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シーレアン街道、旅の恥はかき捨てて編
8.贖罪の基準は人それぞれ※
しおりを挟むま、まさか……ずっとこのまま会話しながら俺を弄繰り回す気じゃ……。
こうすればさらに気が晴れるとでも言うのか。それとも謝罪の代わりに好き勝手させろって事なのか?
いやでもただ単に嫌がらせしたいってだけかもしれない。
ロサードが居なきゃ真意が聴けたかもしれないが、この状態では何も言えない。
つーか、だ、だめだ。じわじわ触られるの辛い……っ。
「っ……ん…………っ」
指が、布越しに先端をそろりと擦ってくる。
しかし妙な間隔を空けてきまぐれに触ってくるので、その度に腰が反応して足が震えてしまう。大きな掌を挟んだ足もびくびくと震える度に開いてしまいそうになり、必死に抑え込もうとぐっとブラックの手を太腿で挟むが、ブラックはあろう事か俺の足を開こうとし始めたのだ。
これには、流石の俺も驚いてしまって思わずブラックを振り返った。
「ちょっ……ブラック……!」
「……ん? なんだい」
即座に手を引っ込めて、にっこりと笑う相手。
その笑顔にはいやらしさの欠片も無くて、俺は思わず言葉を失くした。
ロサードはそんな俺の様子を見て、ニヤニヤと面白そうに笑う。
「お、なんだ。顔が赤いぞ。ダンナの顔でも見て惚れ直したのか?」
違う、と反射的に言いそうになったが、俺より先にブラックが答えていた。
「あはは、そうだったら嬉しいんだけどねー。ねえ、ツカサ君」
いつもの腑抜けた笑みで頭を掻きながら、ブラックは俺に念を押すように問いかける。その言葉の見えない重みに気圧されてしまい、俺は何も言えずにただ笑う事しか出来なかった。
目が、言うなと言っている。って言うか顔が笑ってるのに目が笑ってない。
思わず固まってしまった俺に構わず、ブラックはまたロサードとの話し合いに戻ってしまった。そうして、再び俺の足に手を伸ばすと、太腿を軽く叩いた。
これって……言う事を聞けって、言ってるんだよな……。
ちらりとブラックの横顔を見ると、相手は流し目で俺を見ていた。
その目は冷たくて、俺の態度を非難している。
逆らった事を怒っているんだ。
「っ……ぅ……」
そんな顔をされると、もう、何も言えなくて。
俺は顔の温度がさらに上がるのを感じながらも、ブラックの手が行うままに足を大きく開かざるをえなかった。
「ぅう……」
「どうしたのツカサ君、ほら、手が止まってるよ。早く食べて部屋に帰ろう」
「う、うん……っ」
ロサードと話す間にも、俺に気を使うかのように話しかけてくる。
だけどそれが気遣いなんかじゃないのはもう解りきっていて。
自分がやらされている事と今ブラックが俺にしている事を思えば食欲なんて湧かなかったが、相手が「食事を済ませたら帰る」という終了の合図を暗に示した事で、俺は気を持ち直した。
と、とにかく食事を終わらせるんだ。そしたら解放される。
ブラックだって「これで終わり」って言ったんだから、俺を邪険に扱っている訳じゃないだろう。なら、これが終われば話くらいはちゃんと出来るはず。
よ……よし……頑張って食べるぞ。
俺は足を大きく開いたままで、残っている食事を済まそうとスプーンを持った。
普段と違う姿勢で食事をするのは物凄く違和感があったが、今のところ直線状に居る他の人には俺の格好を気付かれてはいない。
その事に少し安堵しながらスープを飲もうと体を屈めたと同時。
再び股間をぐっと握り込まれて、俺は思わずスープを喉に詰まらせた。
「んぐっ、う゛……っ」
気管に入りそうになったが、堪えて呑み込む。
そんな俺の様子を見ているのかいないのか、ブラックはロサードがこっちに興味が無いのを良い事に今度は掌全体で俺の股間を擦り出した。
「~~~~っ!! っ、ぅっ……っ……」
擦られた所が熱くなって、肌に密着してくる。だけど布越しの刺激はどうしたってもどかしくて、俺は足を開いたはしたない恰好のままもじもじと尻を動かした。
食べるのに、集中できない。
誰かに見られたらと言う恐怖や羞恥と、早く食べなければいけないと思う理性、そしてブラックに強制的に与えられる快楽がせめぎ合って、手が震えて来る。
気付けば俺の股間を散々に弄んでいた手はベルトを緩め、俺のズボンの合わせをゆっくりと開いてしまっていた。
「しかしさあ、そういうのは……」
「いやいやブラックの旦那、意外と世間ではまかり通ってる事で……」
何の話をしてるんだろう。よく解らない。ズボンよりも薄い下着越しに形をなぞられて、また足が閉じそうになる。
それを堪えるために気を張ると、ブラックは合わせを全部解いて俺の勃ちあがりかけたモノで膨らんだ下着を外へ曝してしまった。
「っ、ぁ……!」
吐息程度にしか声が出なかった自分を、褒めてやりたい。
だけどブラックはそれだけに飽き足らず、下着の中でほんの少しだけ汁を漏らし始めた俺のモノの先端をぴたぴたと指で弄び始める。
まるで下着に染みを付けようとするかのようにぐっと押し込んでは勢いよく離れる指に、俺は我慢出来なくて奥歯を噛み締めて目を瞑った。
口の中のパンが、噛み砕けない。
スープなんて含んだら、今度こそ気管に入れて咽るか口から零してしまう。
そんな行儀の悪い事なんてやってたら、嫌でも注目されてしまうじゃないか。
そうなったら、俺の姿なんて弁解のしようも無い。
食事をしながらも大股を開いて恥ずかしい部分を大いに曝け出し、隣に座る男のいやらしい悪戯に喜んでいる、変態。
絶対にそう思われてしまう。
それだけは絶対に嫌だ。そんな風に見られたくない。
だけど、ブラックに指でぴたぴたと先端を弄られる度に、もう、我慢できない程に先走りが漏れて行って。周囲の喧騒の音やすぐ隣にいるロサードの声、それに、俺を無視しているのに苛んで来るブラックの朗らかな笑い声が、異様に俺の性感を刺激して。大きく開いた足の震えが、腰の動きが、堪え性の無い自分の分身が猛るのが止められない。
変態じゃないのに、こんなこと、本当は嫌なのに……。
「ぅっ、う……ん、んぅ……ぅ……!」
濡れた下着がブラックの指にまとわりつくほど水分を吸い込み、ひたひたと俺の肌とブラックの指を交互に移動し始める。
空気に触れたその下着の冷たさが余計に俺に「濡れている」のだと思い知らせて、耐え切れずに俺はついに体を震わせながら俯いてしまった。
スプーンを持ったまま、肘をついたままの不自然な体勢で俯いている。
きっと、変に思う人が居るだろう。
だけど、もう、無理。止められない。
ブラックの指が、ぐりぐりしてくる。
下着の裾を手繰り寄せて、俺のモノをそこから出してしまおうとしている。
こんな場所で、こんな、人が居る、まだ沢山の視線が在る、淫らな物とはなんの関わりもないこの場所で、恥ずかしい部分を大股開きで丸出しにして。
そんなのやだ、そんな事したら、俺変態になっちゃうよ、やだよ。
バレたくない、こんないやらしい事してるなんて、バレたくない……!
「っう……くっ……ん……ぅう……っ、~~っ……」
俯いた目から涙が溢れて来る。顔なんてもう痛いくらい真っ赤で、涙を止めようと思っているのに止められなくて、ぼたぼたとズボンに落ちてしまう。
机の隙間から武骨な指が俺のモノを取り出そうとするのが見えて、尻が動く。
中心まで手繰り寄せた下着の裾から、指が、入って来る。
だめ、だめ、だめだめだめ……っ!
出さないで、これ以上無理っ、もう無理っ……お願いだから許して……。
そうじゃないと、俺、今度こそみんなに変態だって思われちゃう……っ。
「っ、ぅう~…………!」
既に熱くなった体に少し冷たい指が入って来て、その指が、俺の自身に触れる。
浅ましく膨れ上がった俺のモノを、ブラックの指が掴んで軽く擦り上げた。
その刺激で、もう、俺は。
「っく、ぅ、う~~~…………っ!!」
精一杯歯を食いしばって声を堪え――――達してしまったのだった。
「ぅ……ぅぐ……っ」
荒い息が、歯を食いしばった口から漏れる。
出来るだけ誰かに知られないようにと体を強張らせたが、異様に興奮していたのか肩の動きだけは止められなかった。
ブラックはそんな俺の様子を知ってか知らずか、今まで俺を弄んでいた手を離し、汚れた指を下着で拭うと合わせを留めて来た。
「……っ……ぇ……?」
も、もう終わり……?
許してくれたのか……?
泣き腫らした目とタコみたいに真っ赤な顔で相手を仰ぎ見る。
まだ荒い息で肩が揺れる俺に、ブラックはゆっくりと振り返った。
「ん? どうしたのツカサ君、物凄く顔が赤いよ。もしかして熱でも出た?」
「えっ、熱? ……うわ、本当にすげー顔じゃねーか! 涙目って事は、相当高熱だろ。無理して飯くわねーでいいから、さっさと部屋に戻れよ」
俺の状態を素直に勘違いして心配してくれるロサードに、罪悪感が募りながらもぎこちなく頷く。だけどブラックがどういうかと思ってブラックを見ると。
「そうだね。ツカサ君、僕が連れて行ってあげるよ」
「え……」
満面の笑みでそう言いながら、ブラックは立ち上がって俺の脇に手を入れた。
「なっ、なに」
何をするのかと目を丸くした俺に、笑っているようで笑っていない目を向けながら、そのまま俺を持ち上げていわゆる「お姫様抱っこ」をして来たのだ。
「さ、行こうかツカサ君」
「ちょっ、や、ブラック……!」
ま、待て待て待て周囲がザワついてるだろうが!!
そりゃたしかに俺はまだフラフラで歩けないし、歩いたらズボンに染みて来そうでヤバいとは思ったけど、でも、こんな大勢の前でお姫様抱っこって……!!
こんなの恥ずかしい、とブラックに情けない顔を向けたが。
「……嫌なの?」
冷たい声と瞳に射竦められて、声が出なくなる。
「……あ、そっか。ツカサ君、村に着いたらお風呂入りたいって言ってたもんね。ロサード、僕ツカサ君をお湯で拭いてあげるから、先に部屋に戻っててよ」
「お、おう。薬やら石鹸やら色々持ってるから、必要になったら言えよダンナ」
「わー、ありがとう。さ、行こうかツカサ君」
白々しいほど明るい声を出して歩き出すブラックに、俺は真っ赤になったままで肩を竦める。周囲からの視線や冷やかしの声が聞こえてくるのがどうにも恥ずかしくて、俺はブラックの胸に顔を押し付け縋りついた。
そんな俺に、ブラックはボソリと呟く。
「ツカサ君の恥ずかしい所、食堂の誰かに見られなかったかな」
「っ……」
食堂を抜けて廊下に入り、どこかへ歩いて行く。
本当に風呂場に連れて行ってくれるのだろうかとぼんやり思うが、仮に違ったとしてもブラックを咎める事は出来ない。
人とすれ違わないように願いながら、俺はブラックの服をぎゅっと掴んだ。
……こうやってくれるって事は、まだ、嫌われてないんだよな……?
少なくとも、興味が無い存在とは思われていないはず。
ぼやけた頭で考えていると、急に視界の端の景色が変わった。
どうやらいつの間にかどこかに連れて来られたらしい。どこだろうかと今更周囲を確認して、俺は目を丸くした。
「ここ……ほんとに、風呂……?」
ホテルやジムに併設されている内風呂のように、綺麗に整頓された脱衣所。
鏡も洗面台も有る至れり尽くせりの空間だが、俺が驚いたのはそこではない。
まさか本当に風呂に連れて来てくれるとは思ってなくて、驚いてしまったのだ。
「個室風呂だって。時間制だけど独り占めして良いんだってさ。太っ腹だよね」
そう言いながら、ブラックは俺を降ろす。
ああ、やっぱりちゃんと俺の事考えてくれたんだ。
何だか嬉しくなって薄らと笑みを浮かべたが、ブラックは実に愉しそうな顔をしてふらふらの俺を洗面台の淵へと座らせた。
……あれ?
「ぶ、ブラック……?」
「まず、服を脱がないとね。僕がやってあげるよ」
「えっ、そ、そんなの一人で……」
「出来ないよね? ツカサ君、熱でフラフラしてるもんね。……ね?」
また、あの目だ。
思わず頷いてしまった俺にブラックは微笑んで、俺の服を剥ぎ取り始めた。
上着を籠に適当に放り投げ、ズボンに手を掛ける。
いつもみたいに一気に下着も降ろせばいいのに、ブラックはあえてそれをせずにズボンだけを脱がして、俺の前に跪いた。
そうして、間近で俺の股間を観察する。
「ここ、シミが付いちゃってるね。……これ、何の染みかな」
「っ……」
「ああ……それに凄く濡れてる。これじゃ透けちゃいそうだね」
いつもの調子で意地悪く言いながら、俺の足を開いて入り込んでくる。
そうして股間に顔を近付けて、ふうっと息を吹きかけた。
「んっ、ぅ……!」
「ツカサ君、十七歳なんだっけ……もう大人なのにこんなシミ作っちゃって、恥ずかしいね。ふふ……おもらしして下着を汚しちゃうなんてなあ」
「ち、違う……漏らして、ない……っ」
「嘘つきだな、漏らしてるじゃないか。ほら、脱いで……!」
半ば強引に脱がされて、足をグイッと引っ張られる。
わざと股間あたりに密着していた部分を押し出して曝しながら、ブラックが下着を引き降ろすと――――俺の萎えたモノと下着の濡れた所を繋ぐ、細い糸がつうっと伸びて、切れた。
「……これ、おしっこじゃないよね」
「ぅ……うぅ……」
「何かな。言ってご覧?」
冷たい菫色の瞳が、言えと射抜いて来る。
それが「まだ怒っている」と如実に伝えて来て、俺は再び顔を真っ赤にしながらも、ブラックに嫌われたくない一心で口を開いた。
「せ……」
「……なにかな」
「せい、えき……しょんべん、じゃない……です……」
そう言って、途切れる。
相手に嫌われたくないから精一杯の言葉で伝えたけど、でも、実際に発した声は女のようにか細く弱々しい高く掠れた声だった。
「ははっ……良く言えたねぇ。でもションベンはいただけないなあ。こういう時は、ちゃんと可愛く“おしっこ”って言ってよ。ほら、もう一回」
「お……おしっこじゃなくて、精液……です……」
「そうかあ、ツカサ君はあんなに人の多い所で、僕におちんちんを弄られて気持ちよくなって精液を出しちゃったんだね。ほんと、エッチな子になっちゃったなあ」
「っ、ぅ……」
違う。だって、それは、アンタが弄って来るから。
俺が「恥ずかしい」って思う事ばっかりしてくるから、こうなったのに。
酷いよ、今だって俺が何も言えないのにかこつけて、こんな事して。
「っ……ブラック……」
「泣きそうな顔……ほんと、ツカサ君はそう言う顔が可愛いね……。僕に精液塗れの恥ずかしいおちんちんを見られて、我慢できなくなっちゃったの?」
「ひっ、ぐ……ぅ、うぅう……っ」
いやらしい言葉で責められて、濡れそぼったそこに息を吹きかけられる度に、さっきの事を思いだして堪らなくなる。
それでなくても、今ブラックにしている格好も我慢できないくらい嫌なのに。
全部、アンタが怒ってるから、これ以上嫌われたくないからやってるのに、それを理解してこんな事言うなんて、酷いよ。
なんだかもう悔しくて、悲しくて、よく解らなくなって涙が出てくる。
そんな俺に興奮してきたのか、ブラックは頬を少し紅潮させて、また一歩股間に顔を寄せて来た。
「ああ……いいよ……ツカサ君、恥ずかしいんだね……。君はいつも恥ずかしい事をされると可愛く泣いて、恥じらって……本当、可愛い……ねえほら、もっと良く見てごらんよ。今、ツカサ君物凄くえっちな格好してるんだよ……?」
ブラックのその言葉に、涙で塗れた視界を擦りながら目を動かす。
今の俺は、全裸で洗面台に座り、足を開いて相手に股間を見せつけている。
何度も見られているから平気なはずなのに、それでもこの状況が恥ずかしくて、ブラックの熱い息がたまらなくて、ぷるぷると体を震わせていた。
恥ずかしいのに、こんな格好してるなんて。
嫌だ。やっぱりこんな、女の子にさせるような恰好なんて、したくない。
その想いが強くなるたびに涙が溢れて、体が熱くなってきて。
ブラックがそんな俺の股間に熱い息を吹きかけて、見せつけるように咥える仕草をした途端――俺の、堪え性の無い分身は……緩く、勃ちあがって来てしまった。
「あ……あははっ、ハハハハハ! ツカサ君、ほんっと君って子は淫乱だね……! 僕が口を開いただけでおちんちんを勃たせるなんて、とんだスキモノだよ!」
「だっ、だって、だって……!」
「僕はただ口を開けただけだよ? 口の中で舐めて、転がして、ツカサ君のコレを気持ちよくさせてあげるなんて一言も言ってない。なのに、勝手に期待して勃起しちゃうとか、本当とんでもないね……僕より変態なんじゃないのかい?」
「ぅ、うぅうう~~~……っ」
なんで、そんな……いじわるするんだよぉ……!
俺、頑張ってるのに。
アンタがしたいこと、拒否しないで頑張ってるのに……!!
なのになんで意地悪するんだよ、俺を傷つけるんだよ。
俺の事、本当に好きじゃなくなったのか?
だから……だから……俺を……こんな……。
やだ、もう、やだよぉ……!
「っ、ぅっ、ぅあぁあ……」
「ツカサ君?」
「あぁあああ……! うぁああああ~~……っ」
一度叫んでしまうと、もう涙が止まらなかった。
だけど、今のブラックは泣いたって許してくれなくて。
「はっ……ははは……泣いて終わらせるの? 僕の事泣くほど嫌なんだ」
「ちがっ、ちがう゛っ、だ、ぇ……ブラックが、ひっぐ、ブラックがぁっ」
「僕がなにさ。僕が悪いって? ツカサ君は僕の機嫌を取るために今まで我慢してたんだろう? それがこんな事で我慢出来ずに嫌になったって事かい? ハッ……なんだ、じゃあ僕のこと好きじゃないんだ、その程度なんだ!」
解ってたんなら、何でこんな事したんだよぉ! バカ、バカバカバカバカぁあ!
その程度って、なんだよ、俺が泣いたくらいであんた諦めるのかよ。
俺の頑張り無駄じゃねえか、ふざけんな、あんだけ俺に恥ずかしい思いさせといて結局無駄だったってのかよ、ばか、ばか、ふざけんなばかぁああ!!
「僕の事嫌いなんだ、やっぱり嫌いなんだ!」
叫ぶブラックに、泣きながら俺は洗面台を叩く。
バカ、本当馬鹿、嫌いなら逃げてるよ。そう出来ないから悔しいんだよ!
「じゃあもういいよ、あの熊公の所にでもいけばっ、どうせ、どうせ僕なんて……!」
嘘つき、バカ、そう出来ないから、アンタ俺をここに連れて来たんだろ。
突き離せないからここに俺を連れて来て、いじめてたんだろ。
解ってるよ、アンタ面倒臭いんだもん。今怒ったので、やっとアンタが俺の事をまだ嫌いになってないって解ったんだ。
それなのに、出て行けるわけないじゃないか。
もうやだ、なんで泣いてる俺がこんな事しなきゃいけないんだよ。
アンタに何かしてやらなきゃ行けないんだよ。
そうは、思ったけど……俺は、必死に涙を拭って嗚咽を堪えた。
本当に、最悪だ。こいつは最悪の恋人だ。
だけどそんな面倒臭い大人を好きになったのは、俺で。
一緒に居たいと、嫌われたくないと思ったのも、本当で、今もその気持ちは消えなくて。どんなに酷い事をされたって、アンタに嫌われる事を考えたら、今さっきの事だって怒る対象にすらならないほど、俺は……。
ああ、もう、嫌だ。仕方ない。
俺はぐすぐすと鼻を鳴らしまだ収まらない嗚咽を小刻みに漏らしつつも、俺から距離を取ったブラックに近付き腕を掴んだ。
「ッ!」
「っ……これ、でも……俺の事、信じられない、かよ……」
睨み付けながらのその言葉に、ブラックが初めて狼狽する。
「え……」
「俺は……こんなこと、されて……っ。ひっく、それでも……っアンタを……」
「ツカサ君……」
「解れよ、ばか!!」
ココまでしないと、アンタは解ってくれないのか。
そう叫びながら、俺はブラックの足元に跪いてズボンをずり降ろした。
「えっ、ちょっ、つ、つかさくっ」
慌てるブラックに構わず、俺はグスグス言いながら相手の下着をはぎ取る。
するとブラックの一物は既に勃起していて、勢いよく反り返って来た。
「ぅあっ……」
「くっ……い、いやなら……そのまま放っといてくれよ……」
いつになく強情な相手。
だけど、もう、止まれない。
俺はブラックの手を掴んで立ち上がると、ブラックの拗ねたような顔を見つめながら怒張したそれを手で包んだ。
「……い、いれて……好きに、してよ……」
「ツカサ君……」
「こんなの……アンタじゃないと……言わない……。他の奴に、言いたくないよ……なんで、それを解ってくれないんだよ……」
恋人、なのに。
そう呟いた刹那。
ブラックは爪を食いこませるほどの強さで俺の両肩を掴み、そのまま上半身を乱暴に洗面台へと押し付けた。
顔が、見えない。
だけど、背後で聞こえる獣の息のような浅い呼吸に、俺は全てを悟った。
……相手は、これ以上ないくらいに興奮しているのだと。
「こ……後悔…………するなよ……」
いつもと違う、乱暴な口調のブラックの声。
しかしその声のトーンは完全に興奮した時のかすれたもので。
頷く以上、俺にはもう何も言う事は無かった。
後はもう、ほとんど、覚えていない。
「これからっ……くっ……僕の言うとおりにセックスするか……!?」
激しく貫かれながら、俺は喘ぎ声の最中に必死で頷く。
「ひぁっ、あ゛っ、ふあぁあっ、やぅっあぅうぅ」
「やるって言え……ッ、僕とだけ恥ずかしい事も全部するって言え!!」
いつもとは違う、興奮しきって凶暴になった相手に命令される。
違う事を答えようにも最奥を貫かれ、逞しい身体に上から押さえつけられていてはそれも叶わない。久しぶりの他人の熱と待ち侘びた体内を埋め尽くす感覚に、頭が完全に快楽に侵された俺はただ相手の望むがままに肯定した。
「ひっ、ぁっ、ひまふっ、ぶらっ、くとだけっ……はずかしっこと、っする……からぁ……!!」
だから、もう、嫌いにならないで。
離れて行かないで。
無意識の内に体を仰け反らせ涙を散らした俺の言葉に、ブラックは発狂したかのような笑い声をあげて俺の体を痛いくらいに強く抱きしめた。
「クッ、ははっ、ハハハ……ッ!! き、聞いたぞ……聞いたからな……ツカサ君はもう僕から逃げられないぞ……!! 一生……ッ、一生抱き潰して僕以外の奴じゃ満足できないようにしてやる……ッ!」
穴の奥の形が自分の物になるほどに、何度も何度も犯してやる。
荒い息混じりに耳元でそう言われて、俺は頷いた気がする。
何度も何度も貫かれて恥ずかしい事を言わされたが、俺は何も嫌じゃ無かった。
「ふあぁあっ、いぐっ、もっ、らぇっいくっいっひゃうぅう!」
「イケよ……僕のペニスで絶頂しろッ!!」
その乱暴な言葉すら、凄まじい快楽を俺に与える。
絶頂する最中でその事に気付いた俺は、ブラックの何度目かの溢れる精液を受け止めながら、ただ幸福感に酔って気を失った。
→
※次(かなりイカれた)ブラック視点です
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