異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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帝都ノーヴェポーチカ、神の見捨てし理想郷編

18.少年に無体を強いる※

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 現実逃避をしている間に部屋に連れ込まれて、ベッドに乱暴に放り出される。解っちゃいたけど、こうなるともう抵抗したって結果は同じな訳で。

 だったら、早い所二人に満足して貰うしかない。ブラックだけならまあなんとか恋人同士の営みとして「お手柔らかに……」なんて言えるが、今回は酔っぱらったオッサン二人だ。しかもかなりオラついている。
 そんな状態の二人を拒否したって、帰ってくるのは「抵抗するなんて悪い子だね。お仕置だよ」とか言うこっちの都合丸無視の言葉だけだろう。
 これ以上騒いで酷い事になるのはごめんだ。
 ……ならば、俺の取る道は一つしかない訳で……。

「……ツカサ君、なにその格好」
「なにってお前、覚悟を決めた格好だよ」

 ベッドの上で胡坐をかいて腕を組む。時代劇でよくある「さあ煮るなり焼くなり好きにしろい!」のポーズだ。
 どうだ男気あふれてるだろう、とブラックに鼻を鳴らした俺に、相手は心底興醒きょうざめしたかのような顔をして深い深い溜息を吐いた。

「んもー、ツカサ君たら男の誘い方が解ってないんだから……こういう場合は、顔を真っ赤にして期待しながらも恥じらうもんでしょー?」
「お前がそう言うので興奮するのを解ってるからやらないんだよ」
「えっ……ツカサ君僕の好み解っててくれたの……? 凄く嬉しい……」
「こらー! 変な方向に話を持っていくな!」

 この野郎いつにも増してポジティブになってやがる!
 ちげーよ、興奮させたら面倒だから覚悟を決めて腰をえたんだよ解れよ!
 アンタ興奮したら絶対に変態プレイに持ってくじゃないか。それがイヤだから、少しでも抑えて貰おうと思って構えてるんだよ!

「まあでも折角せっかく据え膳してくれてるんだから、やらなきゃ損だよねえ」
「別にヤらないならヤらないでいいんだけど」
「だーめ。僕と言う恋人がありながら、女の裸を見て興奮しちゃったんだから、それ相応のお仕置きは覚悟して貰わないとね」
「そんな男の本能を全否定されましても……」

 嫁さんがいてもグラビアに興奮する。それが男のサガってもんだろう。愛と興奮は別物なんだよ。他人のえっちを見て興奮するのが人間なんだぞ、お前だってそうだろうブラックよ!

 つーか結局お仕置きされるのかよ。覚悟決めても無駄なのか。
 何も別に、美女と不純な交友をしたいとは思ってな……いや、せめて童貞だけは捨てたいけど、でも、別に……アンタ以外とえっちしたいって訳ではないし……って何を考えてるんだ俺は!

「おいブラック、お前の言っていた紙袋はこれでいいのか?」
「そうそう、お使い御苦労さま」
「え? な、なに?」

 唐突に聞えてきた声の方を向くと、今まで部屋を出ていたクロウが小さな紙袋を持って立っていた。その紙袋には、見覚えがある。あれは蔓屋つるやの紙袋だ。
 俺は何を買われたのか見ても居ないが、とにかく中身はヤバい物だろう。それをクロウに取りに行かせたって事は、まさか、二人がかりで……。

「お、おいとましまー」
「すって言っておいとま出来るなら、お仕置きしないよねえー」
「同意だ」
「うううぅ……お前らさてはこうなるのを解っててこんな道具を……」
「そこまでは考えてなかったけど、どうせツカサ君は道具使うのも嫌がるだろうし丁度ちょうど良いかなって」
「あーそうですねえ!」

 ちくしょうその通りだよ。前にも謎の触手豆を使うハメになったが、あんな恐ろしい道具は二度と使いたくない。バイブすら挿れるのに躊躇ためらったのに、これ以上の道具なんてごめんだ。
 でも、今の二人にそんな事を言っても無駄だしなあ。

「で、何を使うつもりなんだよ」
「ツカサ君が怖がるような物は何も使わないってば。安心してよ」
「そうだぞツカサ。持ってくる時に確認したが、凶暴な物は何もなかったぞ」
「……ホント……?」

 疑うような上目遣いでベッドの向こうに立つブラック達を見ると、二人は笑って頷く。ううむ、疑わしいけどこいつら嘘はあまりつかないしな……。

「…………お仕置きって、なにするの」
「んー、そうだね。まずは服を脱いでもらおうかな」
「…………解った」

 クロウがいるし、明かりも点いているから恥ずかしいけど、やるしかない。
 なあに風呂に入ると思えばいいんだ。恥じらったら余計に調子に乗らせるだけだし、ここは男としていさぎよく脱ぐしかない。
 俺は一気に服を脱ぐと、変な所が見えないように足を抱えた。
 よし、我ながら完璧なる体育座りだな。足で上半身も股間も隠れているんだし、この耐性に欲情なんてすまい。
 しかし、ブラックとクロウはと言うと。

「そう言う所が……いや、うん、良いよ良いよツカサ君! そのままでいてね」
「ン゛……つ、ツカサ、そのままだ」

 なんで興奮してんだよ! 変な所何も見えてないだろ!
 毎回思うんだけど、ブラックもクロウも何に興奮してるんだ。俺にはおっぱいや女性的な尻なんて言う分かりやすい記号は付いてないってのに。
 はっ……もしやこの格好、女子がやってたら萌える格好なのか?
 いやーしかしなー、俺はもうちょっとえっちなポーズの方が……。

「はい、ツカサ君。ちょっと寝転ねころんでねー」
「え? な、なに?」

 いつの間にか思考が脱線しかけていた俺を、ブラックが押し倒す。何が起こったのか解らないままポカンとしていると、ベッドの横にクロウが来て俺の両手を掴み、そのまま引き上げて拘束してしまった。
 足もブラックの手で崩されて、今の俺は素っ裸でベッドに寝ている格好だ。
 今更それに気付いて顔が熱くなってくる俺に、ブラックは好色そうな笑みを浮かべて袋の中から何かを取り出した。

「そ、それ……どういう道具……?」

 見せつけるように取り出されたのは、白く濁った液体が入った大きめの瓶。何かラベルが貼ってあるが、俺にはそれが読み取れない。
 股間を足で隠すのも忘れて思わず顔を歪めるが、ブラックは目を細めて機嫌良さそうに笑うだけで、何も言ってはくれなかった。

「さ、足を開いて」
「んっ……!」

 わざと太腿の合わせ目に手を突っ込んで、ブラックは強い力で足を開かせる。内股の温度よりも少し冷たい手が触れた事で体が反応したが、それよりもきゅぽんと言う瓶のふたが開けられた音の方に驚いてしまい、俺は思わず肩を震わせてしまった。その姿に、ブラックのみならずクロウも俺の上で笑う。

「ふふ。ツカサ……可愛いな」
「だっ……だって、正体不明の存在だし、何するのか解らなくて怖いだろ!」
「大丈夫だって。ほら、垂らすよー」
「ひぇっ!?」

 ブラックにそう言われ、瓶の中のやけに粘っこい液体が俺の腹に垂らされる。へそに入って思わず色気のない声を出してしまったが、ブラックは気にせずに臍の中に指を突っ込んで、その粘ついた白い液体をぬりたくった。
 ぬるぬるした指で奥まで突かれる感覚が辛くて、俺は歯を食いしばる。

「んっ、んう゛っ、ひ、ぁ……あぅっ、う゛ぅっ……!」
「ツカサ君はおへそを指で犯されるのも大好きだから、ここもちゃんと塗り付けておかないとね……。さ、どんどん行こうか」
「ひっ、ま、まだ……っ!?」

 ヤケに楽しそうなブラックは、笑いながら液体を俺の胸にも垂らしてくる。
 スライムのように強い粘性を持つ白濁した液体が、ぺとぺとと胸……いや、乳首に乗せられて指で強く擦りつけられる度に、俺の体は勝手に熱くなっていった。
 くそう……ブラックのせいで、乳首まで性感帯になっちまうなんて……。

「っく……うぅ……っ」
「ツカサ君、前よりも敏感になって来てるね……。それとも、塗り付けられるのが気に入ったのかな?」
「ち……違っ……あんたが、触るから……っ」
「嬉しい事言ってくれるねえ」

 ばーっ、もー! 違うってば!
 アンタが開発するから反応するようになっちゃったの!
 ブラックが触るから勃っちゃうとかそう言う甘い事を言ってるんじゃないの!

 訂正したいけど、それをやったら地雷を踏みそうだから出来ない。これ以上変な勘違いをされて発情されるのはごめんだ。
 何より俺、昨日やられたばっかだからね?!

「さて、お次は……」
「ひぁっ!?」

 下腹部にたらりと液体を垂らされて、思わず体が浮く。
 しかしクロウに拘束されているために体が少し反っただけで対して逃げられない。それを良い事に、ブラックは白い液体をまだ勃ちあがってもいない俺のモノに丹念に塗り付けて行った。

「や、やだぁっ……! そこ、は……っも、んんっ……ぅ……!」
「ツカサ君のおちんちんにもちゃんと塗ってあげないとね。じゃないと、ここだけ仲間はずれじゃ寂しいもんねえ」
「う、うぅう……」

 熱に触れると透明になる液体は、てらてらと光り妙にいやらしい。
 特定の場所だけが濡れている様は「そこが性感帯だ」と言われているようで、頬が痛いくらいに熱くなってたまらなかった。
 だけど、ブラックはそんな俺の事などお構いなしに、俺の腰を上げて液体まみれの手を後ろの方へと差し込んできて――。

「っあぁあ! やっ、ま、って、なんで、いきなりっ……!」
「ここはツカサ君が一番大好きな所だろう? おちんちんを擦られるよりも、僕のペニスでお尻を犯された方がよく精液がでるじゃない。だから、ここは奥までしっかり塗ってあげないとね……!」

 喉の奥で笑いを絞りながら、ブラックは無遠慮に長く武骨な指を俺の中にぐっと押し込んでくる。昨日ほぐされた部分とは言え、時間が経って元の状態になったソコを思いきり探られるのは辛い。
 やめてくれ、と言おうとしたところで前立腺のある位置をくすぐられて、俺は情けない悲鳴を上げてしまった。それを良い事に、ブラックはわざとソコをかすめながら液体を俺のナカに満遍まんべんなく塗りたくってくる。

「っひ、ぁ……いやぁ、あ……っ! さわっなっ、も、さわる、なぁ……っ!」
「嘘ばっかり。ツカサ君のおちんちんもう半勃ちになってるじゃないか……っと」
「ふひゃあぁあっ!?」

 い、いきなり引き抜くな馬鹿っ、変な声でちゃったじゃないか!
 でも解放された事に安堵あんどして体全体で息をする俺に、ブラックは意味深に笑ったと思ったら、そのままベッドから降りてどこかへ行ってしまった。
 洗面所から水を出す音がするけど……手ぇ洗ってるのか?
 も、もしかしてこの液体、凄くヤバいものだったりとかしないよな……。

 やばい、不安になって来た。
 どうにかして拭えないだろうかと、俺はクロウを見上げてお願いしてみる。

「く、クロウ……なあ、これ……」
「心配いらない。ツカサの体に悪い事をオレ達がするわけないだろう?」
「う……」

 優しい事を言ってくれるけど、これ要するに聞く耳持たないって事だよね。
 なんでこういう時には二人で仲良く協力するんだろう……普段はギャーギャーといがみ合ってるってのに……。

 ワケが解らんと思っていると、ブラックが洗面所から戻ってきた。

「さて、続きをしようかツカサ君」
「まだやるのかよ!」
「もちろん。あと一つ残ってるからね」

 そう言いながらブラックが取り出したのは……飲食店で出されるおしぼりくらいの大きさの、ねじれた黒い棒。先端は細くなっているが、丸みを帯びていて危険な感じはしない。しかし……その棒の下から伸びる黒い帯は、どうみても体に取り付けるようなモノにしか見えなくて。
 ……ま……まさか……。

「お、おま……それって……」
「大丈夫だよ、僕のと比べ物にならないくらい細いし」
「大丈夫じゃねええええ!! ぎゃーっ挿れるなそんなもんんん!!」
「イイからイイから!」

 イイからじゃねえええ!
 必死で暴れるが、しかし相手は至極楽しそうに笑いながら無理矢理俺の足を割り開いて、先端をすぼまりに押し付ける。
 無機質で硬い感覚に俺は思わず身を固くしたが、しかし謎の液体のぬめりによって黒い物体はぬるりと俺の中に侵入してしまった。

「ぅあああぁああ……! ひっあ゛っ、いぁぁああ……!」
「ああ、泣かないでツカサ君……ほら、こんなのすぐ根元まで入っちゃったよ? さ、抜けないようにちゃんと固定しておこうね……」
「ひ、ぅ……うぅう……」

 両脚の付け根に黒い帯が通されて、腰に巻きつけられる。それはまるで布がないパンツみたいで、余計に恥ずかしくなる。
 なんなら俺の半勃ちしたモノが強調されているような気すらしてきて、足をり寄せた。しかし、その反動で後ろを締めてしまい、中に異物が埋まっているのをしっかりと感じてしまって俺は顔を歪める。

 無機質な物が内部に埋め込まれていると言う感覚は、何故か指が入って来た時の違和感よりも酷く不快だった。
 だけど、ブラックは笑って俺を見るだけで。
 それどころか、滅茶苦茶な事をさらっと言いだした。

「さて、ツカサ君。僕達は酔いが醒めちゃったから、またお酒を飲む事にするよ」
「……は?」
「ああでもツカサ君は飲んじゃ駄目だからね。おつまみは食べて良いから」

 ブラックのその言葉を合図にしたかのように、クロウが俺の手を解放する。
 すでに痺れかけていた手は動かせないままでベッドに落とされたが、そんな事は今の俺には関係なかった。
 ちょ、ちょっと待ってよ。このままって、どういうこと?
 なにテーブルに椅子三脚持って来てんの。俺も座れって事? 素っ裸で?
 こんな変態な恰好したままで座れって言うのか!?

「おっ、おっぃ……! な、なにして……!」

 うう……叫んだら力が入ってナカの変なのが……!
 何とか起き上がって、ナカの物を刺激しないように腰を浮かせた俺に、クロウが白いガウンを掛けてくれる。そして、俺の肩を引っ掴むと無理矢理補助しながらテーブルへと歩かせてくれた。
 あ、ありがたいけどありたがくない。後半ちっともありがたくないよう。

「さあ、椅子に座って」

 ああ、今凄く楽しいんだろうなブラック……。
 げんなりしつつそう思っていると、クロウに乱暴に椅子に着席させられて、俺は内部の玩具が動いた事に悲鳴を上げた。

「っい゛っ、ああぁあっ!」
「ん? ツカサ君どうしたのかな」
「っ、ぅ……っ、ぅく……っ、な、なんでも、ない……っ」
「ツカサ、無理はするなよ」

 何でもないようにそう言って、ブラックとクロウは席に座る。
 そうして、どこから持って来たのかワインとグラス、そして干し芋のような乾物をテーブルに置くと、またもや酒盛りを始めた。
 ワインは特別な物なのか、だばだばとグラスに注いだりはせず、ゆっくりと匂いや色を楽しんでから口に運んでいる。
 そういえば、ブラックはテーブルマナーとか知ってるんだったな。クロウもそう言う事をするってのは意外だったけど……まあ、クロウもくらいが高い一族っぽいし、ワインの風味を楽しむみたいな事を知っていても不思議はない。

 だけど、そのつまみに俺のアホくさい変態な格好ってのはどうなのよ。
 ガウンを着せられてるけど、俺は下半身震えてるし顔は多分真っ赤で汗だくになってるだろうし、見てて気持ちの良いもんじゃないと思うんですけど。

「ツカサ君もおつまみ食べる?」
「う、うん……」

 再び酒に酔って来たのか、ほんのり頬を赤くしているブラックが、つまみを俺にすすめて来る。一瞬ためらったが、食欲を満たせば性欲が収まって内部のものだって「気持ちわりっ」て感じになるかもしれない。
 体の震えを根性で抑えつつ、皿の上から謎の乾物を取って食べると……思っていた味と全く違って思わず驚いてしまった。

「うわっ、なにこれ! なんかチーズっぽい!」
「チーズ? 良く解んないけどお酒にあうよねコレ」
「うむ、中々うまいな。牛のモンスターの乳房の味に似てる」
「そ、そういうグロい表現はちょっと」

 牛型モンスターのおっぱいってチーズ味なんだ……知りとうなかった……。てか、クロウさんある意味同族とか言ってたのに食べていいんですか。いや、自然の法則からしてみれば当然な事だけど、獣人的にいいのかそれは……。
 でもまあいいか、本当に美味いなコレ。
 バターテかと思ったけどそうじゃないっぽいし、これってもしかしてオーデル独自の加工食品か何かなのかな? この施設の料理人の人に訊いたら知ってるかも知れない。明日出かける前にちょっと聞いてみる……か……。

「…………?」

 あ、あれ。なんかおかしいな……なんか、むずむずする。
 最初は気のせいかと思ったが、段々とある個所だけが熱を持って来て、気のせいとは思えない程にじんじんしてかゆくなってきた。
 変な液体を塗られたところだけが、異様に熱を訴えて来ている。
 そこでようやく、俺はあの薬がどういう物かを理解した。
 あれは一種の媚薬だったんだ。しかも……触らないと我慢できなくなるくらいのかゆみをともなった、最悪な種類の媚薬……。

「っ……ぅ……」

 な、なんでそんなもん塗り付けて……いやお仕置きか。お仕置きだから当然なのか。ブラックの野郎、俺がこの薬で痒みを訴えて「触ってぇ!(はぁと)」なんて言うのを期待してやがるのか。ちくしょうなんか腹立って来た。
 絶対言うもんか、絶対に耐えきって萎えさせてやる……!!

 痒くなってきた部分から意識を逸らすために、俺はヤケになってつまみをかじる。
 ブラックとクロウは相変わらずワインを優雅に飲んでいて、時折俺の様子を楽しそうに見ては邪気のない笑みでにこにこと笑っていた。
 何を考えてるんだこいつ、人に変な薬を塗布して置いて……ああもう、痒いっ、だめだ、頭がまわらん。痒みってなんでこんなに人の意識を支配するんだ。
 乳首が、臍が、股間が、中が痒い。掻きむしりたくてたまらないけど、でも。

「ぅ……んぅ……っ」

 ブラックは俺の変化にまだ気付いていない。クロウは相変わらず眠そうな無表情でつまみをパクついている。俺の事なんて眼中にないみたいだ。
 だ、だったら……ちょっと、くらいは……。

 俺は意を決して、尻を椅子に押し付けながら、内部に埋め込まれた玩具に腸壁を擦りつけるように腰を軽く揺らした。

「っ……!! っ、ぅ……っ……!」

 き、もち、いい……。かきたい、もっと、もっと掻きたい……!
 だけど、それだけじゃ駄目だ。胸だって、臍だって股間だって痒い。もっと、もっとどうにかして掻かなきゃ……!

 そう思うともうどうにも止まれなくて、俺はガウンの合わせ目を直すフリをして自分の胸を擦ってみる。

「んっ……く……」

 ああ、だめだ……ちょっとだけじゃ駄目だ。もっと掻かなきゃ我慢できない。
 直接触って、痒みなんか忘れるくらいに触らなきゃ、もう……。
 くそっ、他の所も痒いのに、なんで全部掻けないんだろう。ナカだって頑張って動かしてるのにちっとも良くならないし、もう、こんなの……っ。

「ツカサ君」
「っ!」

 不意に呼ばれて、体がびくりと震える。
 恐る恐る頭を上げると、ブラックとクロウが俺をじいっと見て、狐のように目を細めて笑っていた。

「ガウンの上から乳首を弄って、股間にまで手を伸ばそうとしてるみたいだね。何をしようとしてたのかな」
「っ、え……」

 そんな。俺いつの間に。
 ぎこちなく自分の姿を見下ろすと、涙で歪んだ視界にガウンの胸の辺りを掴んで小刻みに動いている手と、股間に伸びそうになっているもう片方の手が見えた。

「う、うそ……」

 なんだよ、これ……俺、そんなに我慢できなくなって……。

「……ねえ、ツカサ君……そろそろさあ、ツカサ君も僕とのセックスをねだっても良いと思うんだよ」
「っ……」
「僕、言う通りにセックスしろって言ったけどさ……それじゃあやっぱり、ツカサ君がいつまで経っても慣れてくれないじゃない?」
「ぅ、う……」
「だからさ、恋人として僕を誘ってみてよ。ちゃんと出来たら僕と熊公の二人で、ツカサ君が触って欲しい所、ぜーんぶ触ってあげるからさ……」

 そう言いながら、ブラックは俺の顎を人差し指で擦る。
 皮の厚い指が顎の骨をなぞる感触は、今の俺にとっては拷問でしかない。
 性感帯の痒みが酷くなったような気がして思わず顔を歪めてしまうが、ブラックは俺を許してはくれなかった。

「言ってご覧。どうして欲しいか」
「は、ぅ……うぅ……っ」
「痒いんだよね? ツカサ君のナカを思いっきり掻き回してあげられるのは、僕のペニスしかないって、もう解ってるだろう?」

 確かに、もう、こんな小さな玩具じゃたりない。いくら締め付けたって、奥の方まで伝わる痒みを救ってくれない玩具なんて、挿れていたってもどかしいだけだ。
 自分の中を満たすほどのモノを知ってしまっている今は、悔しいけれどブラックの慈悲が欲しくて仕方なかった。
 でも、だけど……っ。

「ほら、熊公の方見てみなよ。ツカサ君が泣いてるのに興奮して、鼻息を荒くして許可が下りるのを待ってる。僕におねだりしてくれたら、コイツもきっとツカサ君の痒い所を舐めて噛んで存分に弄ってくれるよ?」
「あっ、ぅ……んうぅ……! ほ、ほん、と……?」

 本当に、本当に触ってくれるのか?
 痒い所を全部掻いて痒みをなくしてくれるのか?

 ブラックがナカを、クロウがブラックの手の及ばない所を触ってくれたら、この悶えるほどの痒みも治まるかも知れない。
 熱い。じりじりと焼ける体の熱と痒みが酷くなっていく気がする。
 もう、自分の手じゃ追いつかない。も、もう……っ。

「……っ、して……」
「ん?」
「お、ねが……ぶら、っく……いれて……っ」
「もっと詳しく聞きたいなあ」

 笑顔でゆっくりと言われて、つうっと指が首筋まで降りる。
 その感覚が、俺の中の何かをぷつんと引き千切った。

「あっ……あぁ……っ。お、お願いぃ……ブラック、も、だめ……えっち、して……俺に、ブラックのペニス、いれてっ……! おちんちんも、乳首もっお、おへそも全部弄ってくらさぃ……おねがい……っ」

 頬に涙が伝っているのが分かる。自分のプライドが物凄く傷ついていることだって、解っている。だけど、もう俺の理性は耐え切れなくて。
 ブラックのそでを掴んで懇願するように見上げると、相手は一瞬目を見開いたが――優しく微笑んで、俺の頬を両手で包んだ。

「っあ、あぅ……」
「良く出来たね……良い子だ……」

 そう言って、俺の口に軽くキスをする。
 キスをされると何故か一瞬痒みを忘れられたような気がして、俺は無意識にキスをせがんでいたが……ブラックは席を立つと、俺を抱え上げてベッドへと乗り込む。そうしてなすがままの俺を寝かせると、ブラックはガウンの合わせを解いて、俺を裸にした。

「ははっ……凄いね。痒みに悶えてるのにもうここはガチガチで濡れまくってるじゃないか。本当にツカサ君は心と体が釣り合ってないなあ」

 笑われてしまうが、事実だから仕方がない。
 触れられていないはずの俺のモノは痒みと興奮で完全に勃ちあがり、触られるのを待ってだらだらと先走りを垂らしていた。
 本当なら恥ずかしいはずなのに、でも、俺はもう痒みに耐え切れなくて。

「ぶ、ブラック……はやく……はやっ、痒いとこ、触ってぇ……!」
「解ってるよ……さあ、まずは玩具を抜こうね」

 きつく固定されていた帯が外されていく。そうして、いささか乱暴に引き抜かれた玩具は、不要な物だとでも言わんばかりに床に投げ捨てられた。

「本当は顔を見て犯してあげたいけど……約束は約束だからね。おい、熊公」

 ブラックは俺を抱き起すと、背後へ回る。
 すると、ベッドの向こうに興奮した顔つきのクロウが立っているのが見えた。さっきまでの眠そうな表情なんて嘘だったかのように、また獣のように目をあやしく光らせて俺の体を見つめている。
 その眼差しがまた痒さを強くした気がして、俺は顔を歪めて身をよじった。

「ふあ、ぁ……や、ら……クロウ……っ」
「ツカサ……オレが助けてやるからな」

 二人分でも重苦しそうだったベッドが、クロウが乗り込んで来た事で明確に音が鳴る。ぎし、ぎし、とクロウが動く度に深く沈むベッドが怖くなってブラックを振り返ると、ブラックは俺を抱き締めるように抱え上げて――そのまま、自分の張り詰めた熱塊の上に俺を落とした。

「っあぁあぁあ゛あ!」
「は、ははっ……つ、ツカサ君の中凄く熱いよ……っ、溶けてしまいそうだ……」

 液体で濡れそぼった内部は、最早抵抗するものなどない。それどころか一気に入って来たブラックのペニスに喜んで、きゅうきゅうと締め付けさえする。

「あっ、あぁあっ、や、あ、あぁああっ、もっと、もっ、もっとかいてぇ……!」

 痒みを訴えていた俺の内部は、ぎちぎちに穴を埋めてくれるブラックのペニスが動く度に、痒みを上回る快楽を感じて俺を喘がせる。
 ギリギリまで引き抜かれて奥まで貫かれると、頭の中で火花が散るような感覚すらして、俺はいつのまにか口をだらしなく開けて腰を振っていた。

「はぁっ、あ、ぁあぁ……も、っと、かゆいのもっと消してぇ……っ」
「っ、く……まったく、ツカサ君は淫乱だなあ……! おい、熊公」
「ツカサ……っ、ツカサ……!」

 ペニスを埋め込まれたままで揺さぶられる俺に、大きな影が覆い被さってくる。
 その影は、迷うことなく俺の乳首に吸い付いて、音を立て貪って来た。
 ざらついた舌の感覚に悶えるが、その感覚はすぐに下へ降りて、今度はへそを突かれる。指とは違って置くまで届くぬめった舌は圧迫される内部を更に外側から押し潰すかのようで、俺はそのつらさに身悶えてすすり泣いた。

 苦しい。でも、苦しいのに気持ちいい。

「おへそ、やらっ気持ちわぅいのに、き、もちいぃから、や、やだぁ……っ!」
「ハァッ……ハッ……そうか……ツカサは、こっちの穴も好きなのか……。なら、ちんちんと一緒に虐めてやる……!」
「おっと……はぁっ……こっちも、忘れないでくれよ……っ!」
「んあぁあっ!? や、やら、いや、一緒はだぇ、あっ、あぁあぁあ゛っ!」

 熱くて硬いペニスが、俺の中で暴れている。その中を外から押し潰すように舌が臍を突いて、圧迫感を消し去るように太くて力強い手がミルクを絞るように俺のおちんちんを擦って、でも、それに負けないように、後ろから両乳首を摘まんで引っ張られて……もう、なにをされてるのかすら、わからなくなってきて。

「ぜんぶ、らぇ、も、あ、あぁああっ、や゛っ、だぇっ、いぐっも、い゛っじゃうぅう!」

 涙と鼻水を零しながら悲鳴のように叫び喘ぐ。
 そんな俺に、ブラックとクロウは、笑って囁いた。

「いいよ……っ、いけよ……!! ツカサ君……ッ!!」
「ハッ……ハァッ……ツカサ…………ッ!!」

 低く、興奮した声が命令のように強く投げつけられる。
 その声を心地いいと思いながら――俺は、絶頂して意識を手放した。












 
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