異世界日帰り漫遊記!

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亡国古都アルカドア、黒き守護者の動乱編

25.敵城視察1

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「大将はどこにいるんだ。アジトにでも戻ってんのか?」

 あらかじめ入手していた情報を織り交ぜながら、ブラックがぶっきらぼうに問う。
 いつもの口調とは違って粗野な物言いが新鮮だけど、まあケシスさんには「貴族姿のオッサン」の姿しか見せていなかったワケだから、この演技は当然だよな。

 それに……何かがおかしいこの敵の群れの中にあって、ケシスさんだけはマトモ――っていうか、正気を保っているみたいだし……。

 どんな事態になるか分からないんだから、用心だけはしとかないとな。

 ……まあ、真正面から潜入しようとしてるのに用心ってなんだって話ではあるが。

「黒い犬の大将は、根城に移動してらっしゃるよ。……どうやら、オレサマ達が連れて来られた目的はアルカドアの奪取だったみたいだな」

 そう言いながら、ケシスさんは何故か街の正門ではなく後ろの方へ回るように俺達を案内する。……これ罠じゃないよな?

 でも罠かも知れないな……ここは、木の曜気を準備しておくか……。
 木属性の曜術師は、薬師なんかが多くて冒険者には少ないんだもんな。水属性の曜術師も少ないらしいが、圧倒的に戦闘に向いていない木属性は薬などを作った方が儲かるので冒険者なんて日雇い稼業には滅多に来ないのだそうだ。

 水属性は医師とか水に関係する職業に就くらしいけど、でも冒険者にならそこそこ居るらしいから、ここは木属性の曜気を練っておくべきだろう。
 これなら、ケシスさんがもし曜術師だったとしても気付かれまい。

 なんせ、曜術師は強大な術を発動させる時以外は、自分の属性以外の曜気を見る事が出来ないんだ。こっそり術の発動を待機させる程度なら気付かれまい。
 ……ケシスさんは悪い人じゃないと俺は思ってるけど、男には「受けた依頼を全うする」っていうハードボイルドな時があるからな。

 敵対するのであれば、全力で迎え撃つしかない。
 相手が好ましい人物であっても、仕事を受けたなら仕事をするしかないもんな。
 俺は仕事をするトシじゃないけど、大人の責任ってのはそういうものなんだ。だから、俺はケシスさんと戦う事になっても相手に何か訴えたりはしない。

 冒険者だからな。……ふふ、冒険者ってのはハードボイルドなのだ。

「…………てことか、なるほど。だがよ、あのアジトってえのは見事なモンだったじゃねえか。ソコを簡単に捨てるのは勿体なくねえか?」

 ハッ、また自分の世界に浸ってしまった……い、いかんいかん。
 ブラックが道中話を進めていたようだな。どうやら……隠れ家であるアジトを放って【アルカドア】の城に乗り込んだことを、勿体ないと言っている最中らしい。

 ……うーん、さりげなく「味方しか知らない情報」を織り交ぜて世間話をするなんて、やっぱりブラックは人を手玉に取るのがうまいな……。
 やり方は俺も分かるんだけど、でも、ソレを上手く会話に滑り込ませるのが難しいんだよなぁ。コミュ強といえばそうだが、ブラックの場合、詐欺師っぽく見えてしまうのはなんでなんだろうか。相手をサラッと取り込んでるからかな……。

「いや、どうも黒い犬の大将は棲家なんぞどうでも良かったみてえだな。……報告をしに戻ってきたお前らには悪いが、どうせ“骨食みの谷”での一件も『どうでも良い』で済まされちまうんじゃないかねえ」
「じゃあ、仲間の奪還は難しいってのか? ふざけんなよ遺跡泥棒」

 立ち止まるブラックに、慌てて俺も止まる。
 鎧でフラフラしていたせいでよろけてしまったが、それがケシスさんには満身創痍の傭兵に見えたらしく、こちらを怪しむ事は無かった。

 それどころか、ブラックの演技にすっかり警戒心を解いたようで、頭を掻きながら足を止め、忌々しげに舌打ちをする。

「チッ、うるっせぇな負け犬兵士が……いや、だがまあ今回は許してやるか……仲間失うのは、誰だって怖えぇもんな」
「クソッ……」

 ブラックさん、物凄い熱演じゃないっすか。
 兜が無かったら俺の目を丸くしたアホ面が見えてしまっていたと思うが、それくらい別人みたいな態度だったんだから、仕方ないよな。

 ケシスさんを騙す演技だと解っていても、この格好だと本当に別人みたいだ。
 例え相手が「聞いた事有る声だな」と思っても、この立ち振る舞いでは、貴族に変装していたブラックとは繋がらないだろう。
 知らなきゃ俺も「他人の空似声かな?」とか思っちゃうかも……。

 だからなのか、ケシスさんもすっかり騙されたようで重そうな溜息を吐いていた。

「ハァ……。とりあえず、ついて来いよ。街には、まだ取りこぼした兵士がいるからな。そいつらを牽制してなきゃいけねえんだ。直接城に来い」
「だがこっちには門などないだろ」
「ああ、そうか。お前らは知らないんだっけ? 黒い犬の大将にかかりゃ、こんな壁も無意味なモンよ。……ああ、ここだココだ。向こうまで行くと流砂で死ぬからな、気を付けとけよ」

 街の真裏側、つまり一番城と近かった場所を指して、ケシスさんは言う。
 ……やっぱり、ソコに流砂の罠が有るって知られてたんだ。

 どんな方法で知ったのかは知らないけど、やっぱり相手も抜け目ないな。そんな事を思いつつ、ケシスさんが案内する「ここだ」という壁の場所に近付くと。

「ここだ。……ホレ、掠れて分かりにくいけどよ、紋章みたいなデコボコがある石材が一個嵌め込んであるだろ? 用事がある時は、ココを叩けって言われてんだ」
「ここが……」

 一見して、街を守る強固な壁を形作る石材の一つ。ケシスさんが触れる長方形の大きな石材には、確かに他の物とは違って薄らと何かが刻まれている。
 積み上げられた石の中で何故そこの石だけが違うのだろうか。

 不思議に思っていると、ケシスさんがその石を満身の力を籠めて押した。
 と、何か重苦しい……例えば石像の土台が石床で擦れるような独特な音がして――――なんと、少し先の砂の地面が下へ吸い込まれ始めたではないか。

 何が起こるのかと目を見張っていると、そこだけぽっかりと四角い穴が開いた。
 ……あれって、どうみても……穴、だよな。
 これはもしや隠し通路というヤツか……?

「なんだあれは。罠じゃないだろうな」
「バカ言え。オレサマも詳しい事は知らねえが、アレはかなり古い時代の脱出路とか言う話だぜ。古都って話だし、昔はたいそう偉いヤツが住んでたんじゃねえのか」

 なるほど……この【古都・アルカドア】は、かつて【太陽国アルカドビア】という国の首都だったんだもんな。なら、王族専用の通路が有っても不思議じゃないか。
 でも……そんなの、黒い犬のヤツはどこで知ったんだ……?

「とにかく早く入れよ。時限式なんだ、次に開くまでに時間がかかるぞ」

 色々考えたかったが、そう言われては入るしかない。
 砂に埋もれていた通路に急いで駆け寄ると、そこには地下へ降りて行く黄土色の石の階段が見えた。かなり古い通路らしいけど、階段はしっかりしてるな。

 ケシスさんが迷わず入るのを見て、俺達もえっちらおっちら次に続いた。

「あっ……」

 数段下りた所で、音を立てて背後の扉が閉まる。
 真っ暗になってしまった……と思ったが、数秒硬直していると、ぼんやりとした光が天井から注がれ始めた。緑色の妙な光だ。

 徐々に強くなり、それらは外の太陽光と変わらないくらい強く階段を照らす。
 ……ここも、人族の大陸にある【空白の遺跡】と同じなんだろうか。
 この世界の古代遺跡って、こういう謎の照明システムが多いんだよな。移動する時に危なくなくて助かるけど、でもやっぱりオーバーテクノロジー感が凄い。

 戸惑いつつも階段を下りて行くと、それほど時間もかからず底に到達した。
 どうやら地上からそれほど距離は無いらしい。平坦になった一本道を歩いて行くと、先の方に行き止まりが見えた。

「行き止まりじゃねえか」

 ブラックが傭兵らしく短絡的な台詞を言う。
 確かに、俺達の目の前には一際強い光に照らされた行き止まりが見えた。
 けど、あの行き止まりは……。

「まあ待てって。あの行き止まり、切れ込みがあんだろ。その内側に入れよ」

 ケシスさんの言う通り、行き止まりはそこだけが分離出来るかのように切れ目が入っている。つまりこれは……エレベーターだ。
 この世界では「昇降機」というらしく、高い曜具(この世界の魔道具みたいなモン)を設置できる家や組織では設置されていることもある。サービニア号にもあったな。

 もちろん、この手の仕掛けは遺跡にもあったりするけど……こんなエレベーターは初めてかも知れない。

 三人で一緒に線の内側に入ると、ケシスさんは紋様の中にある丸い部分を押す。
 と、ガコンと音がして箱が動き始めた。

「なんだこりゃ……こんな古い昇降機なんかあるのか……?」

 知ってるくせに、ブラックは傭兵という設定を大事にしてあえて驚いて見せる。
 そんなブラックに、ケシスさんはハハハと笑った。

「傭兵はご存じねえか。【空白の国】の遺跡にゃ、こういう時を越えたような仕掛けがたまにあるんだよ。まあ、危ないモンじゃねえから安心しろ」

 異世界の現代を生きるケシスさんにとっても、古代遺跡のエレベーターはオーバーテクノロジーに思えるらしい。
 まあ確かに……俺も現代人だから、現代を基準に考えちゃうかも。

「なんだ、こういうのがオレらの故郷にもあんのか?」
「ああ。……実際驚きだが、このアルカドアって街だけは人族の街に似てる。お前達は街の中を見てないだろうが、見たら目を剥くぜ。他の獣人達の家と違って、ここの建物は全部人族が造ったみてえな構造なんだ。遺跡も似たのかもな」

 やっぱり、ケシスさん達もアルカドアの街並みを見てそう思うのか。
 古代の街をそのまま領土にしたって話だったけど、そういえば【古代アルカドビア】は貿易をしてたって話だし、人族の影響でこうなったのかもな。

 そんなことを考えていると、ガコンと音を立ててエレベーターが止まった。
 今まで石の壁の間を上昇していたので、昇っていたのはわかるんだけど……到着した場所は最初に通った通路とまったく同じ様相で、本当に移動できたのだろうかと不安になってしまう。だけど、ケシスさんは確信が有るようでさっと降りた。

「……おっ、着いたな。あとは来た時と一緒だ。階段を上がればもう城の中だぜ」

 警戒心ゼロでそう言ってくれるケシスさん。
 ……なんか申し訳なくなってきたな。

 いやでも罪悪感に苛まれている場合じゃない。ともかく侵入しないとな。兜の中で頭をぶんぶんと振り、俺はブラックと一緒にエレベーターから降りた。
 罠などはなく、どうやら普通の通路のようだ。ここは何の不安も無く、俺達は階段を上りやっと通路から外に出た。

「ふぅ……やっと城の中か……」

 どこに出たのだろうかと周囲を探るが、なんだか薄暗い。
 徐々に目が慣れて来ると、ここが城の地下室らしいことが分かった。
 倉庫なのか、ホコリを被った道具や古い棚が並んでいる。その壁の一部から俺達は出てきたらしい。……これはホントに隠し通路だなぁ。

「目は慣れたか? さっさと行くぞ。多分黒い犬の大将は王族の私室にいる」
「私室? 謁見室とかじゃねえのか?」

 怪訝そうに問うブラックに、ケシスさんも唸りつつ首を捻る。

「よく分からんけど、犬の大将はそこが良いんだとよ。……マハとかいう美女の熊女に惚れてんのかねえ……」

 たしかにマハさんは美女だけど、それならこんな事はしないだろう。
 獣人のオスなら、マハさんに一騎打ちでも申し込んで己の強さをアピールするはずだ。奪う事も強ければ許されるのが獣人なのだ。

 人間みたいに搦手を使うとはとても思えない。
 それに、こんな大それたことを横恋慕だけで行うなんて、ありえないことだ。

 でもなあ、裏に人族いるっぽいしなぁ……うーん、本当に目的がわからん。
 そこのところも探れるんだろうか。
 悩みつつ地下室から出ると、俺達はケシスさんに案内されて王族の私室……今は、マハさんのお部屋になっている場所へと向かった。

「私室は四階だ。ちと歩くが頑張ってくれよ」

 そう言いつつ、ケシスさんは動く。
 だが、ブラックはそんな彼の背中を見て……速度をゆっくりと落とし始めた。
 そうして、最後尾をえっちらおっちらついて来ていた俺に並ぶ。

 何をするのかと思ったら――不意に、俺の足を掬った。

「っぐぇ!?」
「おおっと!」

 鎧が重くて、片足を軽く後ろに引かれただけで体が大きく傾ぐ。
 だが、そんな俺をブラックは簡単に受け止めて見せた。
 ……いや、受け止めたって、アンタが転ばせたんですけどね!?

「おいどうしたっ、大丈夫かそっちのヤツは!」

 ケシスさんが慌てて駆け寄ってくるのに、ブラックが気弱に笑って答える。

「ハハ、すまんな……こっちがちょっと限界みてえだ。どっか休める場所はねえか。城っつっても、もう制圧してるんならオレ達の居場所くらいはあるんだろ?」

 そこで良いから休ませてくれ、と言うブラックに、ケシスさんは難しそうな顔をしたが……俺がヘロヘロだったのをずっと見ていたからか、仕方ないと頷いてくれた。

「わかった。お前らもあの砂漠を“徒歩で歩いて来た”んだもんな。そりゃそんな風に疲れても仕方ねえや。お前達が帰って来たって報告はオレサマがやっとくから、とりあえずお前達は一度休め。案内する」
「ああ、すまんな……」

 素直にそう言うブラックに、ケシスさんは少し目を逸らして――顔を軽く俯けた。
 そうして。

「…………いや。気にするな。仲間を大事にしてえ気持ちは……よくわかるからな。後でお前達に何か持ってってやるよ。……その時にでも、話を聞かせてくれ」

 どこか沈んだような表情で、ケシスさんは言う。
 何故そんな顔をするのか解らなかったが、その態度はやっぱり……サービニア号での自信満々な彼とは全く違っていた。










 
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