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彩宮ゼルグラム、炎雷の業と闇の城編
36.全ては仕組まれた
しおりを挟む豆粒ほどの大きさに見える前方の馬車は、一向に近付いて来ない。
それどころか、少しずつ引き離されているようにも感じる。相手の馬車の速度はこちらよりも早いのだろう。だが、その速度は尋常ではない。
明らかに普通の馬車が出すスピードではない。それだけで、前方にいる馬車がパーヴェル卿の乗る物だと解ってしまっていた。
けれど、このままだと絶対に追いつく事が出来ない。
背後を振り返っても、まだ味方の馬車は一台も見えず、応援は望めない状況だ。これからどうなるか判らない以上、応援が来ないと言うのは不安を増大させたが……だからと言って、止まる訳にはいかないだろう。
俺は御者台の先を見て、焦燥感に顔を歪めた。
「くそっ……全然差が縮まらない……」
時は一刻を争うと言うのに、何故追いつけないのか。
思わず舌打ちをするが、俺の隣にいるブラックは少し考えるようなそぶりを見せて、俺に問いかけて来た。
「ツカサ君、ディオメデの召喚珠持ってるよね」
「えっ? う、うん。お前が持って来てくれたし……」
「僕達だけでもアイテツ君に乗り移ろう。馬車を引く馬より、そっちの方が早い」
そ、そうか。いくら争馬種と言われる素早いモンスターでも、重い馬車と四人の男を乗せていれば機動力は落ちてしまう。
だったら、男二人だけを乗せた馬の方が早いのは道理だ。
ヨアニスに先んじるのはどうかとも一瞬思ったが、そんな事を言っている場合じゃない。先陣なんて誰が切っても構わないだろう。この場合、大事なのは惨事が未然に防がれる事なのだから。
俺はハンカチで大事に包んでポケットに入れておいた召喚珠を取り出すと、すぐに御者台へ乗り移った。
「ヨアニス、俺達が先に行く!」
「なっ、ど、どうやって!?」
「オレ、ディオメデの召喚珠を持ってるから……ほらっ!」
深く美しい群青に染まった宝珠を握り、藍鉄の名を心の中で呼ぶと――宝珠が光り、ぼうんと腹に響く音を立てて藍鉄が馬車のすぐ横に出現した。
相手は今の状況が解っているのか、かなりの速度を出している馬車に併走しながら、こちらに挨拶のようにヒヒンと鳴き声を寄越した。
「ツカサ……君がまさかそんな物を持っているなんて……いや、しかし、ツカサは戦えるのか? そんな小さな体で……」
「俺は平均身長だし、ヨアニス達がデカイだけだから大丈夫!! それに、俺は元々冒険者なんだぜ。ブラックも一緒に行くし……だから、大丈夫!」
冒険者、という言葉にヨアニスはまたもや驚いて、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたが……今の状況をすぐに顧みたのか強く頷いた。
「分かった。……頼む、先に行ってくれ。私は今、手が離せない。なんとしてでもアレクセイを助けるのだ!」
さすがは、元皇国騎士団の団長。素早く、そして的確な判断だ。
俺達が戦闘慣れしている事をすぐに見抜き、ブラックも一緒に藍鉄に乗るという情報で、心配はいらないだろうと瞬時に理解したのだろう。
ディオメデに乗り慣れていなければ、こんな事なんてまず言わないしな。
「じゃあ、行きます! ブラック!」
「分かった、ツカサ君ちょっとごめんね」
ディオメデに乗るにはタンデムしなければならない。
その姿勢になる手間を省くために、ブラックは御者台に移動して俺を抱える。少々間抜けな姿だが、しかしこれ以上にスムーズに行く案はない。
スピードを調節して御者台の位置をキープしながら併走してくれている藍鉄に「行くぞ」と目で合図すると、相手は再び嘶いた。
「跳ぶよ!」
ブラックが俺を強く抱えて、御者台から一気に藍鉄の所へと飛ぶ。
一瞬、地面が見えてヒヤリと縮み上がったが――そこへ藍鉄が上手く近寄って、見事に俺達を拾い上げてくれた。
「よしっ、うまいぞ!」
「ヒヒーン!」
ブラックに褒められて声を上げる藍鉄に、俺は心臓をバクバクさせながらも、首を撫でて感謝の気持ちを伝える。
馬具を何もつけていない状態で不安だが、藍鉄は絶対に俺達を振り落す事は無いだろう。なんたって、藍鉄は凄くいい子だからな!
「藍鉄、頼む! あの先の方に見える馬車を追ってくれ!」
俺の言葉に、藍鉄は鼻息を荒く吐き出すと一気に加速した。
「うおおおっ」
俺とブラックが思わず声を上げてしまうほど、藍鉄はぐんぐんと馬車を引き離し速度を上げていく。露出している部分が凍るんじゃないかと思うくらいの冷気に、思わず顔が引き攣るが、俺はしっかりと藍鉄の首を掴んで落ちないように踏ん張った。そんな俺の背後で、黒の鎧に身を固めたブラックが前方を見やる。
「もう少し……この分なら余裕で追いつけるよ、ツカサく……っ」
「な、なに? どうした!?」
声を途切れさせたブラックに振り返ると、相手は体を前のめりに動かした。
「ヤバい……前方から、馬車が来てる!!」
何の馬車か。
そんな事はもう、言われなくても解っていた。
「クソッ、このままだと間に合わない……!」
「で、でもあっちにはクロウがいるだろっ、だ、だったら……」
「……安心はできないよ。ツカサ君、あの馬車には少なくとも十人は乗れる。その全員が飛び道具や何らかの強力な曜術を使えたとしたら……あの熊公でも危ない。他人を守りながら戦うのは、どうしたって隙が生まれる。そこに曜術をかまされたら、肉弾戦が主のアイツには勝ち目はないよ」
そうか、この国では殆ど曜術を見かけないし、聞いた話では曜術師もそう多くはないと聞いていたから今まで忘れていたけど……良く考えたら、少ないと言うだけで居ない訳じゃないんだ。だとしたら、そんな稀有な技術を持つ存在が雇われていないはずはない。
それに、この国には謎の技術が有る。
未知の技術には誰だって無防備だ。もしそれが存在していたとしたら、クロウだって命が危ない。人数が多ければ多いほど、不利だ。
「ど、どうしよう……っ、この距離でこの早さじゃ、レインを使っても相手を捕えられないし、間に合ってもバラけられたら……!」
「ツカサ君、このままだとすぐに戦闘だ、僕に今のうちに炎の曜気を!」
「あっ、そ、そうか、分かった!」
そうだ。俺一人では出来ない事があるが、俺よりも戦闘慣れしているブラックが隣に居てくれれば、何とかなる。
俺はブラックに頷いて、相手の片手を取り、籠手を外した。
この状況でキスなんてしてらんないから、今はこれで許してほしい。
揺れる馬上でしっかりとブラックの手を引き寄せると、俺は指の間に指を絡ませて、解けないようにぎゅっと握って目を閉じた。
「……っ」
アレクを守れるように、願いを込めてブラックに曜気を渡す。
俺の腕から手に掛けて、ブラックの髪色にも似た紅蓮の光の帯が幾つも出現し、再び絡みつく。そうして曜気そのものである光は、ブラックの大きくて武骨な手に全て吸い込まれていった。
短期間で二度も力を分け与えたせいか、軽い倦怠感が俺を襲ったが、そんな事を気にしている場合ではない。頭を振って前方を見ると、もうそこでは二台の馬車が今まさにすれ違おうとしていた。
「――――!!」
間に合わなかった。そう思ったと同時。
どんっ、と体を震わせるような重低音の音が響いて、こちらに向かって来ていた馬車を曳くディオメデの体側が――いきなり爆発した。
白い風景の中で赤々とした炎が閃き、ディオメデはその場に倒れる。
それを合図にして、馬車から一気に黒衣の人間達が飛び出した。
「何事だ!!」
「いかん、馬車を守れ!」
何が起こったか解らず気が動転していた御者台の人達は、それでも自分達の役目を果たそうと剣を抜く。しかし、相手は十人ほどの刺客だ。
五人に一気に飛びかかられて、そのまま倒されてしまった。
「ッ!!」
思わず息を詰まらせた俺に、ブラックは籠手を嵌めながら強い口調で言う。
「大丈夫、アレは眠らされただけだよ! くそっ、でも厄介だな……あの子供を眠らされて拉致されたら、更に面倒な事になる……!」
「と、とにかく突っ込むぞ! ブラック、切り込み隊長はまかせた!」
「任されたよ!」
そう言った瞬間、藍鉄が強くブレーキを掛ける。
思わず首にしがみ付いた俺の背後で、何かが飛び立つような音が聞こえた。
影が、降ってくる。いやそうではない。高く跳んだブラックの影が、地上に落ちて来たのだ。それに気付いた時には、ブラックはもう剣を抜いて、一番近くに居た黒衣の敵を蹴り飛ばすように着地していた。
「な、なんだ貴様は!!」
「くそっ伏兵が居たなんて聞いていないぞ!!」
聞き覚えのない声がする。ブラックに向かって来ている奴らは、パーヴェル卿じゃない。だとしたら……彼は、どこにいるんだ。
「まさか、もう馬車の中を!?」
焦る俺の声に、藍鉄が右側に停車していた馬車へと駆け寄る。
反対側にアレクとクロウが逃げたのではないかと思ったが、事態はそう上手くは行かなかった。クロウ達が動くより早く、刺客達が馬車を取り囲んでいたのだ。
ブラックも今は自由に動けないし、これは助けに入らなければ……!
慌てて回り込もうとした瞬間、馬車の中から黒衣の男が放り出された。これは……クロウの仕業だ!
「クロウ! 無事か!?」
叫んだ瞬間、馬車を囲んでいた黒衣の刺客達が俺の方を向く。
だが、敵の馬車と接触していない方の扉に回り込もうとしていた俺に近付くよりも前に、近くに居た刺客は吹っ飛ばされてしまった。
「ツカサ!! どうしてここに居る!?」
ばん、と馬車の扉が開いて出て来たのは、クロウとアレクだ。
アレクはクロウに抱えられており、今は怪我はしていないようだった。
よ、よかった……まだ何もされて無かったんだ。
「クロウ、こっちに! そいつらはアレクを殺そうとしてる!」
「なんだと……!?」
状況が解らないと言った様子で驚愕に顔を歪めるクロウだったが、けれども自分のやる事を放棄したりはせず、馬車から離れて俺達の方へ駆け寄ってくる。
その背後ではブラックが炎の術を使い、宝剣ヴリトラで敵を薙いでいた。
だが、殺さないように攻撃しているせいか、それとも相手の着込んでいる装備が余程固いものなのか、何度薙ぎ倒しても黒衣の刺客達は立ち上がって襲ってくる。これには流石のブラックも苦戦しているようで、炎の曜術を使うタイミングを逃し、ほとんど剣での戦いを強いられていた。
どうしよう……加勢しようにも、敵が入り乱れていたらブラックにも攻撃を当ててしまう可能性がある。今まで乱戦なんて経験していなかったから、木の曜術で敵を縛り付けようにも、目標が定まらない。
迷っている間に、クロウが俺の所へとアレクを運んで来てくれる。
「ツカサ、小僧を連れて街へ逃げろ! ブラックの援護はオレがする!」
アレクを掲げて馬上の俺に渡しながら、クロウが言う。
その間にも背後から刺客が襲って来ていたが、クロウはその度に裏拳や後ろ蹴りで相手を牽制して蹴散らしていた。
「でも、二人で大丈夫か!?」
「平気だ、この程度でへこたれる訳がないだろう」
まかせろ、と俺を見上げて不敵に笑うクロウ。
二人が心配だったけど……これ以上ごねていても、事態は悪化するだけだ。それに、俺達がやるべき事は戦闘じゃない。アレクを守る事なのだ。
俺は自尊心を抑え込んで頷くと、アレクを抱えて藍鉄の首を少し叩く。
藍鉄はその合図に数歩後退して、大回りで踵を返すとヨアニス達がいる方向へと向かって駆け出した。
ブラックとクロウの姿が、遠くなっていく。
刺客達がアレクの不在に気付いて追いかけて来ようとするが、しかし二人の牽制によって誰も俺達を追いかけて来られないでいた。
さすがは、忍者のような身のこなしの剣闘士と、何年も冒険者をやっていた百戦錬磨の魔法剣士だ。
これなら本当に……応援が来るまで持ち堪えてくれるかもしれない。
ホッとして思わず息を吐くと、胸に押し付けていた頭がもぞりと動いた。
「つ、ツカサ兄ちゃん……?」
「あっ、ごめんな、苦しかったよな? ……あと、怖い思いさせてごめん。でも、もう大丈夫だから……」
そう言うと、アレクは少し笑みに顔を歪めたが……すぐに表情を曇らせた。
「…………あの人達……もしかして、母さんを追い出したアイツの……」
あいつ。まさか……ヨアニスの事を言っているのだろうか。
だとしたらとんでもない勘違いだ。
俺は慌ててアレクの言葉を否定した。
「違う、そうじゃない! ……アレク、よく聞くんだ。お前の父さん……ヨアニスは、ソーニャさんを死に追いやった犯人じゃない。彼は……ソーニャさんがいなくなって、心底悲しんで病気にまでなってたんだ」
「え……」
「だけど、お前が……アレクが生きている事を知って、立ち直ってくれた。今も、お前の命を守るためにあの馬車に乗って助けに来たんだ! だから、今は、今だけはヨアニスの事を信じてくれ!」
近付いて来る目の前の馬車を指さして、俺は必死に訴える。
アレクは俺の言葉に目を丸くして「信じられない」という表情をしていたが……しかし、距離を縮めて来る馬車の御者台に煌めく鎧をつけた相手を見て、ただじっと前を見つめていた。
色んな事がいっぺんに起こりすぎてて、混乱しているだろうけど……でも、今はヨアニスが敵じゃないって事を理解してくれればそれでいい。
俺達に必死で手を振っているヨアニスを見て、あの人が自分の父親なんだと思ってくれれば、それで……。
「あれが……俺の…………」
おとうさん、と、アレクが口にしようとした。
その、瞬間。
何かが射出されたような音がしたと思ったら――――
藍鉄が、急に体を起こして……そのまま、大きく体を傾け始めた。
「うわあっ!?」
このままだと地面に激突する。そう思った俺はアレクを庇いながら、倒れそうになる藍鉄の背中から飛び降りて脱出した。
「あ、藍鉄! 藍鉄!!」
慌てて藍鉄に駆け寄るが、藍鉄はどこも怪我していない。それどころか、目を閉じて大きく腹を動かしていた。……これ……眠らされてる……?
腹の方を探ると、そこには小さな針が刺さっているのが見えた。
「眠り薬を針に塗ったのか……!?」
「つ、ツカサ兄ちゃん……後ろ……!!」
「っ!?」
アレクを背後に庇い、咄嗟に振り返る。
すると、そこには。
「あ…………」
雪原から突如現れたのは、黒いローブを被った刺客。
ブラックとクロウが抑えているはずの、敵の姿だった。
「どうしてここに……!?」
ゆっくりと近付いて来る相手に思わず呟いて、俺はハッと気付く。
そうだ。何も街道を愚直に進むだけが道じゃない。深く降り積もった雪原を歩く手段さえあれば、回り込んで俺達を襲う事も可能だったのだ。
それを失念していた。しかし、だからと言って驚いている暇はない。
こうなったら、俺がアレクを守らなければ。
今の俺に使えるのは、日の曜術師としての術しかないんだ。
だが、この距離なら、相手を拘束できるかもしれない。俺は気合を込めて、水を作る曜術であるアクアを繰り出そうと構えた。だが。
「曜術師の弱点は、術の発動のために絶対に集中しなければならない事だ」
「え……っ」
聞き覚えのある声が、目の前の黒衣の刺客から聞こえたと思った刹那。
俺の足に、短剣が突き刺さった。
「あぁああ゛あ゛ッ!!」
「ツカサ兄ちゃん!!」
強烈な痛みと血の巡りによって起こる熱さに思わず叫んで身を屈める。
だが、そんな事をしたらアレクが無防備になってしまうと思い、俺は痛みに顔を歪めながら必死で上体を起こした。
「……曜術が使えないひ弱な曜術師に、何が出来るかな」
「あ、れくを……守ることは……出来る……っ!!」
アンタには……
パーヴェル卿、アンタには絶対に……アレクを殺させない……!!
黒衣の相手を睨み付けて声を絞り出すと、相手は俺が呑み込んだ言葉を理解したのか、ふっと笑ってローブに隠していた剣を取り出した。
「優しいね、君は……。最後まで私の名前を出さないなんて……。だけど、もう、全ては終わった。もう遅いんだよ。私はもう……誰の許へも帰れない」
「かえ、れるよ……!! ボーレニカ、さんが……待ってる……ヨアニスだって、まだ、アンタって……気付いてない……!!」
アレクを背後に、俺は痛みを堪えながら必死に相手に訴える。
そうだよ、まだ何も終わってない。ボーレニカさんはまだアンタを愛している。
ヨアニスだって、誰がアレクを襲っているか知らないんだ。だから、自らの首を絞めるような事をこれ以上やってはいけない。
もうやめてくれと黒衣で顔を隠したパーヴェル卿をを見上げるが――――
相手は、首を振った。
「何もかもが、もう、遅い。……私は……手を汚し過ぎた……」
ああ、もう、駄目だ。
駄目になって、しまったんだ。
俺は悲しそうなパーヴェル卿の声に全てを悟って、背後のアレクに立つように手で指示をした。どの道、こんな状態の俺ではアレクを守りきれない。
俺が死んでしまえばアレクを守る人間は誰も居なくなる。だったら、すぐそばに近付いて来ている父親に。ヨアニスに……託すしかない。
俺の意思を読み取って、アレクが相手に気付かれないように中腰になる。
パーヴェル卿はそれに気付かずに、剣をゆっくり振り上げ始めた。
「どの道、アレクセイ様を殺さなければ、誰も私を許さない……私はどこへも行けない……だから、だから……っ!!」
「逃げろ、アレク!!」
その剣が俺とアレクに振り下ろされようとしたと同時。
俺は残った力でパーヴェル卿にタックルをかまし、アレクをヨアニスの馬車の方へと逃した。それが、唯一の助かる方法だと思ったから。
「無駄だ……何をしても、無駄だ!!」
「うる、せぇ……!!」
絶望的な声で叫ぶパーヴェル卿の足に、俺は必死に食らいつく。
だけど、相手に頭や腕を強く踏まれ蹴りあげられ、俺の体はその痛みに耐えきれなかったのか……頭を強く蹴られた瞬間、僅かに意識を途切れさせてしまった。
そのたった数秒で、俺は地面に引き倒される。
次に意識が戻った時には、もうパーヴェル卿は俺の手から逃れていた。
「あ、れく……!!」
小さな背中が、もうすぐそこに近付いて来ていた馬車に駆け寄っていく。
その背中を追って、黒衣の刺客が剣を振り上げて――――
「死ねっ……! 死ねぇええええええ!!」
パーヴェル卿の狂った一声が周囲に響き、その小さな背中に剣が振り下ろされた。
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