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亡国古都アルカドア、黒き守護者の動乱編
1.今までのことを思い出せ
しおりを挟む冷たく青い、岩と鉱石ばかりの高い山を下りた西の果て。
海を臨む赤い砂漠に囲まれた巨大な城塞都市を、今の人々は【古都・アルカドア】と呼ぶ。かつては【王都・アルカドビア】と呼ばれていた。
とても古い、古い――――今はもう存在しない国の、王都だった場所。
だが、その王都は今や他国の領地の一つだ。
クロウの父親であるドービエル・アーカディア元・国王の息子である長男、怒りんぼ殿下ことカウルノスが今また治めようとしている【武神獣王国・アルクーダ】が勝ち取り、現在はカンバカラン領……長男殿下の母親であるマハ・カンバカラン第一王妃が治めている。
領民である街の中の人々や周囲の“群れ”からは、言い伝えのせいであんまり王族が歓迎されてないみたいだけど……でも、その街は昔の面影を綺麗に残す街だ。
マハさんは誰を虐げている訳でもなく、清廉潔白な統治を貫いている。
その部下である人達も、獣人ならではの血気盛んさがあるが、しかし誰かに反旗を翻されるような態度はしていなかった。
元・国王のドービエル爺ちゃんのように、善政を行っていたはずなんだ。
それなのに……どうして今、その都が襲われているんだろう。
「うーん……アレはどうやって入ろうかな」
高台から少し離れた砂漠を見て、ブラックが無精髭をじょりっと指で擦る。
そんなブラックに、クロウが少し眉間に皺を寄せて目を細めた。
「ぐるりと取り囲んでいる……ワケではなさそうだ。城が在る背面の壁には不自然なほどに人気が無い。……まあ、流砂の罠があるからというのもありそうだが……」
えっ、流砂の罠って、もしかしてアリジゴクみたいな仕掛けが有るの。
そんなの俺知らなかったんだけど……うわ、街を散歩したいからって外に出ようとしなくてよかった……。人族の大陸にいた頃のクセで、街の壁の外の周りまで散歩してウワーってなるところだったわ。
思わずゾッとしてしまうが、そんな俺が何かを言う前に怒りんぼ殿下が口を挟む。
「だがそうなると、相手はアルカドアの防衛設備を把握していることになる。不届きな輩が入り込んでいたという事か」
「いや、そう思うのは早いんじゃないか。外周の罠ならそれこそ“根無し草”みたいな連中が嗅ぎまわれるだろう」
おお、ブラックが普通に殿下に返答している。
山を下りる時は俺を背負う背負わないで殿下とギャアギャア言ってたのに、冷静な話し合いは出来るらしい。いやしてもらわんと困るが。
「それより、城郭の罠を把握しているくせにその穴を突いていつまでも侵入しないのが気になる。……普通、戦を行うとして、二日も門を破れないままあからさまに騒ぎ立てるのは陽動が定石だ。なのに、何故一向に城に煙の一つも上がらない?」
続ける言葉に、怒りんぼ陛下は顎に手を当てて唸った。
クロウも神妙な顔をしている。
「ウム……。いくら誇り高い獣人族とはいえ、城攻めに関しては搦手を使わぬこともない。目的は首領との対決だからな。そのための策略であれば、我が末弟でもある第三王子のルードルドーナも好んで使う。栄誉ある戦いでもなければ、みだりに兵を犬死にさせることもない。そのような調整も王の務めだからな」
「意外だな、ホコリホコリと煩いくせに」
じとりと見やるブラックに、怒りんぼ殿下は「ハン」と見下すような鼻息を噴いた。
「犬や狐のようにずる賢くなければ食えぬ肉もある。生きるため、強くなるための策略であれば、それは立派な武力だ。まあ人族ごときに理解出来る話ではなかろうがな」
「うわ……殺そ……」
「もー! バカ! ブラック!」
なんでお前はそう突っかかるんだと口を掌で押して閉じさせると、相手はへにゃりと顔を笑みに歪めて俺の肩を抱いて来た。
「ふへへぇツカサくぅん」
「そ、そんなことしてる場合じゃないってばっ。ともかくどうやって入るんだ!?」
遠目からでは分かりにくいけど……でもやっぱり水や炎が飛び交っているのを見ると、あの大群に人族の冒険者が混じっているのは間違いなさそうだ。
わりと大きな炎の柱が時折上がる時も有るけど――なんか、ちょっと変……?
すこし進路を変えて、アルカドアが見える山の中腹あたりで一時間ほど慎重に観察してるんだけど、どうもその【曜術】の炎が飛び出るのが規則的なんだよな。
○分おきっていうか、なんか街の広場の噴水並に時間が決まってると言うか。
そういえばこの獣人だけしかいない【ベーマス大陸】には、曜術を使うために必要な【曜気】がほとんど自然の中に存在して無くて、大地の気もごく少数なんだっけ。
ナイわけじゃないみたいなんだけど……自然から発生する気は薄いんだそうだ。
だから、アレは……たぶん、冒険者の曜術師がよく武器とかに嵌め込んでる【宝珠水晶】から曜気を貰って術を出してるんだろうな。
俺は“黒曜の使者”ってチート能力持ちだから使った事は無いけど、一般的な曜術師は、曜気が無い場所で戦う事を考えて、その【宝珠水晶】に予め曜気をたっぷりと蓄えて冒険してるんだ。ブラックだってそうだぞ。
あの一昔前のライトノベルファンタジーでよく見るような、デカい肩当て付きのマントにも、オーブ的な青く綺麗なでっかい宝石が引っ付いた留め具的なブローチを付けているし、鍛冶師の美女グローゼルさんに作って貰った【宝剣・ヴリトラ】にも、最高級の炎の【宝珠水晶】を取り付けてもらってるんだ。
もっとも、剣の方はブラックの膨大な魔力を伝達させる役割なんだけど……ともかく冒険者は大抵が自前のブツを持っているのである。
なので、この場所で曜術を使うこと自体はおかしくないんだが。
……ってか、見るまで忘れてたな。そういう冒険者っぽいこと……。
最近、冒険者やるどころかずっと何かに巻き込まれまくってたからなぁ。
土のグリモアである【銹地の書】を王になった怒りんぼ……カウルノス殿下に貰ったら、早く人族の大陸に帰って気楽な冒険者稼業に戻りたいよ。
「…………じゃあ、抜け道もないんだな?」
ハッ。
い、いかんいかん。こんな状況なのにまたボーッとしてた。
俺がボケてる間に、ブラック達は真面目に何かを話し合っていたようだ。えーと……どうやら、どこからなら彼らに気付かれずに入れるか考えてたらしい。
そ、そうだよな。今はそう言うことを考えるのが大事だ。
でも、頭のいい三人のオッサンで話し合っても結局答えは出なかったらしい。
じゃあ俺だったらもっと無理だな!
ははっ!
…………いかん、自分で言ってて虚しくなってきた。
と……ともかくっ、今は「ここまでの状況」を振り返っている場合じゃないっ。
人族が混じった謎の獣人の集団にマハさんの居る街が襲われているんだ。人族達の素性や、彼らの目的を知るためにも、なんとかして城に入らないとな……!
「もういっそ真正面から抜けるか……そもそも、隠れて入城など誇り高き我ら【ディオケロス・アルクーダ】の行うことではないのだ。あれしきの雑兵など、全て蹴散らしてしまえば問題なかろう。
「あ、兄上……それは最も素晴らしい手段ですが、少々問題が有ります。恐らくあの族どもは、兄上の御尊顔を把握しているでしょう。堂々と入城するとなれば、万が一相手を逆上させかねません」
いつになく弟っぽく丁寧に諌めるクロウに、ブラックも迷惑そうな顔をして片眉をギュッと眉間に寄せる。
「あいつらの目的も全然判明してないのに、迂闊な事をしてどうするんだよ。この国の王子はバカ王子ばっかりなのか? 国の将来が不安だな」
「あ゛? 頭を握りつぶすぞ惰弱人族が」
「はぁ? やんのか脳筋三流バカ王子」
「殿下もブラックもやめろってば! と、とにかく……あいつらに気付かれず入る必要があるんだよな?」
急いで二人の間に入ってブラックを背中で押し込み止めつつ、クロウに問う。
すると、クロウは俺が今更な質問をした理由も聞かずに頷いてくれた。
「ウム。とにかく……マハ様と連絡をつけるにしても、壁の外で攻撃を続けている奴らに気付かれるとマズい。だが、周囲はあの通り砂漠だ。近付けばどうしても敵に姿を見られてしまうだろう。……オレはともかく、兄上は姿形が多くの獣人に知れている。今ここで、次期国王を正体不明な敵に曝す訳にはいかん」
「そうだよな……」
クロウの言う通りだ。
相手がクーデターにしろ略奪にしろ、一日二日途切れず攻撃を続けているほどの“備え”をしているのなら、考えなしに近付くのは悪手だろう。
恐らく彼らは、古都・アルカドアを襲うにあたって色々な準備をしているはずだ。
そうでもなければ、この熱い砂漠の中で延々攻撃を続けられるわけがない。いくら曜術師が持つ【宝珠水晶】だって、それなりに曜気を取り込んでおかなければこんなに長く術を発動させ続ける事は出来ないだろう。
「もう二日」ではあるが「まだ二日」でもある。
相手がどれほどの戦力なのか分からない状態で近付くのは、迂闊としか言いようが無かった。
――――だけど、このまま待つわけにも行かない。
幸い、あいつらはアルカドアの高い外壁に阻まれて立ち往生してるし、遠くの方を確認する奴はいないのか、こっちが観察している事も気付いてないみたいだが……だからって、俺達まで立ち往生してるワケにはいかないよなぁ。
うーん……けど砂の中なんて移動できないし、そもそも移動できてもどっかで必ず出なきゃダメだから見つかるだろうし……うまく近付けて、正門を避けあの壁を登ろうとしても、獣人達の耳の良さのせいで見つかっちゃいそうだ。
そもそも、近付く時点であの鋭い五感に察知される予感がする。
ブラックやクロウ達はともかく、俺は絶対に気配なんて消せないだろう。そうなると、俺のせいで見つかってヤバい事態になるかもしれないし……。
……なんていうか、獣人と戦うのって理不尽なほどハードモードじゃない……?
ええと……だったら、俺達が侵入するには……するに、は……わぁあ……っ。
「ぐわあぁあどうすりゃいいんだっ! 早くアルカドアに入らなきゃ行けないのにー!」
「あっ、ツカサ君の頭から煙が」
「ヌゥ……また考えすぎて頭が沸騰してしまったぞ」
「キュッ、キュウ~ッ!」
こんちくしょう、オッサンどもめ好き勝手言いやがって。
でも当たってるから反論も出来ない。ううう、仕方ないじゃないか、考えれば考えるほど「気付かれずに侵入」なんて出来そうにないんだからさあ!
そりゃ頭も沸騰するってもんですよ、ねえロクちゃん!
「うう……ろ、ロクぅ……」
「キュ~……」
俺の事を心配して、可愛いロクちゃんがほっぺに頭をスリスリしてくれる。
ああぁ……ヒンヤリする、癒されるぅ。コウモリ羽を一生懸命パタパタさせて俺に風を送ってくれているのも優し過ぎて心が回復してしまう。
う、ううっ、なんて優しくて可愛いんだ……!!
今年の可愛い竜オブザイヤーは間違いなくロクのものだよ!!
「あぁああ気持ち良い…………ん……気持ち良い?」
「どしたのツカサ君」
問われて、俺はちょっと自分の状況に引っ掛かり数秒沈黙する。
だけど――――ロクの姿を見て、一気にその「引っ掛かり」が解け――俺は「あっ」と大きな声を出してしまった。う、うお、みんなビックリさせてごめん。
ブラック達までビクッとするとは思わなくて申し訳なくなりつつも、俺はゴホンと咳を一つして気を落ち着けると、ロクちゃんを掌に乗せ改めて三人に向き直った。
「あの、あのさ……こういう手はどう?」
「なにか思いついたのかい、ツカサ君」
俺をじっと見つめる菫色の瞳に、俺は力強く頷く。
「あのさ、空から飛び降りるってのはどう?」
その一言に、オッサン三人がギョッとしたような顔をする。
まさに「何トチ狂ったこと言ってんだお前」みたいな表情だったが、しかしブラックはすぐに俺が何を考えているか読み取ったのか、俺とロクの顔を見比べて「なるほど」と言わんばかりに顎に指をやり頷いた。
「そうか……なるほどね! ロクショウ君の力を使えば、何とかなるかもしれない」
ブラックの少し明るくなった言葉に、クロウもロクショウの“正体”に思い至って、アッと声を出し、橙色の目を見開いてコクコクと頷く。
けれど、殿下は未だに頭上にハテナマークを浮かべたままだ。
それはまあ、ロクショウの本当の姿を知らないから仕方ないよな。まあ説明は後でさせてもらおう。今は時間も惜しいしな。
「だがツカサ、空となると影が出来るのではないか」
「そこは、ブラックとロクに風を起こして貰うんだよ。砂嵐が出来れば、頭上から影が落ちても気付けないだろ? 辺り一帯が出見えなくなるんだからさ」
「そうか……その手が有ったか……!」
合点が言ったようで、クロウもナルホドと己の手を打つ。
へへ……二人とも乗り気みたいだ。頭のいいブラックとクロウから反論が出ないって事は、たぶんこの作戦で良いんだよな。なんかやる気が出てきたぜ。
「おい……どういうことだ? その小さなモンスターに何が出来ると……?」
盛り上がっている俺達三人と一匹に、怒りんぼ殿下は未だに困り顔だ。
しかし、その疑問もすぐに解ける事だろう。
俺はロクと顔を見合わせてニッコリ笑うと、任せなさいと胸を叩いた。
「ロクショウは、俺の頼れる相棒なんだ。まあ実際に見てみてよ!」
「キュー!」
「ふ……フム……?」
俺達の勢いに気圧されている殿下は、何だかよく分からないながらも頷いたみたいだった。……ふふふ、今から驚く顔が楽しみだぜ。
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