異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

文字の大きさ
上 下
61 / 952
神殿都市アーゲイア、甲花捧ぐは寂睡の使徒編

30.考える事が多過ぎると思考力が低下する

しおりを挟む
 
 
 
   ◆



 ――その後。戻ってきた領主の館の住人達に、俺達は今までの事を話した。

 と言っても、最初に話したのは“事情を知っていそうな執事”とネストルさんにだけだったけど……俺達の話を聞くと、二人とも納得してくれた。
 彼らいわく、なんとなくだけどそういう予感はしていたのだそうだ。

 特に執事は前任者からこと次第しだいを聞かされて覚悟かくごしていたらしく、ネレウスさんが正気に戻って救われたと言うくだりでひざをついて号泣し、神に感謝していた。

 そうだよな……そもそも、領主の父親と子供を世話する役目の人間が、地下神殿の事も父親の末路も知らないのは変だ。この執事は一番近くでネレウスさんの病状を見ていた人なんだし、もしかしたら彼だけは、何らかの方法で真実を知っていたのかも知れない。

 そうでもなければ、俺達の話を聞いてすぐに納得なんてしないだろうしなぁ……。ネレウスさんが巨人になった、なんて夢みたいな話なワケだし。
 でも、ネストルさん以外の人が俺達の話を信じてくれて良かったよ。
 だってこの件は、流石さすがにネストルさんだけではどうにも出来ないんだから。

 やはり、今の状況を乗り切るには、大人の手助けが必要だ。ネストルさんは大人っぽいけど、色々な判断をするには幼すぎる。まあ、そのために執事に話してたって事なんだろうけど……ううむ、ネレウスさんも後々の事を考えて、色んな事を用意していたんだな。それを思うと悲しくも有ったが、まあ杞憂きゆうになったからそれは良いか。
 これからは、ネレウスさんも息子をサポートできるだろうしな。

 ……しかし、そこまで考えると館の人達の今までの心境をおもってしまい胸が痛む。
 「いつか主人が病気で死ぬ」という恐怖を抱えたままで、その不安を隠して今まで仕えていたなんて、かなりつらかっただろう。

 実際、ネストルさん一人だけに俺達の世話を任せて、他の人達はネレウスさんの事を看てたわけだから、彼らも心配でたまらなかったはずだ。すべてを知っている執事でさえもほとんど付きっ切りだったんだから、恐らく彼らの認識では、もう病で死ぬのも時間の問題で、そのことにあせっていたんだろう。
 だから、ついついネレウスさんを一人にしてしまっていた、と……。

 そう考えると、執事がこの状況に物凄く喜んだのも当然かもしれない。

 まあだけど、ネレウスさんが百眼の巨人になった事は、他の人には言えないだろうなぁ……。この街の人は忘れ去っているけど、でも「紫色を忌むべき色としている」という慣習は残っているワケだし、実際ブラックはその事に酷く傷つけられていた。
 あのが、一朝一夕で治るとは思えない。

 ……伝承は消えても、慣習は残る。
 例え「巨人」と化した事に驚かなかったとしても、彼らはネレウスさんの体に埋め込まれた無数の「紫の瞳」には恐怖してしまうだろう。
 迷信だと解っていても、いざそれに直面すれば怖いと思ってしまうのが人間だ。

 それに、この世界は迷信が真実にもなるような世界なワケだし……一歩間違ったら再びネレウスさんが恐怖の対象として討伐されかねない。
 そうなると領主一族の命が危うい。俺は一族郎党全員処刑とか見たくないぞ。

 だから、ネストルさんと執事以外の人間に教えるのはやめておいた。
 せっかくネレウスさんが命を取り留めたんだから、なんらかの作戦を考えてから、他の人に正体を明かしたって遅くは無いだろう。

 そんなワケで、ネレウスさんは地下神殿で親子の再会を果たし、ひとまずのところは丸く収まったワケだが……実際問題、ここでハッピーエンドでハイおしまいってはならないワケで……。

「結局の所、俺達がやらなきゃいけなかった【クレオプス】の病に関しては、いまだに解決できてないし、しかもネレウスさんの事を報告するにしてもどう言えばいいのかって感じだし、そもそもあの胡散臭うさんくさい王様にコレを教えて大丈夫なのかって問題もあるし……」

 ああもう頭が痛い。
 ベッドでゴロゴロしながら頭をかかえていると、隣のベッドに座っているブラックが、何だか不貞腐ふてくされたような顔をして「むう」とうなった。

「そんなこと言ったって、どうしようも無くない? だって、クレオプスの話はどう考えても『花の寿命による死』だろうし、そうなると解決方法はあの領主が祭壇に入って目を捧げるしかないんだよ。でも今の流れだと、それはもう無理じゃないか」
「うーん……そりゃ、そうだけど……」
「それに、報告って言ったって正直に言うしかないんじゃないの。どうせ隠したって全部後でバレるだろうし、巨人に関しての調査も行われるはずだ。その時に、僕達だって絶対尋問されるよ。そうしたら、隠す意味なんてなくなるじゃないか」
「ぐ、ぐうう……」

 ブラックの言う事にぐうの音しか出ない。
 確かにその通りだ。

 クレオプスが何故あの場所にだけ生えるのかという事と、その毒性の理由を考えたなら……どうしても、結論が「呪いに満ちた目が種となり芽吹いたから」としか出て来ない。そうなると、クレオプスが次々に色が薄くなり始めたのは、ただ単に「土の中に埋められている目の寿命が尽きたから」と言うことになるし、それを解決するとなると……もう、アイディアが一つしか出てこない。

 それに、巨人になったネレウスさんの件も何も反論出来ないのがくやしい……。
 ああそうだよな、あれだけ騒ぎになったら、どう考えても調査の為に王都から兵士達が派遣されてくるだろうし、街の人に聞き取りだって絶対にされるだろう。
 となれば、俺達が無傷で歩いて来た事も絶対に言われる。

 なんなら「紫の瞳を持つ男がいた、巨人が化けた奴じゃないか」なんて言われかねない。いや、絶対に言われる。俺のこのなけなしの全財産を掛けても良い。
 そうなれば、当然あの意地悪な王様の耳にも入るだろう。
 館にも調査の手が入り、結局ネレウスさんは発見されてしまうし……これも最悪の場合、やっぱり彼が討伐されてしまいかねない。

 今回の一件を隠しておくなんて、絶対に不可能だった。

 ああでもそれならどうすりゃいいんだよぉ……。
 言わなければネレウスさんが危ない。でも、正直に報告してもネレウスさんが無事に済むのかどうか解らない。そもそも、ネレウスさんは誰かに何かされて、あの姿になってしまったっぽいんだけど、その「黒いローブの誰か」もよく解らないし……。

「ああああ……もうどうすりゃいいんだよぉお……」

 全てが丸く収まったハズなのに、俺達を取り囲む事情がすんなりハッピーエンドで終わらせてくれない。現実はなんて面倒臭いんだ。
 でも、関わった以上どうにかしてネレウスさん達を救わないと……。

「ううぅう……」

 しかし、何も思い浮かばない。
 今日は色々あり過ぎて、もう頭がパンクしてしまいそうだった。

 ……ええと、とにかく明日もう一度ネレウスさんの様子を見て、落ち着いたらあの「黒いローブの誰か」の詳しい話を聞いて、それから王様への報告を考えて……

「もぉっ、ツカサ君たら!」
「えっ!?」

 急に隣から強く声を掛けられて、思わず体がビクッと跳ねる。
 どうやら知らない内に深く考え込んでいたらしく、ブラックが何度も読んでいるのに気付かなかったらしい。
 いやあスマンスマンとブラックの方を向くと、相手は大股を広げて男らしく座ったまま、寝転んでいる俺を姿勢を低くして半目で睨んでいた。

「ツカサ君、部屋に戻って来てからそればっかり……」
「そればっかりって……」
「あの親子の事だよ! もーっ、ずっとそっちばっかりで、僕との約束なんて全っ然思い出してくれないじゃないかっ。ツカサ君のバカ!」
「バカってお前、大事なコトなんだからしょうがないだろ……」

 今の俺達は思いっきり巻き込まれちゃってるんだし、今更無視なんて出来ないよ。
 それに、ネストルさんを泣かせるのはもう嫌だ。子供は笑顔で居るのが一番いいんだよ。関わってしまった以上、俺には最大限あの子を幸せにする義務がある。

 例え一時のえんだったとしても、そこは男の矜持きょうじとしてキッチリしないと。

 ……しかし、俺のそんな気持ちはブラックにとってはどうでもいいようで。

「大事なコトってなに。僕より大事なこと? 僕との約束より大事なことなの?」

 菫色すみれいろの綺麗な目をドロドロとした暗い色に染めながら、ブラックは俺を見る。
 姿勢を低くして座っているせいで、なんだかヤンキーめいた感じだが、まあ人相が悪人みたいだし仕方がないか……じゃなくて、僕との約束ってなんだっけ。

「約束って……」

 そう言いかけて、俺は「アッ」と言いそうになるのをこらえる。

 ――――そっ、そうだ、色々あり過ぎてすっかり忘れていた。

 俺は、ブラックに約束しちまったんだ。
 ……落ち着いたら、ブラックを思いっきり甘やかすって……。

「思い出した?」
「ぅ……」

 そ、そうだった……い、今更だけど、俺ってば何言っちゃってんだ……。
 甘やかすなんて、どう考えてもロクな事にならないじゃないか。なんでこう、頭に血が昇ってる時にそんな約束ホイホイ取り付けちゃうんだよ俺は!

 ブラックがまともな甘え方をするなんて、どう考えても有り得ないのにぃいい!

「あはっ……ツカサ君なんで顔赤くしてるの? あ~……もしかして、やらしいコト考えちゃったのぉ?」
「ばっ……! 違っ、そ、そんなワケあるか!!」

 さっきまでにらむような顔だったのに、今はもうニヤニヤと笑っている。
 この野郎、やっぱり怒ってるフリをだったのかよ。コイツはいつもそうだ。思わず頭にカッと血が昇って言葉がのどつかえてしまうが、ブラックはそんな俺の様子をお気に召したのか、ゆっくりと立ち上がって俺のベッドに近付いてきた。

「嬉しいよ……ツカサ君、僕に“顔が赤くなるようなこと”をしてくれるんだね……」
「う……や……そ、そんな……」
「僕、悲しい事があっても、ツカサ君が甘やかしてくれると思って、ずっと我慢したんだよ……? ねえ……褒めてくれるよね……?」

 そう言いながら、ブラックは俺に悲しげな顔を近付けて来る。

「う……うぅ……っ」

 男らしい太い眉を悲しげに歪めて、綺麗な菫色の目をうるませながら近付いて来る。
 肩をつかまれたけど、震えるだけで何も出来ない。
 ブラックに見つめられただけなのに、体が固まってしまったかのようだ。結局、俺は何も出来ずにベッドに優しく押し倒されてしまった。

「ツカサ君……僕のこと、たくさん甘やかしてくれるよね……?」

 ベッドの浮き沈みに緩く体を揺らして沈む。そんな俺の視界の端に、ブラックは両手を付いて……再び、俺の顔へと自分の顔を近付けて来た。
 ……高い鼻梁に、たくましい輪郭。口は、なにかを期待するように小さく開いていて、その中にうごめく物を見たような気がして俺は思わず息をんだ。

 知らずに、胸がドキドキしてくる。体が熱くなって、息がし辛くなった。
 この感覚はもう、分かっている。

 分かっているけど、どうしても恥ずかしくて、何も言えなくて。

「僕のお願い……聞いて……ね、ツカサ君……」

 そう言いながら、ブラックは顔を近付けて……キスを、してくる。

「んっ……ぅ……」

 少しカサついた、熱い唇。
 ぐっとおしつけられると無精髭が当たって来てチクチクして、それが何故か俺の体を刺激するみたいで、思わずこぶしにぎってしまった。

 ――――ここで、こんな事されながらの「お願い」なんて、どう考えても……。

「ツカサ君…………」

 そうは思うけど……ブラックにこうして触れられて、懇願されると……もう、俺は強く拒否する事なんて出来なくなってしまっていた。














※遅れて申し訳ないです…!!。゚(゚´Д`゚)゚。

 次はエロです!(∩`・ω・´⊂)シュッ

 
しおりを挟む
感想 1,046

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

処理中です...