異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

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竜呑郷バルサス、煌めく勇者の願いごと編

25.こんな自分は自分じゃないのに1

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「ロク、申し訳ないんだけど……炎の調節を頼めるかな?」
「キュー!」

 ロクショウがく事の出来る「青い炎」は凄まじい威力だが、とある凄い師匠の元で修行をして来たので火加減などは造作も無い。

 種火は俺が点けるけど、いまだに炎の曜術の修行をしていない俺には、指先に少量の炎をともすだけの【フレイム】しか使う事が出来ないので、後はより炎が得意なロクにばんを頼もうと言うワケだ。

 それはそれとして、早く体が温まるスープを作ろう。
 【スクナビ・ナッツ】の中に収納していた粗末な鍋などを取り出して、その中に水と昨日買って来た干し肉、それに余っていたタマグサと葉物野菜を入れる。

 火加減を見つつ浮き上がってくるアクを取りながら、俺は逐一味を確かめて、何か物足りないと思ったら、特別な蜂蜜を一滴たらしたり香草であるマーズロウの刻んだ物をパラパラと散らしたりして、臭みやエグみをとる事に集中した。
 凄く簡単なスープだけど、今はこれが精一杯だ。

 本当は野菜をじっくり煮込んだダシなんかあっても良かったんだけど、今は二人とも体が冷えていて、四の五の言っていられないからな……。
 味を見つつ、少し煮込んで味を調えると、やっと俺はいけると判断した。

「よし! 出来た!」
「キュキュ?」
「うん、美味しく出来たぞ。ほら」

 木のスプーンにすくい、ふうふうと息をかけて飲みやすい温度まで冷ますと、ロクのくちにそっと差し出してやる。それをロクは長いヘビの舌でチロチロと舐め、クワッと目を見開いた。お、おお、どうだ。美味しいかな?

「キュ~!」
「おお、美味かったか! 良かったよかった……」

 ロクショウが喜んでくれるなら安心だな。
 とはいえ、ラスターは味に結構うるさいから何と言われるか不安だな。
 俺には美味いけど……まあ今は即席だとこれしか出来ないから、我慢して貰わないと。底の方に落ちそうになっている具をかき混ぜて浮上させると、俺はあらかじめ出しておいた木の器にそそぎ込み、ラスターの分に大目に肉を盛った。

 ロクショウにも残りの干し肉を盛って、俺はラスターの器を持って行こうと背後を振り返る。と――――ラスターは、先ほど自分達が上がって来た深い深い井戸のようになってしまった部屋を見下ろしていた。

 この遺跡は何故だかどこもかしこも明るくて明かりが必要ないのだが、こうして火を起こすとわりと薄暗いことが分かる。そのせいか、水底を覗こうとするラスターも苦労しているらしく、じっと下の方を見つめていた。

 でも水のそばにいると冷えちゃうよな。こっちに来るように言おう。
 スープをたき火に一番近い石のベンチに置いて、俺はラスターに近寄った。

「ラスター、たき火の近くに来いよ。風邪ひいたらヤバいぞ」
「ん……あ、ああ」

 こっちを向かずに、ラスターはうなづく。
 おいなんだコラ、人と話す時はせめて顔を向けんかい。
 顔を覗き見ようとするが、華麗に避けられてそのままテクテク歩いて……って、何、どーしたんだよ一体!

「ラスター? おい、なんでこっち見ないんだよ!」

 もしかしてもう熱が出ちゃったとかなのか。おいおいそれなら尚更なおさらダメだろ。
 隠せば隠すほど後で面倒な事になるだろ。体調不良はちゃんと言ってくれって。
 今のラスターは術を使ったせいで疲れているだろうに、これ以上体調が悪化すると危ないじゃないか。こうなったら強引に顔を覗き見てやる。
 ただでさえここは何が起こるか解からない遺跡だってのに!

「なあ、こっち見ろって。ラスターってば!」

 ちょっと強めの声を出して、相手の腕を引き顔を覗こうとした。……の、だが。

「ッ……! 触るなっ!」
「うおおっ!?」

 思いきり振り払われて、想像して居なかったレベルの力強さに体がかしぐ。なんとかバランスを取ろうとしたのだが、俺は無様ぶざまにその場で尻餅をついてしまった。

「キュー!」
「いてて……」

 ず、ズボンが無いせいでケツが余計に痛い。
 つーかまだケツが濡れてる……いやそうか、あれから一時間も経ってないもんな。そりゃ俺だってビショビショのはずだわ。
 料理に集中してたから全然気づかなかった……。

「す、すまんツカサ、大丈夫か!?」

 痛みと関係のない事を考えていると、ラスターがあわてて手を差し伸べてくる。
 謝るぐらいなら強力なフックをかますんじゃないよとは思ったが、ラスターも何か深刻な考え事をしていたのだろう。うむ、許そうではないか。

 そんな事を思いつつ、近寄ってくるラスターに手を伸ばそうとする、が。

「うっ……」

 至近距離まで来たと思ったら、ラスターは顔を歪めて一歩退いてしまう。
 なんだ、俺なんかしたのか。何か変?
 自分の体を確認するが、濡れているだけで何の変哲もない。

 これでムキムキにでもなっていたなら嬉しかったけど、別にびしょ濡れなだけで、下を向くと髪の毛がはりついてうざったいだけだ。
 というか布が一番鬱陶うっとうしい。下着もシャツの布もたっぷり水を吸って重くなってるし、もういっそ全部脱いでしまいたいくらいにぺたぺた張り付いて不快だ。

 どうせ休憩するんだし、スープを飲んでいる間に火の上にでもかざして乾かそうかな……じゃなくて、別に変な所など無いのに、なんでラスターは俺を避けるんだ。

「ラスター、なんかヤなコト有るならハッキリ言えよ」
「ち、違う……そうでは……」
「じゃあなんでさっきから俺のこと避けるんだよ! そんな風にずっとチラチラオドオドしてたらスープ冷めちまうだろ!?」
「す、スープ?」

 何を言ってるんだと相手は顔を歪めるが、俺は怒っているので関係ない。
 今度こそ濡れて重くなったラスターの服のそでつかみ、火の近くのベンチにずるずると引き摺って移動させた。

「ほら、いーからスープ食べて。あと服脱いで!」
「んん!? な、なにを言って……」
「乾かすんだよ! ほらさっさと脱ぐ!」

 そう言いながらラスターの分厚くて軍服っぽい上着に手を掛けようとすると、相手は目を丸くしながらあわててその場から逃げた。
 おいコラてめえ。

「わ、わかった、分かった自分でやる大丈夫だ! スープも頂く!」
「そう……? じゃあさっさと脱げよ。体冷えるからな」

 相変わらず何かヘンだけど、照れるとか今更いまさらだろうに。
 アンタ俺の裸も見てるんだし、第一、風呂場で二回も変なとこ見られた……いや、他の所でも物凄く見られたくない光景とか見られまくってたな……。

 ……まあ、ラスターがブラックやクロウより真面目だから助かってるけど、改めて考えるとラスターには御見苦しい所を見せまくってるのが申し訳ない……。
 やっぱ怒鳴ったの悪かったかな。もうちょい優しくすればよかった。
 コイツからすりゃ、俺だって有象無象の格下男の体って奴なんだし、そんなモンを見たって「しょーもな」って思うだけだろうしな。
 俺も同性の裸とか正直どうでもいいから気持ちは分かる。
 ラスターだって、ホントに普通の感性のヤツなんだ。

 妻だ嫁だとは言うけど、ラスターの態度は友達と同じくらいの感覚だったし、それにブラックやクロウみたいに俺にやらしい気持ちとか全然持ってないみたいだしな。でも大事に思ってくれてるのは凄く解るから、そう言う意味では俺もラスターの事が好きだけど……まあそれと性根は別だもんな。
 ラスターの美意識からすれば俺もアレなんだろう。うん。

 それとも逆か?
 俺にびしょ濡れの所を見られて照れてるとかそういう感じなのかな。
 もしかしたらそっちの方が正しいかも。ラスターはプライド高そうだし、そもそも団長という地位にいるんだから、こういうギリギリな姿とか人にはあまり見られたくなさそうだよな。
 そうか、だからさっきから色々ギクシャクしてたのか。
 だったら俺も気を使ってやればよかった。誰にだって譲れない所はあるんだしな。

 よし、決めたぞ。これからはより一層ラスターの様子に気を配るんだ。
 ……出来るだけ、凝視してるとか思われないようにな!

 そんな事を改めて考えていると、いつの間にか上半身裸になっていたラスターが、俺に服を差し出してきた。

「……ほ、ほら。頼む」
「上着だけ? ズボンは?」
「ぐ……」

 俺から目をそむけながらも、ラスターはブーツを解いてズボンを脱ぐ。
 そういや下着は俺達みたいにトランクスっぽい物なんだなぁ。いや、たぶん俺らのより二倍も三倍もお高い下着なんだろうが……などと変な事を思っていると、相手は俺の顔を隠すようにずいっとズボンを押し付けてくる。

 ……なーんか態度悪いなあ。まあ、居丈高なのはいつもの事だけど。
 でも、いつもみたいに「俺の服を乾かせる事を光栄に思っていいぞ!」なんて事を言うような態度とは違うんだよなぁ。なんかこう……らしくないって言うか、傲慢ごうまんなラスターにあるまじきぶっきらぼうな感じというか……。

「うーん……?」

 ラスターからズボンを受け取って首をかしげていると、スープを全部たいらげたロクが、俺にパタパタと飛んで近付いてきた。
 そうして、何やら身振り手振りで俺に説明し始める。

「キュキュッ、キュウ~」
「え……ロクが乾かしてくれるの?」
「キュウッ!」

 ロクの青い炎ってそんな直火調節みたいなのも可能なのか……。
 そうなるとまた俺の【フレイム】の使い道がなくなってしまうのだが、まあロクも可愛すぎるほど張り切っているので、悲しむのも野暮やぼと言う物だろう。
 俺のプライドより頑張るキュートなロクの笑顔なのだ。

「よし、じゃあお願いするよ」
「キュー!」

 お手伝いが出来て嬉しいらしいロクは、俺の目の前で何度も宙返りして、機嫌よく尻尾をパタパタと振り回す。
 だけどどうやって乾かすのかなと思ったら、そこは俺が物干し台のような装置を作ってやらないといけないようで、やっと俺もなんとか貢献する事が出来た。

 ……せっかくのチート能力である【黒曜の使者】の力が、地面から物干し竿ざお代わりの植物の枠組み作りだけとは情けないが、これも役に立つ仕事なのだ。
 ロクショウに任せて、俺も服を乾かそう。

 自分のプライドをなんとか押し込めると、俺はベストとシャツを脱いで、ついでに下着も脱いだ。バッグの中にタオル代わりの布が有るので、それを巻けばいいのだ。
 あ、そうだ、ラスターにもこういうのを渡してやろう。アイツも下着が濡れたままじゃ気持ちが悪いだろうからな。

 そう思い、俺はバッグから二枚分の少し固めのタオル……代わりの布を取り出し、俺は股布や膝当ひざあての布を取り去ると、ロクショウに渡してラスターの方を向いた。

「ラスター、これで股間隠して。お前も下着が濡れたままじゃ気持ち悪いだろ?」

 そう言いながら相手を見やると……何故か、今まで俺を見ていただろうに再び顔を背けて、妙などもり方で「う、うむ」とか言いながらうなづいた。
 こっちを見ていない癖に俺の放ったタオルはつかみやがるんだから、本当そういう所ムカツクなぁ……イケメンって奴は謎のカンにまで恵まれてやがんのか。

 相手から下着を投げてよこして貰い、ロクショウに改めて乾燥を頼むと、やっと俺は火のそばにやれやれと座り込んだ。

「はー、やっと飲める……」

 ちょっと冷えちゃったかなと思ったが、まだ温かい。
 ふうふうと息を吹きかけながら飲んで――のどを通る温かい感覚に体が震える。
 暑い日に飲む冷たい水も、寒い日に飲む温かいスープも、何でのどを通るだけでこんなにホッとして心が気持ち良くなるんだろう。

 味はまあ置いとくとしても、体はポカポカしてくるよな。
 ラスターも体があったまっただろうか。そう思いながら相手を見やると、どうやら俺と同じタイミングでスープを飲んでいたようで、フゥと息を漏らしていた。

「…………」

 にしても……ラスターって本当ムカツクやつだよな……。
 髪の毛は物語の王子様みたいに綺麗な金髪だし、美形と言っても顔は女性的な感じじゃ無く真っ当に男らしいし、首も肩も俺よりがっしりしている。

 体だって、クロウみたいに武闘派でムキムキな筋肉は無いけど、女の子がすぐさま飛びつきそうな均整のとれた体付きをしているんだ。
 彫刻で見かけるような絶妙な筋肉を持った……まさに「全てイケメン」と言うべき姿だった。スネも太腿ふとももも筋張るほどの筋肉じゃないのがまたムカつく。

 俺のダチだって多少ゴツゴツしたあししてんぞコラ。
 くそう、見てるだけで自分の筋肉が無さそうな足がうらめしい。

 …………だけどまあ、結局は俺のひがみでしかないんだけどな……。

「はぁ……」

 思わず溜息を吐いてしまうが、それもスープの表面をなぞるだけで、波紋はすぐに消えていく。なんだか自分が考えている事がむなしくて、俺はスープをすすった。
 黙ってるとホント余計な事ばっかり考えちゃうな。

 でも、目の前にいる男が自他ともに認める美男ってヤツなんだから、そりゃあ普通でしかない俺にとってはひがまずにはいられないワケで。

 ……これで女顔とかフェミニンとか細腰だとか……ともかく、男としての魅力とは別の魅力があったって言うんなら、俺だって人の裸を見てこんなに逆恨みっぽくムカムカしなかったんだろうけどなぁ……。はぁ。

 男らしくなりたい俺からすれば、ラスターもまたブラックやクロウとは違う、別の理想の姿なんだ。そう思うからこそ、余計に俺の「理想の姿」が目の前で「そうなりたい体」をさらけ出していると、ウギャーっと暴れたくなるわけで……。

「…………ツカサ、すまない」
「え?」

 唐突に謝られて、顔を上げる。
 するとそこには、濡れた髪を掻き上げて本当に申し訳なさそうな顔をするラスターが居た。橙色だいだいいろの光に髪が輝いていて思わず息をむと、相手は目を伏せて俺を見る事を避けながらも言葉を続けた。

「お前は、俺のために色々やってくれたと言うのに……俺は……さっきから、避けたり目を見なかったりして……」
「いや……それは別に謝らなくていいけど……ホントどうしたの? いつものアンタらしくないよ。普段は自分の事を褒め称えて自信満々にしてるのにさ」

 そう言うと、ラスターは横顔のままで目を細めた。

「…………自分でも、よくわからない……。何だか、おかしいんだ」
「アンタ、本当に熱でもあるんじゃないの?」

 まるで普通の人みたいにしおらしくなってしまったらラスターに心配になって、俺は立ち上がり相手に近付く。
 だけど、よほど動揺していたのか、ラスターは俺がすぐ傍に来るまで気付いていなかったようで、あと一二歩という所でやっと俺を見て驚いたように目を開いた。

「なっ……!」
「ラスター、マジで熱があるなら少し寝た方が……」

 そう言いながら熱を測ろうと手を伸ばす。
 だが、ラスターの目が何故か俺の体を見ておののいたように逃げようとした。何をそれほど恐れているのか知らないが、体調が悪い時に動くのは危ない。
 どうにかベンチにとどめようとして腕をつかむ。だが、掴んだ瞬間に振り払われそうになり、そうはさせじと踏ん張った。――――と。

「うわっ!!」
「っ……!」

 バランスを崩して、再び俺の体が傾ぐ。
 どうにか踏ん張ろうとしたのだがそれもかなわず、ラスターの胸に二度目のダイブをかましてしまった。あっああっ生暖かい!

 あああああ男の裸の胸に顔がっ、勘弁してマジで!!
 どーしてこういうのが俺と女の子との間に起こらないんだ!
 いやしかし、女子とこんなラッキースケベな状況になったら、絶対後から総スカンを食らっていただろうから……夢は夢のままなんだけどね……って、そんな事を考えている場合では無かった。早く離れよう。同性の裸なんて百害あって一利なしだ。
 それに、裸で触れ合ってたらブラックのいらぬ怒りを招くし。

「うぐっ、ご、ごめ……」

 そう言いながら、素早く離れようとした。
 だが。

「……っ、お前と言う奴は……!!」

 何故か、ラスターの怒ったような声が聞こえる。
 そう思った瞬間、何故か俺の体は反転し……ラスターを見上げていた。













 
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