってなってたはずだよな……?

 なのに、今、ブラックってば俺の名前言っちゃってなかった?
 え……お、おい、それヤバくないか、ダメだったんじゃないのか!?

 今更ながらに慌てるが、しかしブラックは全然気にしていない。
 バカな、そんなはずはない……いや待てよ、ブラックがこんな失態を犯すだろうか。相手の弱みはすぐに握るくせして自分の弱みは巧妙に隠すブラックが、ポロッと俺の事を漏らすとは思えない。

 だとしたら……俺の事は知られたってもう問題なかったってことで……。

 …………え?
 どういうこと……?

「…………」

 理解が追いつかなくて、答えを求めようとブラックのシャツの裾を引っ張る。
 が、相手は俺のそんな行動が何故か嬉しいらしくニヤつくだけで、さっきの言葉について教えてくれようともしない。

 俺に説明しないってことは……やっぱ、大丈夫なのかな。

 もしかしてケシスさんも既に薬か何かで意識を操られているのか?
 だとしたら、ブラックはどこでその事を知ったのか。

 ……うーん、やっぱりわからん……。

 ともかく、ブラックが迷いなく答えたって事は何か意味が有るんだよな。
 余計にモヤモヤが増えてしまった気がするが、それもすぐ明かされるだろう。

 敵の内情は判らないけど、ブラックのしてくれることは俺にも分かるから。








※引き続き風邪でちょっとペースダウン中です…
 今週中に治ったらいいなという感じなので
 もう少しだけご容赦いただければ嬉しいです…(;´Д`)

 
しおりを挟む
感想 1,046

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...