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海洞ダンジョン、真砂に揺らぐは沙羅の夢編
24.混乱
しおりを挟む第九層まで来ると、周囲の風景がガラリと変わった。
「おお、これぞ体内って感じだな」
ヤケクソ気味に軽口を叩いてみるが、その言葉にツッコミを入れる存在はいない。
思わずツカサの姿を探してしまうほど、今回のパーティーは冷え切っていた。
だが、それも仕方があるまい。
(まあ……街からいきなり肉の壁ってのも刺激が強いもんなぁ……)
洞窟を直接削って作ったような階段を下りて一歩進んだ途端に、上も下も鮮紅色の肉々しい風景だ。地面も妙に柔らかいし、ところどころに血管が浮いてどくんどくんと音を立てているのも不気味さを誘う。
あまり旅をした事のない冒険者であれば、この風景に吐き気を覚えるのも仕方ない事なのかも知れない。しかし、今はそんな場合ではないのだ。
ブラックは、一刻も早くダンジョンの核とやらを壊して帰らねばならない。こんな面倒な事は早く片付けて、自分を待ってくれているだろう可愛くて愛しいツカサの所へ帰りたいのである。
なにせ、今回はツカサ自身が「用意をして」待ってくれているのだ。
あまり積極的にセックスをしたがらないツカサがこうなる事など、そうそう無い。だからこそ、ブラックは彼の決心が鈍らぬ内に早く帰ってコトに運びたかった。
……なのに、この軟弱な足手まとい二人組は、第九層に入った瞬間に腰が砕けて、階段から動けなくなってしまったのだから苛立たしい。
「……行くぞ。最下層はもうすぐじゃ」
「は、はい……」
「ぅ、うぅ……っ……」
白髭老人が歩み出るが、しかし二人は足を震わせて動きもしない。
ここまで歩き回った疲れも出ているのかも知れないが、そんな体たらくでは冒険者失格としか言えない。一般人ならともかく、冒険者は丸一日戦闘と探索に明け暮れるのが普通のろくでもない商売なのだ。この程度の道のりでへこたれるなんて、とてもじゃないが一人前の冒険者とは思えない有様だった。
(まあ、最初から冒険者っぽくないとは思ってたけどな……。坊ちゃんだのなんだの、まるで貴族みたいな物言いをしてたし)
なんの目的が有って冒険者として旅をしているのかは知らないが、御前試合のような戦いしか出来ないのであれば、付いて来るなどと言わないで欲しかった。
おかげでこのザマだ。時間を余計に浪費している。
ツカサと離れている期間が増えると思えば思うほど、欲求不満のイライラが増してくるが、しかしここで怒っても事態は好転しようがない。深い溜息を吐き、ブラックは隣でぼうっとしている熊公に命令した。
「おい、あいつら抱えて持って来い。時間が惜しい」
「ヌ、その手が有ったか。わかった」
わかった、じゃねえよ早めに気付けよお前がよ。
……なんて暴言が思い浮かぶのも、ひとえに性欲が発散できずイラついているからだろう。先日ツカサに抜いて貰ったばかりとはいえ、一日一発は抜いておきたい性欲旺盛なブラックにとって、今の状況はとてもつらいものだった。
(まあ、最初からこいつらの手助けなんて期待しちゃいないんだし、無理矢理にでも連れて行ってあとは僕だけで【核】とやらを壊せば良いんだ。今の所、弱いザコしか出てこないし……こんな感じじゃあ【麗しの君】とやらもタカが知れてるだろう)
そう思いつつ、階段から続く一本道の先を見て考えていると、背後から「わぁっ」とか「きゃあっ」などと言う声が聞こえて来た。
軽く振り返って見やると、熊公が大人二人を両肩に担いでいるのが見える。
その姿と言ったら、まるで麻袋を担ぐ港の労働者のようで、思わず口の端がヒクリと動きそうになったが、ブラックは笑みをこらえてそのまま階を進んだ。
半刻(約三十分)ほど、黙ったまま一本道を歩いていたが――――不意に、最後尾で周囲を窺っていたカーデとか言う白髭老人が呟いた。
「…………やはり、ここは同じだ……」
「お、おなじ、ですか?」
イデッサとかいう女が抱えられたままで振り返ると、老人は静かに頷いた。
「このダンジョンは、本来なら第六層から暗雲の荒野に移り……徐々に肉壁が見え、白蛇の体内を歩くような薄気味の悪い構造になっていた。ちょうど第八層が、蛇の中の臓腑を模したような広場と乱雑な通路になっていたはずなんじゃ」
それは、初耳だ。
思わずブラックも立ち止まって振り返ると、背後に居た熊公含め三人ともが、自分と同じように「なんだって?」とでも言いたげな呆けた顔をしていた。
だが、老人は沈んだ表情のままで動かない。
第八層から、何故か深刻そうな雰囲気のままだった。
「カジャックさんは、以前の海洞ダンジョンをご存じなのですね。ですが……だとすると、あの第八層はおかしなことになりませんか? やはり、麗しの君という主が、目を覚まして動いていると言う事なのでしょうか……」
女の問いに、相手は目を細めて俯いた。
「まあ、数十年も現れたことの無かった【シカマビト】が出現した時点で、何かおかしいと思っておったがの……。だが、ダンジョンの構造が変わる事なんぞ、核を持つ主が存在するダンジョンではよくあることじゃ。普通の廃虚や遺跡、洞窟と違って、これらが【ダンジョン】と呼ばれるのは、そういう特殊な存在がおるからだしの」
「では、あの……どうしてそれほど、深刻でいらっしゃるので……?」
ホーディーとか言う気弱そうな男が、恐る恐る口を挟む。
その通りだ。この程度の変化など、ダンジョンの主が生きているなら普通だ。
退治したと思った物が復活したのかも……と言っていたのは、ほかならぬこの老人自身ではないか。それなのに、今更深刻そうな顔をする意味が解らない。
相手も長く旅をしているのであれば、ダンジョンの特徴など把握しているはず。
現にいま、ブラック達に説明してみせたのだから、知らぬことではなかろう。
なのにどうして、そんな深刻そうな顔をするのか。
ブラックのみならず、老人以外のその場の全員が思った事だっただろうが、相手はその疑問を振り切るように、早足で先頭へと歩み出た。
「…………とにかく先を急ぐぞ。最下層は分かれ道があるが、全て行き止まりで警戒すべきところは無い。このまま変わりがないのであれば、進んだ方がよかろう」
「深刻そうな顔をしている理由は答えないのか」
問いかける熊公に、背中を見せた相手は歩き出した。
「呪いを受けた者が、完全なシカマビトになってしまってはいかん。早く倒すぞ」
――――これ以上、話すつもりはないという事か。
ブラックは熊公と顔を見合わせ肩を竦めると、黙って付いて行くことにした。
(ま、僕は赤ら顔のジジイの都合なんてどうでも良いしな。さっさと【核】を見つけて、さっさと倒して帰ることが出来ればそれで良いや)
なにやら理由はありそうだったが、どうせ全て倒して終わらせることになる。
モンスター絡みの厄介事は、大概それでカタがつくのだ。
犠牲が有ろうがなかろうが、そんな事などブラックにとってはどうでも良い。他人の生き死になど自分には何も関係がないのだから。
(ツカサ君もいい加減、他の奴なんてどうでも良くなってくれればいいのになぁ……。そしたら、もうちょっとイチャイチャできる時間が増えるのに……)
お節介焼きという存在が、態度を改める事は滅多に無い――と言うことは、過去の経験で嫌と言うほど解ってはいるが、それでもツカサの八方美人っぷりをみていると一言申したくもなる。今この場所にツカサが居れば、きっとあの白髭老人の深刻そうな顔をみて、心配するようになっていただろう。
(ツカサ君と会えないのは寂しいけど……まあ、面倒臭くないのは良かったかな)
色々な事に首を突っ込まれるくらいなら、家で留守番してくれていた方が良い。
……これが、家に妻を閉じ込めておく夫の気持ちなのだろうか。
そう思うとむず痒くなってしまい、ブラックは顔が緩みそうになるのを堪えた。
今は、浮かれている場合ではないのだから。
――――そんなこんなで敵すら居ない一本道を踏破し、最下層への階段を下りて、面白みのない迷路のような体内ダンジョンを無言で調査していると。
(…………ん?)
なにか、おかしな感じの場所に入ったようだ。
行き止まりを先に調べて、一番長そうだったこの直線の通路を最後に取って置いたのだが、足を踏み入れてみると何だか奇妙だ。気が付けば、不規則に脈動する通路は淡く紫色に光っている。その更に先から、強い光が漏れているのが見えた。
「あ……もしかして、あの先がダンジョンの主が……」
女の声に、老人が小さな声で「ああ」と言う。それから、また急に早足になった。
何か焦っているのか、それともさっき熊公が聞き取った「ブランティ」という誰か――もしくは何か探しているのか。理由は解らなかったが、ブラックは後に続いた。
もう少しで、この陰鬱なパーティーも解散だ。
やっとツカサの所へ帰れる。そう思うとやる気も湧いて来て、剣を鞘から抜き臨戦態勢でそのまま強い光の中へと足を踏み入れた。
「っ……!」
階段だ。
転びそうになるのを堪えて一段目を踏みしめ、目の前を見やると。
「えっ」
「きゃぁあっ!!」
横から女の煩い金切り声がする。
だが、ブラックは真正面を向いたままそのまま勢いよく階段を下りた。
(なんだ、これは……――――)
広い、大聖堂のホールのような円形をした肉壁の広場の中央に、太い支柱のごとく地面に突き刺さった体……いや、死骸がある。
それは首から上の部分が引きちぎられたようになっていて、鮮紅色の死肉の内側がべろんと所々外側に垂れ下がっていた。だが、その肉は今しがた現れたように新鮮な感じに思える。蛇腹も、その白い鱗も……まるで、さっき死んだもののようだった。
だが、言い伝えが本当の事ならば、あの死骸は既に魂も失われている。
もしかすると、このダンジョン自身が何かの命令によって、あの死骸を死んだ直後のまま留めているのかも知れない。そう考えると、なんだか笑えない代物だった。
【麗しの君】は、未だに妄執と憎しみによってダンジョンの中に囚われている。
そしてその魂は天の階を登る事も出来ず、ここに留まり続けていたのだ。
ダンジョンの【核】という存在になって。
(はは、そう考えたらこれはナトラ教の教徒が卒倒しても仕方ないな……)
博愛と慈善を説く者達にとっては、この状況は地獄でしかないだろう。
例えモンスターだろうが死骸を見世物のように放っておくのは、ナトラ教の教徒には晒し者を見るような衝撃が走るらしいので、心が弱い者は立っていられまい。
だが、それもブラックからしてみれば鬱陶しい以外に言いようがないのだが。
(まあ、邪魔さえしなけりゃそれでいい)
熊公に抱えられたまま悲鳴を上げる煩い足手まといを置いて白蛇の死体に近付くと、円形の天井の血管がどくどくと音を立てた。
まるで侵入者に反応しているようだが、それで襲って来る事は無かった。
白蛇も、ダンジョンも、敵を屠るだけの力は失っているのだ。
しかしそれだと妙な事になるな、と、ブラックは目の前の巨大な死骸を見つつ、剣を収めて腕を組んだ。
(侵入者に対して何もしてこない……どころか、己の死骸をこうやって放置しているのに守ろうともしないなんて、何だか妙な感じだな。普通なら、囮に使ったり何かの攻撃を仕掛けてくるモンなのに……。このダンジョン、本当に生きてるのかな)
しかし、実際第八層はシムロの街に変化し、シカマビトも発生している。
【麗しの君】が生存していなければ、辻褄が合わないのだが……。
「うーん……」
よく分からなくなって小首を傾げているブラックだったが――――背後からこちらへと駆け寄ってくるような音が聞こえて、横を見やった。
すると、なんとそこには息一つ荒げていない老人がいるではないか。
只者ではないと思ってはいたが、まさかこんなに動けるとは。
少々驚きながら見ていると――――横に居た相手は急に白蛇の体をぺたぺたと触りだし、そうして焦ったように舌打ちをすると、今度は広場を囲う肉壁を半狂乱のようになって掌で叩き始めた。
「え……なにあのジジイ……」
思わず声を出したが、しかし相手は気にもせず必死に何かを探している。
何故そんな事をしているのか解らなかったが、全ての壁を調べ尽くしたのか、今度は急に膝から崩れ落ちると地面を探りだした。
四つん這いになった哀れな姿だが、そんなことなど気にもしていない。
相手はただ、何かを必死に探していた。
(なにしてるんだ、あのジジイ)
こんなに急に態度が変わるなんて、何か有ったとしか思えない。
【核】を探しているのだとしても、あの老人には焦る理由など無いはずだ。焦る奴がいるとしたら、それは足手まといの二人くらいだろう。
あの二人には【核】を見つけねばならない理由がある。そうしなければ助からない仲間がいるのだ。それ故に、あの二人なら納得出来た行動なのだが……。
(よく分かんないなあ……ああもう仕方ない……)
なにか理由があるなら聞いておかねば、いつまで経っても帰宅できない。
仕方がないと溜息を吐いて、ブラックは相手に近付いた。すると。
「……ど……どこだ……どこにいる……どこなんだ……っ……!」
老人らしからぬ独白が聞こえる。
【核】を探しているのかと首を傾げたブラックだったが、次の言葉を聞いて、相手が何を探しているのかを理解した。
「どこだ……ッ、どこにブランティを隠したんだお前は……!!」
手が汚れる事も厭わず、四つん這いで隠された何かを探し続ける。
だがそれは、自分達が目的としていた物では無かったようだ。
「お前、核を探しに来たんじゃなかったのか?」
少し離れた場所で問いかけると、ビクリと肩が震える。老人にしては厚みのある体が、ゆっくりとこちらを向いた。
「…………」
「ブランティ、だっけか。お前、もしかして別の目的があるのか?」
タン、と地面を踏み、相手に気取られぬように【索敵】を発生させる。だが、その術に反応する生物はどこにもいない。生きているように見せかけたこのダンジョンも、生物そのものの活動はしていないようだった。
ここには、自分達以外の生物は存在しないのだ。
居るとしても、地面に埋まっているだろう。恐らく見つける事は出来まい。
だが、相手は手を動かしながら、狂気を含んだ目でブラックを睨みつけた。
「うるさい……黙っていろ、お前には関係ない……!」
「関係あるだろ。ダンジョンの親玉を斃しに来たんじゃなかったのか? 一応これは依頼だし、真っ先に核を探すべきだろ」
「それはお前らで探しておけ!」
話にならない。
呆れてしまったが、相手は地面を探し続けている。
どうもこの老人にとって「ブランティ」という存在はとても重要らしい。
老い枯れた存在のどこにこれほどの執着心が残っていたのかと少し興味が湧いて、ブラックは動き続ける老人の後を追って問いかけた。
「その存在にえらく執着してるみたいだけど、ブランティってのはお前の恋人か?」
軽い気持ちで言うと、急に相手は立ち上がってこちらに歩み寄って来た。
そうしてブラックの襟首を掴もうとしたので、寸での所で避けてやる。と、老人は苦々しげな顔をしながらブラックを睨みつけて来た。
まるで、殺意でも抱いているような顔をして。
「そんなものであってたまるか……っ!!」
「じゃあなんだよ」
「うるさい……煩い煩いうるさい! お前は黙ってろ!!」
そう言って無理矢理話を打ち切ると、相手はそれ以降ブラックに構わず地面をただただ確かめ続けるようになってしまった。
「……ブラック、あれは一体どうしたんだ?」
足手まとい二人を置いて近付いてきた熊公に問われたが、ブラックは片眉を上げて「さあね」としかいう事が出来なかった。
相手がどういう理由かを話さない以上、察しようも無い。
その事を考える義理も無かったブラックは、モンスターの気配が無い事をもう一度確かめると、その場から歩き出した。
「どこへ行く」
熊公にそう問われて、振り返らずに答えた。
「第八層まで戻って昼寝でもしてるよ。どーせ【核】も見つからなさそうだしね」
そう言いながら、階段を上る。
――そう、何故だか分からないが、ブラックには確信があった。
(もし【核】が存在していたとしても……この場所には無いだろうな。仮に存在するとしたら、それは恐らく……第八層にある)
あんなこれ見よがしに「変化した」場所が、何の意味も無い場所のはずがない。
特定の場所だけにしろ、あれほど細部まで作り込んだ街は、何かの執着が無ければ作り上げる事も出来なかっただろう。モンスターの小手先の幻影と言えど、その気力は生半可な物では無かったはずだ。
だからこそ、あんな異様な物が出来上がったのだ。
……そう。アレは、普通の思いから生まれたものではない。
間違いなく、狂わんばかりの強い想いが籠った、妄執の産物だ。
何かに酷く「執着」した存在が作り上げた、恐ろしい感情の偶像なのだ。
(……そんな場所に、何もないワケがないよな。このダンジョンの主は、間違いなく第八層に存在する『なにか』に執着しているんだ)
だからこそ、第八層は今一度確認すべき居場所だとブラックは感じていた。
無論、人に提示できる証拠など何も無い。ただ、自分勝手な確信があるだけだ。
だがそれこそが、ブラックにとっては最も信用に足るものだった。
あの死骸と同じく、この世で「たった一人」の存在に執着し今も恋い焦がれ続けているからこそ……そう思うだけなのかも知れないが。
(……だけど、まったくの可能性ナシってワケじゃないぞ。何かに執着している時は、器用な事なんて出来なくなるもんなんだ。それは、僕だって痛いほど良く知っているし……それに、目の前のジジイも同じようになっちまってるしな)
そう、確かに執着は人の思考をしばしば狭めるものだ。
執着の種類が他人を思う者であれば、その視野は更に狭くなるだろう。
このダンジョンの主の境遇を考えれば、そうなったとしても無理は無い。なにせ、恋に破れてモンスターになったのだ。妄執に取り付かれて狂ってしまっていても何の不思議も無かった。
そんな相手が恋い焦がれていた者のことや、シムロの街の商館の一人息子であった過去を考えれば、いずれはあの場所に「なにか」が戻って来るに違いない。
ただ、それが「何」なのか、いつ戻るかは、ブラックにも予想がつかないが。
「あ、あの、ブラックさんどこへ……」
階段を登り切った所で座りこんでいた女を無視して、そのまま進もうと思っていたところで――――不意に、自分の指に違和感を覚えた。
「…………ん?」
立ち止まり、左手を見やる。
すると。
「ゆ、指輪の宝石がなにか、光っているような……」
女の声とともに目の前まで引き上げた大事な指輪が、薄らと光を帯びている。
琥珀色の美しい宝石は、何かを訴えるかのように渦を巻く輝きを発していた。
「これは…………」
言いかけて、ブラックはハッと気付き天井を見やる。
(まさか……――――――)
考えかけてやめるが、しかし、もう思えば止まっていられない。
気付いてしまっては最早衝動は止められず、ブラックは駆け出した。
指輪が道を示す「第八層」へと向かって。
→
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