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聖獣王国ベーマス、暗雲を食む巨獣の王編
絶対※
しおりを挟む「ツカサ君……ね……気持ち良い……? 気持ち良いよねぇ……だってツカサ君の可愛いおちんちん、おへそを指で犯されてるのにビクビクしてて、いっぱいヨダレ垂らしてるもんねぇ……」
頼りない体を抱き寄せて、泡で滑る指を何度も何度もツカサの控え目なヘソに指を出し入れすれば、ツカサはイヤイヤと首を振って足をばたつかせる。
だがそうやって力を入れれば入れるほど快楽に敏感になってしまうようで、ブラックがヘソに挿れた太い指をそのままぬちぬちと掻き回せば、ツカサは異物感と刺激に耐え切れないのか声を上げて腰を浮かせた。
苦しい、つらい、と喚くのに、ツカサの一番素直な部分……性徴の兆しを見せない柔らかな色の稚茎は、その無垢さとは裏腹にぷっくりと先走りの液体を膨らませ、今も泉のように下へ下へと伝わせていた。
(ふっ……ふははっ……た、たまんないなぁ、ほんとに……! ツカサ君ってば、こっ、こんなっ、乳首弄られておへそを僕の指で犯されるだけで喘いじゃってぇ……っ!)
眉を苦しそうに歪め、必死に快楽に抗おうとツカサは気を張っている。
だが、そんな彼の健気な意地とは裏腹に、体は上気しツカサの頬は既に真っ赤になっていて。これで「いやだ」と言われても、意思と表情以外の全てがブラックの指を喜んでいる今の状況では、逆に誘っているようにしか見えなかった。
「あぁ……っ、可愛い……ツカサ君可愛い、可愛いよぉ……っ」
「ひぐっ、ぃ゛、あ゛っ、も゛ぉや゛ぇっ、お、お゛ながやだっ、や゛ぁあ゛あ……っ!」
嫌だ嫌だと言うくせに、小さく形の良いヘソの穴に太い大人の指を捻じ込みグリグリと弄れば、ツカサはすぐに声を高くする。
ヒダを指の腹で弄りながら掻き回せば濁音の混じるいやらしい悲鳴があがり、独特なのだろう感覚が鳴れないのか、ツカサの柔かな腰は逃れようと動いた。
だが、それでもツカサは快楽を感じ取ってしまっている。
淫らな快楽を教え込んだツカサの未熟なおちんちんは、ブラックが指でヘソの穴を犯しその指でぐりぐりと最奥をつつけば簡単に先走りを散らした。
「……ふ、ふふっ、赤ちゃんと繋がるためのおへそでこんなに感じちゃうなんてっ……つっ、ツカサ君はっ、ホントに淫乱だなぁっ……! あはっ、ああっ、う、羨ましいなぁあ僕もツカサ君と繋がってツカサ君の赤ちゃんになりたい……っ」
「う゛、ぁあ゛あ゛、あぐ、っ、ら……らに゛、ぃっ、へぇ……っ」
苦しそうな顔をしたツカサが、ブラックを見上げて来る。
つぶらな目に涙をいっぱいに溜めた幼い顔が愛しくて、ブラックは上から何度もキスを降らせながら至近距離で囁いた。
「ツカサくぅ……はぁっ……は……ね、ねぇ、もう繋がっちゃおうよ……ね? 繋がってもうずっと一緒にいよ……? ね……? そしたら僕、ずっとツカサ君とセックスしてツカサ君のナカも全部幸せにしてあげるから……ね……?」
泡のせいで、ぬちゅぬちゅと音がする。
本来ならば分泌液など出るはずもないヘソ穴からの音は、それだけで「性器として扱っている」という事実を強め、より一層ブラックの興奮を煽る。
ツカサもソレを自覚しているのか、恥ずかしさで今にも泣きだしそうだった。
(可愛い……ツカサ君、ほんと可愛いよ……そんな顔されると、たまんない……)
自分が拓くまで、誰にも触られた事が無かった柔かで無垢な体。
耳年増にも関わらず己の手のみにより慰めていたのだろうツカサにとって、他人の手で肉体を淫らに変えられていくのは酷く恐ろしい事なのだろう。
だが、その不均衡さが、オスの本能を刺激してたまらなくなるのだ。
いくら抱いても抱き飽きない、柔らかな肌。挟み込まれると思わず股間が反応してしまうほどむっちりとした太腿。大人になるまえの未熟な陰茎は、ついいつまでも弄り回してしまいたくなる。まろみのある尻は女とは違う弾力が魅力的で、なにより……愛おしい相手と繋がる事が出来る雌穴は、例えようも無いくらいの快楽をブラックに与えてくれるのだ。何度抱いても足らぬほど、ツカサは愛しく魅力的だった。
そのことを思い出すだけで、ブラックは簡単に昂ぶる。
指をくわえて見ているだけのオスどもが妄想するよりも、ツカサの身体はいやらしく素晴らしい。そんな彼の真価を自分が引き摺り出し、そしていま独占しているのだと思えば、充足感が心を満たした。
だが、足りない。
ヘソを犯されることを嫌がるツカサが、それでも自分から離れて行かない姿を見ていると、下腹部が更に熱を増してくる。自分を愛して身を任せてくれているのだと思うと、欲が際限なく湧いてくるのだ。
(好き……ツカサ君、久しぶりのツカサ君の体、久しぶりの、久しぶりの……っ)
やっと、何物も気にせずツカサを愛する時間が訪れたのだ。
だからもっと、この愛おしい恋人……いや、婚約者を貪りたい。児戯のように閉じたヘソ穴ばかりを弄っていても、もう足りないのだ。
――――触れたい。
ツカサにもっと触れて、密着して、どろどろに繋がり合いたい。
何もかも溶け合うくらいにツカサを抱き締めて、そのまま永遠に快楽に溺れたい。
一度そう思うともう我慢が出来なくなって、ブラックはつい抱え上げたツカサの体に自分のペニスを擦りつけてしまった。
「ひぐっ! ひっ……ぶ、ぶら……っう……うぅ……っ」
「つ、ツカサ君、セックス……っ、あ、あぁ……っ、も、なんか、我慢出来ない……もう挿れたい、ツカサ君セックスしよ……いっぱい気持ち良くなろ……?」
今まで散々可愛がった乳首とへそから指を離し、ツカサの顔を捕えてキスをする。
口ではイヤだと言うくせに、ツカサはブラックとのキスが好きだ。拒んでも、最後には必ずブラックと唇を重ねてその感覚に酔うのだ。
その事実もまた、ブラックの嬉しさと興奮を加速させた。
(ツカサ君が僕とのキスを嬉しがってる……っ、そんなの、そんなのずるいよ。そんな可愛いところ見せられたら、僕もう、好き過ぎてどうにかなっちゃう……)
いつもそうだ。
相手はこんな無精髭を生やした中年だと言うのに、ツカサはキスを交わすたびに、まるで理想の相手に抱かれているような恍惚の表情を見せて来る。
彼からすれば「男」とキスをするなんて言語道断だっただろうに、もう今ではそんな事など考えもせず……ただ、ブラックとのキスに溺れてくれていた。
だがそれだけではない。ツカサは、その思いすらも素直に見せてくれるのだ。
――ブラックが愛おしい。こうしていると、心地良さでたまらなくなる。
全身でそう訴えるように震えて、終わる時はいつも切なげに頬を赤らめる。
邪推する隙すらなく、彼はただブラックとの交合を幸せに感じてくれていた。
……そんな、いつまでも初心なツカサが、ブラックは愛おしくてたまらない。
自分との触れ合いに愛情を感じてくれるツカサが愛おしい。どんな触れ方をしても、自分を信頼していつも「いやだ」と意地を張ってくれるその態度が愛おしい。
下品に腰を動かして尻にペニスを擦りつけることすらも、口では嫌がると言いつつ腰を揺らして快楽を示す。その嘘の付けない行動が好ましい。
いつも、いつだってツカサはブラックの欲しい反応をくれる。
その掛け値なしの愛情を見ていると、もう我慢が出来なかった。
「ツカサ君……っ、あ、あふっ……つ、ツカサ君、つかさくんん……っ」
キスを続けながら、ツカサの尻を片手で揉みしだく。
ブラックの手で軽々と掴めてしまう尻は、それでも男にしては驚くほど肉付きが良く指が沈み込むほどの柔らかさがたまらない。
その尻肉を強引に割り開いて硬く反り返ったペニスを谷間に擦り付けると、ツカサは舌を捕らわれながらもくぐもった声で喘いだ。
こんな行動ですら、ツカサは快楽に感じてしまう。だがそれも、ブラックが彼の体に触れて昂ぶらせたからだ。そう。ツカサのこの興奮は、彼が唯一愛している恋人……つまり自分でなければ引き出せない。
ツカサが淫乱になってしまうのは、彼のブラックへの愛があってこそなのだ。
「あぁあっ、つ、ツカサ君もうっ、はっ、はぁあっ、はっ……ハァッ、いっ、挿れたいっ! ツカサ君のナカにペニスいれたいっ、あ、あっ、愛し合いたいよぉっ! ねっ、もう、い、良いよね、セックスいいよね、いれていいよね……!?」
「ひぅ゛っ!? んっ、ぅあっ、あぁあっま、待ってっそ、そんぁっ、い、いきなり……っ!」
泡が、ツカサの背中から伝って割開かれた尻の間に流れてくる。
ペニスの先端を雌穴に擦りつけて、押し入ろうとするように何度も動かすと、その泡がブラックの手助けをするかのように粟立ち、ツカサが必死に閉じるソコへの侵入を更に容易くしていく。キスとヘソ穴弄りのせいで早くも意識が混濁しているツカサには、その滑りに抗うほどの力は残されていないようだった。
「はっ、はぁっ、あぁあっツカサ君のやらしい穴に入っちゃうっ、は、入っちゃうよぉっ! い、い、良いよねっせ、セックスっ、もっセックスしていいよね! ぐちょぐちょの恋人セックスするよっ、つ、ツカサ君っ、ペニス挿れるよおっ!」
「待っ、まっ……ぁ゛……! っあ゛ぁあ゛……がっ……!」
ツカサの声が、途切れる。
当然だ。まだ慣らしもしていないソコに、ブラックの猛りきったペニスの先端が強引に押し入って来ているのだ。いきなり巨大な男根でこじ開けられれば、何度ブラックの巨根を受け入れているツカサとて、驚かずにはいられなかっただろう。
けれど、止まらない。
一度、少しでもツカサのナカに入り、その窄まりに諌められるようにきゅうっと締め付けられてしまえば、一気に挿入した時の快楽が蘇って来てたまらなくなる。
「あ、あぁ……っ、つ、つかしゃくんっ……はぐっ、ぅ……き、きつっ、あ……キツキツの雌穴、き、気持ち良いよぉ……!」
「ひぐっ、ぅ゛っ、ま゛……ま゛だ、や゛……ぁ……ぬ、ぬいへぇ……っ」
目の前で、小さな背中がビクビクと痙攣している。
さもありなん。しばらくセックスがお預けだったせいで、ツカサの可愛らしい穴は元の処女のような締まりに戻ってしまっているのだ。
そんな雌穴でいきなりブラックのペニスを突き立てられれば、体が驚いて痙攣してしまうのも無理はなかった。申し訳ないと思う。しかしそう思っても腰は止まらない。
むしろ、逃げようとする腰を掴み柔肌にしっかり指を食いこませて、ブラックは滑るその未熟な身体を引き寄せると同時に――――一気に、深く穿ってしまった。
「あ゛ぁあ゛あ゛あ゛!! ぎっ、ぁ゛……あ゛がっ……ぁ……っ!」
「ごめんねツカサ君、久しぶりの僕のペニスでおなかぎちぎちになって苦しいよね。でも……っ、く……あぁ……き、気持ちい……っ。でも、ね……い、今から……今から、ツカサ君も気持ち良くしてあげるから……恋人セックスしようね……っ」
泡の助けを借りて一気にツカサのナカにペニスを押し込んだブラックに、ツカサのナカは驚きを隠せずに異物であるペニスをぎゅうぎゅうと締め付ける。
生娘のような締め付けが、キツくて気持ちが良い。
少し動かせばツカサは濁声の悲鳴を上げて涙を零し、それと連動してかツカサのナカが、ブラックのペニスを締め付けながら蠢いた。
(っあぁ……き、キツキツで柔らかくて、き……気持ち良いぃ……っ。きょ、今日は……今日は、ねっとり、ツカサ君の体を舐め回したかったのに……っ。なのに、も……もう我慢出来なくて、挿れちゃった……っ)
ツカサが来る前までは、たっぷりツカサを弄り回してから愛し合おうと決めていた。
久しぶりだからというのも有ったが、ブラックがそれだけツカサに触れたかったからだ。なのに、いざツカサを己の胸に抱いてその稀有な身体に触ったら、そんな計画も吹っ飛んでしまった。
愛しさゆえの欲望が一気に噴出して、すぐにでもこの小さな尻を割り開き挿入してしまいたくなってしまったのだ。
「んっ……んんっ……あっ、ふ……んぅう……っ、つ、ツカサ君っ、つかさくん……っ」
「やぁあっ! あ゛っ、ひぅ゛う゛っ、ぅ゛、あ゛っ、ひぁ、あ、も……や、あ、あぁあ……!」
ずりゅ、ずりゅ、と、亀頭のくびれで肉壁をひっかくようにして、腰を入れつつナカを掻き回し熱く熟れたツカサの肉穴を堪能する。
その想像以上の気持ち良さに涎を垂らして耽溺しながら、ブラックは己の堪え性のなさを心の中でこっそりと嘆いた。
……今まではツカサに口で奉仕して貰う程度で我慢出来ていたのに、どうして彼が帰って来た途端に我慢が出来なくなってしまうのだろう。
徐々にツカサのナカがほぐれ、重点的に擦り上げた“泣きどころ”の効果でツカサが甘い声を上げ始めたのに頬を緩めながら、ブラックは腰を激しく揺らす。
(ああっ……ぁ……だ、だって……だって、つ、ツカサ君が……ツカサ君が……いつもこの世界から、いなくなるから……っ。どこにも、いなくなっちゃうから……っ)
好きで好きでたまらない、どれほど愛を囁いても足りない、愛おしい唯一の伴侶。
彼が望んだ未来が「全てを捨てない」という物で、その選択によって世界がようやく修復されつつあるのは理解出来る。ツカサが何も捨てられず、何物をも愛する性格だと言う事も、好きになった時から充分に分かっていた。
だから自分は、愛して貰えたのだ。
なりふり構わず恋をして、強引に体から始めてもツカサが受け入れてくれたのは、ブラックの人となりをその博愛の心で理解して受け止めてくれたからだ。
ツカサが「ツカサ」だったから、ブラックは今こうして幸福を享受して居られた。
(ツカサく……っ、ぅ……ツカサ君……っ)
名前を呼ぶたびに、組み敷いている小さな体が愛おしくなる。全身全霊でこんな男の欲望を受け止め続けてくれる少年が、愛おしくて堪らなくなった。
何度名前を呼んでも、足りない。それほど愛おしい。ツカサの温かな愛情が自分に注がれていると実感すればするほど、言葉が止まらなかった。
…………ツカサ以外は、もうなにもいらない。そう、思ってしまう。
今まで、こんなにも自分を愛してくれる人などいなかった。
自分一人を見て、何もかもを許してくれる存在は、どこにもいなかったのだ。
けれど、ツカサはそうではない。
ブラックを特別に愛してくれるとともに、ツカサは別の愛情をたくさんもっている。
人が好きで、動物が好きで、仲間が好きで。どの「好き」も、ツカサにとっては全部大切で、捨てられないものだった。
一つでも捨てれば、彼の根幹が壊れてしまうほどに。
…………それを痛いほど理解しているからこそ、ツカサがあちらの世界に帰ることを止める事が出来なかった。「ここにずっと居ようよ」と言うワガママも、冗談めかして言うことしかできなかったのだ。
既に決まってしまった事を覆すなんて、不可能だったから。
愛しい恋人の願いを……否定する事など、したくもなかったから。
「ひぐっ、ひっ、あぁあっぶらっ、う、ぁ、あぁあっ、やっぁっあぁあっ! ああぁ……!」
「ツカサ君……っ、好き……好きだよっ、つかさくんっ、すき……好き、ぃ……っ」
上から覆い被さるように抱き締めて、床にツカサを押さえつける。
そうして、獣のように一心不乱に腰を動かした。
下品な音が風呂場に響き、ツカサがその音に耳を辱められてか一層喘ぐ。
その可愛らしい甲高い声を聴きながら、ブラックは猛る己を何度も何度もツカサのナカに突き立て、甘く強い快楽に酔いながらその柔かな体を掻き抱いた。
(でも、だからって……っ、あ……あぁっ、だからって、消えちゃうの、やだよ……っ! ツカサ君が、こっ、こっちの世界から、消えちゃうの、っ、なん、て……っ)
たった数時間、と周囲の者達は言う。
必ず帰って来ると無邪気に信用している者達は、何も疑いもしない。
ツカサ自身もそうだ。ブラックの為に帰って来るのだと自身で信じているからこそ、こちらに来る事の出来ない事態など想定してもいなかった。
だが、そうして信じ込んで、上手く行き続けた事などあったのだろうか。
――――そんなことはない。
ブラックは知っている。「絶対」など存在しないということを。
存在しないからこそ、人はその「絶対」に縋りつきたくて言葉として発するのだ。
約束は違えられる事も無く続くのだと願うからこそ、そう言うのである。
(でも、そんなのっ、どうして信用、出来るのさ……っ。くっ、あ……ぼ……僕の、しっ……知らないっ、とこで……っ、つ、ツカサ君が……ツカサ君がっ、僕の、大事な、あっ、つ、つかさくんが……っ)
二度と戻れない事態になったら、どうすればいい。
それを予想していて、それでも何も出来なかった愚かな自分は、隔てられたこちらの世界でどうすればいいというのだろうか。
頭を抱えて嘆けばいいのか。それとも、世を儚んで死ねばいいのか。
そんなの、バカげている。
…………だけど、結局自分は、何も出来ない。
帰って来るのを待つ事しか、ツカサが笑顔で自分の胸に飛び込んで来てくれる姿を思って待ち続ける事しか、出来ないのだ。
「つかさくっ、つかしゃくぅうっ……! いっ、一緒に……っ、もっ、ずっと、ずっと、ここで一緒にっ、せっくすしへっ、ぅ、あ、ぅ……くっ、ぅう……っ!」
「っあぁあ! ひぐっ、も、やっ、ぁっ、やぁあっ! ひぐっ、ひ、も゛っ、あ、ぁあ……!」
最早何を言っているのか自分でも分からなくなって、ツカサの首筋に顔を埋める。
細く頼りない肩、自分の片手で簡単に掴めてしまう首。
何もかもがこの世界では稀有で、だからこそ……どこかへ消えてしまうと、もう二度と再会できないような恐怖が襲ってきて、どうしようもなかった。
何故、今になってそう思うのか。自分でも分からない。
けれど。
「あっ……くっ……いくっ……つかさくっ……出すよ……ッ!」
「――――――ッ……!!」
絶頂を迎えた熱を受け取ってくれる、愛しい存在を離したくない。
荒い息を繰り返してブラックの「無茶」に耐え、一緒に絶頂してくれる愛しい存在を、今はただ思う存分抱きたかった。
「はぁっ……は……ぁ……あ……」
「つ……ツカサ君……もいっかい……もう一回、しよ……ね……?」
懐くように艶やかな頬に顔を擦り付ければ、満身創痍のツカサは気丈にブラックを睨みつけて来る。一度目なら、もう慣れたのかまだ意識がある。
ブラックとのセックスを続けているうちに、彼も少し耐性が出来ているようだ。
(そう、他の誰でも無い、僕だけ……僕とだけのセックスで……)
たった一人、自分の全てを愛してくれる存在。
その全てを自分の物にしておけたらと願うが、それでもその後に「絶対」などは存在しないのだろう。ブラックが愛しているツカサは、ただ箱に入れられて黙っているような子供ではない。いずれブラックの心を溶かし、箱を出て行ってしまうのだろう。
だけど、今だけは。
今だけは……二人きりのこの空間で、わがままを聞いて欲しい。
「ツカサ君……」
そんなブラックを、ツカサは睨んでいたのだが――――
やがて、困ったように顔を緩めると小さく呟いた。
「…………も……もう一回……だけ、だからな……」
「ツカサ君……!」
ああ、どうして彼はこんなにも自分に優しいのだろうか。
何故こんな時ばかり、察して甘やかしてくれるのか。
そんな事をするから……一層、離れられなくなっていくというのに。
「お、お前な、頼むからもういきなり突っ込むなよ!? 痛すぎて一瞬三途の川とか見えたんだからなマジで!!」
「ツカサくぅううん!!」
「あ゛あぁあ! い、挿れたままだきつくなぁあっ……」
汗だか水だかもう分からないもので濡れた肌を密着させ、ブラックは目を閉じる。
ああ、今、ツカサが自分の腕の中にいる。
そう思うと嬉しさで心の中が塗りつぶされていって、また興奮が戻ってきた。
けれど、願いだけは消えない。
(ずっと……ずっと、一緒にいられたらいいのにな……)
子供のような、稚拙な願い。
それすら「絶対」などないのだと思えばたまらなくなって、ブラックはツカサの身体をぎゅうっと抱き締めたのだった。
→
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