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交易都市ラクシズ、綺麗な花には棘がある編
9.元気の理由は詮索されない1*
しおりを挟む「さーツカサ君ぬぎぬぎしようねえ。あっ下着もだよっ」
「ウム、身体検査だ」
なあにが身体検査だっ、ぬぎぬぎだ!
どう考えてもお前らがロクなこと考えてないだけじゃないか。つーか、どう見ても顔がやらしく緩んでるじゃねえか、お前らまともに調べる気ないだろうが!
そんな顔で身体検査と言われても、脱ぐに脱げない。というか絶対ヤりたくない。
さっきは逃げられないと思ったが、それでもこうもあからさまに態度で示されると、男としては素直にヤられてなるものかと反抗心が湧いてくる。
だがオッサンどもはそんな俺の気持ちなど気にせず、強引に服を脱がそうとする。既にベストはクロウに脱がされており、シャツまで取られる寸前だ。
このままでは良いようにされてしまうと思い、俺は女の子が胸を隠すように両腕を組んでシャツを脱がせないようにして、玄関先でしゃがみこんだ。
「だーから俺は潔白だってば! なんでそうお前らは一々疑うんだよ!」
こんなのはただのイジメだぞと睨むと、ブラックは大人げなく頬を膨らませる。
「だってツカサ君、女に対してだけ凄く積極的じゃないか……そーんな子が女だらけの集まりに行って来て、何もしてないとかあり得る!?」
「じゃあお前らも付いてくりゃ良かったじゃん!」
「ツカサは頑張ったオレ達に『香水や白粉くさい輪の中に入り黙って耐えていろ』と言いたいのか……? ツカサが優しくなくてオレは悲しいぞ……」
「う゛…………」
まあ、そりゃ、そうなんですけど。
お前らが姦しいの苦手なのは知ってるけどさ。
それに、二人とも一般街まで行って頑張って探してきてくれたんだし、もう疲れたくないってのも分かる。言う事を聞いてやるのは俺だってやぶさかではない。休んでほしいというのも嘘ではないのだ。
だ、け、ど、な!
それが今の状況にどうして繋がるってんだよっ。俺の事を信用してくれないお前らが勝手に不安になってるだけだろ。それがどーして俺が狭量って事になるんだよ!
しかも疑り深いブラックはともかく普段はこんなダダなんてこねないクロウまで……ああもう、ホントこのオッサンどもは。
「それにツカサ君たら、こういうコトに関してはすーぐ嘘つくじゃんか。気持ち良いのに気持ち良くないって言ったり、勃起したのに勃起してないって言ったり」
「だーっ! だからっ、マジで今日は何もないって! 抱き締められたり、おっぱいでむぎゅってされただけだってのー!!」
だから俺は無実だ、と騒ぐが。
「…………そんなこと言って、調べられるの怖いんでしょぉ~?」
「ち、違うし……」
「じゃあ、見せたってかまわないはずだよね。何もされてないんだから」
「だってそれは……あ、アンタらが今日散々やったのに、また変な事されるかと」
「検査だと言っただろう。変な事はしないぞ」
そうキッパリと言い切るクロウの言葉に、本当かよとブラックを見やると、意外な事に同意するように大きく頷く。ホントかな。
……まあでも、こうやって話していても、結局裸に剥かれる運命は避けられないんだろうし……だったら、変に騒いでブラック達をハッスルさせるよりも、検査と言う体を守った上で黙っていた方が早く終わるかな……。
どうせ二人とも疲れているだろうし、特にブラックは、なんか……その、馬車で、い、いっぱい出したと思う、し……さすがにもう……えっちはしない、はず……。
よ、よし、だったらもう早く終わらせよう。俺だって今日は疲れたし寝たいんだ。
ちゃっちゃとやってパッパと終わる。ヨシ、これだな!
「おっ、ヤル気になった?」
「う、うるさいなあ。お前らが騒ぐから仕方なく見せてやるんだからな」
俺のパンツがガビガビになっていない事を証明してやろうじやないか。
どうせこいつらには裸を何度も見られているんだし、家の中なら三人きりだ。何も遠慮する事も無いだろうと思い、俺は恥ずかしさを堪えながらシャツを脱いだ。
そうして、ズボンに手を掛ける。
だけど流石にボロンと丸出しするのは耐え切れなくて、前屈みになって股間を隠しつつ、やっと服を全部脱いだ。いや、靴下と靴が残ってるな。
……いや、待てよ。
手で股間を隠しつつ靴だけ履いてるなんて、変態すぎる格好なのでは。こんな所をお姉さま方に見られたら、何を言われるか分かったもんじゃないぞ。
ぐうう……こ、ここが俺達だけしかいない屋内で良かった……。
「ああ、靴はそのままでいいよぉ。じゃあツカサ君、来て」
「うわっ?!」
自分の姿に複雑な気持ちを抱いていると、ブラックが俺の腕を掴んでテーブルの所へと強引に移動させて来る。
何をするのかと思ったら、椅子に座れと言って来た。
その状態で何を検査するつもりなのかと訝しみつつも、俺は素直に座った。
「そうじゃなくて、ちょっと足を浮かせて……」
「こ、こう?」
「そうそう、そのままもう少し上に上げて……」
股間をガードして両足をくっつけたまま、ちょっと苦しい体勢で膝を浮かせると――背後から、褐色の逞しい腕が伸びて来た。
「うえぇっ!?」
驚いて足を降ろそうとするけど、もう遅い。
褐色の腕……いやクロウの手はしっかりと俺の両膝裏に大きな手を回して掴むと、そのまま体を持ち上げるようにして、あ、足を……って、足!?
待て待て待て、このまま持ち上げられて開かれたら、変なとこ全部見えるって!
足が持ち上げられるたびに、体が背凭れからずり落ちて体勢が変わっていく。そのせいでケツがどんどんブラックの目の前にお目見えして来て、俺は慌てて足の間に手を差し入れると、左右の腕まで使って股間とケツの真ん中らへんを隠した。
だが、そんな事をしている間にもクロウは俺の両足を引き上げて、そのまま左右に割り開こうとして来た。そんな事されたら、大開脚になっちまうじゃねえか!
必死で抵抗するが、まあ……それが出来ていれば、さっき逃げられているワケで。
「あ、ぁああ……」
体を曲げたまま、限界まで足を開かれて、内腿に冷たい外気が触れる。
強引に開かされたせいで、尻も少し谷間が開いてしまっていて、普段ならそんな事なんて無いせいか妙に気になってしまい、体が恥ずかしさに熱くなる。
だけど、ブラックはそんな俺の恥ずかしさなど気にせず、ゆっくり近付いて来る。
「ふっ、ふへっ、ふへへ……。ほ、ほぉらツカサくぅん……そんな風に可愛く股間を隠してたら、いつまでたっても確認できないよぉ……?」
あからさまに嬉しそうな気味の悪い声を漏らしつつ、ブラックは己の影で俺の体を覆う。それほど距離を詰めると、片方の手首を掴んできた。
「今日だって、僕達にたっくさん子供おちんちん可愛がって貰ったでしょ……? 今更恥ずかしがる事なんてないんだよ……ほら……っ」
「ぅ……っ、ぁ……や……っ!」
精一杯力を籠めたのに、片手がいとも簡単に外されてしまう。
だけど、俺のもう片方の手は陰部から尻の方まで腕をのばして全体を隠しており、ブラックの腕を掴んで逃れる事も出来ない。
そんな俺の八方塞な様子を笑うように、ブラックは最後の砦である腕の手首を掴むと……今度はぴったりと股間に手を張り付けて、手首を擦るように上下に動かした。
「ふ、ゃっ!? やっ、ばかっ、な、なんてことして……ッ!」
「だってツカサ君が手を離してくれないのが悪いんだよぉ? ほら、いつまでたっても手が離れないせいで、僕の手にツカサ君のプニプニしてる可愛い陰嚢やツカサ君のメスになっちゃうトコが触っちゃってるぅ」
そんな戯言を言いながら、ブラックの曲げた指の関節が会陰を擦り、下から軽めに弾くように俺の急所の一部を触って来る。
タマに触れられるだけでも恐怖と言い知れぬ刺激にビクビクしてしまうのに、それに加えて以前から触られまくって開発されてしまった“何も無いハズ”の会陰の部分をぐっぐっと軽く押されながら刺激されると、息が何故か上がって来てしまう。
こんな格好なのに、苦しい体勢をしているのに、ブラックのごつごつした四つの指の関節に擦られ抑えられるだけで、下半身の奥の方が熱くなって俺のモノがじわじわとヤバい熱を帯びてきて。
どう考えてもこんな状態で触られるのなんておかしいのに、それでもブラックの手に慣らされてしまった俺の体は言う事を聞いてくれない。
ああもう、俺の馬鹿、気持ち良いのに弱すぎだろ、なにやってんだよ!
こんなことでおっ勃つなんて、情けないにもほどがある……。
「おや? ツカサ君たら、ココ熱くなって来たね……。昼間あんなに射精して空っぽになったのに、まだえっちなことしたいの……?」
「ち、ちが……っ」
「空っぽのちっちゃいメス陰嚢で、ちゃんと精液作れるのかな~。ああでも、遊んで来てなかったら、ツカサ君なら一発ぐらい出来てるかも知れないよね! 今日は回復も早かったし」
「っ……だ、だから、そんなこと……っ」
「出来るでしょ? 遊んできてないんなら」
そう言いながら、ブラックは今度こそ強く俺の手首を掴んで――とうとう、股間を隠していた最後の砦を俺から奪い去ってしまった。
「ぁ……あ、ぁ……」
「ふふ……まだ甘勃ちもしてないけど、今のツカサ君みたいに気持ち良いコトを期待して、ヒクヒクしてるね……。ホント今日は珍しく元気だなぁ」
「ムゥ……子供おちんちんのくせに性欲は大人並みか。オスに触れられると際限なく発情するなんて、ツカサは発情期のメスより淫乱だな」
「ば、か……っ! 変な、ことっ、言うなぁ、あっ、うあぁあっ!?」
クロウのあんまりな言葉に怒ろうとするが、その言葉の途中でブラックが俺のモノに向けて強く「ふうっ」と息を吐いて声が裏返ってしまう。
な、なにすんだバカっ、変態っ、なにやってんだお前はぁああ!
「ふふ……ツカサ君の子供おちんちん、息だけで反応してて凄く可愛い……。でも、こんなに元気じゃあ逆に疑っちゃうなぁ」
な、何が疑っちゃうだ……っ。
もう本当、信じらんない。大体マジで一発やって来たらこんな風に反応する元気は普通ないだろ。いくら俺が健全で健康的な男子高校生と言ったって、こんな風に息が触れただけで逐一反応してたら地獄だわ!!
つーかこんな恥ずかしい格好させておいて何が元気だ淫乱だ!
お前らの方がなあっ、よっぽどなあっ!
「雌穴の方もヒクついてるな」
「あは……昼間のセックスのせいで、いつもの処女穴みたいな感じじゃなくて、メスらしくぽってりしちゃってるねぇ……。小さいのに、僕を誘ってパクパクしてる」
「っ……ぅ……だ、だからっ、そういうんじゃ……」
「本当ぉ? こんな風に指で撫でたらきゅうってなって、お尻が震えてるのに?」
ブラックの指の腹が、遠慮なしに触って来る。
そのたびに、無理矢理に曲がって上半身に近付いた俺の腹が細かく上下して、腰が意思とは関係なく動いてしまって。
「っく、やだっ……ぁっ……あぁあっ、そこっ、さ、触るの……やだ、ってぇ……!」
我慢しようと堪えるのに、窄まりをグッと抑えられて少しざらついた指の腹がナカに入ってくるフリをするだけで、下腹部に力が入ってしまう。
そのせいで、ブラックの指が次に執拗に擦って来る感覚を余計に感じてしまって、力を入れたらダメだと分かっているのに俺はどうする事も出来なかった。
「ん~……乾いてるけど、熱くなってオスを欲しがってるし……ナカに入ってちゃんと確認しないと、浮気してないかどうか分からないなぁ」
「ば、かぁ……っ、さいしょっ、から……わかって、ぅ……くせに……ぃっ」
俺が浮気なんてしてない事ぐらい、お前らだったら一発で分かるだろう。
なのに、なんでこんな事してわざわざ俺を辱めるんだ。
こんな……こんな、股を強引に開いて、恥ずかしい部分を凝視しながら指で執拗に弄ぶようなことなんて、しなくたって……。
「ツカサ」
名前を呼ばれるが、もう怒っているんだか恥ずかしくて悲しいんだか判らない涙がボロボロ零れて来て、俺は必死で涙を拭う。
だけど、ブラックは俺の下半身をいじめることをやめず、ぴたぴたと指で窄まりを軽く何度もタップしながら、顔を近付けて来た。
その、表情は……うっとりしたような……表情で……。
「ぅ……うぅ……」
指の感触を覚えて動く下半身とは裏腹に、熱い吐息を肌に吹きかけながら至近距離まで近付いて来るブラックの顔のせいで、胸がぎゅうっと締め付けられる。
そんな自分に我慢出来なくて、頬が痛いくらいに熱くなった。
だけど、そんな俺にブラックは笑みを深めるだけで、顔を近付ける事も指を動かす事もやめてくれなくて。
そうして、薄ら紅潮した嬉しそうな顔を目と鼻の先まで持って来ると――ブラックは、俺の口に軽くキスをした。
「だって……ツカサ君が僕以外の奴を心配してるの、凄くイヤだったんだもん……」
「そん……な……」
「ねぇツカサ君……ツカサ君は僕の唯一の恋人なんだよ……婚約者なんだよ……? もう何回もそう言ったよね……。なのに、僕より女どもの方を心配するなんて、そんなのダメでしょ? だから……今度は僕に『おつかれさま』してよ……ね……?」
そう言いながら、ブラックは再び俺の口を塞いで……熱を煽るように、曝された尻をいやらしく撫で回し始めた。
「んっ、んん……っ、んぅう……っ!」
「ツカサ……オレ達を慰労してくれるな……?」
上から、ブラックの低くてぞわぞわする声とは違う、掠れた大人の声が聞こえる。
その音に身じろいだ俺に応えるように、膝裏をクロウの指が擽って来た。
こそばゆい。そう思っているのとは別に、またお腹の奥が疼く。
こんなはずじゃなかったのに、さっさとブラック達を納得させて寝るはずだったのに、今はもうどうやって逃げるかすら考えられない。
ただ、お腹の奥が熱くて、手が這い回るたびに体中がぞくぞくして、二人に触られているところ全部が感じちゃいけないくらいの感覚を俺に流し込んで来て……。
「ツカサ君……ね……もう一回……もう一回だけセックスしよ……? 明日は、絶対にしないから……ねぇ、ツカサ君……」
その言葉に「いやだ」とハッキリ言えるなら、俺は今頃眠れていたのだろうか。
ぼんやりとそう思ったけど、もうそんな事を考える理性すらぼやけていた。
→
※続く
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