異世界日帰り漫遊記!

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海洞都市シムロ、海だ!修行だ!スリラーだ!編

5.爛れた関係*

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 とんでもない事を言われている、と、毎回思う。

 だけど、クロウに「我慢しなくても良い」と言ったのは俺で、こんなクロウを突き放せずに許容してしまっているのも俺なんだ。
 俺が、受け入れちまったんだよ。

 それを証拠に、ブラックが居るのにこんな……下半身をさらした姿をさせられていても、拒否する事なんて出来ない。……今更だが、我ながら本当におかしいと思う。

 だって、俺はブラックにあの指輪を貰ったのに……クロウに触れられる事も、キスされる事すらも嫌悪感を抱けない。ブラックも、それを別に止めはしないのだ。俺の世界で言えば、とんでもない浮気と言われても仕方がないのに。

 クロウだって、ぶっちゃけて言えば俺に横恋慕をしてる状態なんだ。クロウのためを思うのなら、突っぱねてやらなければいけない。
 それなのに、俺はクロウとも長い旅を続けている内にほだされて、悩んで喧嘩して、最後には円満に別れるどころか「約束が無くてもずっと一緒にいる」だなんて言って、クロウを抱き締めて受け入れてしまって。

 ――もう、拒否することが出来ない領域まで来てしまった。

 俺の世界の倫理観とは全く違う“獣人独特の慣習”が有るせいなのか、それとも俺もブラックも今まで色恋沙汰になどまともに直面したが無かったからか、いつの間にか「クロウも失えない存在」になってしまったのだ。

 横恋慕だけならまだ突き放せる。
 だけどもう、相手を「失いたくない」と思ってしまうと突き放せない。

 なにより、クロウは俺達の関係を「群れ」と表現し、俺を「群れのオス達のメス」と思い切ってしまっている。“ブラックの恋人”である俺を、パーティーを組んだ奴の中で共有する財産みたいに思ってるんだ。
 そう認識したうえで、俺を……す、好きって、言ってる……わけで……。

 そ……そんなの、もうよく解んないじゃんか。どうすりゃいいんだよ。
 大事だいじだし、触られるのも嫌じゃない。俺はブラックの恋人で、指輪まで貰ったのに、クロウも失いたくないって思ってる。そんな俺をブラックは受け入れているし、クロウもこの状況が当然だと思ってるんだ。

 おかしいとは解ってるのに、抜け出せない。
 ……いや、多分……これがもう、俺達の普通になってしまっているんだろう。

 だから、こんな……恥ずかしい行為を、ブラックの前でやらされているんだ。
 元からヘンタイオヤジのブラックは、それを悪いとすら思っていない。普段は嫉妬でギャーギャー騒ぐクセに、ブラックの言う通りに「後ろは侵さない」と誓っているクロウにだけは、こう言う時は特に抵抗も無く俺を差し出すんだ。

 『この熊は大食おおぐらいだから、ツカサ君の一発で三日食費が浮くなら安いもんだ』とか、恋人としてちょっと頭がおかしい発言をして。

 …………うん、まあ、俺もブラックも、おかしい。

 でももう、今更なんだよな。
 俺は、クロウに「満腹」を与えるために、何度もこんな恥ずかしい事をしている。
 この状況で改めてソレを疑問に思ったって、ホントに今更の話なんだ。

 ……しかしなあ、やっぱ、こう言うの良くないと思うんだよ。
 だってブラックが見てるのに、食事とは言え、こ、こんな……。

「クロウあの、せめて隠れた場所で……」
「なに、ツカサ君は僕に見られたら困るような事をしてるつもりなの?」
「う……そ、そうじゃないけど……」

 徐々に目の前のクロウの顔が下に降りて行く最中、視界の端でベッドに寝転がっていたブラックがニヤニヤと笑いながら俺をからかう。
 いや、これは俺の逃げ道を失くそうとしているんだ。普通なら「そうだぞやめろ」とか言ってくれるだろうに、ブラックはそう言う事は言わない。

 普段は殺す殺す言い合ってるクセして、ブラックとクロウはスケベなことを俺に強いる時だけは、妙に仲良くなりやがるんだ。
 仲がいいのは良いことだけど、今はそれがにくらしい。

「やましい所が無いなら、僕にも見学させてくれるよねえツカサ君」

 こ、こんちくしょう……ニヤニヤ笑いやがって……っ。
 何のつもりかは知らないが、絶対にこの状況を楽しんでやがる。
 アレか、何かの意趣返しか。俺がクロウに搾精される場面を見学したいだなんて、どう考えても普通じゃない。何かたくらんでんだ。

 俺が世界を行き来し始めてからというもの、待ち時間が退屈なのか前よりやりたい放題しやがってぇえ……今度と言う今度は怒ったぞ。
 とにかく一言言ってやらなきゃ気が済まん。そう思い、俺は口を開いた。が。

「お前ひゃぁっ!?」

 怒った声を出そうとして、腹のあたりに生暖かい風が唐突にぶち当たったのに俺は思わず情けない声を出してしまった。
 なっ、なにこれ。どういうこと。

 さえぎるものが無くなった視界を慌てて下に向けると、そこには……ひざかがめて不良のような座り方になったクロウが、俺の下腹部の前に顔を降ろしている姿が……。

「息だけでそんな声を出すなんて、期待しているのか。嬉しいぞ」

 そう言いながら、クロウは俺を見上げて熊耳をくるんと嬉しそうに動かす。
 メイドさんには定番のヘッドドレスのフリルが、その動きにふわふわ揺れた。
 ……そ、そうだ……今、クロウは物凄い格好をしてるんだ……。

 黒い生地と白いフリルが合わさったスカートのすそから、膝頭が盛り上がって筋肉の筋が浮いた褐色の足が見える。でも、ただ太いだけじゃない。見るからにたくましいオッサンの足だ。筋肉の隆起りゅうき具合が、どうみても女の子の足じゃない。

 そもそも、肩幅が広すぎるし図体デカいし整ってる顔だけど結局はオッサンだし、俺の頭の中のメイドさんと全く違うその姿に、頭がおかしくなりそうだ。
 やだよー……こんなゴツいメイドさんやだよー……。
 だけど、クロウはそんな俺の事など気にもせず、ほんの少し機嫌が良さそうに口角を上げて笑って見せた。

「相変わらず毛も生えてないままだな……。腹も足も、柔らかそうな肉質のままだ。ツカサのこどもおちんちんも変わって無くて安心したぞ」
「ぅ……そ、そんなこと、言うなバカ……っ」

 股間のすぐ近くにクロウの顔が有って、息が吹きかかってくる。
 相手は昂奮しているというよりも食欲のせいで舌なめずりをしているようで、それだけが今のところ救いだけど……でも、恥ずかしくて死にそうな事に変わり無い。
 何百回されたって、恥ずかしい場所を凝視されるのは耐えられないんだ。

 でも、恥ずかしがっていては終わらないっていうのも重々承知している。
 それどころか長引いて、とんでもない事になりかねない。
 恥ずかしいけど、見られるのも食われるのも初めてじゃないんだ。クロウが帰って来たという事は、定期的にクロウにこうしてやんなきゃいけないわけで……。

 う……うぐぐ……だ……だから、我慢しないと。男らしく堂々として、恥ずかしい事だと思わないようにしないと……。
 でなきゃクロウにも失礼だし、なによりブラックがニヤニヤしっぱなしだからな。
 いい加減からかわれてヤバい展開に発展するのだけは阻止せねば。
 お、俺だって学習してんだからな!

「……っ、よ、よし……手短に……手短にすませろよ……」

 深呼吸して、気合を入れて、俺は姿勢を正す。
 そのせいで股間に掛かる息に腰を突き出したような感じになってしまったが、今更腰を引く事なんて出来ない。とにかく早く終わって貰いたくて、俺はクロウを見た。
 しかし相手は、いつもの無表情な顔でまばたきをするだけで。

「今日は素直だな。オレに御馳走してくれるつもりか? 嬉しいぞ」
「うぅ……でも、明日も移動するんだし……その……出来れば一回で……」

 例えメイド服の中身がオッサンだろうが、恥ずかしい部分が見えるように屈まれて凝視されるとたまれなくなる。
 生暖かい息を下腹部から先端まで吹きかけられるのは、やっぱり恥ずかしい。
 耐えようと思っても、じわじわと目尻が熱くなってきて、出来る事ならすぐに顔をそむけたかった。だけど、クロウはそんな俺の我慢も知らずに、根元から先端目掛めがけ口を軽くすぼめて絞った息をフッとぶつけてくる。

「んっ……ぅ……お、おい……!」
「ツカサ、前よりも敏感になってないか。息だけでうずいているみたいだぞ」
「お前が息を吹きかけるからだろうが!! もう良いから早くやれって……!」

 しまいにゃ怒るぞ、と、もう熱くなった情けない顔で睨みつけると、クロウはようやくニンマリと明確な笑みを顔に浮かべた。

「そうだな。これからは、好きな時に好きなだけツカサを味わえる。そう我慢する物でもないか」
「えっ、ちょっと待っ、ぅあぁっ!?」

 聞き捨てならない事を聞いた、と、ツッコミをいれようとして、声が変に上擦うわずる。
 まだ何もしてこないと思っていたのに、クロウが横からかぶりつくように俺のモノを口の中に入れたからだ。
 いつもならもっと、こう……ああもうとにかく驚いたんだよ!

 不覚を取ったと口をつぐもうとするが、しかしクロウは俺の意識を弄ぶように、口の中の俺のモノを舌でべろべろと舐め回し始めた。

「うあぁっ! やっ、い、いきなっあっあぅ、ぅうう……っ!」

 いきなりはやめろ、と言いたいのに、敏感な先端の部分を少しざらついた舌の腹で撫でられ、長い舌で巻かれ吸われると、どうしても声が変になってしまう。
 喘ぎ声なんて出したくないのに、勝手に漏れてしまっていた。

 けれど流されるわけにはいかない。
 この部屋では、ロクが寝ている。ブラックだって見てるんだ。大声を出したり、気持ち良さに我を失ってしまったら、どうなるか分からない。
 そうは思うんだけど……クロウの舌に追い詰められて、どうしても声が口から漏れ出てしまう。そのことにあせって、俺は目をギュッとつむり顔をそむけた。

 俺の声で、ロクが起きてしまったらどうしよう。ブラックが不機嫌になっていたらどうしよう。焦るけど、怖くてそっちを見る事が出来ない。
 ブラックがどんな顔をしているのかという事も、今自分の恥ずかしい姿を見ているんだと思うと確認できなかった。

 怖くて緊張するけど、でも、クロウは俺のモノをしゃぶるのをやめてくれない。
 せめて口を閉じようと頑張るけど、それを察知したクロウは俺を責めるかのように先端だけを舌で執拗に弄ってきて、我慢出来ずに声が出てしまう。
 「目を開けろ」とばかりに鈴口を舌でほじられると、従わざるを得なかった。

 つらくて、我慢しようとしているのが苦しくなってくる。
 声を抑えなきゃいけないのに、クロウがそうさせてくれない。
 それどころか、舌の動きがだんだん強く、激しくなってきて。

「ひあっゃっ、あっあぁあっ! だ、だぇ、ダメっ、そんな激し、っ、ぅ、し、あぁああっ! まだ、喋っ、ぃっうっうぅうううう……ッ!」

 喋ろうとするのに、そのたびに吸い付かれて、大きな生温い舌が根元から裏筋まで擦り上げて来て、どうしようもなくなる。
 やめろって、そんなに激しくするなって言いたいのに、声が変になる。

 耐えようと思ったのに腰がびくびくして、もうひざが笑って、まともに立てない。
 クロウの頭をつかんで必死にすがるのがやっとだ。俺のモノだって……まだ勃ってないつもりだったのに、クロウに下品な水音を聞かされながら満遍まんべんなくソレをいじめられると、感じたくない感覚がどんどん襲ってきて。

「んん。やっとおちんちんが固くなってきたな、ツカサ」
「しゃべっ、なぁ……!!」

 俺の意志など関係なく勝手に固くなってしまった愚息が、クロウの口の中で低い声に反応し震えている。その声のせいでお腹の奥がじんとして、下腹部の筋肉が刺激にきゅうっと締まった。
 耐えようと内腿に力を入れても、その緊張は股間に淡い刺激を感じさせるだけで、我慢どころかクロウの口の中の感覚が余計にダイレクトに伝わって来て。

「ひぐっ、ぅ、うぅうっぅ、ぁっやっあっあぁあっあぁああっ!」

 ブラックのとは違う少し乱暴な感覚に、声が声にならない。
 竿の部分を舌先でくすぐられ吸われるだけで、もうおさえられなかった。

 気持ち良い。いっぱい舌で舐められて、吸われて、敏感な所をこすられると、何も考えられなくなってくる。ただ気持ち良くて、涙が膨らんで視界がぼやけて来る。
 クロウの頭に縋って立ってるので精一杯で、気持ち良さに次第に支配されて、それ以外が頭の中から消えていく。

 気持ち良い。声が抑えられない。なんで声抑えるんだっけ、わかんない、クロウの舌でいじめられて、気持ち良くて、もうイきたくて腰が動いてしまう。
 でも、クロウの頭を抱えても、クロウは決定的な刺激を与えてくれない。

 最初は俺のを、おちんちんを勃たせようと激しくしてたのに、今は舌の上に乗せて時々軽く吸うだけで。何分経ったかもわからないけど、ずっとそうされて、もどかしくてたまらなくなってくる。俺のせいじゃないのに。
 クロウが俺をえっちな気分にさせてるのに……!

「んぅう……ッ、んぅ、くっ、うぅう~~~……ッ! うぅうう、ぁっ、あああ……!!」

 腰を押し付けようとしても、クロウの大きな手が俺の腰をつかんでいて動かない。
 出すって言ってるのに、クロウが欲しかったのをあげるのに、なんでイかせてくれないんだよ。変態、意地悪、ばか、ばかばかばか……!

 頼めばいいのか。お願いしたら、終わらせてくれるのか?

 そう考えたと同時、目の前にまたかげが掛かったのがうっすらと見えて――俺は、反射的に顔を上げた。そしたら、涙でかすんだ目の前に、赤い何かが見えて。

「ふぅん。ツカサ君って、おちんちんしゃぶられてる時にそんな顔するんだぁ……」
「ひぐっ……!?」

 顎に何かが触って、強引に上へ向けられる。
 指。これ、指だ。皮膚が厚くなった硬い指が、俺のあごを捕えてるんだ。

 そう思った瞬間に、目の前に綺麗な菫色すみれいろの何かが見えた。

「あっ、あぁあ……っ」

 これ、ブラック、だ。
 ブラックが、目の前まで来たんだ。

「ああ、そんな悲しい顔しないで……。別に僕、怒ってないよ。むしろ、ツカサ君のこんなとろけた顔を正面から見られて、凄く興奮してるんだよ……。ほら、だからさ、熊公の口で気持ち良くなって喘いで。もっと可愛い声聞かせて……」
「うっ、うぁ、あぁあ……っ、やぁっ、ああぁ……っ!」

 低くて優しい声が耳をくすぐるたび、ゾクゾクして体が緊張する。だけど、そんな俺を責め立てるように、クロウが再びおちんちんを舐めて来て。
 その強烈な刺激に、体が言う事を聞かなくなる。
 がくがく震えて、気持ち良くて、ブラックの言う通りに勝手に声が出てしまう。

「や、ぁっ、あぅっくっ、うぅう、ぅあぁっあっあっぁああっ、や、らっこえやぁあっ……!」
「んー? 声出ちゃうのヤなの? もぉ、ツカサ君たらしょうがないなぁ」

 じゃあ、ふさいであげるよ。
 そう、言われたような気がして。

「ん゛ぅ゛ッ!?」

 目の前が真っ暗になり、口に何かが押しつけられた。

「う゛ん゛ん゛ん゛~~ッ!! ん゛っう゛ッ、う゛むぅっ、ん゛ぅううう……!!」

 あごと後頭部を固定されて、口の中に何かが入ってくる。
 それが、俺のおちんちんを舐め回しているものと同じだと気付いて、俺はようやくキスをされたんだと気付いた。けれど、もうどうする事も出来ない。

 ほおが、口の周りがチクチクしたりざらりとして痛いのに、どうしてかそれすら体が熱くなる要因にしかならなくて混乱する。
 戸惑っていると舌を絡め取られて、ねちねちと撫で回された。

「ツカサ君……ッ、はぁっ、は……到着したらセックスもたくさんしようね……」
「ツカサ……出して良いぞ……っ」

 種類の違う二つの低い大人の声が、俺の耳を震わせる。
 もうそれだけで耐え切れないのに、ブラックにキスされて、変な格好をしたクロウにフェラされて、息も続かずワケも解らなくなってきて。

「うっ、む゛っ、ん゛むぅっ、ぅううっ、んぅうっ、うっ、ぅぁっう、ぅあぁあっあぁあ……!」

 息が出来ない。キスと、喘ぎ声と、気持ち良いので頭がぼやける。
 二人に、ブラックとクロウに同時に触られたら、おれ、もう……っ。

「ツカサ君……」
「ツカサ……っ」

 その声に、体が大きく波打つ。
 名前を呼ばれて、同時に強く吸い上げられ――――

「――――――……ッ!!」

 俺は、あっけなく達してしまった。

「あはっ……気持ち良過ぎて、もう出ちゃった……? 僕達の声でイッちゃうなんて、ツカサ君たら前より淫乱になっちゃってるんじゃない?」
「ンム、美味い……やはり、ツカサの精液は最高だな」

 ニヤニヤと笑いながら、ブラックは呆けた俺のほおひたいにキスをして来る。
 下から聞こえるクロウの声は、欲情しても居ない癖に嬉しそうで、本当に俺のアレが美味しく食われてしまったんだと思ったら、射精後の我に返った感覚も相まって、物凄く恥ずかしくなってきた。

 だけど、逃げられない。
 俺はこの二人と一緒に歩いて行く事を選んだんだ。

 今更、クロウを喰わせる「義務」からは逃げられないし、ブラックを好きになった事を後悔は出来ない。

「…………」

 そうは言えど……やっぱり、オッサンとメイド服のオッサンに精液を搾り取られた事を思うと、いつも以上に深刻な賢者タイムを迎えずには居られなかった。

 …………はあ……。
 ブラック一人でも大変なのに、これからどうなるんだろう……。













 
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