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大叫釜ギオンバッハ、遥か奈落の烈水編
20.そういう顔をするんじゃない
しおりを挟む気が付いたら、薄暗い場所にいた。
――――と言っても、見覚えがあるようで無いような場所で、怖さは無い。
なんか、どこかの城のでっかい廊下みたいな場所だ。歩く場所はそれほど広いワケでもないのに、天井が異様に高くて、両壁から等間隔に柱が半分はみ出ている。城の廊下にしては少し狭い。
何故こんなに狭いのかは解らないが、たぶんそういうデザインなんだろう。でも、真正面の廊下の終わりにある、欄間のようなもののある壁が、どこぞの大きな教会の宗教建築っぽくも思えてくる。
とにかく、凄い。ここは間違いなく普通の建物ではないだろう。
欄間とおぼしき円錐形の枠の中には目が眩むほどの透かし彫りがあって、いつもの俺ならその見事な装飾に息を飲んでしまったのだが……今は、そんな感動も何故だか湧き起こらない。ただ、心は静かだった。
それが自分自身でも気持ちが悪いと思えたのだが、そう思う事も今は難しく、ただ靄が掛かったような意識の中で、その場所をじっと見つめるしかなかった。
――――なんだろう。見たような覚えも有るけども、そんなこともない気がする。覚えているという感覚も、どこか他人事のようだ。
おかしいなと思いつつも、体が勝手に薄暗い廊下を進んでいく。
見事な装飾が施された欄間だかレリーフだかの下部にある行き止まりには、これと言った特徴は無い。だが、そこに掛けられている一枚の絵画を見て、俺の体は勝手に小さく息を吐いていた。
絵画は、どこかの小さな島を遠景から見たものだ。
世界遺産のモン・サン・ミッシェルのごとく、陸が囲う湖らしき水面に巨大な建造物の島が浮かんでいる。だがそれは城とも言い難くて、どこか俺の世界の高層建築のような、漫画とかでよくある超古代のデタラメな要塞のような感じだ。
あの島を見た時のような優美さを覚えるよりも、何か畏れ多い物を見た時の不安な気持ちのほうが強くなる、なんとも変な建物だった。
だけど、俺の体はそれを恐れてはいない。
ただ……その絵画を、このような「薄暗い行き止まり」に掛けられた哀れな絵だと思い、悲しさを覚えているようだった。
何故悲しいのだろう。
考えるが、靄がどんよりと包む俺の頭では考える事が出来ない。
でも、悲しい。どうして悲しいんだろう。
細い指が、重ねた色でまだらに膨らんだ陸を撫でている。劣化すると分かっているだろうに、それでも触れられずにはいられない。
穏やかな色をした草原と、巨大な要塞にも似た島を臨む小さな街。
その街に触れようとする指が震えて、躊躇う。触れたいのに、そうすることで何かが溢れだしてしまうのか、細い指はどうしてもそこに触れる事が出来なかった。
『……入って来ないと思ったら、またその絵を見ているのか』
背後から声を掛けられて、体が小さく反応する。
ブラックよりも低い、威厳や畏怖を覚えるような静かで重い声。
滅多に聞いたことの無い……どこかの支配者にも思えるようなその声に、俺の体は酷くゆっくりと方向を変えた。相手の姿が分かるのだろうか。
すると、急に視界が霞みがかって、周囲がうまく見えなくなる。
俺は焦ったが焦ることも出来ず、ただ目の前に白く大きな人影が見えた事に、息を吐いて……落ち込んだように、目蓋が少し下がったみたいだった。
『今更思い出して何になる。あれは仕方が無い事だったんだ』
なにを言っているんだろう。
俺には分からなかったけど、この体は理解しているようで、何かに憤っている。
だがその憤りは、相手に向けられたものと自分に向けられているものが綯い交ぜになっているみたいで、心がとても苦しかった。
『……お前が決めたのだろう?』
その言葉に、体は肯定も否定もしない。
ただ、震えて……どうしようもない悲しさと泣き喚きたい衝動を堪えていた。
『泣くな。某は其方を責めているわけではない。罪を背負うのは、この城で暮らす者みな同じこと。……愛憐と称すことが出来る資格が某にあるとは思わぬが、其方の苦しみは某の苦しみだ。……某は、何があろうと其方の銀鱗になり爪となる。龍の理とは異なれど……某は、其方の“階を結ぶもの”だ』
決して裏切りはしない。目の前の白い影は、そう言い切る。
迷いのない大人の声に、体が動く。だが白い影は逃げる事も動く事も無く、ただ腕をこちらに広げて許容の形を見せた。
『――――――……っ!』
口が、何かを叫ぶように動いた気がする。
だけどすぐに目の前が真っ白になって体が何かに受け止められた。
…………なんだろう。良く解らない。わからないけど、悲しい。
目の前は真っ白なはずなのに、何故か目蓋の裏には赤く禍々しい何かの色が見えたような気がした。
「――――――はへ……」
変な声が出る。
あれ、俺今何してたっけ……ああそうだ、何か凄い廊下に居たんだっけ。
でも今はしっかりとした明るい色の天井が見える。なんだか空気が新鮮で気持ちが良い。ゆっくりと頭を動かすと、ガラス板がはめ込まれている窓が開いていて、青い色の向こう側からそよそよと風が流れ込んでいるようだった。
…………あっ、そうか。そういえば俺はブラックとクロウに助けて貰って、あの【絶望の水底】から脱出したんだっけ。
えっと……その後の事は……ああいかん、なんか頭がボヤけてて覚えてない。
なんとか思い出そうとするが、その記憶は昔の些細な思い出みたいに酷くぼんやりしていて、不思議な事に詳細が思い出せなかった。
俺が覚えているのは……あそこで頑張ったことと、冤罪の囚人達との連絡がやっとついて、仲間としてこれから頑張ろうなと話し合ったこと。
それに……なんか……茶色くて、水色みたいな瞳をした……なんか……オッサン。
「えっと……な、なんだっけ…………」
凄い近寄りがたいオッサンだった気がするけど、顔を覚えてない。
なんだっけ……凄い不機嫌そうだった気がするんだけどな。変だな。
ああ、でも、名前だけは覚えてる。あの人は確か…………
「せ……セメント……」
「セレストでしょツカサ君!!」
「ぐええっ」
なんかツッコミにしては物凄く重い何かに圧し掛かられて、思わず潰されたカエルみたいな声を出してしまう。何事かと思ったら、俺の上には軽装姿のブラックがどんと乗り上げていた。おい、重い。重いから退け!
「あぁんもうツカサ君つれない~! せっかく脱出できて二人きりなのにぃ」
「お、起きたハナから潰してくる奴があるかっ! 離れろ!」
すっかり目が覚めちまったわと強引にブラックを押しやると、重い体の相手は渋々と言った様子で俺の上から退いてベッド横に椅子を持って来た。
……自主的に退く気持ちがあるのなら、最初から潰しに来ないでほしい……。
腹の中にはなんもないけど出る所だったぞと睨むと、ブラックはヘラヘラした様子でゴメンと軽く謝りやがった。イラッとしたが、まあ……うん。
いや、そんな事を考えている場合では無かった。
「ったく……えーと、なんだっけセレスト? よく解ったな俺が言いたいこと」
「だってあれから一日も経ってないもん。ツカサ君も、あの場所での事を思い出そうとしてたんでしょ?」
「まあそりゃ……でも何かヘンなんだよなぁ」
「ん?」
どしたの、と目を丸くして首を傾げるあざといオッサンに、俺は今の不可解な記憶を話して見せた。夢の内容はひとまず置いといて、先に【絶望の水底】での事を話さないとな。……というワケで、俺は覚えている限りの事を話して聞かせたのだが――――全てを話し終わる頃には、ブラックは深刻そうな訝しげな感じの微妙な顔をして、悩むように拳を顎に添えていた。
「……ブラック?」
少し心配になって問いかけると、ブラックは急に真剣な表情になって俺の頬に片手を伸ばしてきた。何だかよく解らない間に、手で覆われる。
少しカサついた、皮膚の分厚い大人の掌。
だけど触られる感覚はもう記憶してしまっているのか、ブラックの手に触られると、勝手にどきりと心臓が跳ねてしまう。
そのうえ、真剣な菫色の瞳に真正面から射抜かれているのを見ると……なんだか、何も言えなくなってしまって。
「ぅ…………」
黙っていると、ブラックは真剣な表情のままで俺の頬を親指で擦った。
「……ねえツカサ君……あの採掘場で、なにか酷い事された?」
「え……? うーん……いや……メシが不味かったくらいで、普通に労働してたって言うか……」
と、そこまで言って、俺はハッと気が付いた。
真剣に俺を見つめるブラックの眼が――言い知れぬ禍々しい光を宿している。
口を閉じているのに、その中で強く歯を噛み締めているのが無意識に分かった。
「ブラック……」
「…………無事で、良かった」
端から漏らすような、堪えた声。
本心からそう思ってるんだと思う。だけど、ブラックが本当はそんな事を伝えたいんじゃない事ぐらい、俺にはもう分かっていた。
……長い付き合い……とは言えないかも知れないが、でも、ブラックがこうやって我慢しようとしてしきれてない時は、大概無理してる時だ。
大人のクセに。大人になろうとしてもなりきれない、子供っぽいオッサン。
誰でも無いブラックのそんな表情を見ていると、やっとこいつの隣に帰って来たんだと理解出来て、俺は胸が苦しくなった。
悲しさとかそんなんじゃなくて、ただ、目の前の相手に応えたい。
そう思うと、不思議と胸に触れる大事な指輪の感触を強く感じて、俺はいつの間にか口元を緩めながらブラックのチクチクした両頬を手で包んでいた。
「ぁ……つ、ツカサ君……」
「心配させて、ごめん。……なんかたぶん、あの場所の事とか詳しく話さなきゃ行けないんだろうけど……でも、だからってアンタが我慢しなくてもいいんだぞ」
「う……」
目の前の真剣な表情が驚きに染まって、泣きそうに歪む。
ああもう、みっともない。本当にしょうがねえオッサンなんだからなあもう。
そうは思うけど、俺の頬はいつの間にか笑みを作っていた。
「アンタいつもみっともないんだから、何したって変わんないって」
「うぐっ、つ、ツカサ君ひどいぃ……でも……いいの……?」
「なにが?」
聞き返すと、ブラックは先程の大人らしい真剣な表情はどこへやらで、こちらの機嫌を窺う子供みたいに上目遣いになって俺を見つめて来る。
相変わらずの図体に似合わない行動に苦笑したが、そんな俺にブラックは口を少し尖らせて、言い訳をするような声でおずおずと呟いた。
「だって……あ、甘えたら僕……我慢出来なくなっちゃうよ……?」
「え……」
「もうずっとツカサ君に触れてなくて、すっごく寂しくて、だ……抱き締めたいけどさ、そんなことしたらもう、昨日やったのにまた我慢出来なくなっちゃうし……」
昨日ヤッたって何をだ、とは思ったが、そう言われてみるとそうかもしれない。
なにせこのオッサンは絶倫だ。中年の癖に俺より元気なヤツなのだ。
それを思うと、これから甘えさせたら何が起こるか容易に想像は出来たが……。
「…………じゃあ、その……まあ、なんだ……」
「ん……?」
しょんぼりして唇を尖らせているせいで、抑えているブラックの頬が動てしまってチクチクする。まったく情けない顔だったけど、でも、今までの事を思うとその顔を笑う事も出来ない。
それどころか、俺は……久しぶりにブラックと一緒にいるせいなのか、なんだか、今日ぐらいは素直にブラックを慰めた方が良いんじゃって、思ってしまって。
「要するに、その……あんたが、し……なら……」
「し?」
ああもう聞き返すな恥ずかしくなってくる。
でも、その……こ、恋人らしくするって言ったし、今回は迷惑かけたし、それに……俺も、ブラックの指輪を持ってたおかげで、頑張れたのも……あるし……。
だ、だから、その……お、俺から……いや拒絶されたらどうしよう、恥ずかしくて死ぬぞ。いやしかし、その、い、今更だし、だったらもう……っ。
「し……した、ぃ……?」
「えっ」
ぎゃーもうびっくりしたような顔すんなばかー!!
つーか俺もなに「したぃ?」ってなに! もっとうまいこと言えよっ、死体って言ったかと思われたんじゃねえのかバカバカバカバカばかばーーーかーー!!
ヤだもうヤダ絶対やだ言わなきゃ良かったいいい言わなきゃぐわー!
「わーもー忘れろ今の忘れろ死ぬ俺が死ぬ!! もうあのお、俺顔洗って来る!」
恥ずかしくて相手の顔なんて見てらんない。
後悔と羞恥で体中がユデダコになったみたいに熱くなってしまい、もう水っ風呂に飛び込みたい気分でベッドから降りようと体をずらす。
が。思いっきり腕を掴まれて、俺の行動はキャンセルされてしまった。
「ぅ……」
「つ……ツカサ君……」
あっ、やだ、後ろ見るのが怖い。なんかもうハァハァしてる。
言わなきゃよかったと思ったけれど、もう時すでにお寿司、いや遅し。
俺は力任せに引っ張られて、再びベッドに転がされてしまった。
「わあぁっ!」
ぼす、と音がして体がベッドに沈み込むが、天井を仰ぐ前に体に陰が覆い被さって来る。さらに地面が沈み込んだ感覚がして、咄嗟に自分の体を見やると……逃げ場を奪うようにして、それぞれ一対の手足が俺にまたがっていた。
……そんなもん、誰のものかなんて言うまでも無く。
「つ、つかっ、つかさく、も、もう一回っ! もっ、もふっ、もう一回いっへ!」
「わー! バカよだれ垂らすなバカぁああ!」
いっへってなんだいっへって!
つうか涎を垂らすな頼むから。逃げ場が無いんだよ、お前が俺の上で涎を垂らすと、俺の胸んとこに落ちるんだよ。頼むから口を閉じろ。
そうはさせじと顎を下から押して口を閉じさせようとするが、ブラックは顎の力も強いのか、俺を凝視して荒い息を吐いたままで全然口を閉じてくれない。
まさかこんなレベルで興奮するとは思ってなくて戦慄していると、ブラックは顔をぐっと俺の鼻先まで近付けて来て、我慢出来ずに口を窄めながら、興奮にヒクヒクと頬を痙攣させて困り眉を上げた。
「ツカしゃくっ、も、もっかい……もっかい言って、せ、セックスしたいってぇ」
「そ、そこまで言ってないだろ!? つうかその顔やめろ、頼むから!」
折角の美形なのに、なんちゅう顔をしとるんだ。
モブおじさんにしてもレアなキモ顔なんじゃないかと思うぐらい、造形が崩れてるんだけど。いくら俺でも、こ、恋人がそういう顔をするのは困るんだけど!!
しかし、ブラックは頬を赤らめて、より一層ヤバい顔の濃度を増してきて。
これ以上やったら俺の方が居た堪れなくなってしまうと思い、仕方なく……ほんっとぉおおおに仕方なく、仕方なく! もう逃げ道ないから! だから、その……視線を逃しながら、なんとか……い、言ってやった。
「ぶ、ブラックにも迷惑、かけたし……」
「うっ、うん」
「いっぱい、心配とか、か、かけたから、っていうか……」
「うひゅ」
へんな声だすな!
いや「うん」ていう相槌が口を開けてるせいで歪んでるのは分かるけど。
でももう宣言を撤回できる気もしなくて、俺は頬が熱さに痛くなってくるのを感じつつも……なんとか、視界の端にチラチラ映る赤い影を見ないようにして続けた。
なんかもう、恥ずかしくて言いだしっぺなのに居丈高になってしまったが。
「だから……じ、時間とかあるならだけど! 別にしなくてもいいけどさ!?」
「うっ、も、ツカサ君、僕勃起しそうだから早く……」
「だーもーばかー! お、俺が聞いたのがバカみたいじゃないかもー!!」
なんだお前それ、どういう状況で言う言葉だよ!
っていうか、言葉を急かすにしても他に言いようがあるだろ、どんな顔をしてるかとかもう見れる気がしない。こんな風になるなら言わなきゃよかった。
久しぶりに向けられる直球であからさまな感情に、何故だかこっちが恥ずかしくなってしまい急に逃げたくなってしまったが……こうなっちまったら、もうハッキリ言うまで離してくれそうにない。
そんな気迫を感じる荒くて熱い吐息を顔全体に受けながら……俺は、なんとか喉を絞って……もう一度、ブラックに問いかけた。
「だ、だから……その……し、したいなら……俺だって、が、頑ば……」
頑張るから。もしそういう気があるなら、どうだろうか。
そんな伺いだけの言葉だったはずなのに、俺の言葉は最後まで伝えられる事もなく――――強引に口を塞がれて、呼吸すらも出来なくなってしまった。
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