異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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神滅塔ホロロゲイオン、緑土成すは迷い子の慟哭編

10.尻が目の前にあったらそりゃ揉むだろうよ(憤怒)*

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※そんな時じゃないのにセクハラしまくってます (´・ω・`)ごめん





 
 
「……むむ…………これは……凄い精密さだね」
「そうなのか?」

 大砲の色々な所を「解析」していたブラックが、感嘆かんたんしたように息を吐く。
 見ている事しか出来ない俺は周りをうろちょろしているしかないのだが、ブラックはそんな邪魔くさい背後の存在にもせずに深く頷いた。

「ほら、ツカサ君の使う術式機械弓アルカゲティスがあるだろう? 構造はアレに似てるけど……こっちはより複雑で……正直これは、僕程度の技量じゃ測りきれないほどの凄いシロモノだよ。……くやしいけど、あの神童・マグナでも連れてこないと、この兵器の全貌ぜんぼうは解らないだろうね」
「そんなに……」

 ブラックが解らないって事は、相当緻密ちみつで複雑な設計って事か。
 でも、俺の術式機械弓アルカゲティスと構造が似ているってコトは、なんらかの曜術をたくわえて、この砲口から外へぶっ飛ばす兵器ってのは間違いないんだろうな。

「ブラック、どこから燃料が供給されるか解る?」
「燃料? やってみる。多分、一番大きな道管だろうからたどるのは簡単だよ」

 そうは言ってのけるが、そこまで広い範囲で「解析」できるのはアンタだけだと思うよブラック……。
 さすがは地中に埋まった鉱石を難なく探し出せるオッサン金属探知機……とか言ったら絶対怒るな。言わんとこう。

 邪魔になるので無言で待っていると、ブラックの体を覆っていた黄金の光がじわじわと動きだし、ある一本の道管へと延びていく。
 光は道管に沿うように動き、すぐさま道管と共に床の中へと消えて行った。

 もしかして、階下まで探りに行ってるのか……?
 金の曜気が見えなければ絶対にわからないけど、本当凄いな。

「ツカサ君……ごめん、手を握ってくれる」
「え?」
「曜気が足りない……もう少しで判りそうなのに、届かないんだ」
「わ、わかった」

 言われて、こちらに向けて出された手を咄嗟とっさに握る。
 と、すぐに体に軽い衝撃が来て、俺はびくりと震えてしまった。

 なんだ? なんだかよく解らんが、いま体が変な感じでビクッてなったぞ。
 まさか体に不調が起きたのかと思ったが、俺が考えるまでも無く既にブラックの体には金の曜気が送り込まれており、俺もまた金の曜気に包まれていた。
 うん……うんん……?
 何か変だけど……まあいいか。

「――――……よし、突き止めた!!」
「おおっ、でかした!」

 金の曜気の供給が途切れて、俺はもういいのかと手を放す。
 ブラックは少し不満げだったが、今はふざけている場合ではないと思ったのか、真剣な表情になって俺をしっかりと見た。

「ツカサ君、やっぱりこの機械の燃料は大地の気だよ。しかも、導管は途中で二つに分かれてて、それぞれが地下と別の場所にある装置に繋がっていた」
「それって……」

 前に地下で見たあの場所と、俺が恥をかかされたあの部屋か。
 俺の言葉に、相手は頷いた。

「間違いなく、ツカサ君がれられたガラス瓶の装置と、地下のもう一つの装置だろうね。でも、地下の装置からの燃料共有は切られてるみたいだ。アレは皇帝領のあかりやら何やらの動力だから、意図的に切断されたんだろうね」
「なんか“いれられた”の言い方おかしくないか」
「オカシクナイヨ。……で、今のところこの【砲台】は燃料残量はゼロだけど……たっぷり大地の気が蓄えられている地下の“濃縮装置”とは完全に切れている訳じゃないから、そこから一気に引き上げられるとちょっと不安だね」
「そうか……」

 供給はされてないけど、いざという時はすぐにパイプに繋げるってことか。
 そうなると余計にこの大砲の用途が知りたいな……。
 まさか波動砲とかだったらホントに壊しておかないとヤバいぞこれ。

「燃料がやっぱり大地の気って解ったのはありがたいけど……やっぱどういう兵器なのかを判断するのは難しいか?」
「うーん……僕は細工は作った事があるけど、こういう巨大兵器の曜具とかは全く専門外だからなぁ……。でも、内部に曜気を溜め込む所が在るから……とにかく曜具であることは間違いないと思うよ。しかも……兵器に転用できるたぐいのね」
「やっぱり、物騒なモンには変わりがないって事ね……」
「ツカサ君、あのクソ眼鏡の執務室にも行くんだろう? だったら、そこに兵器の説明書やなにやらが有るかも知れないよ」

 そう、俺達はこの【砲台】のフロアの他にも、アドニスが使っている最上階の執務室にも忍び込む気でいるのだ。
 こうなりゃ毒を食らわば皿までなんだから、やれる所までやらねばなるまい。

「アドニスがいるかもしれないけど、大丈夫か?」
「ふふふ、大丈夫だよ。まず、最上階より一つ下の階に向かおう。確かそこは上空を監視するための何もない所だろう?」
「う、うん……?」

 何を考えているのかよく解らないが、ブラックがこう言うしたり顔で笑う時は、大抵たいてい人を出し抜いて調子に乗っている時の顔だ。

 何か策があるなら乗らない手はないと思い、俺は素直に最上階より一つ下の階を選んだ。……あ、もちろんアドニスに勘繰られないために、昇降機は無人のままで元いた階に戻しておきました。あいつこう言う所で「人が移動した」ってすぐ嗅ぎつけるからなあ……本当頭いい奴と鬼ごっこするのは疲れる……。

「……で……監視フロアに到着した訳だが」

 見事に何もないなここ……。
 婆ちゃんの住んでる集落の近くにあるさびれた展望台のようだ。
 いやでもなんか水飲み器とか設備は意外としっかりしてる……俺の世界の故郷の方が異世界より設備がないなんて地味にショックだ……。

「ツカサ君なに落ち込んでるの」
「いや、なんでもない……それで、執務室に入り込む方法は?」
「ふっふーん。簡単だよ! ほら、あそこの壁の天井に近い所に換気口があるだろう? それを登って行くだけ。ここにある換気口は最上階に近いし、あのクソ眼鏡の執務室の真上に続いてるんだよ! ツカサ君に貰った金の曜気でついでに調べておいたんだ、間違いないよっ」

 そう言いながらブラックが指さすのは、天井近くにある真四角の空気ダクトだ。なぜこんな所に設置されているのかは解らないが、最上階の温度調節のためかな……? まあ、確かに、そこからなら入れそうだけど……。

「でも上に登るって、お前は出来そうだけど俺は無理だぞ?」
「大丈夫、下から僕が押し上げるから」

 にっこりと笑いながら、ブラックは手枷でくっついた両手を上げる。

「…………」

 だが俺は、その手がまるで触手のようにうねうねと気味の悪い動きを見せたのを見逃さなかった。

「……お前先に行け」
「そうしたらツカサ君上がって来れないけどいいの?」
「………………」

 なりますよねなりますよねそうなりますよねええええ!!

 あああもう畜生っ!!
 なんで俺が一番頼ってる奴がド変態のおっさんなんだろうなあああ!

「それじゃツカサ君、網板は外したから入ろうねえ」
「う……」

 わき腹を両側から掴まれて、俺は抱え上げられる。
 しっかりした大人の手は容易たやすく俺の腰を掴んで、まるで子供を抱くように簡単に持ち上げてしまった。
 くぅう……こうも簡単にやられるとかなり悔しいんですけど……。

「さ、入って」
「わかったよ……」

 入り口に手を掛けて、体全体を使って必死によじ登る。
 換気口は少し先から急な角度で上に昇っており、俺にはかなりキツい感じだ。
 ……あの野郎、これを理解してて俺を登らせるってんだから、緊張感も我慢もない奴だよ本当に……出来る事なら蹴り落としてやりたい……。

「つーかーさーくんっと」

 背後からガコンと音がして、換気口の床がたわんだのが解る。
 まさかあいつ、脚力だけで一気にここに登って来たのか?

「う……ううぅう……」
「ツカサ君、すごい泣きそうな顔してるけど大丈夫? あとお尻越しの会話がヤバすぎてやっぱり僕物凄く興奮してきちゃったんだけど」
「うるさいバカぁ!!」

 いいから至近距離でケツ見てくんじゃねえ!!
 なんだその今日イチの真剣な顔は!!

「ねえ……ツカサ君……」
「なんだよ」
「いつも思ってたんだけど……どうしてツカサ君のお尻って、男の子なのにこんなにむちむちして柔らかいんだい……?」
「ヴァ――――!! 顔面蹴り倒すぞてめえええええええ!!!」

 テメエもう本当最悪だなどんだけ俺をキレさせたら気が住むんだよあぁ゛!?
 もういい、もーいいっ! こんな急な角度が何だい、俺一人だって立派に登ってやらあ、こんな変態オヤジの手なんて借りてたまるか!!

 思うが早いか俺はやる気満々でブラックと距離を取ると、恐ろしい傾斜にさしかかり勢いよく登ろうとした……が。

「いだだだだだ!!」

 きゅるきゅるきゅるきゅる、と金属を滑り落ちた時特有の音が聞こえて、思いっきり掌が摩擦熱まさつねつで熱くなる。
 む、むり、これ無理。登ろうとしても痛い!

 やっぱり恥を忍んでブラックに頼むしかないのか……。
 うぐぐ、嫌だけど仕方ない。時間を食っていられないし……。
 滑り落ちてまた元の場所まで戻ってきちゃったんだから、俺自身の力じゃ無理だ。なら、もう体力お化けの中年に助けてもらうしかない。

 そう思って、俺は体勢を立て直そうともう一度四つん這いになった。
 すると。

「あはは……ツカサ君、やっぱり落ちちゃったんだ? ふ……ふふふ……いいよ、僕がちゃんと上に登るまで手伝ってあげるから……!」

 気持ちの悪い震え方をする声が聞こえたと思ったと同時。
 コートの中に入って来た両手におもいっきり尻を掴まれて、俺は思わず情けない高い声を上げてしまった。

「ひぁあっ!?」
「ほら、ちゃ、ちゃんと踏ん張って」
「う、ぐ……くそ……っ」

 足とかじゃなくて尻掴んでんじゃねえよばかあ!!

 ちくしょう、こいつ絶対コレを狙ってやがったな……!

「よい、しょっと」
「んっ……!!」

 尻の谷間ギリギリに親指を置いて、両掌が俺の尻を包む。
 ブラックの手が大きいのは知っていたけど、こんな風に掴まれると全体的に覆われているようで、妙に相手の図体のデカさを意識してしまう。

 この世界に来てからと言うもの、平均身長よりちょっと足りないだけとプライドを保ってきた俺はその部分だけはもうズタズタだ。なのに、それをさらに蹂躙されるとは……ぐうう……それにしてもこいつ片手で尻たぶ片方ってどんだけ……。

「ほら、ツカサ君……押してあげるから進んで」
「いやっ、あの……お、お前どうやって昇るんだよ……っ」
「あれ。ツカサ君覚えてないの? 僕にブーツ選んでくれたじゃない。あれさ、雪以外でも滑りにくくて凄く勝手が良いんだよ。だからこんな坂だってスイスイさ」
「うえぇ!? そ、そんな……」
「だから安心して僕にお尻を預けて……ね……!」

 そう言いながら俺の尻をぐいっと上に押し上げてくるブラックに、俺はまた大仰に反応してしまう。相手を調子に乗らせるだけと解っているのに、掌や指が強く食い込んでくると、それだけで恥ずかしくて手が震えてしまって。
 なのに、このオッサンは俺の意思なんて関係なく、ずりずりと這い上がってきやがる。

「ほら……早くしないと、僕がツカサ君を追い越しちゃうよ……?」

 荒い息でそう言いながら、ブラックは尻したからぐいぐいと揉みあげて、谷間にかかる親指をわざと動かす。
 その指がいつ谷間に入り込んでくるかと思うと、心臓が痛いくらいに高鳴って来て、それがどうしようもなく俺の体の熱を高めてしまう。

「うっ、く……う、ううぅ……っ」

 そんな場合じゃないのは解っている。だから、ちゃんと我慢して、一歩ずつ足を進めて登っているのに、ブラックは俺を後押しするのと同時に尻の肉をぐりぐりと揉み回し、存分に指を食いこませて来る。
 食い込むたびに力を入れて固くなった筋肉が緩んでしまい、俺は何度もブラックの手に全体重をかけて落ちそうになってしまって。

「あっ、ぅ……や、だ……もっ、揉むな……っ揉んじゃやだ、ってばぁ……!!」
「下からツカサ君の泣き顔を見るって言うのもオツだなあ……あはっ、ははは……何が嫌? こうして広げちゃったりするのとか……?」
「やぁあっ!!」

 ぐいっと思いきり尻肉を左右に広げられて、俺は落ちそうになる体を必死で繋ぎ止める。だけどブラックは興奮しているのか、こっちの重さなんて気にもせず尋常じゃない腕力で俺を押し上げながら、二つの親指である部分をぐっと押してくる。

「それとも、服の上からココに触っちゃう方かな……?」

 押し込まれたのは、その……い、いつも、ブラックが、挿れたがる……。

「やっ……やだっ、そこぐりぐりしないでっ……!」
「ツカサ君が僕の手に可愛いお尻を乗せて来るから、自然と指が当たっちゃうんだよ……。っふ、ふふ……ほらほら、早く上にいかないと、指が埋まっちゃうかも」
「っ~~~~!!」

 お、俺が自分一人じゃ登れない事知ってるくせに、知ってるくせにぃい……!!

 くそっ、思い通りになってたまるかよ。この野郎、登り切ったら絶対に圧し掛かって来るつもりだ。荒い息と、ズボン越しでも伝わる掌の熱で解るんだからな。
 でも、今はそんな事してる場合じゃないんだ。
 は、早く、はやく上に登り切らないと……。

「んっ、う……うぅ、う……んん゛っ、う……」
「ほら……もう少し……」

 嫌だ、下から上に撫で上げるみたいに、親指が動いてる。
 尻はもう痛いくらいに広げられてて、力を入れようとしても筋肉に上手く力が伝わらない。必死に両腕を使ってよじ登るけど、恥ずかしさによる熱と涙のせいで、視界が歪んでいて上の階が遠いのか近いのかよく解らなくなっていた。

 その事が俺をまた焦らせて、手が滑りそうになる。
 だけど、ここでブラックの性欲に負けていたらどうしようもない。
 俺は下半身に蓄積されていく熱を必死に抑えて、下半身を弄ばれながらも理性で押し通した。

「ふっ、うぐっ、うぅう……っ」

 もう少し。あとちょっとで、辿り着く。もういじめられない……っ。

 ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、俺はついに舞っ平らな地面に手を掛けた。

「あぅ……っ!! つ、ついたっ、も、上についたから……!!」

 必死に平らな地面に体をすべり込ませて逃げる俺に、背後のブラックは盛大に「チッ」と舌打ちをしたが、俺にはイラつかれようがブラックが性欲をあまそうがどうでもよくて、顔の熱と下半身のうずきを治めるために、ずりずりと床を這いずってブラックから距離を取り体を丸めた。
 う、ううう……股間がやっぱりヤバい事になってるううう……。

「ちぇ……もうちょっと長ければツカサ君とセックスできたのに」

 俺の後を追って難なく上がってくるブラックに、俺は「あの場所でどうやってセックスするんじゃい」とツッコミを入れたくなったがやめた。
 ヤブヘビやってまたえっちな事をされるのはもうこりごりだ。

 少しの間、ブラックを牽制けんせいしながら体を丸めていた俺は、ようやく下半身の熱が収まったのを確認すると、背後のブラックの腹に容赦ない蹴りを一発入れてから、再度アドニスの執務室へと向かう事にした。

 ブラックは重い一撃に声も無く悶えていたようだったが、いい気味だ。
 所構わずセクハラするオッサンなんて、そこで悶えてればいいわ!!









 
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