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飽食王宮ペリディェーザ、愚かな獣と王の試練編
我儘※
しおりを挟む力が抜け、くたりと凭れかかって来た小さな体を支える。
肌は水気か汗ばんだかで濡れそぼり、吸い付くような瑞々しい肌がより一層自分の腕に縋って来る感触を覚えて、ブラックは口を笑みに歪めた。
「あぁ……ツカサ君、ツカサ君可愛い、イッちゃったからナカがビクビクしてるよ」
「ひぐっ!? やっ、あ゛っ、あぁあ゛っくっ、~~~……ッ!」
熱く柔らかな肉壁を執拗に指で弄り、ツカサが鳴く場所をくにくにと指の腹で愛撫し続ける。まるで、獣が餌に狂ってその場所を何度も掘り返すような浅ましさだったが、ツカサはその刺激に身もだえして甲高い声を上げ、耐え切れずにブラックの肩口に顔を押し付け爪を立てた。
その圧の、なんと稚く可愛らしい事か。
萎えたばかりのツカサの幼い陰茎は強引に再び勃起させられ、ブラックのそそり立ったままのペニスにぐいぐいと押し付けられている。
自分の赤黒くガチガチに硬くなったペニスとは違う、弾力のある感触。その独特で特別な感覚は、ブラックを更に興奮させた。
(いつもなら、兜合わせなんてあんまりやらないけど、こういうのも良い……っ。ツカサ君の興奮も、僕が好きって気持ちも近くで感じるよぉ……)
ツカサの全てが自分にしなだれかかっている事に、思わずうっとりしてしまう。
やはり、密着するならこの体勢だなとブラックはしみじみ思った。
後背位では顔があまり見えず、かといって正常位も隙間が出来てしまう。なにより、キスがしづらいのが難点だ。ツカサと自分の体格差は、良い所も有ればもどかしい所もあって、ブラックにとっては複雑だった。
だが、こうして座位のようにすれば、自分が軽く首を伸ばすだけでツカサとも存分にキスが出来る。……まあ、ツカサにとってはだいぶ苦しい体勢ではあるだろうが。
(でも、ツカサ君も僕とぎゅーってするの好きだもんね。わかるよ、僕がツカサ君の首や頬にキスするだけで、ツカサ君の雌穴もきゅうって喜んじゃうもん……ふ、ふふ、う、嬉しいなぁあ……)
下品な音を立て指を増やしつつ出し入れを繰り返し、時折ナカの泣き所を掠めては奥に突き入れる。
それだけでツカサは息を飲み込み、ブラックが与える強烈な快楽に体を逸らし緊張するのだ。こちらの指の動き一つで、ツカサは実に多彩な反応を返してくれた。
それが、嬉しい。
自分達が愛し合うための場所だけでなく、こうして抱きかかえて愛情を示すキスを施すたびに声が無意識に甘くなるのも、見ていてたまらなかった。
ツカサは、ブラックに大して間違いなく恋情を感じ愛している。
オスに対して鈍い所は有るが、しかし自分に性的欲求を抱く男に対しては「ありえない」と激しく拒絶するのがツカサの常だというのに、ブラックに大してだけは簡単にこのような行為を許してしまうのだ。
娼姫ですら拒む事の多い、あのような下品な行為ですら「ごっこ遊び」だとか「君が上手くオスを躱すため」と言えば、なんの疑いも無く信じてしまう。
それは、彼の警戒心の緩さも有るだろうが……ひとえに、ブラックに対して「そういう行為」を特別に許容し受け入れているからだ。
ツカサは、自分の中の拒絶を押し込めてもブラックとの情事に応えてくれる。
ブラックと同じように、ツカサもまたブラックを深く愛してくれているから。
――――その相手の献身的な愛情が、どうしようもなくブラックを興奮させた。
「ご、ごめんねツカサ君、ちゃんと教えてあげるつ、つもりだったけどぉっ、もう、もっ、つ、ツカサ君が好きすぎてセックス我慢出来ないっ、せ、せっくす、ツカサ君のナカにいっぱい挿れたい、ね、だからねぇっ」
「う゛ぅうううっ、ひ、ぅ゛っ、ぁ゛っ、あ゛ぅうっ、ぅあぁああ!!」
「あぁ……っ、も、もう我慢できない……っ」
指を引き抜き、肩口に縋りつくツカサを軽々と持ち上げる。散々指で弄り回した穴は戻り切らず少し開いていて、ブラックは躊躇いなくそこにペニスを宛がった。
知った感触を感じたらしく、ツカサは無意識に歯を食いしばる。
まだ少しだけ理性が残っているのか、真っ赤になった顔を歪めている様は実に欲をそそった。少し意地悪をしてペニスを擦り付ければ、ツカサはその感覚がもどかしいのか、肌を泡立たせて無意識に腰を動かしている。
理性が勝っている時なら、そんな淫乱な自分に更に赤面して涙ぐんだだろう。
だが今のツカサは、散々に弱い所を弄られて頭がぼやけてしまっている。うっすらと口を開けて快楽に酔い始めるツカサは、ただただ可愛らしかった。
いつものツカサからは、こんな淫らな姿など想像もつかないだろう。
今の彼は、完全にブラックの欲望を受け入れるメスと化している。
その日常の姿と大きく異なるツカサの淫蕩に耽る様は、禁忌を侵したような感覚も相まって、オスにはたまらない姿だろう。
けれど、ツカサは決してその魅力的な姿を表に出そうとはしない。
その彼を、自分が独占している。しかも、例えこの特別な姿が他の者に見られようとも、ツカサの心はブラックだけのものなのだ。
その事実だけで、今にも達してしまいそうだった。
「いっ、挿れるよ……っ、ツカサ君のナカに僕のペニス挿れるよぉおっ」
「ま゛、っぇ……っあ、や゛っ、あ゛っ、あ゛ぁああ゛あ゛……!!」
尻の谷間を伝う水気と、散々指で慣らしたおかげか、先端が苦も無く侵入する。
途端に締め付けて来る窄まりにブラックはビクビクと腰を震わせたが、なんとか中にぬるりと入り込む。窄まりの締め付けとはまた違った感覚に、ブラックのペニスは涎を垂らしながら無遠慮に進んだ。
「っふ、ぅ……あぁ……っ、ツカサ君の雌穴、ホントたまんない……」
「ひっ、ぎ……い゛、ぁ゛……あぐっぅ、う゛あぁ……ああ……っ」
久しぶりの挿入に苦しさと少しの痛みを感じているのか、ツカサは顔を歪めて涙をぽろぽろと零している。だが、幼さが色濃く残る顔で赤面して泣かれても、オスとしては興奮してしまうだけだ。
どうしようもない支配欲と嗜虐心が湧きおこって来て、つい我慢出来ず浅い場所でペニスを軽く動かすと、それだけでツカサは喘ぎ啜り泣いた。
それだけでなく、もうブラックのペニスをぎゅうぎゅうと締め付けて来る。
セックスをしなければ得られない快楽に震えながら、ブラックも負けじと奥へ奥へとペニスを進めた。
「座ってるとすぐ入っちゃうねぇ……へ、へへへ、きょ、今日は、奥までいこうねえ」
「ぅう゛ぅう!? やら゛っ、あ゛、あぁっお、おくやら、ぁ、あぁあ……っ!」
「奥イヤなの? そ、そうだねえ、感じ過ぎちゃうもんね。で、でも……いっぱい注いであげるってさっき言っちゃったからぁ……っ!」
ずんっ、と、一気にペニスをツカサのナカに突き入れる。
刹那、ツカサは喉を曝し体を海老反らせて大きく反応した。もはや声も出せない衝撃だったようだが、それは願ったりかなったりだ。
(あぁ……し、幸せ……っ。ツカサ君のナカが僕のこといっぱい包んでくれて、狭いのと締め付けが強くてまた興奮しちゃうぅ……っ)
何度繋がっても足りない、その思いを発散するかのように、ブラックはツカサを腕に抱いて固定しつつ存分に腰を動かした。
ツカサの悲鳴のような喘ぎ声が何度も耳を震わせ、時々深く突き直すと、ツカサの体は本人の意思とは関係なくビクビクと動きブラックを締め付ける。
嬌声の合間に「いやだ」と拒否をする声を出すが、それはブラックを拒絶しての言葉ではないと分かり切っている。
彼は、メスとして快楽に溺れる事を恥ずかしく思っているのだ。あくまでもブラックが行う淫らな事に対して羞恥を覚えているだけで、本気でイヤとは思っていない。
そうでもなければ、こうして何度も突き上げるたびに喘ぎはしないだろう。
「ツカサ君っ、ツカサく、つ、つかっ、あっ、あぁ……っ!」
「~~~~ッ!」
たまらず、先程から限界を迎えていたペニスが我慢し切れず白濁をまき散らす。
その衝撃にツカサは目を見開き痙攣する。
(そ、そんな顔されたらまた勃っちゃうよぉ……っ)
今射精していると言うのに、また欲望が湧きあがってくる感覚を覚える。
ブラックの思うがままに動き応えてくれるツカサの姿は、際限なくブラックを興奮させてしまうのだ。だから、いつもやり過ぎてしまう。
事後毎回ツカサには怒られてしまうが、しかし恋人であり婚約者である愛しい存在に昂奮しないでいることは難しい。
だが、それでも問題は無いのだ。
こうしてセックスすることがブラックにとっての「愛する事」だと知っているツカサは、何度達しても満足できない程に好きなのだと理解してくれているから。
「つ、ツカサくんん……っ、あ……あぁ、う、動くよ……また動くよぉ……っ」
「ぃ゛、う゛ぅ……っ、も゛っ、ぁ゛……あ゛……あぁぁ……っ」
はぁはぁと荒い息で一生懸命に息をしようとしている相手の中を、再び欲望に任せて突き上げると、息が止まって小さな体が硬直するのが分かる。
一緒にナカで締め付けられて、ブラックのペニスは再び硬さと大きさを増していく。ツカサにとっては苦しい事だろうが、包み込んでくれる肉壁は精液を注がれ更に滑りを良くし、締め付けながらも奥へ誘うように蠢いていた。
この体と心の違いが、いつも愛おしい。
だからこそ、手放したくなくて。ついいつも子供のようなダダをこねてしまうのだ。
(規則だから、仕方ないって……僕だって解ってる、よ……っ。で、でも……でも、僕、ツカサ君のこと、ずっと守りたいから指輪を作ったの、忘れて欲しくなくて……っ)
この魅力的な姿を、自分を幸せにしてくれる心を、失いたくない。
他のオスになど盗られたくない。恋情だろうが恐怖だろうが、ツカサの心を一部でも支配する者が存在するなんて許せなかった。
だから、指輪を渡して、自分が傍に居られない時も守りたかったのに。
そう思って、ツカサの腰を掴みぐりぐりと中を掻き回すようにペニスを動かす。その刺激に耐え切れないツカサは口を開いたまま声なき声を上げ、可愛い唇ををわななかせていた。
(ツカサ君の立場なら仕方ないってわかってるのに、あんな風に分かり易く怒ったり拗ねたりするなんて、変だよね。でも……)
でも、そんな大人げない自分でも、ツカサは受け止めてくれる。
そんなブラックだからこそ好きだと言ってくれたのだ。
(っ……ぁ……あぁ……ツカサ君が、ツカサ君が僕のこと、いっぱい甘やかしてくれるから……僕が出来なかったこと、っ……い、今……させてくれる、みたいに……全部許して、くれるっ、ぅ……から……だから、僕も調子に、乗っちゃう、っん、だ……)
快楽の波に段々と思考を奪われながらも、脳内で詰るように呟く。
その声は決して聞こえてはいないし、恐らく口で言ってももう快楽に翻弄されているツカサには理解出来なかっただろう。
だが、それでもブラックは「好き」だの「愛してる」だのと呟きながら、蕩けそうに熱いツカサのナカにペニスを収め、ぎちぎちに絞られる感触に酔い続けた。
(王様だの、なんだの……っ、ホントに、まどろっこしい……っ)
いくら守ろうと思っても、力で全てを吹き飛ばす道具を与えても、真っ当に生きるのであれば、それらが無効になる時がやってきてしまう。
その事に何とも言えない歯痒さを覚えながらも、ブラックはツカサを一層強く抱いて、強引に根元までツカサのナカに挿入した。
「っあぁああ! ひっ、ぁ゛っ、あぁあっ、ひぐっ、ぅ、ぁ、あぁああ……!」
「いっ、はっ、はぁっ、ぁっ、い、イこ……い、一緒にイこ、ねツカサくっ……っ!」
名前を呼ぶたびに、愛おしさを示すように自分のペニスを締め付けるツカサ。
可愛くて、愛しくて、たまらない。
だが、権力者の前で「まっとう」で居る為には、出来ることは多くない。
……恋人であるツカサも、そんな思いをいつも抱えているのだろうか。
ふとそう思うと慰めにもなったが、しかし、彼の全てを享受する唯一の恋人である自分が――――ツカサが全幅の信頼を寄せてくれる自分が、何も出来ずにただ外から眺めている事しか出来ないというのは……どうしようもなく、悔しい。
こんな時に、昔「何ももっていなかった」自分を思い出し、胸が苦しくなる。
「ツカサくん……つ、ツカサく……っ、う、うあぁっ……ツカサくん……っ」
抱き締めると、ツカサは――――意識なんて最早朦朧としているだろうに、ブラックの縋るような声に応え、ブラックの頭を抱え込んだ。
……平らで柔らかな胸が額に当たって熱を送り込んでくる。
だから。
これだから……どんどん、失いたくなくなる。失う事が、怖くなる。
恐れているのに、包み込まれると幸せで幸せで何もかも忘れてしまう。
(ここに来てから……っ、ほんと、もう、調子が狂っちゃうよ……)
だが、それでも我慢して居られるのは……やはり、ツカサが隣に居るからだ。
(もっと……もっと溺れさせてよ、ツカサ君……っ)
今はただ、ツカサの優しさと愛情に浸っていたい。
冷静になって「回避方法」を教えるのなんて、もっと後でも良いはずだ。
だから今は、まだワガママな自分のままでツカサに甘えていたかった。
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