異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

文字の大きさ
上 下
331 / 952
豊穣都市ゾリオンヘリア、手を伸ばす闇に金の声編

15.「気付いてないのかな?」1*

しおりを挟む
 
 
「えへへ……ツカサ君、お加減どうですか~。痛くない?」
「う、うん。……そうだな、アンタけっこー上手いじゃん」

 てっきりちからまかせにガシガシやるもんだと思ってたけど、ブラックの手つきは意外なことに繊細で優しい。泡立った頭をいたわるみたいにして、触ってくれるんだ。
 手が大きいから激しくやらないで良いってのも有るんだろうけど、それと同時に俺の頭皮をマッサージするように指の腹でほんのりあつを掛けてくれる。
 まるで、マシュマロを持つときみたいに凄く気を付けて髪をあつかってくれていた。

 今まで知らなかったけど……なんかこれ……くすぐったいが気持ち良いな!
 母さんがたまに「ヘアエステ行きたい!」とかうるさく言うんだけど、もしかしてこういう事だったのか。こりゃ納得だ。
 こんな事されたら、そりゃエステに行きたい気持ちもわかる。つーか、ブラックの手が普通に気持ち良過ぎてマジでエステじゃんこれ。いや俺エステに行ったこと無いけど。でもこの気持ち良さは銭湯のマッサージ器と同じはず。たぶん。

 ……いやまあ、それはともかく。
 そういえば、たまに連れていってもらう理髪店でも洗髪ってやって貰うんだけど、アレって髪を洗うのが基本でこんな風な感じじゃなかったなあ。
 あそこのオッチャンは良い人だけど、結構ガシガシあらい感じだし。

 だから、風呂場で髪を洗って貰うなんてガキの頃以来なんだけども……久しぶりの感覚過ぎて、なんか刺激の方ばっか感じちゃうな。母さんにやって貰った記憶なんてほぼ忘れてるのかも知れない。うーむ、ちょっと申し訳ないかも。

 でも、それぐらい気持ち良いんだから仕方が無い。
 それに、認めるのはくやしいけど……ブラックが髪をあつかうのが上手いんだもんな。

 俺はつんつんぼさぼさしてる髪なので、案外知らない内に絡まっててイテテとなる事もある。なので、正直くしを通されるのは苦手だったりするんだけど……そんな中途半端に短い髪を、ブラックは的確にさっしてもつれをほぐすのだ。
 そうして丁寧ていねいに洗ってくれる。面倒だろうに、手つきはかなり繊細せんさいだった。
 これを上手いと言わずして何と言う。

 むむ……そういうワザは俺の真骨頂かと思ったのだが、これだとブラックにおかぶを奪われそうだ。くそう、これだから器用なオッサンは嫌なんだ。
 あつかわれてイヤじゃないのがまたジクジクと自尊心がうずく。

 それにしても、なんでこう……ゾクゾクするような指づかいをするんだろ。
 俺、こんな風に変に強弱を付けたりするような触り方してないはずなんだけどな。
 というか、俺がくすぐったがりなだけなのかな。な、なんかむずがゆい。

「ツカサ君の髪……ほんと黒くてツヤツヤで綺麗だねぇ……」
「え、そ、そう? でも俺の世界だと陰キャ……いや、俺みたいなので黒い髪なんて普通だしなぁ。一般的な髪だぞ」

 思っても見ない事を呟かれてびっくりしてしまったが、俺の世界じゃ黒髪の奴とか探さなくたって見つけられるレベルであふれてるしなぁ。
 つーか今の台詞せりふなんか聞いた事あるぞ。あれだ、女の子向けの漫画で見たな。
 日本人転移者、黒髪だと髪の毛褒められがち説ってヤツだ。
 でも今更いまさらそんな事を言われると思ってなかったからちょっとビビッたぞおい。

 そもそも俺に髪が綺麗ってぶた真珠しんじゅみたいな話なのでは。
 何を言ってるんだと眉間にしわを作ってしまったが、そんな俺の様子に気付いているのか、ブラックは「ふふ」と笑いながら俺の頭をゆるゆるマッサージした。

「こんな風に思うなんてこと、今まで無かったなぁ……」
「え?」
「ひとりごと。ツカサ君の髪が、一番好きってことだよ」
「な、なにをワケわからんことを……」

 今までって、どういうことなんだろうか……と少し考えてしまったが、俺が何かを言う前に、ブラックは頭にお湯をぶっかけて来てくちふさいでしまった。
 ごべべっ、とかしょうもない声を出してしまったが、俺に構わずブラックは横から顔をのぞかせて来る。

「ね、今度は洗いっこしよ。ほら、最初はツカサ君が僕の背中こすって」
「ゲホッ、う、うぅ……まあいいけど……」

 ……なんか話したくないことでも思い出しちゃったのかな。
 湯気がもくもくして、そのうえ水滴すいてきが視界をぼかすせいで、ブラックがどんな顔をしていたのかは詳しく解らなかったけど、こう言う時のコイツは大概たいがいそうだ。
 苦しい事があるなら聞かせて欲しいとは思うけど……話すのだって苦しい過去ってのも有るから、それを考えるとやっぱ聞けないんだよなぁ……。

 そんなの無理矢理聞くなんて俺もヤだし、何よりブラックを悲しませたくはない。
 だから、知りたいけど「見なかったフリ」をしてやるしかないのだ。
 いつかは話してくれるだろうって思ってるけど……でも、自分で「一緒に入ろう」とか言っといて勝手に落ち込んでるのはイラッとするな。

 ちょっとした意趣返しにゴシゴシ背中こすってやる。
 俺は長い髪を上にあげてやり、水にひたしたタオルに泡立石あわだていしりつけ泡を取ると、デカいオッサンの背中をごしごしと擦り上げた。

「あ~……これこれぇ……。ツカサ君、もっと強くしてもいいよ~」
「な、なんだとっ」

 俺的には、物凄くちからを入れてゴシゴシしてんのに……!
 バカにされてなるものかと必死の思いでゴシゴシとタオルを動かしたが、ブラックは痛がるどころか気持ちよさそうに背中を揺らす。
 泡だらけで水にぬれた背中は、瑞々みずみずしいと言うよりもゴツゴツしていて、オッサンである事を隠しもしない点がいくつも見られた。

 体毛が濃いのが大人の証拠なんだろうか。そう思ってしまうくらいだが、仮に俺の体に毛が生えたとて、大人と言えるものだろうかとも思ってしまう。
 結局、体格だけじゃなく立ち振る舞いも大事なんだろうな……このオッサン、普段は全然大人だとか思えないしな……。

 あー、気分が沈んできた。もうさっさと洗わせて風呂に入っちまおう。
 俺の方はささっとやって貰えば良いか。後は自分で洗っても良いし。
 そう思いつつ、自分で前を洗っているブラックに声を掛けて、首上から何回か湯を掛けて流してやる。ほどよい筋肉と太い骨がついているのだろうなと感じられる体をお湯が流れる様は、またもや俺に劣等感を抱かせたが、そこはグッとこらえた。

 ないものねだりをするお子ちゃまじゃないからな、俺は!

「ぷはー……。はいっ、次ツカサ君だね」
「はいはい。あ、でもぱぱっとで良いからな。湯冷ゆざめしたらこまるし」

 「背中を向けて」と言うのでその通りにしてやると、ブラックは俺の言葉に何だか不満げな声をらしていたが、とりあえずという感じでお湯を掛けて来た。
 少し体が冷えていたせいか、肩から流れるお湯にホッとする。

 だけど、このままだと風邪ひいちまうな。俺も早く前を洗ってしまおう。
 そう思ってタオルを手に取ろうとすると……ブラックが不意に話しかけて来た。

「ねえツカサ君……湯冷めしちゃうなら、温かいようにしてあげようか」
「ん……? そんなこと出来んの?」

 背後を向くのが億劫おっくうで、背中を見せたまま答える。
 と、ブラックは何度もうなづくような音をさせながら「出来るさ」と返してきた。

「ね、だから……洗うのは僕にまかせて。ツカサ君は楽にしてて」
「う……うん……?」

 なんだかえらい自信満々だが、何をするつもりだろうか。
 少し嫌な予感がしたが、まあここで押し問答をしても仕方が無い。とりあえずまかすと言うと、ブラックは「へへっ」なんて軽く笑いつつ、時間を掛けてわしゃわしゃと泡と立てる音をさせると――――ぺたりと俺の背中に……って、あれっ。
 この感触、タオルじゃ……。

「ふ、ふふ……ツカサくぅん……僕が隅々すみずみまで綺麗にしてあげるからねぇ……」
「ひあっ!?」

 ぬるりと手が脇腹をつたって来る。
 思わず体を跳ねさせると、背中をすっぽりとおおう温かさがひっついてくる。
 これがタオルなワケはない。だけど、そう思う間に胸の辺りとへその辺りに大きな手がくっついて来て、それぞれがぬめったものを擦りつけるように動き出した。

「あっ……やっ……ちょっ、ちょっと……!」

 逃げようとブラックの手をつかむが、全然がれない。
 それどころか、今度は背中でなにかがぬるぬると上下に動き出した。
 これは、ブラックの体か。ってことは、俺の背中にはブラックがひっついて、泡を全身でなすりつけようとして来ているわけで……。

「あは……つ、ツカサ君の体って、ほんとつるつるでやわらかくて可愛いねぇ……」
「ひっ、やっ、ちょっやめっ、どういうつもり……っ」
「どういうって、ツカサ君を洗ってあげようとしてるんじゃないか。ああほら、ココも、ちゃんと出して洗わないと……」
「ふあぁっ!?」

 ぬめる手が、今度は乳首の所を執拗しつようこすり出す。
 わずかにふくらんでいるソコを指の腹で何度も何度も撫でられて、腰が勝手に震えて来てしまう。やめてほしいのに、両手の指で乳首をちろちろと優しく撫でられたら、声が勝手に出てしまいそうで俺はただ耐えるしかなかった。

 それなのに、ブラックは調子に乗ったのか、早く乳首を勃起させようとして乳輪を指ではさみ軽く引っ張ったり、胸全体を軽くつかんでんだりして来る。
 女でも無い俺がそんな風にまれたって何にもならないのに、ブラックは俺の耳にぴったりと唇をくっつけて、息を吹きかけながらずっと胸をいじって来て。

「ぃ……あっ、い、やだ……っ、そんなの、い、痛っ、ぃ……だけ、だって……!」
「へへっそうかなぁ……。つ、ツカサ君の乳首、ほら……泡と水でこんなにツヤツヤ光ってぷっくりして……い、今にもっ、ふひっ、勃起しちゃいそうじゃないか……」
「そんなのアンタが刺激するからで……ッ、くあぁっ!」
「ほーら、さきっぽが出るトコをつんつんしたらそんな声だすぅ」

 ホント、ツカサ君ってやらしいよね……なんて、耳元でささやかれる。
 その声は低くて、お腹の奥に響くみたいで、止めて欲しいのに耳の穴へと声を流し込まれるたびに下腹部がぎゅうっとなってしまう。
 この感覚が何なのか、もうわかっている。だからやめてほしいのに、ブラックは俺が何をいやがっているかを知っていて、いっそう俺の胸をしつこくいじってくる。

 それだけでもイヤなのに、背中にくっつく体が……い、いや……正確に言うと……背中にくっつく体の下で、俺の尻にぬりゅぬりゅと押し付けられている、明らかに「上半身」ではないやけにアツい棒っぽいモノが、その……っ。

「うっ、うぁあ……も、やだっ……こ、こんなの洗いっこじゃないぃ……っ!」
「ん~? じゃあ何なのかなぁ。僕わかんないなぁ~……。あっ、もしかしてツカサ君、コレが気になっちゃったの……?」
「ひぐぅっ!?」

 胸全体をぎゅうっとまれたまま軽く体を引き上げられて、ぬるりと「熱い棒」が尻の谷間に入って来た。意識したくないのに、ソレを明確に想像したくもないのに、ブラックは俺に意識させるように先端で突くようにしながら、ソレ全体をぬるぬると尻から俺の急所にかけてすりつけてくる。

「ひ、ぐ……っ、んんっ……ぅ……うぅう……っ」

 なんとかおさもうとして足を閉じるが、ブラックは全く止まってくれない。
 俺だって頑張ってるつもりなのだが、全身を濡らした状態の体では、太腿ふとももでブツを抑え込もうとしても抜けられてしまうのだ。

 それどころか、俺の牽制けんせいはブラックの「アレ」に余計な刺激を与えてしまったようで……股間と太腿ふとももに感じる熱いかたまりが確実に大きくなったのを確認してしまい、軽く死にたくなってしまった。も、もうヤブヘビじゃないか。

 それなのに、ブラックは俺の苦悩をさらあおるみたいに、入る場所を探そうとして尻の谷間へと執拗しつようにソレを擦りつけはじめて。

「うあぁっ、やっ、あっ……あぁあ……っ! やだっ、そ、それやだぁ……っ!」
「ん~……? 何がイヤなのかをハッキリ言ってくれないと、僕わかんないなぁ~。僕はこんなにツカサ君の体を洗うために一生懸命やってるのにぃ……」
「そん、にゃぉ゛っ!? ひっ……い、やっぁ、ばかっ、ばかぁっ! ケ、ケツに、すりつけるのダメ……! 洗いっこ、って、言ったのに……!」
「そうだよ、洗いっこだよ……? だから、ツカサ君のナカも、ちゃぁんと僕が綺麗に洗ってあげる」

 何が洗ってアゲル、だよばかちんがー!!
 俺はそんなことまで頼んだわけじゃないのに、何でお前はそうやっていっつも俺の同意もナシにえっちしようとしてこのばかああああ。

「おっ……おほっ、こ、これ……っ、今日はいきなり行ってもいいのかな……っ!? なんだか、す、すっごく吸い付いてくる感じ……っ」
「ぅえ……っ!?」

 な、なに。吸い付いて来るってナニ。
 アンタが突いて来てるだけで、俺は何もしてないってば。

 まさか、なんか物凄くヤバい勘違いをしてるんじゃないか。
 そう思い、ブラックの方を振り返ろうとするが。

「ま……まさか……っ。実はっ、つっ、ツカサ君も僕とセックスしたかったの!? ああっ、そうだよねえ、この前【二人きりの時ならセックスしていい】って約束してくれたもんねっ!」
「え゛ぇっ!?」

 い、いつっ。いつ俺がそんな約束したって!?
 全く記憶にないんだが、何を言っているんだろうかこのオッサンは。
 とにかくヤバい声になってるし、ハァハァいってるし、早くやめさせないと。このままだと、準備も無しにガツンとやられて俺のケツが死ぬかもしれない。

 自己治癒能力で治る事ではあるのだろうが、しかしブラックと一回以上えっちすると、数時間は確実にとこすんだぞ。この場合だと絶対一発じゃ終わんないぞ絶対。俺は寝込みたくない、鈍痛どんつううめくのはごめんなんだからな。
 断固阻止だ、と、俺は体をひねってブラックに強く拒否をしようとした。のだが。

「ああっ、も、もぉ我慢できないよぉ……! つっ、つ、ツカサ君っ、つ、繋がってから洗いっこしても良いよね、セックスしながらお風呂入ってもぉおおっ」
「ええええ!? ちょっ、ま、待てブラック、話せばわかる待て、まっ、っ゛、あ゛っ……――――!!」

 強く、割り開かれるような感覚。
 必死にちからを入れて拒否しようとしたのだが、俺の体はブラックにおおかぶさられてちからを入れる事も出来ず――そのまま、強い衝撃に痙攣けいれんを起こした。

「っぁ゛……――~~~~~ッ……!!」

 声が、出ない。
 割り開かれる感覚が強くなってきて、足が強く突っ張る。
 ちからを入れたせいで凄まじい圧迫感と痛みが襲い、俺は、悲鳴が出ない口を動かしたままその場に突っ伏した。

 でも、ブラックは待ってくれなくて。
 俺に体をくっつけたまま、慣らしても無いソコに強引に押し入って来る。
 内臓が逆流するような感覚。久しぶりの強烈な異物感にのどまるが、そんな俺の緊張を緩和かんわしようとしてか、ブラックの手が下に伸びて来た。

「や゛っ……っ……ぅ゛あ゛……っ、がっあ゛……あ゛あ゛ぁ゛……ッ!!」
「っは……はぁっ……あっ、く……う、ぅう……ん゛ん゛ッ……! つ、つかさくっ……ひ、久しぶりっ……す、ぎて……せま、きつ……っ」
「い゛、ぎっ、ぃう゛ぅう゛……っ!!」

 快楽で舞い上がってもない状態で入れられて、誰が受け入れられるのか。
 お前だけ舞い上がっても仕方ねえんだぞと説教してやりたかったが、そんな理性が残っているせいで余計よけいに痛みと想像以上の苦しさを感じてしまい、簡単な言葉すらもくちから出て来なかった。

 ただ、息と汗だけが無限に出て来て体をつたう。
 痛みをのがそうと呼吸をするが、もう、どうにもならなくて。
 ただ熱さと圧迫感が腹の中を登って来る感覚でいっぱいで、俺は何も出来ず、ただ涙を流しながらブラックのモノを無意識に押し出そうと締め付けるしかなかった。
 なのに、このクソオヤジときたら。

「あ゛っ、んはっぁ゛……! つ、ツカサ君たらっ、そ、そんな締め付けぇ……っ」

 もういっそ意識が飛んでしまえばいつもみたいに甘い雰囲気ふんいきにもなれたのだろうが、自分が素面だと認識できる今の状態では、それすらも叶わなかった。












 
しおりを挟む
感想 1,046

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

処理中です...