異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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波乱の大祭、千差万別の恋模様編

21.望む手と望まぬ手*

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※触手ぷれー注意(;´Д`) 





 
 
 散々痛めつけられて、クラーケンに触手プレイされるってか。
 は、ははは……なんの冗談だ……。

 いやいやいや、ちょっと待て、クラーケンの触手のデカさじゃあ、俺を絞め殺す事は出来たって犯す事は出来ないはずだ。
 足の先だって俺の掌の何十倍の大きさが在るってのに、どうやって弄るんだよ。
 羞恥よりも絞め殺される方が怖いわ。

「おや、何を勘違いしてるんだ?」

 俺の心を読んだのか、それとも俺が唖然とした顔をしていたのか、ファスタインはこちらに余裕のある笑みで笑いながら乳白色の召喚珠を握り込む。

「クラーケン、お前の子供達にエサをくれてやろう」
「…………え?」

 いま、なんていいました?

 耳を疑った俺の目の前で、クラーケンはごそりと動いて、本来海の生物があげるはずのない恐竜のような声を響かせた。
 もう何がいなないたって驚かないよ俺は。それよりも重要なのは、さっきの言葉だ。
 子供達って、なに。どういうこと。

 俺のその疑問は、次の瞬間に一気に氷解した。
 と同時、俺は情けなく思いっきり叫んでしまっていた。

「ぎゃぁああああ!! イカの大群んんん!!」

 そう、イカの大群。
 クラーケンが嘶いた後に船にぞろぞろと登って来たのは、何を隠そう数十匹のちょっと大きなイカだったのだ。
 っていや、あの、まって。このイカどこから来たんですか。

「フッ、ハハハハ!! 驚いているな。お前達は知らないだろうが、クラーケンのメスは体内に子供を隠して育てる習性があってな。そのメスを捕まえれば、必然的に子供のクラーケンも私の指揮下に入るようになるのだよ」
「ちょっ、ひっ、ま、まって駄目ですってこれマジでダメだって!」

 中型犬くらいの大きさのイカがどんどんこちらに這い寄って来る。
 海から上がったその体はつやつやと光っていて、彼らが這った後には水の痕が残っていた。それが、俺に余計な恐怖を与える。

「まずは存分に可愛がってやるといい。絞め殺すのはその後でも構わんだろう」

 その言葉にガーランドが少しだけ動いたが、けれど出血と暴行のせいか、もはや動く事も出来ないようだった。どうしよう、このままだとガーランドが……。

「人の心配をしている場合か?」

 そう言われて気付くと、目の前にはもう小さなクラーケン達が集まって来ていた。じりじりと下に集まり、人の指ほどの太さの白い触手を上に伸ばしてくる。
 多くは俺の足先にも届かなかったが、他の奴よりも少し大きいクラーケンの触手が、俺の足首に巻き付いて来てしまった。

「ひっ」

 ぬめぬめする。まるで、石鹸をつけた指に足首を握られているみたいだ。
 思わず悲鳴を上げた俺に調子づいたのか、それとも彼らには元々そういう計略を考える器官が無いのか、俺の事など気にもせずにその触手を伝って、他の小さなクラーケンが俺の体に這い上って来た。

「っ、ぁあ……やっ、やだっ……!」

 ぬめった幾つもの触手が足に巻き付き、仲間の体を乗り越えてどんどん俺の体を這い上ってくる。一度素肌に到達すれば、後はその吸盤で俺の体に吸い付いて登るだけだ。

「くっ……ぃっ、つぅ……!」

 いくつもの小さな吸盤が、強く吸い付いて乱暴に肌を引っ張る。
 どこに意識をやって良いのか解らない程多くの触手が巻き付いてきて、足に絡みずるずると近付いて来た。
 何を目指しているのか解らない相手の行動が怖くて、俺は顔を歪め首を振る。

 そんな俺の態度にファスタインは笑い、目を細めた。

「そいつら自体に意思は無いが、指示を与えればお前を辱める行動をやらせる事も容易たやすい……例えば……」

 また、あの召喚珠しょうかんじゅが光る。
 するとクラーケン達は活発に動きだし、三匹のクラーケンがざわざわとうごめきながら体を登って来た。彼らの触手が、引き裂かれて露出した上半身に到達する。
 だが、一匹は腰の辺りで留まり、嫌な予感を俺に味わわせた。
 ああもう、これって。

「っ、ぁ……!」

 二匹の触手がぺたぺたと胸を這いずって、わずかに膨らんでいる部分に吸盤を押し付ける。人間とは違う吸い付き方に、俺は否応なく体をびくつかせた。

「ま、って、だめっ、いたぃってっ、ッ! く、ぅ……!」

 小さな吸盤がも的確に俺の乳首に吸い付いて、きゅぽきゅぽと何度も俺の乳首を勃起させようと動く。しかも触手に付いている他の吸盤も胸に吸い付いていて、俺は痛さと妙な感覚に身悶えた。

 吸盤に感じてるなんて事は無い、無いと思いたいが、他人の手によって開発されて、誰かに触れられると快楽を感じてしまうようになってしまった俺の体は、最早そんな心の無い蹂躙にすらわずかに快楽を拾ってしまい。

「だ、め……やだって……!」

 じわりじわりと募る嫌な感覚に、足を閉じて耐えるしかなかった。

「おやおや、恥ずかしがるどころか楽しんでるなんてとんだスキモノだね」

 う、うるさいな、俺が触手に襲われるの何度目だと思ってんだよ。
 こんだけ色々やられてたら、そりゃ恐怖より快楽が良いって体が勘違いするわ。
 俺が悪いんじゃない、この世界が、っていうかこの世界の触手が悪いんだ!!

「だ、黙ってきいてひゃ!? やっ、だ、だめ下着のなか入んなっ!!」
「おや、ようやくそっちも動き出したのかい」

 動き出したのかいって、呑気に言うな!!

 いやそんな場合じゃない、駄目だって、そこにだけは入っちゃ駄目!!

「っあ!! ぃあぁっ!」

 俺の抵抗もむなしく、クラーケンは下着の中への侵入に成功して股間に張り付いてくる。その細かな吸盤に敏感な下腹部をあちこちを吸われる感覚に大きく跳ねて、俺は全体重を腹にかけてしまった。

「げほっ、ぐっ、ぅあっ、や゛っ、あ、あぁあっ……!!

 触手が足の付け根にひたりと張り付き、その一つが俺の急所に巻き付いて来る。
 ぬめった感触と、軽く吸い付いて来る感覚が強烈で、俺は頭を振って拒絶した。

「やだっ、や、だめ、やめろって!! もっ、や、やぁあ!」
「おや、淫乱でもやはり異形に犯されるのは怖いか? 安心しろ、ちゃんとナカまで犯して正気を失くさせてやる。そうすれば、後で我に返った時の苦しさは並大抵のものではあるまい」

 ファスタインの笑いを含んだ声が耳に届いたが、それに反応する気力すら、もうなくなってしまっていた。
 言い知れぬ感覚に体中を吸われる感覚が怖くてどうにか抵抗しようとするけど、足を閉じようにも股間に張り付いた異形がそれをさせてくれない。
 そんな抵抗をする間にも胸は吸われ、体にはクラーケン達の体液と海水がどろどろに垂れ落ちて、さらに吸盤の吸着力を増す。

 たくさんの小さなものにきゅっと吸われる感覚は、いつも味わわされている乱暴さとは全く違っていて、それを思い知るだけで泣きそうな位怖かった。

 恥ずかしさなんてもう、どうでもいい。怖い。
 好きでもない物に触れられる……いや、蹂躙される事が、これほどに怖いなんて忘れていた。誰かに貶められる事がこんなに辛いなんて、考えもしなかった。
 このまま、無理矢理に犯されて絞め殺されるのだろうか。それとも、無理矢理に気持ちよくさせられて、ファスタインに笑われて自尊心を失ってしまうのか。

 どちらにせよ、苦痛にしかならない。

「や、だ……やだぁ……っ、も、やめ……っ」

 脳裏に一番頼りなくて頼れる相手の影が思い浮かぶが、呼んだって無駄だ。
 だけど、思わずにはいられなくて。
 何度も俺を助けてくれた相手の事を思わずには、いられなくて。

 怯えきった心のままに、助けて、と言ってしまいそうになった。その時。



 鋭い咆哮と共に、俺達の目の前に陰を纏った“何か”が現れた。









 
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