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波乱の大祭、千差万別の恋模様編
人の性根は変わらない2※
しおりを挟むどういう事だ。何故、ガーランドがこんな辺鄙な場所まで来た?
手を緩めたブラックから離れて、岩にひたりと体をくっつけながら向こう側を窺う。ブラックも俺を覆うようにして岩に手を付け、頭の上から同じように少しだけ顔を出した。
なんかイラッとしたが、そうしないと岩の向こうが解らないので仕方ない。
暫し様子を探っていると、二人は立ち止まって話し始めた。
「それにしても、上手く行きましたね」
ガーランドのやけに低姿勢な声に違和感を覚える。
あいつ、こんなにヘコヘコした感じの三下みたいな声だったっけ。
相手はよっぽど偉い人間なんだろうか。でも、なんでそんな人がここに?
不可思議に思う俺達に気付かず、ガーランドの相手はフッと笑った。
「当然だ。私が飼い慣らしたクラーケンだぞ? 召喚珠さえあればあの手の化け物など動かすのはたやすい事だ」
……え?
お、女の人の声……!?
しかもクラーケンを飼い慣らしたって、どういう事だよ!
驚いて俺達は顔を見合わせるが、それでも会話は続いて行く。
岩の影からはガーランドが話している相手が見えないので、どんな女性なのかは解らない。だけど、この声は聴いた事が無かった。
リリーネさんともイメルダさんとも違う。もっと言うと、このお祭りの実行委員会とか参加者の人達にも居ない声だ。……あっ、違います覚えてません。俺そんな女の子凝視してる訳じゃないです誤解です、でもとにかく知らない声なんです。
凛々しくてグローゼルさんよりも低い声で、まさに姉御って感じなんです。
「いや~、姉御の調教っぷりには本当に頭が下がりますわ。一体持ってるだけでも凄いってのに、北に出かけてもう一匹仕留めて来るなんて……」
「フッ、世辞はいらないよ。それよりアンタの方はどうなんだい」
「へぇ。そりゃもう滞りなく。白煙壁の稼働も順調ですし、このまま行けば計画通りに行くでしょう。姉御の計画は本当に完璧で頭が下がりますわ」
な、なんだなんだ……思っても見ない場所で思いもよらなかった事実がどんどん明かされていくぞ……これってもしかして「過程をすっ飛ばしてうっかり重要な話をきいちゃったよ」イベントと言う奴か?!
まさか自分がこんなラッキーイベントに出くわすとは。
悪役がベラベラ内情を喋ってくれるなんて、物語の中でしか有りえないと思っていたのに、ファンタジーな世界なら充分あり得る事になるんだな……。
ちょっと感動しつつ、俺はもっと話を聞こうと思い目先の二つの影を追うように腰を少し低く落とした。後ろにブラックの足が当たってあまり屈めなかったが、それでも良いかと思って体をほんのちょっと前のめりに動かす。
そうすると、さっきよりも相手の動きが見えるようになった。
「お世辞はよしな。……しかしよくもまあ、リリーネも騙されてくれるもんだよ。私の計画なんて知りもせずにさ。フフッ……今度こそ失脚させてやる……」
「そして次のギルド長の座に姉御が座るんですね! いやー本当楽しみですわ! 姉御が長になったら、俺の海賊団の仕事をへの優遇、よろしくお願いしますよ」
「解ってるさ。アンタと私は一蓮托生だ。仲良く行こうじゃないか……フフ……」
リリーネさんを失脚させるだと……?
この姉御っていう女性とガーランドは、リリーネさんを失脚させる為に巨大イカを操って霧まで発生させたってのか。さっきガーランドが「白煙壁」とか言ってたから、絶対この霧も人工的なものなんだよな。
失脚させるって、一体何をするつもりなんだ。
なんにせよ、多分このままじゃ終わらないよな。
姉御って奴が誰だか分からないけど、なんとかして止めなければ。
このまま話を聞いていたら、もっと何か分かるかな。
そう思い、岩に手を置いて体を起こそうとして――俺は、自分の尻を覆う大きくて熱い何かにようやく気付いた。
「…………!?」
なんだこれ。あったかい。むにむにしてくる。
尻を上から下まで撫でまわし……ってこれ手じゃん! どう考えてもブラックの不埒な手じゃん!! この緊張感あふれるシーンで何やってんのこいつはー!
ふざけんなと言おうと俺は振り返ろうとするが、抵抗を察知されたのかまたもや抱き着かれて動きを封じられてしまう。こ、これじゃ台所の二の舞じゃないか。
ヤバい、これは非常にヤバい。
「っ、ちょっ……!!」
「しーっ。静かにしてなきゃ気付かれちゃうよ」
こ、この野郎。静かにしろって、静かにさせないようにしてるのはお前だろ!
頭にきて背後のブラックの胸ぐらを掴もうとするが、そんな柔軟な事が運動音痴の俺に出来るはずもない。なす術もなく手を捕えられてしまい、俺は顔を岩に押し付けられ拘束されてしまった。
「ほら……大人しくして」
「……っ、う……くそぉ……っ」
悪態をつくが、声は無意識に小さくなっていてお話にならない。
力も悪態も効果が無いのが悔しいけど、でもどうにもならなかった。
元々、ブラックには力では敵わない。
普段俺が乱暴にされないのだって、ブラックが理性を働かせて(ブラックなりに)紳士的な対応してるからだ。それは、重々解っている。俺が五体満足で元気に旅が出来るのは、ブラックの理性のお蔭なのだ。
そうじゃ無きゃ、今頃ボロボロに犯されて監禁でもされてるだろう。
解ってる。解ってるんだが、こんな状態でその事を思い出すと少し怖くなった。
多分俺が体を鍛えたって、ブラックは俺を容易く押し倒すだろう。
どれほど抗ったって、この体力お化けの中年には負けてしまうんだ。
そんな相手に拘束されてるんだから体も無意識に震えてしまうし、この緊迫した状況に硬直だってする訳で。
しかしブラックはそんな俺の状態なんか気にもせずに、ズボンを脱がそうとして来やがる。
「っ、……!」
冗談じゃない、こんな状況で掘られてたまるか。
せめてもの抵抗だと思って足で相手のスネを蹴りあげようとするが、それを察知したのか、ブラックは俺のズボンを下着ごとずり降ろしてしまった。
こ、これじゃあ何もできないじゃないか!
っつーか空気が! 冷えた空気が肌に触れてゾクゾクすんだけど!
「ブラック……!」
「しーっ、ほらほら、話が聞けなくなるよ」
誰のせいだと思っとるんじゃい!!
ああもう、分かりやすく尻に手を這わせてきやがって。こいつが恋人じゃなきゃ「痴漢でーす! 助けてくださーい!」とか言えたんだろうけど、悲しいかなこの男は俺の仲間であり恋人だ。しかも俺はそんな相手に惚れてるらしい。
この状況なんて百年の恋も冷めるだろうに、ブラックが元々外道で変態だと理解して許容してしまっているが故か、俺は残念ながらこんな事をされても相手を本気で拒否しようとは思えなかった。いや、行為自体はやりたくないんですけどね。
でも結局、俺はコイツを本気で嫌いになれないみたいで……。
ああもう変態プレイは嫌なのに! 本当に嫌なのに本気で拒めないぃいい!
何かもうどうしていいのか解らなくて、俺は思い余って固まってしまった。
けれどそんな俺達の凶行を知らずに、ガーランドと「姉御」と言われたもう一人は話を大真面目に進めて行くわけでして……。
「しかし、白煙壁の威力は凄いもんだね……。これが本当に試作品なんて、今でも信じられねえよ。完成しちまったら、どれだけの海賊や海軍が海に沈むかねぇ」
手が濡れてる。指が尻の間に割り込んできて、窄まりをぬるぬると探って来た。
もう片方の手は俺の竦み上がってるモノには触れないくせに、陰嚢を擽るように指の腹でちろちろと撫でてきやがる。
だけどそのくすぐったいような疼くような感覚が我慢できなくて、俺は両足を摺り寄せて、女のように内股になってしまった。
「お偉い人の考える事はよく分かりませんが……まあこっちに被害が及ばないならどうでも良いですけどね。俺達はただ協力してるってだけですし」
「違いない。今回は向こうとこっちの“目的”が上手いこと噛みあっただけで、本来ならばクラーケンだけで出来た計画だったからな……まあ、渡りに船だったと言うことだろう」
「姉御流石っす、ウマいっすねー」
ガーランドがおどけたような声を出したと同時、弄ばれていた陰嚢を温かい手で包みこまれて、俺は悲鳴を上げそうになる口を必死に抑える。
「うっ、ぅ……んぅう……!」
息が、荒くなる。
ブラックの獣のような息遣いも相まって、呼吸が乱れてしまう。
濡れた指が何度も何度も指の腹で窄まりを押しては離れて、焦らすように俺を煽って来て。前の刺激は相変わらず俺のモノには触れないくせに、その周辺だけは丁寧に指で優しく撫でて感覚を高めようとしていた。
それが辛くて、俺の素直な欲望はもう半分勃ち上がってしまっていて……。
「ツカサ君っ……っ、ぁは……か、可愛いよ……」
「~~~っ!」
指が、入ってくる。入って来て、入り口の周辺をくねくねと動いて探っている。
その指が奥にまで来ないのがもどかしくて、俺は無意識に腰を揺らしてしまうが、ここが野外でしかも他の人が居ると言う事がネックになって、中々浸れない。
体は指に屈しているのに、理性が残った心は必死にガーランド達の話を聞こうと耳を欹てて、それが余計に感覚を鋭敏にしてしまっていた。
「それより、お前本当にアレは実行するのかい」
「もちろんですよ」
聞きたいのに、段々頭が朦朧として来る。
ブラックの指の動きにしか、息遣いにしか、意識が行かなくなってきた。
指が、増える。二本も三本も同時に入って、俺のナカを蹂躙してくる。
それがあまりにも激しくて、俺は涙を流しながら手を噛んで耐えた。
やだ、ナカ掻き回すな……広げるなってば……!
相手にやめろと言いたいのに、声を出したら高い悲鳴に変わってしまいそうで、口を塞いで耐える事しか出来ない。
俺の自身はもう擁護不可能なほどに勃ち上がって先走りを垂らしていて、だからこそ何も言えなかった。こんな状態じゃ、ちょっと触れられただけで声が……。
こ、こんなの耐えられるわけがない。
何でよりにもよってこんな時にサカるんだよぉ……。
頼むからもう勘弁してくれよと思いながら、涙目で必死に振り返る。岩に押し付けられたまま上半身をギリギリまで捻った俺に、ブラックは獣のようにギラついた目を光らせながら――――低く耳に残る声で、俺の耳に囁いた。
「挿れるよ……声を出さないように、気を付けてね……!」
そんな。この状態で挿れられたら、どうなるか分からないってのに。
待ってよ、それだけは駄目だって。
そう言いたくて、俺は押し付けられた岩から体を離そうとしたが……唐突に体内を押し広げられる感覚に襲われて、思わず岩にしがみついてしまった。
「ぶ、らっ……ぅっ、っ!! ――――~~~~~ッ!!」
名前を呼んで、止めたかったのに。
なのに、名前を呼んでいる途中で勢いよく後ろから貫かれて、俺は声を失う。
それを良い事に、ブラックはぐいぐいと奥まで熱塊を押し込んできて。
「っ、ハァッ、ハァッ……ハァ……!」
荒い息は、川のせせらぎに掻き消されて誰にも届かない。
だけど相手の声はまだ聞こえている。俺達の傍に人が居るのが分かる。
そんな場所でこんな淫らな事をやっているんだと思うと、俺はどうしても耐えられなくて、バレてしまうかもしれないのに泣くのを止められなかった。
「はっ……ははっ……泣かないでっ、よ……ツカサく……っ」
バレちゃうよ、と、ブラックが片手で俺の口を覆ってくる。
もういっそ、その方がありがたい。
俺は己の口を覆う大きな掌に自分の手を重ねて、後ろを貫く感覚に耐えた。
早く。こうなったらもう、早く終わってもらうしかない。
何とか我慢しようとする俺の努力を理解しているのか、ブラックもなるべく音を立てないようにゆっくりと大きな熱塊を出し入れする。その動きに何度も体をビクつかせながら、俺はそそり立っている自分のモノを握った。
そうして、ぎこちなく擦り出す。
恥ずかしい恰好だけど、情けないけど、もうそうするしかなくて。
「んっ、ぅ……うぅ……っ、……ぅ……!」
「はっ、はははっ……い、いいよ……ツカサ君、可愛いよ……ッ!」
俺にだけ聞こえる小さな声を耳に直接送り込みながら、ブラックは緩慢な動きでも奥を強く突けるように、大きく腰を動かして強弱を付けて来る。
それが前立腺をごりごり擦って、たまらず俺はブラックの手を噛み声を殺した。
腰が、勝手に動く。びくびくして、手が思ったように動かない。
自分のモノを擦りたくても、後ろからの刺激が強烈過ぎて、もう自分の手が齎す快楽なんて必要ない程に俺は昂ぶってしまっていた。
そんな俺を追い詰めるように、ブラックは熱塊を収めきったままでナカを何度も執拗に突いて来る。
「っ、んぐっ、ぅうう……!!」
奥を突かれる衝撃が伝わり、勝手に俺のモノは達して白濁を岩に飛ばした。
だけどブラックは止まる事は無く、深く入れ込んだままそのままナカを掻き回してイッたばかりの俺を更に苛んだ。
達しても終わらない快楽が苦痛にも思えて来たが、ぼやけた頭ではもうそれに怒ればいいのか泣けばいいのかすら判断がつかず、俺はただ耐えるように大きな掌に噛みついているしかなかった。
「しかしあんた、どうするんだい。あの男達、一筋縄じゃいかないよ。あんな化け物染みたオッサン達からどうやってあのガキを奪うんだ? 容姿以外は大した事も無さそうだし……悪い事は言わねぇから放っておきなよ」
「へへっ、そこはまあ任せて下さいよ姉御。あのカワイコちゃん、見かけによらず結構優秀みたいでしてね、男を銜えさせる以外にも使い道はごまんとありそうだし、この機を逃す手は無いですよ。なに、俺にも策が有るんで安心して下さい」
「本当かねえ……くれぐれも失敗するんじゃないよ」
「重々承知しておりますよ、へへへ」
銜えさせるって、なに。俺の話なのか、違うのか。
もうわかんない。後ろからぐじゅぐじゅ音がするぐらい出し入れされてて、頭がバカになりそうなくらい気持ちよくて、もう、立ってられなくて。
「ツカサ、くん……ツカサ君の、話、してるよ……っ。ハハッ……あのクズめ……好き勝手に言いやがって…………ツカサ君が銜え込んでいいのは、僕のペニスだけだって言うのに……!」
「っぅう! んぅうう……!!」
最奥まで貫かれたままぐりぐりと中を掻き回されて、快楽に腰が砕ける。
だけど、片腕でお腹を支えられて崩れ落ちる事も出来ず、俺は宙ぶらりんのままでブラックを受け入れるしかない。
岩に縋りついても逃れられず、俺は恥ずかしさと緊張感と気持ちよさの狭間で、ただただブラックの耐え難い程の熱を締め付ける事しか出来なかった。
もう、やだ。頭がおかしくなる。
怖い、気持ちいい、逃げたい、逃げたくない。
いつもみたいに激しく貫いて欲しいのに、そんな事をしたら声が出ちゃいそうで、だけどいつも以上に触れられずに後ろだけ貫かれてるのが切なくて。
もっと触って貰いたい。だけど、あそこの二人に俺達がここでえっちしてるって知られでもしたら、どうなるか分からない。
なにより、変態だと思われてしまう。こんな恥ずかしい事をしてるのを知られたらもう、俺は。そう思うと、体が熱くなって涙が止まらなくなって。
淫らな事をしてると思い知れば知るほど情けない俺の欲望は勃ち上がり、浅ましく先走りを小石が転がる地面へと垂らしていた。
「んうぅっ! ……くっ、ふっ……う、ぅうぅ~~~っ!」
「ふっ、ククッ……はは……はぁっ、はっ……つ、ツカサくん、も……こんな恥ずかしい所で犯されて感じちゃう、変態になっちゃったね……。はははっ、ははっ、もうこんなエッチな体じゃ……僕以外の人と……っ、セックス出来ないね……!」
耳を舌で舐めまわし耳朶を吸いながら、好色さを隠しもしない俺にだけ聞こえる声で、低く強くブラックは囁く。
その掠れて熱の入った大人の男の声は、俺の頭をいとも容易く混乱させて、じわじわと体内でくすぶる熱にさらに火をつけた。
声だけで、もう、どうしようもなく感じてしまう。
ブラックの声が俺のナカにあるものの感覚を強く感じさせて、俺はたまらず背を反らしてビクビクと痙攣し、また射精してしまった。
声だけで、動かされてもいないのに、また。
これじゃあもう、ブラックに何も言えない……。
「まだだよ……僕が、イッてないでしょ……!」
「――~~~っぅぐっ、ん゛ぅうう……!!」
もう、あの二人が何を話してるんだか分からない。わかんないよ。
気持ちよくて、声出しちゃいけなくて、恥ずかしくて、きもちよくて……。
こんなの駄目だって、もっと気持ちよくなる、もうだめ、だめ……!
「っ、くぅ……――――ッ!!」
熱に浮かされたブラックの息が詰まったような声が、後ろから聞こえる。
その声と共に、俺のナカにどくどくと熱いものが勢いよく注ぎ込まれて……
俺は、その例えがたい快楽にまた達してしまっていた。
→
※/(^o^)\ <……スマン
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