異世界日帰り漫遊記!

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聖獣王国ベーマス、暗雲を食む巨獣の王編

  愛合*

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 ツカサの料理に対して、不味いと思った事は無い。

 正確に言えば、奇妙な味だなと思ったり自分には甘すぎるかなと考えたりする事はあるが、だからと言って食べたくないという考えは今まで一度も浮かばなかった。

 ただツカサが自分のために作ってくれたものが嬉しくて、口に合わない味でも丁寧に作ってくれた事が分かる美味しさが有って。だから、ブラックはツカサの作った料理を「まずい」と思う事は一度も無かったのである。

 今日の料理だって、とても美味しかったのだ。
 シンプルな肉焼き料理ということで、火加減はブラックに任せてくれたツカサだったが、あの鼠人族から教えて貰ったと言う果実を使ったソースは完璧だった。

 普通、教えて貰っただけでは複雑な料理を完璧にはこなせないだろう。だが、彼は見た目には似合わぬほどの手腕で、いつも美味しく再現してくれるのである。

 それが異世界で色々な事を学んでいるからなのか、それともツカサ自身の類稀な才能なのかはブラックには測りかねたが、しかしどちらにしろツカサが料理上手だという事実には変わりないだろう――――と言ってしまいたくなるのは、愛しい婚約者を評価するがゆえの欲目だろうか。

 ともかく、恋人に対する愛情をたっぷりこめてくれているツカサの料理は、ブラックの舌にいつも感動と喜びと心地良さを与えてくれた。
 こんなに食事が楽しいと感じるようになったのも、ひとえにツカサのおかげだった。

 ……が、今回ばかりは、さすがに「まずい」と思わざるを得ない。

(まあ、味に対しての“マズい”じゃなくて、状況に関してのマズいだけどねえ……っ)

 獣人は欲望に素直であり、排他的でしかも「奪う強者が王者」という残虐大陸だ。
 法律があるのかと疑わしくなるほどの腕力主義で眩暈がするが、しかしモンスターに一定の「制限」が存在するのと同じなのか、獣人達にも掟のような物があるらしく、いきなり襲いかかってくるようなことは無かった。

 少なくとも、人族の飢えた山賊よりは知能が高いらしい。
 だが、だからこそ厄介だなとブラックは顔を歪めた。

(獲物を見て自主的に『待て』が出来るということは、小賢しい知恵を振り回すことが出来るというのと同意義だ。そんなヤツらに豪勢なエサを見せつけたら……そりゃあ何とかしてエサを奪えない物かと考えるだろうさ)

 駄熊や、その駄熊の元部下である灰色狼のように、街などの場所で教育を受けただろう者にはそれなりの倫理観が育っているように見えるが、しかし今滞在している村のように「みだらな行為を恥じる知恵」すら教えられていない場所では、他人の物を奪わないようにしようなどという考えは育っていないだろう。

 むしろ、獣人としての本能をより強く感じ「欲しい物は奪うまで」と考えかねない。
 そんな危険な獣どもにツカサの姿を見せれば、興味を引くのも無理は無かった。

(柔らかくて足の肉もむっちりしてて、どこもかしこもぷにぷになんだもんなぁ。それに加えて料理も出来るんだから、従順なメスが欲しいってヤツならジッと観察してでも手に入れる機会を窺いたくなるだろう)

 穿った考えだと人には言われるだろうが、しかしその懸念が現実の物ともなれば、そう笑っても居られまい。
 現に、今の今まで自分達の寝床は獣たちに監視されていたのだから。

(いやもう、本当に鬱陶しかったなぁ……。こちらに見つからないように隠れて、僕のツカサ君に汚らしい目線をいくつもいくつも向けて来て……危うくツカサ君の目の前で血をまき散らしちゃうところだったよ……っ、ふ……)

 ただじっと観察しているだけなら、ブラックもそうは思わなかった。
 だが、あの視線の群れは間違いなくツカサを見て欲望を滾らせていたのだ。
 しかも、いつブラックの元から掻っ攫おうかと考えているような、殺気にも似た視線を適度にブラック達にも向けていたのだから始末に負えない。

 たかが獣風情が、この自分から「ツカサを奪えるかも知れない」などと思い上がるとは、ちゃんちゃらおかしい。とても不快だった。

(折角の楽しい夕食だったのにっ、勘違いしたオスどもが勝手に近寄って来て……! ああもうっ、本当に気が抜けない……!)

 自分が隣にいる以上は、下賤なオスどもになど指一本触れさせるつもりはない。
 こんなみすぼらしい村の獣どもなど、何匹襲いかかって来ても返り討ちに出来る。
 けれど、相手が「視線だけ」を送って来ている現状では、こちらが先に動けば相手の思うつぼになる可能性もある。獣どもの掟は、まだ理解し切れない部分もある。

 もし相手の掟に何か抵触する事をして、その結果ツカサを失うことになるとすれば――――この大陸でお尋ね者になってしまう可能性も有った。

 とても、面倒臭い問題だ。
 けれども、今のブラックにはその問題は既にとるに足らない物となっていた。
 何故なら……。

「っ……あはっ、ははっ……! ほ、ほらツカサ君っ、僕のペニスがツカサ君の太腿の間から出てる……っ!  っ、あぁ……き、気持ち良い、たまんない……っ」
「もっ……ばかっ、ばっきゃろ……っ! い、良いから早く済ませよぉ……っ」

 外の焚き火の明かりでほんのり照らされただけの、薄暗い幌馬車の中。
 上半身の方を地面に付けるような四つん這い姿のツカサを後ろから抱いて、そのむっちりとして柔らかい太腿の間にペニスを挿入し動かしている。

 逃れられないように抱き締めたツカサの小さな体に覆い被さり、彼に密着しながら腰を動かして存分にツカサの太腿にペニスを擦り付ければ、ツカサはその熱く硬い感触に敏感に反応し、先程からびくびくと体を震わせていた。

 素股をしているだけだというのに、ブラックと密着して勃起したペニスを宛がわれるだけで、ツカサの体は反応してしまうようだ。
 時折耳元に息を吹きかけると、ツカサは更に反応し、我慢している喘ぎ声を漏らしながら更に太腿に力を入れる。その刺激が実に心地いい。

 露出した小ぶりで掴みたくなるツカサの尻に思いきり腰を打ち付ければ、ぺちんと言う卑猥な音が鳴り、太腿を行き来するペニスの水音と相まって興奮が増す。
 早く済ませろとツカサは泣き言を言うが、しかしこうなってしまっては一度射精しても収まるはずがない。何より、今のブラックにはやめられない理由があった。

「んもぉ……早めに終わらせたら、ツカサ君への“匂いづけ”も中途半端になっちゃうでしょ! そうなったら他のオスに狙われちゃうんだよ? だから、今のうちに少しでも僕のニオイを付けておかないと……!」

 そう。
 これは、ただムラムラしたからイタズラしているワケではない。
 「視線のみで牽制して来る鬱陶しい獣ども」を諦めさせるために、予め牽制しておくために必要な行為――――“匂いづけ”なのだ。
 だから、早く済ませるつもりなど毛頭なかった。

 “匂いづけ”さえ行えば、生半可なオスは手を出してこない。
 ならば、そんな役得で楽し…………いや、重要な行為をしない理由は無いだろう。ブラックがツカサの体に触れてニオイを残すだけで、大半のオスはブラックの強さと執着を感じて勝手に退いてくれるのだ。

 その基準は人族であるブラックには判断がつかなかったが、ともかくツカサの体に自分の精を刻み込めばいいのだから一石二鳥とも言える。
 なにより、いつもなら「旅の途中でこんなことしてる場合か」と愛の営みを遠慮するツカサを封殺する事が出来るのだ。

 毎日“匂いづけ”と称して堂々とツカサに触れる事が出来るなんて、最高だ。
 しかも、獣人の国では人前でツカサの太腿や尻を触ろうと、誰も咎めはしない。逆に「なるほど、アレはアイツのメスか」と認めて貰える優越感を感じられるのだ。

 そんな大きな利点の前には、さきほどまでの「鬱陶しい視線」など霞んでしまう。
 もはや、ブラックには自分の体の下で震える愛しい恋人との淫らな行為しか頭の中に無い。今は、素股だけで敏感に反応してしまう可愛いツカサを味わいたかった。

「あぁ……っ、つ、ツカサ君の太腿最高……っ! っ、ふ、あぁ……メス穴とは違った感じで包み込んでくれて最高ぉ……っ、はっ、はぁあっ」
「喋るなばかっ、す、すけべっ……ブラックのばかぁ……っ」

 涙ぐむツカサの声は、上擦っていてとても可愛い。抱き締めたままツカサの尻に腰を押し付けてぐりぐり動かすと、それだけでツカサは啜り泣いて太腿を痙攣させた。
 セックスとは違うもどかしい快楽だが、これはこれで素晴らしい。
 理性を保ったままのツカサが必死に声を抑えて我慢しているのも、いつもとは違う興奮を催させて更に腰の動きが激しくなってしまう。

「つ、ツカサくっ、っふ……はっ、ツカサ君っ……ツカサ君、ツカサくんん……っ」
「み、耳元で喋るのっ、や……っく……ぁ……あ、ぅう……っ」

 イヤだとは言うが、ブラックの声に反応している。
 ブラックがツカサを愛するように、ツカサもまたブラックの体も声も心も全てを愛し、愛するがあまり己の思いに恥ずかしさを感じて、こうして首を振ってしまうのだ。

 耳元に声を吹きかけるだけで、ツカサの小さなおちんちんは反応する。体をぎゅうっと抱き締めると、あからさまに耳まで赤く染まるのが可愛い。
 強引に服を脱がされても、ブラックが「好き」を伝えればそれだけでツカサはブラックのことを許してくれるのだ。

 それほど、ツカサはブラックの全てを愛してくれている。
 疑いようのない事実が、嬉しくてたまらなかった。

「んもぉおっ、ツカサ君たらいつも僕を興奮させてっ、そ、そんなだから僕……っ!」
「ひっ、ぁっ、ら、らぇっ、いや、ば、ばかそこだめっ……!」

 駄目と言っても、最早止まる事は出来ない。
 ツカサがどれだけ頑張って足を閉じようとしても、ツカサのむっちり柔らかい太腿はブラックのペニスを拒否できない。誘い込むように柔らかな肉で挟み込んで、先走りの液体で滑りが良くなっていくにつれ熱く吸い付くようになっていく。

 それが気持ち良くて、抜き差しするだけでなくツカサの小さなおちんちんを擦るように上下にも動かすと、ツカサは必死に首を振っていやだと肩を震わせた。
 だが、そんな可愛い反応をされたらもう止まれるはずもない。

「あぁあっ、つ、ツカサ君出す、だすよっ、匂いたっぷりつけてあげるからぁ……ッ!」
「ッ……~~~!」

 少し腰を引いて、先端を太腿の間に押し付けながら腰を痙攣させる。
 “匂いづけ”という大義名分のため、勢いよく噴出する精液をツカサの太腿になすりつけると、達していないはずのツカサの体が大きく震えた。

 こんなことだけでも感じてくれているのか。
 そう思うと嬉しくて堪らなくて、ブラックは腰を動かしながらツカサを抱き締めた。

「っ……は……はぁあ……。ツカサ君……好き……好きぃ……」
「う、うぅ……お、思いっきり出しやがってこのあんぽんたん……っ」

 恨めしそうな声を漏らしているが、しかしいつもながらツカサの罵倒は可愛い。
 聞いた事のない不思議な罵りだというのに、可愛さの方が勝ってしまう。

「えへへ……ツカサくぅん……ね……二人きりになれたら、もっとセックス……いや“匂いづけ”しようね……。ツカサ君は僕の婚約者なんだぞって、バカな獣人達にも分かるようにさ……」

 そう言いながら、ブラックはこれ見よがしにツカサの目の前に左手を見せる。
 その指に一つだけしっかりと嵌っている指輪を見たツカサは、また赤面したのか耳まで真っ赤にしながら目を泳がせていた。

(獣人の国なんて面倒臭いだけだと思ってたけど……ツカサ君と一緒にいると、本当に何でも楽しくなっちゃうなぁ。……ふふ……船の中で我慢したぶん、いーっぱい僕を甘やかしてね、ツカサ君……)

 指輪を嵌めた左手でツカサの熱い頬を撫でると、ブラックのペニスを咥えたままの太腿がひくりと反応するのがわかる。
 それだけツカサも欲情してくれているのだなと思うと嬉しくて、ブラックは再び自分の中に熱が湧くのを感じて苦笑してしまった。








※またもや眠気に負けました...φ(:3」∠)_ 遅れてすみませぬ…
 前回同様ちょっと加筆するかもしれません

 
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