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豊穣都市ゾリオンヘリア、手を伸ばす闇に金の声編
24.血の通う歴程1
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「うむうむ、実に良いね。きちんと声も出ているし、動きはやりすぎかつ大仰なくらいでちょうどいいよ。君はどうも奥ゆかしいからね。淑女の動きならそれでいいけれど、君の役は王子だから胸を張って演技をしないとね」
「は、はい……!」
誰も居ないパーティーホールを臨む、豪奢な舞台。
今は俺とローレンスさんしかいないだだっぴろい空間で、かれこれ数時間俺は熱心な演技指導を受けていた。
……と言っても、ローレンスさんの指導は別に厳しい物ではない。
てっきりスポ根ばりの厳しい訓練が待っているかと思ったのが、ローレンスさんが俺に教えてくれるのは、分かり易くてやさしいことばかりだった。
正直な話、俺は難しい話を長く聞くのが苦手だし物覚えも悪い。
一生懸命頑張って覚えているつもりなのだが、何故かうまくいかないのである。
しかし、ローレンスさんが俺に教えてくれる事は、驚くほどにわかりやすい。というか、俺に合わせて言う事のレベルを低くしてくれているみたいで、言う通りに体を動かしていれば、なんとなく「出来るようになったかも……?」という感じになれた。
実際、腹式呼吸と動きのタイミングを指定して貰うだけで、随分と違う。
俺は演劇をする時の言葉の切り方なんてしらないし、どこで息を吸えばいいのかも最適ってヤツが割り出せなかったから、これが本当に助かった。
おかげで、今日一日だけの指導でもだいぶん
「うん。……中々スジは良いね。薬師殿からこれまでの練習を聞いた時は少々不安だったけど、これなら残りの時間でも充分に演技をこなせそうだ」
「ほんとうですか!?」
汗だくで振り返ると、ローレンスさんは嬉しそうに笑って頷く。
この場所で何度も演劇を行っているだろう相手からそう言われるのは、お世辞かもしれないけどやっぱり嬉しくなる。
なにより、今までずっと「ダメなのでは……」と不安になっていたので、責任者的な人からハッキリ言って貰えて心底ホッとしたよ……このままだと俺が足を引っ張ってばっかりになって劇が台無しになると思ってたから……。
このまま練習していれば、少なくとも大失敗する事は無いかも知れない。
ローレンスさんにタオルを渡して貰い、お礼を言いながら額を拭いていると、間近に居る相手はニコニコしながら俺の顔を覗いて来た。
「ああ本当さ。ツカサ君は私の言う事をしっかり真面目に実践してくれているからね」
「えへ……そう言って貰えると助かります……」
「本当の事さ。……というか、君は初心者で人の教えをすんなり飲み込むから、私の教えた方法をきっちりやってくれているんだ。中途半端な物だとこうはいかないよ」
「そういうモンなんですか……?」
ぽんぽんと首筋の汗をタオルで拭う俺に、ローレンスさんは少し苦笑したような顔になって、頬をポリポリと掻く。
「まあ……演劇というのは個性を入れてこそ……なんて思想に染まった子だと、私の言うことよりも自己流の動き方が良いはず、とか思っちゃうからね。それはそれで劇が面白くなる要素にはなるんだけど……基礎をこなしたいというだけなら、こう言う風な呼吸まで指定される練習法は向いていないかも知れないね」
「色々なんですねえ」
「そうだね、人によって、合っている練習法ややり方がある。だから、基礎的なことを真面目に反復してくれるツカサ君には、こういう全てを指定して教えてあげる方法が的確だったということだ」
俺はブラックやカーデ師匠、それ以外にもたくさんの人から教わるばっかりだから、教える側の苦労なんてやったことないけど……人によって違うものなんだなぁ。
にしても、全部教えて貰わなくても自分でアレンジ出来るって、それはそれで凄い才能なんじゃなかろうか……。俺、呼吸の場所までキッチリ教えて貰わないと演劇の真似事しら出来ないタイプだから、マジで考えられないんだけども。
まあ、そう言うタイプがブラックとかクロウなんだろうな。
アドニスも自分が脚色した台本だけあって、女役だって言うのに男がやっているとはとても思えないぐらい、女の子っぽい仕草がうまかったし。
…………うん、いや、アイツの場合スケベな道具を作ってるから、どっかで何かの統計でも取ってその結果を演じてるだけかもしれないけど。
「ところでツカサ君、きみは水属性と木属性を操る【日の曜術師】だったね」
「えっ!? あ、はいそうです……って、そういや世界協定本部がある【カスタリア】でローレンスさんは測定を見てたんですっけ」
シアンさんが最高位・裁定員の一席に座る“世界協定”という特殊な組織は、俺がこの世界に来た時に俺の【黒曜の使者】の能力の事を「災害」だと考えていた。
なので、俺は色々あって結構後からその本部・カスタリアに行き、俺がどんな曜術を使うのかとかどういう能力なのかを測定されたりしたのだが……その時に、裁定員であるローレンスさんも俺の能力を見てるんだよな。
……とは言え、なんというか……そんだけ地位の高い人に色々知られているんだと思うと、何だか居た堪れないな……。
まあ俺がこの世界で厄介な存在なのは確かなんだから仕方ないんだけども。
しかし、それがどうしたんだろう。
首を傾げていると、ローレンスさんは急に踵を返して舞台袖へと歩きだし、ちょっと離れた場所で「こっちへおいで」と手招きをして来た。
「君に見せたいものがあるんだ。なに、すぐ終わるから休憩がてらおいで」
「あ、はい……」
素直に頷いて、俺はローレンスさんに続く。
まあ相手は年も地位も俺よりかなり上なので、従わないなんて選択肢はないんだが、そこはまあ置いておこう。とにかくローレンスさんに付いて劇場を抜け、お城の廊下を歩いて今まで行かなかった方向へ歩いて行く。
一階に何かあるのかなと思っていたら、ローレンスさんは俺達が知らないエリアの隅っこにあった階段を上って行く。
どこへ行くのかと思っていたら、二回に挙がって廊下を少し進んだ行き止まりに、両開きの扉が見えた。アンティークな感じのシックな色合いの扉だけど、お城だからなのか、ドアノブが嵌め込まれた部分とか細かい所に浮かし彫りの装飾が見える。
こんなに豪奢なドアなんだから、向こう側には凄い物が有るのかな。
そんな事を持っていたら、ローレンスさんはコンコンと扉を叩いた後、ガチャガチャと金属っぽいドアノブを何度か回し、それから懐に入っていた鍵を取り出した。
……今のは何だったんだろう。
中に誰かが居ると思ってたのかな?
だとしたらお留守の時にお邪魔するのもな……なんて思っていたらドアが開いた。
「さあどうぞ」
「は、はい……」
導かれるままにドアを潜り、どんな部屋なんだろうかと見渡す。と――――
「ここは……図書室、ですか?」
俺の目の前に現れたのは、壁に張り付くいくつかの背の高い本棚。
そして、日の当たる窓の近くに置かれた机と椅子だけだった。
まあ勿論、壁紙やら天井やら明かりやらは「お伽話のお城」っぽく手抜き感などないデザインで彩られていあが、しかし……本を読む部屋だからか、廊下や他の部屋のように明るい色は無く、どこぞのレトロな洋館の落ち着いた色味に沈んでいた。
こんな場所でなら、落ち着いて本が読めるかも知れない。
とはいえ部屋は本棚でぎっしりしているので、圧迫感が有って気になるが。
そんな事を考えていると、ローレンスさんは絨毯の上を音も無く歩き、またもや俺を「こっちへおいで」と呼んだ。素直に相手が近付いた本棚に向かうと、しっかりとした大人の手が高い位置にあった本を一冊取り出した。
それは、あかなり古びている本。題名の箔もほぼ失われていて、文字をへこませて題名を消えないようにしていたはずの表紙も、長い年月で表紙の皮布が膨張したのか何が記されていたかも定かではない感じになってしまっていた。
ほこりや汚れをものともしない術をかけた綺麗な遺跡が有る一方、こうやって自然に劣化していく物も有る。剣と魔法の世界だが、やっぱままならない事も有るよな。
そんな風に考えていると、ローレンスさんは微笑んだ。
「ツカサ君、これは何か解るかい」
「えーと……題名が掠れてるのでまったく……」
「そうだね。君が正直者で良かった。この文字は遥か昔の古代文字だから、本来は私達王族以外には読めないんだよ。だから、君がこの本について知っていることは何もないことになる。ハッハッハ、試して悪かったね」
…………カマかけたってことですか。
いや、俺は後ろ暗い所なんて何も無いんでいいですけど、油断も隙もねーなーこのオジサン。ブラックがあんまり良い顔してなかったのはこう言う部分を察知していたんだろう。うーむ、あいつホントエスパーか何かなんじゃねえの。
「……で、その本がどうしたんですか? というか、王族しか読めない本だったら、俺が何か知っちゃったらマズい……ですよね?」
「ああ、構わないよ。これを君に見せる為にここに呼んだんだから」
「そ、それなのにカマかけたんスか」
「何事も用心は必要だろう? ふふふ、自然な言い回しだったかな」
ふふふじゃねーです、いきなり不穏にならないで下さい。
オチャメで済まされる行為ではないのではと思う俺に、ローレンスさんは「まあまあ」と宥めるような仕草をしたあと、本を開いて最初のページを俺に見せて来た。
見て良いと言うので覗いてみるが……やっぱりなんだかよく解らない。
どっかで見たような気もする感じだけど……でも俺の眼にはボヤけて見えるから、何がどうってのは読めないんだよな。
「うーん……読めないです。なんかボヤけてて……」
「王族以外には、そういう風に見える術が掛かってるんだ。この本の中にある“来歴”を知られないようにね。……仮に知られるとすれば、王族が語る口から。そうやって、この国の歴史は数千年以上隠され守られてきたんだ」
「歴史……ってことは、これはアコール卿国の歴史書ですか?」
「ああ。練習の初日に僕が話した建国神話とも言える話は、すべてこの【緑国歴程】という書物に記されている事項から抜き出された物だ」
そう言いながら、ローレンスさんは窓の近くにあるテーブルへ移動する。
俺もついて行くと、彼はそのテーブルの上に本を置いてどこかのページを開いた。
覗いていいらしいので、ローレンスさんの隣に早足で駆け寄って本を見やると、そこには滲んだ文字がぎっしりと詰まっていて、何やら図のような物も見えた。
ローレンスさんが言うには、分かりにくい部分や覚えておかねばならない物を、図で示してくれているのだという。俺にはさっぱり分からなかったが、まあ聞いてくれと言われたので、向かい合わせでテーブルについた。
……なんだか大変な事を言われそうな気がするが、もうこうなってはなりゆきだ。
何とかなれと思っていると、ローレンスさんは文字のある部分に指を立てた。
「緑国歴程は、まだ名前が定まらない頃に親たる国である【ライクネス王国】が古代の時代に使っていた名を拝借したものだ。故に、その通り建国前のことから、建国が成されてからの数十年を記している」
「ってことは……黒髪の乙女達の話も、そこにちゃんとあるんですね」
そう言うと、ローレンスさんは目を細めた。
笑うような笑みを薄めたような、何とも言えない絶妙な表情で。
「…………ツカサ君。私がどうして、身長も手ごろで華奢な君を素直に【黒髪の乙女】の役にしなかったか、分かるかい?」
「え……」
気にしても居なかったことを言われて、思わず動きを止めてしまう。
だけどローレンスさんはそのまま目を弧に歪めて続けた。
「それはね、君を主役にするには色々な懸念が在ったからということも勿論あるんだけれど……それ以上に……君のような好ましい子を、穢したくなかったからなんだ」
「け、けが……えと、あの……」
「……とはいえ、私の考えすぎかもしれない。だから、君にも少し考えて欲しくてね。王族でもこの世界の人族でもない君ならば、何ものにも捕らわれない純粋な答えを聞かせてくれるかもしれないと思って」
えと……ど、どうしよう、状況が飲み込めない。
なんか雰囲気が怖くなってきて何も言えなくなっちゃったんだけど、要するに……俺に、何かの感想を言って欲しいってこと……なんだよな?
特に怖い事では無さそうだけど、ローレンスさんの雰囲気を見ていると、ポッと考えついたような答えではダメなような感じを受ける。それぐらい重そうな話だ。
だけど、ローレンスさんには世話になってるし、世界協定でだって中立だったり俺達の事を助けてくれたりしたんだから、このくらいはやらないと。
俺は律儀なのだ。ツルのように猫のように恩は返すタチなのである。
なので、解りましたと気合を入れてしっかり頷くと――――
「ふっ、はは……ははははっ!」
「ろ、ローレンスさん?」
いきなり笑い出した相手に目を瞬かせていると、ローレンスさんは肩で笑いを抑えつつ空涙を拭って、なんとか落ち着こうとしていた。
「ハハッ、いや、いやいやすまない……。いや、本当に君は良いね。良い子だ」
「……?」
「ゴホン。うむ、では話して聞かせてあげようか。……恐らくは、この唯一の歴程すらも真実のほんの一切れに過ぎないかも知れない。けれど、この書物は紛れもなく……とある一人の人物が己の時間を削って記した記録だ」
そう最初に呟いて、ローレンスさんは昔話を語るかのように歴程の話を始めた。
→
※遅れました…!すみません…(;´Д`)ちと手間取りました
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